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Essay 952:アメリカ問題と格差問題
〜21世紀前半の人類の2つの課題
(1)アメリカ一極支配よる幻影ビジネスモデルの修正
(2)貧富&世代間格差の是正
2020年09月14日
写真は、Prmont Bridge Rdで、AnnandaleとCamperdownの境くらい。
まったく人間社会はこんなにもクソなのに、相変わらず世界はこんなにも美しい。
まったく人間社会はこんなにもクソなのに、相変わらず世界はこんなにも美しい。
なんでこんなにクソなのか?やることがないから
今週は大きなテーマです。大きいだけに簡単なラフスケッチを。今、日本に限らず、世界中どこの国もクソばっかみたいな状況になってます。まあ、歴史をみれば「常にそうだよ」といえないこともないんだけど、ここ20年ほどはヒドイ。なんでこんなにひどいのかな?と思って考えたのですが、段々わかってきたこと。
一言でいえば今までのメインシステムが時代遅れになってきて、存在理由もなくなってきたんだけど、なかなか次のステージにいけないから、ダメダメなまま足踏みをしている、だからこんなにもクソなのではないかと。
ひとつは欧米優先主義というか、産業革命から大航海時代、植民地時代、帝国主義、冷戦大国構造を経て、アメリカ一極支配体制のようになったわけですが、それが終わりつつある。なぜかといえば、これまではあったアメリカの強さを裏付ける実質がだんだん薄らいでいっていること、そしてアメリカ自身それを望んでいるかどうか怪しいことです。
まず実質部分ですが、先進国というのは、先進し続けなんぼなんですけど、もうここ数十年ほど先進する余地がなくなってきている。これは過去のエッセイで何度も何度も書いてることですけど、ひとつは技術的なブレイクスルーがここ数十年ないこと。80-90年代のインターネットで打ち止めでしょう。スマホだって既存技術の応用でしかないし、かつての蒸気機関や内燃機関、電話やテレビなどの通信革命、コンピューターの実用化に比べたら大したことないです。昨今のGAFAもインターネットが出来ればいずれは出てくる領域であり、煎じ詰めればエジソンの延長線上の地続きにある。
多分、同じくらいの革命性を考えるなら、それはもうSFの世界で、例えばコップ一杯の海水で全世界のエネルギーがまかなえてしまう常温核融合などエネルギー革命、例えば重力波の遮断装置の開発(空中浮揚ができる)、空間歪曲の利用技術(ワープやテレポーテーションが出来る)、多次元世界へのアクセス(タイムマシンができる)くらいのことをしないと次のステージにはいけないのではないか。だって「電波の発見と利用」という技術は、それ以前に人達からみれば魔法以外のなにものでもないでしょ?「地球の裏側の人と瞬時に会話が出来る」なんて江戸時代の人達は夢にも思わなかったでしょう。ということは、今の僕らから見て「魔法以外の何物でもない」ってくらいのことをしないと、「先進」できない。
先進できないから、高速道路の渋滞みたいなもので、どんどん後ろから詰まってくる。世界全体が底上げしてきてるので、だんだん西欧やアメリカ(日本も)が先進国っていうほど先進してなくなってくる。でも、プライドだけは高いから中々それを認めようとしない。ゆえにクソみたいな話になると。
と同時に、これも何度も書いてますが、ひと一人幸せに暮らすくらいの物質的供給技術だったら、今の時点でとっくに出来ている。明治時代に比べても、あるいは昭和の戦後に比べても、労働生産性そのものは百倍、千倍くらい高まってると思いますよ。だってコピー機ができるまえは、いちいちガリ版とか青焼きで一枚一枚やってたんですよー。その前は写経みたいな世界。それが今では、コピー機すら不要で、写メってクラウドにアップしてシェアすれば足りる。農業だって先達達の偉大な努力、品種改良に次ぐ品種改良で、本来ベトナム原産の熱帯植物のイネが寒い地方でも出来るようになった。江戸期の東北地方なんか3年に一度くらい飢饉で餓死者がでてたのに、今ではもっと寒い北海道でも豊かに取れるようになった。漁業でもGPS魚群探知機の精度は凄まじく、衛星情報などでかなり正確に探知するから、あとは採るだけみたいな話でしょう(ま、そんな簡単でもないとは思うが、昔に比べれば)。石油だって枯渇するとか言われながら、深地下のスキャン技術の向上や採掘技術によってどんどんでとれるようになっている。
このように革命的な突破がないまま足踏みしている反面、別に技術革命なんか必要ないくらいの生産レベルに達しているのだから、その技術がもたらした福音をいかに人類全体で公平に分配するかということにテーマが変わるべきでしょう。皆で競い合ってたくさん生産して豊かになろうというゲームから、既にもう絶対数的には豊かになってるんだから、それをいかに分け合ってみんなで豊かになるかというゲームになってきている。いわゆる「競争から共生へ」という話で、最近は誰でも言うことであり、そのくらいその認識が静かに広がってきている。
しかしながら、これまでのノリ(慣性)はすぐには変わらない。誰よりも早く画期的なモノを開発して先行者利益をあげてリッチになって〜という昔ながらの方法論が未だに幅をきかせている。それで金持ちになった先進国は、まだ先進国というアイデンティティが捨てきれないで、なんだかんだ自分らの利益を守ろうとする。ここに根本的なミスマッチがあり、そのミスマッチの象徴がアメリカ一強体制でしょう。
世界的に既得権者の横暴が目立ってますが、既得権そのものは合理的理由があれば全然OKです。身障者の方に優先座席があるのは、既得権ではあるけど、合理性があるから問題視はされない。誰よりも頑張ったから、誰よりも貢献したから、誰よりもハンデを負ってるから、誰よりも厚く遇されるのは、その程度さえ正しければそれは問題ではない。むしろ望ましい。しかし、そういった実質がないのに、「今までそうだったから」という理由だけで、人よりも厚く遇されようとするのが問題視される「既得権」です。
