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Essay 912:「雇用」が消滅する未来

 正規→非正規→コントラの流れ

2019年10月15日

写真は、Balmainの裏手のBirchgroove。ピンク・フロイドの昔のジャケ写みたいな雰囲気が面白いので。




いつも長々と前提を書いてるうちに長くなりすぎて、本論に入るあたりで「制限時間超過です」みたいな感じでしっかり書けない部分を書きます。

前提は、既に別に書きました。
日本のリストラ風景と世界の背景そのFB版です。
地味に日本でリストラが進行していること。その世界的な背景とカウンターパワーなどです。


それを読んでいただいたことを前提に、「その先」を書きます。


なぜリストラできるのか?

 日本の企業(日本に限らないが)がなぜこんなにリストラするのか?も大事なのですが、それ以前に「なぜ、できるのか?」です。意外と語られないポイントですけど。

 だって、何千人とか従業員の10%以上とか、それだけ居なくなったら業務が回っていかないんじゃないか?もともと人手が必要だから雇ったわけで、それをカットしたら人手不足になって困るのではないの?

 「使えない」社員は首にしたほうが生産性が上がるからいいんだっていう指摘もあるでしょうけど、日本の雇用慣行では「無能」だけではクビにしにくい。だから早期「希望」退職という形で本人の自発的リタイアを募るのが常です。しかし、早期退職に応募する人は、どっちかといえば「使える」人でしょう。今から転職しても、まだ自分はやっていけるという自信のある人から応募するでしょう。全員がそうだというつもりはないし、また本人がうぬぼれてる場合もあるでしょう。でも大雑把にいえば、使える人から順に辞めてしまう可能性のほうが高い。

 いいのか?それで?です。
 でも「いい」んでしょう。使えないのをクビにしたいのは山々だけど、使えるのから居なくなっても、それでも「いい」と。つまり多少人が居なくなっていても、企業の運営にはそう大きな支障はない、と踏んでいるということですよね。

 なんなんだその自信は?その胸算用はどこから出てくるんだ?。ここがポイントです。

 それは個々の企業に「自信があるのか」という主観的な表現でいうよりも、高い人件費を払わなくても事業を廻していけるという客観的な実体があるのか?という形で考えた方が分かりやすい。で、その実体はあるのかでいえば、「ある」んだと思う。なかったらやらないだろうし。

 もっと言えば、人を減らしてもやっていける可能性が微妙だったとしても、企業としては全力でこれを追求したいという気持になるんじゃないか?それだけの旨味があるのではないか?

人件費カットは特効薬的に美味しい(動機)

 やっぱりこれが一番の理由でしょう。
 どれだけ美味しいかというと、日本の正規と非正規の平均年収の差が一つ。
  正規・非正規の収入格差というサイトでみると(話題の焦点でもあるので他にも沢山あるが)、


 データーが2016年(数値は14年)だから古いんだけど、ここでは大雑把にわかればいいです。
 男女総合の平均年収は非正規が175万、正規は493万、その差318万。ここで「この不平等・格差はなんだ、けしからん!」って話になるのですが(それは正しい反応なのですが)、でもここでは企業側のモチベーションという観点で見ます。そして企業側から見るなら非正規はめちゃくちゃおいしい。

 はっきりいって正規一人クビにして、非正規二人いれた方が得です。賃金的にもそうですが、何よりもいつでもクビ(雇いあげ)に出来るフリーハンドがデカい。その他面倒な付帯措置(退職金とか)もあまり考えなくても良い。さらに、後で述べますが正規で期待される賃上げも殆どやらなくて良いというのが決定的です。何重もの意味でおいしすぎる。

 僕が強欲な経営者(あるいはそこに出資をしている投資家)だったら、今日にでも正規は一人残らずクビにして、全員非正規に置き換えますよ。「今日」はさすがに無理でも、可及的速やかにやりたいでしょう。だからやっているのでしょう。

