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Essay 969:直近の世界のコロナ数値
〜ほんとうに「第三波」と言えるのは日本だけかも
2021年01月03日
写真は、Newtwown バイトの休憩とかでは、こういったところで座り込んだりするのが結構普通だったりします。僕もColesでバイトしてるときはそうだったなー。
久しぶりに国際統計から、コロナの状況を見てみました。メディアの煽り見出しを見てたって要領えないしね。
欧米のいわゆる「第三波」
やっぱ、数値を見るに、そこまで大騒ぎするほどのことではないと思いますケド。大騒ぎするのは、検査での陽性者がどれだけ出たか、増えたかです。実際の重篤・死者数の推移とか、検査に対する陽性率とかはあまりカップリングして報じられない。そこが分からなきゃ意味ないと思うのですけどね。
↓下は大騒ぎになってる陽性率の「激増」状況です。国が沢山あるとわかりにくから、イギリス、ドイツ、アメリカに絞りました。
確かに第一波の頃に比べてかなり陽性者数が増えてまくっています。
↓だけど検査もやりまくっています。
国にもよるけど、おおまかにいえば、検査数の推移と、陽性者数の推移は、大体似たような軌跡をたどっているように見えます。
これは、いわゆる「検査を増やせば陽性者も増えるの法則」で、もう世界中誰でも知ってると思うんですけど、なんで、そういうことを報道しないのか、よくわからんです。
もともと無症状感染が8割とか言われてて、ずっと前にNYの抗体検査でも、判明している感染者数の10倍くらい実際の感染が広がっていることが話題になりました。だから、陽性数というのは、おそらく10倍くらいになるまでは、検査を増やせば増えるんじゃないですかねー。
不思議なのは、そこで世界は学んだはずなのに、なんでまだ陽性数だけにこだわって騒ぐのか?です。まあ、メディアの場合は、「てえへんだ、てえへんだ!」って騒ぐと売れますから、あれは一種の商業上のジングルなんでしょうかね。
不思議なのはもう一つあって、いっとき話題になってた抗体検査は最近やらないんでしょうかね?そこそこ累積感染者も増えてきたんだし、抗体持ってる人は旅行行ってよし、国境越えてよし、せめてお前らが経済活性化してくれよとか、そういう話にはならんのですか。まあ、抗体といってもミステリ部分はあるので、うかつな即断は出来ないんだろうけど、それを言ってしまえばワクチンの効用を否定することもつながるんだろうけどね。でも、だからこそ、ほんとはめちゃくちゃ議論して、最新の科学知識が皆に行きわたるべきかと思うのですが、なぜかは知らないがそんなに話題になってません。
↓下が、死者の推移です。
グラフに書き込んでおいたように、死者そのものは第一波と似たりよったりです。イギリスなんかは第一波の方がはるかに激しい。アメリカとドイツは、第一波よりも増えてますが、陽性者数の激増に比べたら、さほどのことではないです。
確かにいっとき収まってたのが、またぶり返した、とまでは言えます。だから警鐘を鳴らすのは当然だとは思いますが、その実体において、検査を増やせば自動的に増える陽性者数の推移をセンセーショナルに言ってたって仕方がないと思います。
むしろ特筆すべきは、よくぞこんなに検査をたくさん出来るような体制を構築した、ってことだと思います。おそらくは過去の経験を生かして、いろいろな試行錯誤をやったんじゃないかと思われます。そこは素直に称賛すべきかと。次に述べますが、オーストラリアなんかめちゃくちゃすごいです。それに比べると、日本の検査数の伸び(なさ)が気にかかるんだけど。
オーストラリアの状況
オーストラリアでは、今シドニーとメルボルンで緊迫感が走ってます(まあ、さっきタバコを買いに 歩いた分には、そんなに感じることもなかったのだが)。オーストラリアで特筆すべきは、ものすごく検査体制が充実してきたということです。また、延々何時間も立ちっぱなしで検査を待ってるオージーもエライとは言えます。今回のシドニーのノーザンビーチでも、あの限定されたエリアだけで、1日数万件の検査をしてます。たしか1日で3-4万人くらい検査して、陽性者がたったの7人とかそんなもんで、それでも大騒ぎして緊急事態になっている。日本でいえば、江ノ島とか湘南だけで1日数万やってるくらいです。ちなみに、東京は1300万人で一日検査数数千人ですから、桁がずいぶん違います。
しかし、日本と比較するまでもなく、ほかの国と比べても異様に検査してます。
下のグラフは、陽性者を一人見つけるために何件くらい検査をやったか?という比率を示したものです。見てわかるように、他のアメリカもドイツもべったり平らに見えるくらい、超頑張って検査してます。11月の発見端緒の頃なんか、一人発見するために1万件くらい検査をやっている。
これを逆に見ると、検査あたりどのくらい陽性者がいたかという、検査陽性率になります。
↓下のグラフがそうですけど、他の国が5-15%くらい(日本もこの点では諸国と同じ水準)なのに対して、今度はオーストラリアだけ地面にへばりついているような感じで、圧倒的な陽性率の少なさです。
これは何を意味するか?といえば、オーストラリアの凄まじいまでの検査体制です。