そして、今、世界的に、既得権者が持ってた実質的根拠が失われつつある。だけど、彼らが手放すわけはないから、進歩も変化も進まず停滞する。てか進歩させたら手放さざるをえなくなるから、むしろ進歩させないようにする。結果として世の中は閉塞したまま展望もない。そして、今あるものの醜い奪い合いが展開され、卑劣で、セコくて、強欲の浅ましさだけが目立つようになり、社会のモラルも下がるし、それに対する強烈な反発感情も出てきて、なんとなく世の中がきな臭くなってくる。
これらの背景事実を、もう少し具体的に世界と日本の政治社会に置き換えてみると、多分、以下のようなことになると思います。
アメリカの位置づけ
冷戦時代の総括
既得権の最たるものはアメリカでしょう。軍事でも、文化でも、経済でも、政治力でも最強アメリカが世界に与える影響力は凄まじいものがある。そうなると、川上から川下に流れる大河の周囲に人々が住んで生計を立てるように、アメリカパワーを前提にした政治権力モデル、ビジネスモデル、文化モデルが出来ている。それ自体はある意味自然なことで、必ずも悪いことではない。米ソ東西対立の頃は、両陣営に属する国々はそれぞれの宗主国(米ソ)の意向に従うのが大前提になり、この原則に沿って国内権力秩序が作られました。東側は、それこそナチス張りの秘密警察の世界で、締め付けは厳しかったと言われます。
でも、西側は、なまじアメリカがソ連に対抗するプロパガンダとして自由主義、民主主義とかタテマエを打ち出してしまったがゆえに、東側のように露骨なことは出来なかったのでしょう。またアメリカ民衆そのものが、そういう国家主義を嫌う一匹狼的な気質を持つ人が結構いるし、統制しやすい中ソのような全体主義を打ち出しにくかった。難しい分だけ、統制は巧みになり(メディアによる洗脳など)、陰にこもり、やり方がえげつなくなったとも言えますけど(笑)。
西側諸国の大半は欧州諸国であり、あのプライドの高い欧州が、新参の田舎者のアメリカに臣従するべくもなく、西側と言っても利害の一致する範囲でやんわりとやるという感じだったんじゃないかと思います。それは韓国でも日本でも同じで、西側とかいいながらも社会共産勢力はあったし、かつては55年体制で結構野党が力を持っていた。たしかに主権の一部移譲という独立国としては屈辱以外のなにものでもない日米地位協定は今尚健在ですし、大きな顔をして米軍基地は日本のあちこちにありますけど、それでもアメリカも頭ごなしに押し付けるわけにもいかなかった。安保条約一つで大反対が起きて内閣が潰れるくらいのアレルギーがあったし、下手したらソ連中共に寝返られてしまうし。それもあって、80年代の日本一人勝ちみたいな絶頂期(アメリカダメダメ期でもある)に、オレンジを買え、アメ車を買えとか押し売りまがいにやってきたけど、有無を言わさずってことは出来なかった。著作権違反とかココム違反とかでアメリカに進出している日本企業にイヤガラセをするのが関の山で。
考えてみれば米ソ対立時代の方が、今よりもまだマシだったような気もしますね。明日にでも第三次世界大戦が始まるかもという緊迫感は適当にあったし、国内も国際も本音に近いレベルでビシバシ渡り合ってましたから。
ただ、ゴルバチョフが出てきてソ連を潰して、ベルリンの壁がなくなって、冷戦が終わった後からおかしくなってきてると思います。その後の世界秩序がなかなか出来ず、未だに混沌としてます。アメリカ一党独裁になって、良かったよかった万歳、ではないのですよ。そこが皮肉というか、面白いところで。
なぜ良くないかというと、米ソが対立していることを前提に商売や権力を構築していたわけで、それがなくなったら商売あがったりですもん。とりあえず軍事とかCIAとか大量リストラになりますし、湯水にように金をかけていた軍備費も減ります。軍需産業困りますし、それとタイアップしていた大学や企業の研究機関(インターネットももともとは軍事技術だし、GPSもそう)、そのあたりを取り持ってパワーを得ていたロビイストや政治家、マスコミ、そのへんも失業ですよね。
それじゃ困るので、プロレス興行の悪役シリーズみたいに、それぞれに悪役をでっちあげては軍事的緊張を作っては儲けるというイジこい話になります。中東問題も、アメリカや欧州の石油利権というのがまずあって、それと「悪役づくり」でフセインが指名されて殺されたり、なんたら革命とかで言うこときかなくなったカダフィが殺されたり。イスラム国作ったり、抽象的な「テロ」を悪役にしたり。
それなりに「頑張って」はいるとは思うのですけど、やっぱ本物の米ソ対立に比べたら、ハリボテというか、書き割り舞台みたいなボロがでます。やればやるほどボロが出るというか。湾岸戦争くらいだったら、まだ世界も騙されてくれていたんだけど、失敗は911でしょうねー。あれはアメリカ国内でも相当疑問視されてます。陰謀論とか言うレベルではなく、ビル建築工学、爆発物の専門家など斯界の権威のあるプロ達が「おかしい」と言い、デブリを検証させてほしいと正式に言ってるのに、破棄したとか証拠隠しをするし、説明にも答えないし。だいたい数年くらい経ってからかな、世界中が、それも情報感度が良くて、専門的解析ができる人から、あれ?なんか変だぞと思うようになった。911を機会に懐疑的に見るようになったという人、多いと思います。
一回そういう目で見始めると、なんでもそう見えてしまう部分もあって、「しかし、そこまでやるか?」と思うんだけど、過去の前科を見てると「ああ、アメリカだったらやりかねないな」とも思うのですよ。ベトナム戦争のトンキン湾事件(自分らの事故を敵の攻撃だと宣伝して煽って戦争を始めた)もそうだし、古くは、知っていながら見過ごした日本軍のパールハーバーもあります。ネバダ州で原爆実験を死ぬほど繰り返すとともに、風下住民の健康被害を冷静に観察してたとか、自国民を犠牲にすることを何とも思ってない部分もある。だいたいですね、ケネディにせよ、リンカーンにせよ、自分のところの大将ですら平気で殺してしまうのですよ。自国の大統領すら殺すくらいなんだから、なんだってやるでしょうよ。しかもケネディの暗殺事件は、未だにオズワルドの単独犯行説が公式見解(=本気で解明して発表する気がない)という馬鹿も休み休み言えってレベルで押し通している国です。