 だって営業利益(純益)で300万出すのって大変ですもん。研究開発に億単位の投資をして、試作品作って、マーケテスト何度もやって、工場ライン整備して、営業頑張って、広告打って、配送やって、クレーム処理やって、それでも売れなかった、ダメだった、結局赤字だわってのがどれだけ多いか。どこでコケてもおかしくないような十数ステップを、まるで地雷原を駆け抜けるように頑張っても、大抵はどっかでドカンです。

 本業で堂々と利潤を生み出す難しさに比べれば、正規一人クビにして非正規に置き換えるだけで確実に利潤が出るというのは、悪魔的なまでに魅力的でしょう。決算数値をあげたかったら、つまり経営者が「結果を出したかったら」コレですよコレ(笑)。てか、経営者の意識の上では、既に正規の給料自体が「無駄金」って感じになってるかもしれないです。

 だからこの非正規の流れはエンドレスに続くだろうなーと僕は思います。それだけの魅力があるんだもん。

正規の非正規化

 ただ、そのままの形でいくと世間の批判がうるさいから形は整えるでしょうけどね。一応正規にしておいて、正規の特典を段々薄めていく手法をとるでしょう。「名前だけ正規」ってやつ。昇給体系変えるだけでも随分浮くと思いますけど。

 正規と非正規の違いですけど、福利厚生などの特典もありますが、年休にせよ残業にせよ正社員だからバンバン利用するというものでもない。むしろ正社員のほうが有給休暇とりにくいかもしれない。もっぱら給与水準の差なんでしょうけど、これも若い頃は言うほど変わらず、だんだん変わってくる。以下の図は、上のサイトに載っていたものですが、


 上が男性で下が女性ですが、年齢が上がるほど差が激しくなることがわかると思います。この点、「給与が上昇する」点が正規の最大の特徴で、非正規は何年頑張ってもほとんど給料が変わらない。

 もっとも現在の正規社員が将来このグラフのように給与が上がるのか?というと、それは微妙でしょう。このグラフも、年齢に比例するというよりも、昔に入社した人はその当時の感覚で給与が上がってるのだけの話かもしれず、「年齢が上がると給与が上がる」というよりも「昔に入った人ほど給与があがる」とも言えます。年齢差というよりも時代差ではないか。逆に言えば、今後は正規であってもそんなに給与が上がらないかもしれません。それが正規の非正規化です。

 いや「今後は」「かもしれない」とか未来&不確定の話ではなく、既にそうなっているともいえます。そのあたりに触れた記事を紹介しておきます。

 今の日本は正社員の給与が全く上がらない時代。実は非正規社員の方が賃金が昇給していく
 という記事に下のグラフが掲載されていました。下の世代になるほど賃金の上昇角度が抑えられていることがわかると思います。

 <働き方改革の死角>正社員なのに低賃金層拡大 何年勤めても給料上がらないという東京新聞の記事(2019年4月9日)
 


非正規よりももっとヤバいコントラクター契約(請負)

 でも非正規よりももっと美味しい方法があって、多分将来的にはこっちに移行すると思うのですが、それは偽装請負です。コトランクター形式ですね。事実上従業員なんだけど、形の上では外注に出したことにする。個々の社員は、個人事業者であり、発注があったので、その作業をするという形です。契約としては「雇用」じゃなくて「請負」です。

 WHさんが儲からないファームでやらされているのがこれで、ファーム以外のシティジョブであっても、「ABN持ってきてね」とか言われる職はこれです。ABNというのは、Australian Business Numberで、事業所得者としての番号であり、これが求められるということは、雇われる(雇用契約)ではなく、自営業者として取引をするということを意味します。

 それがなにか?というと、この(雇用主にとっての)旨味は強烈で、なんつっても雇用じゃないから労働法上の縛りが一切消えてなくなることです。深夜禁止も、年次有給もクソもないです。失業保険も入らないでいいし、労災もいらないし、所得税や年金の源泉徴収すらいらない。てことはそれら面倒くさい帳簿事務も要らない。もうどんだけ安上がりか!なんせ単に発注してるだけですから。さらに従業員がなにか不祥事をしでかしても、基本部外者=「出入りの業者」がやったことですから「ウチも被害者なんですよ」と言えるという。