しかし、裏を返せば、そのくらいオーストラリアが超ナーバスになってるということで、一概に喜んでばかりもいられないのではないか。
大体ひとり陽性が出ただけで、うぎゃーと国を上げて発狂せんばかりの勢いでやってたら、この先どうなるのだ?という気がします。そんな厳しい基準、超潔癖なセンスでいたら、この先、経済を動かしていこうにも、不可避的に陽性者は出るでしょう、国境開ければ開けたで出るでしょう、その度に1−2ヶ月全部停止してたら、死んでしまいます。
もっとも、オーストラリアもその点は進化してて、かなりきめ細かくなってます。つまり全面一律ロックダウンなんて出来るだけやらないように、初期においてクラスターを確かめ、また感染者の過去の行動履歴を調べ、「何日何時にこの店に行った人は」という形で限定してます。ギリギリまで必要最小限度にとどめて、経済活動を継続させようという意図はわかります。そこはえらいなーと素直に思います。
んでも、どっかの時点でクラスターを追いきれなくなることもありうるし、そうなるとメルボルンの二の舞で全面ロックダウンという話になるけど、もうそこまでやってる余裕もないんじゃないか。
平穏から一気に悪化する国の例
そこで参考になるのは、第一波が「無い」国です。そこは無難にやりすごしてきて、コロナ禍をクリアしたぞーとか思ってたら、途中で感染が広がって、どわーっとすごいことになってる国です。一国づつ順番に見ていくと、結構あるんですよね、これが。
とりあえず東欧からブルガリア、チェコ、スロバキア、そしてバルト三国のラトビアを上げてみました。
上のグラフを見てわかるように、これらの国は第一波はそんなにひどいことになってません。多少はあるけど、基本、無事にクリアしてきたと言ってもいいでしょう。
ところが、10月くらいから増えはじめて、いっときは手がつけられないような増加をした(今は予断を許さないながらも、少し沈静化しつつあるのかな)。百万人あたりの死者数の比率でいえば、イギリスなんかよりもひどい話になっていた。
恐いのは「こういうこともある」ということです。
つまりこれまで抑え込んできたと思ってても、いつなんどきドカンといくかわからん、ということです。
オーストラリアも(日本も)、一番上のアメリカとかUKの世界レベルから大雑把に比較すれば、これまでコロナ禍を「免れてきた」といってもいいレベルだと思います。国内では大暴風のように大騒ぎしてるけど、国際的に見ればそよ風レベルでしょ。でも、それがいつ、本物の暴風雨になるかはわからないということです。
それで思ったのですけど、日本のようにゆるゆるな(満員電車を放置してるわ、検査やらないわ)、ある意味野放しに近い感じでやってて「この程度」だったら、この先多少増えても、ドカンってことはないかもねーとは思います。
それはアジア人が総じて強いであるとか、意外とネパールやスリランカなんかも非常に被害が少なかったりすることからも、そういう人種的(あるいは気候環境などかな)で、爆発系のところと、ボチボチ系のところがあるのかもしれません。このあたりは未だに謎ですけど。
しかし、白人種が多いオーストラリアは、そういう安心感はないです。
考えてみれば、シドニーやメルボルンなどアジア系など移民の比率が高い都市にくらべて、WAやQLD州のように白人比率が高そうな州がナーバスになるのも、わからない話ではないです。
おそらく、為政者や医療当局の頭には、「ドカンといったらどんでもないことに」という懸念があるんじゃないかという気がします。それもあって、ナーバスなまでに初期の段階で猛烈に鎮火作業に走るのではないかと。そんなこんなで、難しい舵取りになってるし、うかつに動きにくくなってるんだと思われます。
ところで日本の数値
もっとも、絶対数で言えば、英米に比べてみれば、極端に少ないです。
日々の死者数でも、あっちは百万人あたり8人ですけど、日本の場合は多くても百万人あたり0.35人ですから。
しかし、これもわからないのは、絶対検査数が少ないので、仮にコロナが死因になっていたとしても、検査がなされないまま終わってしまってるケース、暗数ともいうべき数があるかもしれないという点です。あるいは、逆に、本当にコロナが「死因」なのかどうか微妙なケースは多々あるでしょう。
もともと医学的に死因論は難しいと聞いたことがあります。ガチで調べるなら、ひとつひとつ病理解剖して、いくつかの特徴的な生体細胞を摘出して顕微鏡で覗いて、場合によっては培養して、過去のカルテと検査結果を照合しつつ、無数にある仮説のなかから一つひとつ消していってとか、ものすごい知的パズルなようなものだと。誰だっていよいよ死ぬって段階になれば、免疫機構もゼロに近いくらいになって、あれこれ感染してしまうとも言いますし。この修羅場でそんな悠長な検査なんかやってる余裕はないでしょうから、結局は、これもミステリーのままなんかもしれません。
以上です。いつもだったら、ここまでが「枕」(落語用語、話の導入部)で、ここから本論が始まったりするんだけど、前回書いたように、短く切っちゃいます。では。
文責:田村
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