そんくらいヤバいんだけど、米ソという本物の対立がある頃は、それなりに充実した仕事もあったのでしょう。でもなくなったら、ほんとやることなくなって暴走してる感じがしますね。
でももっと言えば、これも何度も書いてますけど、ケネディ大統領とソ連のフルチチョフの時代にキューバ危機がありましたが、あの時点で転換すべきだったのが理想の人類史だったのでしょう。なんせ米ソがガチで戦争するかどうかの瀬戸際で、核兵器がこれだけある以上、やったら共倒れになるのは見えていた。だから両国首脳はGOサインを出さず危機は回避されたのですが、それは軍事力時代の終焉をも意味していた。これ以上軍事力でカタをつけるのは不可能だし、そういうゲームはもう終わってしまった。だから次のステージに昇るべきだったし、その後の冷戦自体が時間の無駄だった。だけど、それではそれでメシ食ったりエラそにしてる連中は失業ですから、ベトナム戦争も意味ないからやめようとしていたケネディは暗殺され、フルシチョフは座敷牢に入れられてしまった。そもそも「冷戦」というのが嘘臭いじゃないですか。「熱戦」じゃないんだから。「本気でやる気はない」ってことでしょ?やらせゲームだと。長いシリーズが完結して、でも売れるから出来の悪いパート2を作りましたみたいな。で、冷戦も終わったら、今度はもっと出来の悪いパート3、パート4,パート5,、いまいくつだ?てな感じですよね。
キューバ危機は1962年ですから、あれから60年近くずっと階段の踊り場で、馬鹿みたいな茶番劇を繰り広げていたのが20世紀後半から21世紀前半の世界史だった、と30世紀くらいの人達からみれば、そういう総括になるでしょう。で、30世紀くらいの高校生に「え、なんでこいつらこんなに馬鹿なの?」「ほんと、ありえねーよな。でも、そのへんは試験に出ないよ、問題の作りようがないじゃん」「言えてる。『正解:馬鹿だから』だもんな」とか笑われているでしょう。
しかしこれは陰謀論とかいう以前に、無理もない部分もあると思いますよ。そういうフォーマットで儲かるという現実があるなら、それを利用する人達が出てくるのは当たり前の話です。それは丁度、めちゃくちゃ売れていた大物バンドや、名作映画、マンガの「使いまわしマーケティング」と同じことです。つまり、やれ復刻版を出し、やれリマスター盤だ、やれトリビュートだ、30周年記念ボックス版だ、リメイクだ、スピンアウトだって、二番煎じどころか、百番煎じの超出がらしになるまで使いまくるという。それだけ新しく売れる素材がないということだし、無かったら無いなりに儲けないといけないから、頑張ってやってるということじゃないんですかね。
アメリカの閉塞
ケネディは、アメリカ国民に人気のある大統領であり、今でも歴代大統領のなかでは人気抜群です。そのケネディを暗殺するということは、アメリカを裏から牛耳ろうとする連中は、一般アメリカ人とは違う意向を持っているということを意味する。より端的に言えば、一般アメリカ人と利害が対立する。そのギャップがどんどん激しくなってきてる。冷戦終結後、パックス・アメリカーナとか、フクマヤが「歴史の終わりに」とか書いてた輝かしいはずの新時代は、過ぎてみれば、新自由経済の新弱肉強食の徹底であり、結果として格差社会になった。新アメリカン・ドリームを夢見て、莫大な奨学金を抱えて奨学金破産をする若者、グローバリゼーションによる空洞化によりリストラされる中間層、膨大にふくれあがる貧困層。同時に、金融経済が実体から遊離しはじめ、CEOのボーナスは天文学的な桁になり、ほんの一握りのパワーエリートが、実体に関わりなく富を独占する世の中になっていった。リーマンショックで一旦はリセットされたものの、懲りもせずまた膨れ上がっている。
つまりアメリカが一強になって世界を制覇しても、一般のアメリカ人は幸せになっていない。果実は国民全員に配られてはいない。むしろ大多数の生活は悪化し、ごく一部だけが潤うことになった。
なぜそうなるのか?でいえば、僕が思うに、もともとありもしないデッチ上げのゲームなんだから、最初からそれに参加してなきゃ報酬もないからではないか。金融経済の遊離は、今日のコロナでGDPが歴史的レベルに悪化しても株価は全然変わらないという意味で、ほとんど「超常現象」といっていいくらい遊離してます。だけど実体経済だって、本当の「実体」から遊離しているのではないか。本来は、みんなで頑張っていいものを作って、儲けて、みんなでハッピーになろうというゲームだった筈です。それを実体だとするなら、いかに仲間を切り捨てて、いかに第三世界を搾取して儲けようかというゲームは、実体から遊離してる。遊離してるから、それがいくら成功しても仲間はハッピーにならない。
もっと原理的にいえば、上に書いたように「売れる画期的な新商品」が出てこないのだから、本来儲かる筈がないのですよね。それでも無理やり儲かったことにして、CEOのボーナスを数十億払い、株主の配当を上げて、株価をあげようと思ったらどうすればいいか?といえば、ゼコいズルをやって誤魔化すしかないわけでしょう?つまりは、極端なまでの人件費の切り下げであり、労働のカジュアル化。あとは、騙しのような細かい規定を年中買えては消費者から騙して取るという。
それを忠実にやっているオーストラリアの4大銀行は、徹底的に国の調査を受けて膨大なズルが発覚している。詐欺まがいの説明、本来返すべきお金を返していないなどなど、よくぞここまでというセコさのオンパレードです。その結果、僕もANZ銀行からなんだか知らないけど62ドル返ってきましたけどね。そういうセコいことを考えるのが、一握りのエリートのお仕事というわけですよ。同じようにオーストラリアの主立つ企業はどこであれ従業員の給与を誤魔化していることが発覚し、大学ですら職員の給料を誤魔化し、どんどんカジュアルの使い捨てになり(派遣の雇い止めみたいな)。でもって、性懲りもなく、コロナ騒動で、国家予算を傾けてJobKepeerという緊急避難的な休業補償をやってるのですが、それをもらっているオーストラリアの上場企業の多くは、首脳陣に合算24億円のボーナスを払っているというのが報道されています。この時期に国から金もらって、従業員を切り捨てて、それで自分らだけはボーナスかよ?ということで、もう行くつくところまで行ってる感じがしますね。
そういう意味でもアメリカが一番「先進」的で、アメリカが幾ら覇者だ強者だといっても、一般国民はひたすら切り捨てられるだけの話で、全然良いことにならない。しかし、国を動かしている政党の政治家も、マスメディアも、大企業も、みーんなエリート仲間だし根本的に直そうとしない。これで実体があるなら、今期は儲からないから皆で我慢しようとか歯止めがあるけど、今は実体がない分歯止めがきかなくなってるから始末に負えない。「いい加減にしろ」って吠えたいような気分だと思う。今のアメリカは根本的におかしい。
多くのアメリカ人が、密かに(そう公言はしない人が多いらしいが)トランプを支持するのは、おそらくはトランプがそういったエリートの仲間っぽく見えないからでしょう。だからいかにトランプの言ってることが支離滅裂だろうが、スキャンダルがいくら炸裂しようが、そういう問題ではないのでしょう。いかにトランプがエリートさん達の世界からは理解できないくらい破格に飛び出ているか、でしょう。
アメリカの軌道修正
日本の幕末の大政奉還にちょっと似てる気がします。徳川家が武門の棟梁になり幕府を開き、「御公儀」になっていたのが、ステップダウンして、ただの徳川家になり、大名諸侯の仲間の一人に戻る。アメリカも、世界の警察的な立ち位置から降りて、他の国と同じようなイチ国家に戻る。それは一強アメリカの影響力を使って、世界のあちこちに首を突っ込み、口を出し、兵隊も出し、ひっかきまわすことでビジネスチャンスを拡大し、それでしこたま儲けましょうという、エリート達のアメリカ型ビジネスモデルの消滅を意味します。
トランプがそうなのかどうかは知らないけど、アメリカ人の中には(いわゆるエリート階層の中にも)そう思ってるし、行動している人も結構いると思います。ただし、従来のように平和だ軍縮だとかマトモにやってたら骨抜きにされてグダグダにされて、エリートさんたちは頭いいしマスコミも使えるから、いくらでももっともらしい大義や理念を考え出しては、結果としてトラブルが大きくなるような方向にもっていかれる。でもトランプがやってるのは、それが意図しているのかしてないのか聞いてみないとわからないけど(聞いても正直に答えるとは思えないけど)、その真逆の手法で、タテマエ的にも無理目な、アメリカの国益を振りかざして相手国ばかりか、同盟国にも無理難題ばっかふっかけ、結果的に嫌われ、ウザがられることで影響力を徐々に減らしていくという手法。でも、結果としてはそうなってますしね。
北朝鮮だって、さんざんイケイケでやって、一触即発までもっていって、最後は組長会談みたいなのをやって話をつけてしまったもんね。以後、北朝鮮関係ではピタッとおさまってしまったでしょ。これまでだったらグダグダと緊張状態を長引かせては、商売のネタをあれこれ作ってたんだけど、その余地をなくしてしまった。ちなみに日本でJアラートとか馬鹿みたいなことをやってたのは、緊張状態を盛り上げていく演出として「お前もやれ」と言われてやったたんだと思いますけど。
軍備的にいえば、おそらくはグアムに続いて、韓国からも日本からも米軍が撤退する方向に進むと思います。もう面倒くさいことやりたくないんだろうし。軍産には、撤退を口実にして日本にしこたま兵器を買わせればいいんだよ、その方が儲かるだろ?くらいのことは言ってそうですけどね。
対中国についても北朝鮮と同じで、さんざんドンパチイケイケで言うんだけど、実際にはやらない。てか、僕が思うにどう考えてもトップでは話がついてるような気がします。なぜそう思うかといえば、八百長プレロスと同じで、対戦相手は憎々しげで、強そうな方がいいからです。あなたが中国のトップになったら、一番気になるのは自国内部の下剋上でしょう。生き馬の目を抜く世界ですので、油断したら寝首を掻かれるし、政敵なんか掃いて捨てるほどいるでしょう。ワガママな国民もなだめないといけないし。そこでは、仮想敵国が憎々しげにやってくれた方がいいんですよね。求心力が出来るし、それに対してこっちも強気でいけば支持率はあがるし。だからあの世界では、罵倒するのはリップサービスみたいなものだと思います。敵に塩を送っているのと同じことだと。
いずれにせよ、アメリカが強くなりすぎたことで変なビジネスモデルがますます盛んになってしまった。盛んになっても国民には分前は与えられず格差は広がるだけ。だからこういったパワーエリート達の実体のない虚空ビジネスみたいなものを減らしていくことが求められ、そのためには世界のあれこれに関与して影響力を行使できなくなること、影響力そのものを減らしていくこと。
アメリカのプレゼンス(存在感)が減っていくのに連れて、またソ連(ロシア)が台頭して冷戦時代に逆戻りってことはないでしょう。確かにロシアの存在感はあるのですが、今は中国が出てきてるし、それに加えて人口では中国以上になりつつある(17億)のインドも台頭してきてる。ヨーロッパはヨーロッパで老舗感を出してるし、ベトナムなどの次の世代も育ってきている。おそらくは二極分解せずに多極的な群雄割拠的な感じになるでしょう。
実際問題、アメリカのパワーエリートがいくら頑張っても、中国とロシアには通用しません。そういうゲームに乗ってくれない。それどころか、ウクライナにせよ、中東のシリアにせよ、イランにせよ、アメリカのエリート達がいくら頑張って花火をしかけても、全部ロシアに摘み取られてしまって不発に終わっているようにも思えます。
そうこうしているうちに遅咲きの中国が実力をつけてきた。国民一人あたりのGDPではまだまだ二流国だけど、先端技術や企業レベルでは世界のトップレベルになってきている。ニューエネルギーとITという人類の二大フロンティアはもう中国が一番先頭を走っているでしょう。スマホでファーエイを禁止しようが何しようが、2020年4-6月期では、世界のスマホ出荷台数ランキングでファーエイがトップ取ってます。二位がサムソンで、アップルは3位。4位がXiaomi(中国)、5位OPPO(中国)(出典)。アメリカのGAFAがいくら個人情報を集めて、いくら洗脳をしようとしても、中国はこれらを全部シャットアウトできるくらいの力を持っているし、GAFAに代わるだけのサービスを自国内の企業が作り出せている。てか、GAFAのトップエンジニアの多くは中国やインドのバリバリの秀才君なんだから、彼らを自国に戻らせてしまったら、もっと事態は悪くなる。
これまでの中国は遅れていることが逆にメリットになって、安い労賃で生産するから世界の工場になってたわけだけど、もうとっくに中間層も出来てきてリッチになりつつあるから、これからは世界の消費者になっていく。16億人の大市場になる。まだまだ地方は貧困だけど、それだけ伸びしろが大きいとも言える。アメリカ3.4億、ヨーロッパもそんなもん、日本1.2億、全部ひっくるめても中国市場の半分いくかどうかであり、中国は自国の内需だけで十分に成長していける余地があるけど、先進諸国は中国から締め出し食ったらかなりキツい。
アメリカの強み
どんなにアメリカが落ち目になったとしても、これだけは強いというのが2点ほどあります。一つは市場開放です。アメリカ市場は、伝統的に気前よく輸入品を受け入れていた。諸外国に対して、アメリカで儲けてくださいねーってやっていた。冷戦時代の昔から、西側陣営がなんでなんで西側なのかの一つの解ですね。本音でいえばイデオロギーも軍事もどうでもよく、アメリカと仲良くすると儲かる、という事実がデカかったのだと思います。もう殆どそれに尽きるのではないか。日本がアメリカに何を言われても強く出られず、ヘラヘラ困ったような笑いを浮かべて、場合によっては屈辱的な外交をやっていたのも煎じ詰めればコレでしょう。儲けさせてくれるし、アメリカなしでは日本の上場企業群は存立すら怪しいかったからでしょう。ということは、もし中国がアメリカの4倍の規模の市場を気前よく開放してくれて、チャイナリスクも極力減らしてくれたら、雪崩を打ってみんな中国になびくということでもあります。会社が潰れたくなかったら、あなたがホームレスになりたくなかったら、そうするしかないと。もう一つは経済の専門話で常に語られる、ドルの基軸通貨性です。決済通貨としてはドルが突出してますからねー。これは反則チートレベルに強い武器でしょう。どこの国でも、自分の国で困ったからといってガンガンお札を刷ってばらまいていたら、相対的に自国通貨が弱くなります。弱くなるということは、これまで1億円で買ってた石油を10億円払わないと買えなくなるということで、国内経済破綻します。それが恐いからいい抑制になっていた。強いか弱いかってのは、最終的にドルとの交換比率での話でした。でもドルは自分の通貨だから交換比率がない。だから無制限に発行できるという強みがあります。といっても、このあたりの理屈は本当に実際に妥当するのかとか、そういう通貨性よりも金融商品の開発能力やら運用能力がアメリカが高いからではないかとかいろいろ議論があるかとは思います。けど、ここは僕も正直良くわからないです。ただ、最後の牙城になるだろうなーという気はしますね。
アメリカパワーエリートの反撃と植民地国の追随
もとよりこういう流れをアメリカのエリートさん達が指を咥えて眺めているはずもないから、なんだかんだあれこれ仕掛けます。でも、結論的に言えば、ほとんどが効果がない。とにかく彼らにとってみたら、中国とロシアとトランプの三者は目の上のたんこぶというか、言うことを聞いてくれないわ、脅しも通用しないわ、下手すれば自分らがやってる嘘っこビジネスが暴かれるか、あるいは根絶させられるかで、けっこう存亡の危機になってるんじゃないかと思われます。
そのために熾烈な反撃をするのでしょう。例えば、トランプに対するロシアンゲートの弾劾スキャンダルとかありましたけど、アメリカ中のメジャーメディアが鐘や太鼓をカンカン叩いて大宣伝してた割には、根拠となる事実があまりにも薄弱、てかほとんど根拠ゼロみたいな話が徐々に明らかになっていって、トランプに大した傷を与えられなかった。それよりも結果として、米メジャーメディアの胡散臭さを世界に示すことにもなった。
それでもなりふり構わずであれこれやります。
中国に対しては、とにかく悪いイメージをどんどんメディアで流しますよね。やれスパイがどうしたこうしたとか。スパイを言うなら、20世紀から延々とやってる自分らのエシュロンはどうなの?ドイツ首相の携帯電話をヒラリーが盗聴していたというウィキリークスはどうなの?それらと比べて何がどう悪いのかを冷静に、説得的に展開してくださいよ。それもせずに、大学には中国のスパイが留学生として紛れ込んでいるって、それってなんの実害があるの?留学生が動き回ってなんか出来るの?なんか良くわからないんだよね。でも、それに乗せられて、大したエビデンスも根拠もないまま、なんとなく中国悪いというイメージを持ってる情弱くんも多いだろうけど、そうではなく「またかよ」とうんざりしてる人も世界では多いでしょう。
最近ではプーチンの政敵であるナワリヌイが毒殺されかかってドイツに助けられたというお話が大々的に載ってますけど、あれも微妙に嘘臭いですよね。最大のライバルみたいな書き方してるんだけど、彼はわりとよく読まれているブロガーであり、歴年不正選挙を訴えて無許可デモをやっては逮捕されって勲章のような闘争歴はあるけど、国会議員はおろか市会議員になったことは一度もなく、立候補したこともない。初期においては民主主義政党"ヤブロコ"の党員になったのだけど、結局ほどなくして言動が過激で党にダメージを与えるとして除名になっています。以後、一部の熱狂的なファンはいるんだろうけど、政治家ではなく、ジャーナリストでもなく、市民ブロガーです。プーチンが綺麗だとはおよそ思えないし、過去にもジャーナリストがものすごい数殺されているとされますが、殺すのが仕事のようなKGB出身のプーチンとその配下が、本気になったらもっと上手に殺すでしょう。でもナワリヌイの闘争歴を見てると、いちいちちゃんと裁判やってるし、茶番かもしれないけど手間ひまかけている。これ、正直言ってプーチンからみたら最大のライバルどころか、「歯牙にもかけ(られ)てない」ってレベルじゃないのか?という気がしますね。
今回の暗殺の経緯も微妙なんですよね。ロシア国内移動の飛行機で発症して入院して、そこから一気になんでドイツの病院に行くわけ?なんかお膳立て整いすぎてない?いくら彼の妻が事前に、、とか説明されても、なんで「事前に」なんてことが出来るわけ?また一番最初には空港の紅茶以外なにも飲んでないというし、ドイツの医師も政府もノビチョクという化学兵器使用の動かぬ証拠が得られた発表。しかし、その証拠がなんなのかは発表されず、またノビチョクという兵器を開発したレオニード・リンク氏によれば、ロシアでは30年近く前に廃棄されてる大昔の兵器であり、本来神経ガスであるノビチョクの効果と事実が一致しないとのこと。そのうちナワリヌイ氏の皮膚やペットボトルの中からノビチョクらしき痕跡が発見されるにいたって、最初の「空港の紅茶しか飲んでいない」という事実とかなり矛盾してきています。それもあってか、トランプでさえも「まだ確たる証拠がないので何ともいえない」と慎重な態度に出ています。
なのに西側のメディアは、BBCであろうが、ニューズウィークであろうが、CNNであろうが、そのカーボンコピーのような日豪メディアであろうが、ほとんど決めつけて大騒ぎしているので、そのあたりが胡散臭いんですよねー。てか下手くそ過ぎ。今どきわーわーメジャーが騒げばみんな信じるとでも思ってるあたりが古い。それに加えて、どうしようと言うの?というのが見えない。ロシアに経済制裁をっていっても、もう慣れっこだし、ロシアは中国と相互補完してるからそれほど痛みはない。それよりも欧州はロシアの資源(ガスのパイプライン)の開通を目前としているし、それがポシャったら痛いのは欧州でしょう。さっそくドイツの経済相が、暗殺かどうかとパイプラインの問題は直に関係しないと予防線張ってきてるし。何がやりたいのかよくわからないのですよ。とにかく悪口いいたいだけなのか?と。
だいたい共通するのは、コロナ報道でもよくわかったのですけど、肝心の推論根拠の部分を言わなくて結論を強調してるだけだということです。論理の飛躍のへったくれもなく、ただ「恐い」「悪い」と言うだけ。繰り返されると本当に怖かったり悪かったりするだけの子供だましのレベルなんだけど、なんで恐いの?なんで悪いの?という部分を言わないから、騙しにしても出来が悪い。お前ら本当にエリートかよ?と言いたくなるくらい。だから何をやっても展開せずに尻すぼみになる。ちょっと前の「テロ祭り」もそうで、ちょっとなんかあったらテロだなんだで大騒ぎをするけど、実体は大したことがない。ひどい場合には実体ゼロだったりもする。あまりにも続くと嘘がバレるからか、最近ではテロだのなんだのって話はとんと聞かなくなりましたよね?あれ、なんでですか?って聞きたいくらいです。テロが収まったんですか?ベイルートの爆発なんか、格好のテロ祭りでしょうに、なんで言わないの。飽きたの?
なんかもう、やればやるほどアメリカメジャーメディアの権威が失墜するだけで、最近では僕ですら「またかよ」とか思って、ろくに読む気にもならない。
また実行レベルにおいても、ファーウェイ禁止処分にしても逆効果でしかないでしょう。グーグルを使わせないとかいっても、自分らでOS開発しちゃうだろうしね(不眠不休体制で作ってるらしい)。前にも書いたが、自国内で16億人の市場があるんだから、西欧で締め出されてもある意味痛くも痒くもない、といっては大げさだけど、致命傷にはならないでしょう。それも、娘をカナダで逮捕勾留するとか物騒なことから始まって。言われるまま逮捕してるカナダ政府も大概なんだけど、あんなの中国のナショナリズムを燃え上がらせるだけでしょう。なんで、そんな格闘マンガの雑魚キャラみたいなことをするんだろう?
サプライチェーンでチャイナフリーを作るんだとか言ってるけど、そりゃ出来るだろうけど採算が合うかどうかであり、それに必死に金儲けをやってる自国の企業が従うかどうかでしょ。そんなことよりも、中国をはるかに凌駕する技術力を開発することが根本課題になるだろうし、そのためには世界中の秀才君に来てもらって、居心地よく暮らしてもらって、好きになってもらって就職してもらって、開発してもらうことでしょう。それをあからさまに敵視してたら、優秀な人ほど自国に帰っちゃうよ。僕が中国の優秀君だったら、先行き暗そうだし、なんだかんだで差別されそうなアメリカで就職するよりもまだまだ伸びしろのありそうな中国に帰りますよ。そのうえで中国が何十年も手塩にかけて、双葉の頃から育てている広大なアフリカ市場を狙いますけどね。
トホホの植民地〜日豪の場合
寄生虫モデルの日本
さて翻って日本とオーストラリアを見ると、その田舎性に暗澹とする気分です。まず日本です。戦時中、日本が韓国を占領していたとき、日本軍に仕えて同胞である韓国人を支配していた一部の韓国人がいたらしいです。そりゃまあいるでしょう。機を見るに敏というか、強いものについたほうが得ですからね。またそういう存在なしに、言葉や文化の問題もあるから他国を占領支配することは不可能でもあるでしょう。彼らは、日本軍の意向を聞き、それを実行するためにあれこれ自国内でやるのですけど、それによって特権的地位と報酬を得ていたものと思われます。逆に、日本軍に楯突いた連中は厳しく弾圧された。戦争が終わって日本が引き上げたあと、彼らの運命がどうなったのかは知りませんが、察するに裏切り者として粛清されたんじゃないかと。虎の威を借る狐としてさんざんエラソーに仲間を弾圧してたんだから、後ろ盾が無くなったらリンチで殺されてもしょうがないでしょうしね。
それと同じことが、アメリカと日本の関係にもあるでしょう。アメリカ本国からすれば、「極東支局」みたいなセクションがあるだろうし、その責任者が代々いるでしょう。彼らは、日本人の中からアメリカの支配を実現してくれる実行者を探すでしょう。それは、安倍元総理のおじいちゃんの岸信介が、A級戦犯だったけどCIAの走狗となることで解放され、そのアメリカの力を背景にして日本の政界のみならず社会全般に大きな権力をもったのと同じことです。「妖怪・岸信介」とまで言われたくらいです。
なにが言いたいかというと、未だに植民地的支配構造の残る日本では、全ての権力の源泉はアメリカにあり、そのアメリカの意向に近いところにいる人ほど、あたかもより川上にいる人のほうが有利なのと同じように、大きな力を得られるということです。
その基本構造は今も変わってないと思いますし、政治、経済、マスコミなんでもそうですけど、そういう川の流れになっている。アメリカ絶対の追随主義が日本の保守本流になっている。その派閥に属していれば、甘い汁も吸えるし、多少のワガママも言える。逆にそれに逆らう人間は叩かれ、ハブかれ、場合によっては冤罪デッチ上げ、あるいは自殺を装って殺される、とか?歴代首相で失脚させられたのは、アメリカの意向とは別に独自に中国との国交を開いた田中角栄、あとは民主党の鳩山と小沢でしょう。いずれもアメリカから自立する方向性を模索した時点で切られてしまった。
民主党時代のヒステリックなまでのメディアバッシング、そして安倍政権になってからの手のひらを返すがごく翼賛メディアのあり方は、ちょっと不自然すぎるのですよ。ブン屋さんやジャーナリストの人には志をもってる人だっているはずだし、それなりに硬骨漢もいるんだけど、あそこまで従わせるというのはよほどのことだろうと。ちなみに、「安倍政権時の不審死」でググってみたら沢山出てきますけど、かなり多くの人が死んでます。一つ一つみていくと、かなり怪しい。住基ネット違憲判決を書いた竹中裁判官が3日後に首吊り自殺、朝日の論説委員鈴木氏が東京湾に浮かんでいたとか、リストは人によって十数名から二十数名にのぼりますが、あまりにも多すぎる。で、そこまでするか?というと、さきほど書いたように、ケネディですら殺すくらいなんだから、植民地先のうるさい連中を殺すことなど大したことではないんだろうな。それもあるんだろうなーとも思います。つまり真剣に命がヤバいってレベルで。
でも殺すのは最後の手段で、それ以前に「話し合い」でカタがついてるようにも思います。スパイとか個人情報とか必死にやってるのも、とある人物の弱み(過去の醜聞)を握って、それで脅迫するんじゃないかと。オーストラリアでも、欧米でも、ペドフェリアやチャイルドポルノがやや不自然なくらいスキャンダルになるのですよ。聖職者とかもそうだし、政治家や企業家もそうです。ときどき思うんですけど、あれって、本当にそうだという場合もあるけど、なんかの「見せしめ」としてやられているのかもしれないなーと。
でもね、安倍=トランプになったあたりから、なんか妙な感じですよね。ひとつは、さきに書いたように、トランプと、アメリカを仕切るパワーエリート達(日本を支配する極東支局)の意向が微妙に違うような気がする。つまり日本を支配するアメリカ権力が2系統になったんじゃないか。「予想外」にトランプが勝ったとき、安倍氏はダッシュでトランプ詣でをして、まるで忠犬のように尻尾振りに行ったとか言われてるけど、日本の官僚エリートも馬鹿じゃないからそれに気づいていて、従来の日本支配の権力系統とは違う権力系統をいち早くゲットしに行ったんじゃないかという気もします。
日本の総理など、大企業アメリカの地方の工場長や支店長くらいの立ち位置でしょう。従来の派閥ばりばりの本社人事だったのが、突然外部から辣腕の新社長が降って湧いたように出てきた。さあ、支店長としては従来の権力集団に尻尾をふるべきか、新社長に仕えるべきか、ですよね。
その2系統になったアメリカ発の権力の流れが、その後どうなって、今どうなってるのかよくわかりません。感じとしていえば、いっときのような強烈な日本支配のエリート権力の流れは無くなってきてるような気もしますね。なぜかといえば、日本がかつてのような経済大国ではなくなってきて、日本という植民地そのものに旨味がなくなってきたこと。ビジネスやっても大して儲からない。もう一つは、アメリカの一連の流れで、エリート的な勢力が減退してきていることです。
では、これまでアメリカエリートに寄生虫のようにたかってた連中はどうなるのか?ですけど、二階に上がってハシゴを外されているようなものでしょう。本当に外されているのかどうかはわからないけど、アメリカエリートの力が減退しているとは思われます。なぜなら、アメリカの国力そのものが減退してるからです。アメリカが実際にも輝いて実力も十分あった頃は、こういう植民地支配の権力の流れがあったとしても、実際問題そんなに違和感も支障もなかったと思います。なぜなら、そんなものが無かったとしても、水は高いところは低いところに流れるから、実質的にアメリカが優れていたら、自然にそういう流れになったでしょう。権力系統はそれを潤滑油的になめらかにするという実質もあったと思います。
ところが、今となってはそう優れているようにも思えない。確かにGAFAはアメリカ発ですけど、フォードやIBMがそうであったような存在ではない。ああいうGAFAのような新世代のグルーバル企業は、国に紐付けされるのを嫌うだろうし、地球レベルでビジネスやりたいでしょう。それに製造業ではないから、いくら会社が大きくなっても雇用は増えないし、アメリカ人に還元しない。それどころか、シリコンバレーとかエリート給与が高くなりすぎたために周辺家賃が馬鹿みたいに上がってしまい、従来暮らしていた普通の中間層でも払いきれなくなって車中生活を余儀なくされているというくらい、アメリカに還元どころか有害ですらある。本社名義もアイルランドなどに移すし、ろくに税金も払ってないし。
そうなるとですね、じゃあ日本の保守権力層はいったい何の基盤でそうなってるのか?というと、実はもう実質がないのかもしれないのですよ。宿主がいなくなった寄生虫というか。
もともと最初の方に書いたように冷戦終結以降のアメリカエリート君達のビジネスモデルは、大した根拠も実質もない幻影ビジネスのようなものです。そしてその幻影の極東支局に地場で寄生虫ヒエラルキーが出来てたわけですけど(いわゆる上級国民的な)、その幻影エリートすら去ってしまったら、もう幻影の幻影、寄生のための寄生というか、そんな感じじゃないかなーと思ったりもします。
だって、ポスト安倍のあまりの無内容さといったら凄いですもんね。ふっと息を吹きかけたら消えてしまいそうなくらい実質がない。宿主がいないんだもんね。思えば、今の日本のビジネスモデルも権力モデルも、いうならば寄生虫モデルでしょう。自民党内部の派閥がどうのとかいうのも、昔はもう少し実質はありましたよ。今の状況を見て、腹が立つとか怒るとかいうよりも、生理的な気持ち悪さの方が先に立つのですよねー。なんか寄生虫がうねうね団子になってるのを見てしまった、「イヤなものを見てしまった」って感じ。
オーストラリアの場合
これがまたなんか優等生的にアホなんですよね。同じ英語圏だし、アメリカのパワーエリート的な意向はよく分かるんだろう。でももう「田舎者」という形容しか思い当たらないのだけど、本国で起きている権力構造の変化やシフト、新時代に向けての独自の戦略、そんなもんが全然ないです。ただ忠実にトレースしているだけだと。オーストラリアは今、対中国で大喧嘩になってますけど、輸出依存度40%だっけな、そんな中国から完全に締め出し食らったら、ガチでオーストラリアは即死レベルになりますよ。人がいいのかバカ正直なのかコロナを真面目にやりすぎて経済もひどいことになってるところに、反中国キャンペーンやるぞとなったら、優等生的にやってしまう。でも、本国アメリカでさえ、トランプの言うことは八百長臭いし、エリートさん達のやり方もなんかもう腰砕けって感じで真面目にやってる感じもしないのですよ。それを、いいとこ見せようというのか、馬鹿正直にやってしまって、えらいことになってるという。
その他も、だいたいオーストラリアのメディアも政界も、アメリカメジャーメディアとエリートの意向にまんま忠実ですよね。それに比べれば、日本は、まだしもしたたかなところはありますよ。
2つの課題
で、結論になるのですが、ここしばらく、つまり21世紀前半は、日豪に限らずどの国でもそうだと思いますが、変わりゆくアメリカ、そして台頭する中国やロシア、インドなどとの距離感をどう調整するのかです。アメリカ一極追随を、どのようにして解消して、全体にバランスよくもっていくのか?それが一番目の課題になると思います。そこではどこの国が善玉で、どこが悪玉でとかいう子供じみた発想ではなく、またどこかに追随することで思考停止で安心しましょうとかいう怠惰なことでもなく、どの国だって適当に良い面もあるし悪いところもあるという前提でやること。
それは政治家の役割もあるけど、すぐれて国民一人ひとりの役割でもあると思います。「この程度の国民にこの程度の政府」というのは、残念ながら真理だと思うし、一人ひとりが底上げしない限りダメだと思いますね。だから、嫌韓とか媚中とか、もう精神年齢12歳どころか8歳くらいのレベルではなく、そんな感情(しかも他人に吹き込まれている)ではなく、堂々と利害打算のソロバン弾けるくらいしたかかに、です。
もう一つの課題は、格差の是正です。
これは前述したような幻影ビジネス=ありもしないビジネスチャンスを無理にでもあることにして儲けるビジネスモデルが減ってくれば、ある程度は是正されると思います。例えば、金融でも各国政府が緊急対策で垂れ流す資金が余りまくって市場では無理やり相場が高くなっている、実体経済と遊離しまくっているのをある程度リンクを戻すこともあるでしょう。そのために資産税や累進税率を上げることで、そんなに儲けても意味ないって制度にする。そのためには、富裕層にキツイ政策を掲げる政治家を当選させることですね。もっと言えば若年層の投票率をあげることでしょう。それもできないなら自業自得ってことかな。逆に、金融経済のタガが外れてしまって馬鹿になってるなら、逆手にとってMMT的にBIを大盤振る舞いすることですよね。
ただ根本的に格差問題は世代問題とも言われます。欧米ではベビーブーマーズとその子供の世代と言われるのですが、ブーマーズが普通にやってるだけで裕福な老後になってるのに対し、その子供世代は親の二倍努力してもカジュアルジョブしかゲットできないという富の偏在です。日本では団塊世代の親とジュニアの氷河期世代みたいなものです(日本の団塊と、欧米のブーマーズは微妙に仕切りが違うけど大意は同じ)。
これは誰が悪いと言うよりも、戦後に経済が順調に伸びて、平均寿命も順調に伸びた算数的な結果でしょう。誰が悪いわけではないのだけど、でも結果として、今の政治や企業の中枢を担ってるのがこの「努力以上に報われている世代」だから、自分らの子供世代の「努力に見合った報酬がない世代」の真剣な危機感が薄いように思われます。「真面目に努力をすれば人並みに暮らせる」とかまだ言ってる人がいるくらい危機感がない。現状認識が甘すぎる。甘い連中が仕切ってるから、何やっても微温的で効果がない。じゃあどうするか?ですね。
例えばですけど、中国が自国内部の経済を広げようと思ったら、地方の貧困層を底上げすればいい。それには膨大な富を蓄積している企業トップや賄賂で蓄財している官僚を片端から摘発して儲けを吐き出させて原資にしていく方法があります。実際ビシバシやってますけど。これは中国だけではなく、日本でもアメリカでも通用するでしょう。自国内部の格差を是正することは、貧困層を中間層に引き上げ、ひいては内需を高めて国内のビジネスだけでも十分にやっていくことに資するでしょう。
以下、延々続けていけるんだけど、とりあえずはこのくらいにします。
もっかい整理すると、今の課題(日本のみならずどの国でも)は、アメリカとの距離感の調整、それと格差の是正、この二点をどうするかがだと思います。いずれも簡単ではなく、時局への深い考察と、緻密で長い戦略が必要とされます。また、自分でものを考えるにしても、それを実現するためには何から始めて何をどういう順番でやっていけばいいか?という形にすると考えやすいでしょう。
文責:田村
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