 アウトソーシング、フリーランサー、シェリング経済もこの流れ(てか本流)なんだけど、専門特殊技能分野からどんどん一般分野に広がるでしょう。それは労働者派遣だって最初は特殊専門領域にだけ限定的に認められたいたのに、それが広がっていったんだから。

 ただ、いずれにせよこの流れは、これまで人類が営々と築き上げてきた労働者保護のシステムをチャラにしてしまうわけで、今世界の法律家や政治家の課題の一つがこれらの法規制をどうするか?でしょう。

 ただこれは世界の最先端の議論で、何周回も遅れている日本でこれが論じられるのはまだまだ先でしょう。そもそも正規をコントラ活用で代替ってところまでもいってないし。とりあえず予想される直近未来では、正規・非正規であり、正規の消滅(or 限りなき非正規化)でしょう。そしてその次に来るのが、このコントラ化です。非正規なんかまだ序の口に過ぎないと思ってたらいいです。

日本の正規は世界的にもレアな一代雑種

 世界的には(少なくともオーストラリアでは)、正規・非正規の区別はないです。日本の正規を特徴づける「異様なまでに解雇しにくい」という点はこちらにはない。だから馘首容易性でいえば全員非正規であるといっていい。ただし、労働法の徹底という意味ではカジュアルも含めて全員、日本の正規以上といってもいい

 もともと日本人が当たり前に思っている「正規」は、世界の労働類型のなかでもかなり珍種に属するものだし、もとはいえば高度成長のときの「無限に成長する」なんて能天気なカンチガイ + 伝統的なウェットな家族主義がマッチングしたという本当にレアな一代雑種であって、前提条件が消滅してるんだから遅かれ早かれ消滅するのが自然の流れです。

 日本の場合は、常にこの問題に帰着するんだけど、法制度そのものは、他の先進国に比べて遜色ないのですよ。労働法だってしっかりしてる。ただ問題は、それを守るかどうか、です。とにかく日本社会には遵法精神というのがない(アジアは一般にない)。上から下まで、法律なんか「一日一善」「火の用心」くらいの標語くらいにしか思ってない。「コンプライアンス」という横文字になってカッコよくなってから、ようやく浸透し始めたってところで、先は長いっす。



 さて、話を戻して、ここでは、非正規を雇いたくなる企業のキモチも分かる、ものすご〜く魅力的なんだってことを見るにとどめておきます。

正規でなくても事業は廻せる〜実現可能性

現実にできている

 そんな正規社員ではない、テンポラリーの非正規にまともに仕事なんか出来るのか?といえば、これが出来てしまっているのですね。

 年収差187万円なのに非正規より「やる気が低い」正社員の実態という記事に書かれてますが、大企業になるほど正規社員のほうが安心してしまうのか、やる気なさげな。


 増加する「非正規公務員」とはなにか?で語られている上林陽治氏の指摘によると、2016年の時点で、地方公務員の3人に一人は非正規であり、自治体によっては非正規の方が多いところもある(長野県筑北村役場では約7割が非正規)。

 一方、高齢化その他に伴い、生保やDVや虐待や介護その他で公務員の仕事量はむしろ増えている。では仕事が増えているのになぜ非正規が増えるのか?でいえば、仕事が増えているから「こそ」です。予算に限りがあるなかで仕事の絶対量が増えるならば、結局、単価(給与)を落とさないといけない。非正規割合を増やさないとやっていけない。2005年→2012年で正規公務員は27万人減少、同じ時期に非正規は15万人増えている。

 下の表は、この文献に掲載されていたもので、各エリアの非正規の数とその割合、そしてその変化です。一番右端の数値が長期変化(2005→2012年)で非正規が何%増えたかですが、50%増もあるし、70%も非正規が増えているエリアもあるのがわかります。


 仕事の内容そのものは正規も非正規もほぼ同じで、公立保育園の保育士の52%は非正規の保育士で、非正規といっても保育士資格をもち、クラス担任や主任を勤める非正規保育士さえいる。ハローワークでは常勤11,140人に対し非常勤16,737人で、ハローワークで失業者の求職相談にあたっている相談員の5人のうち3人は非正規公務員だという。また学童指導員の92.8%、消費生活相談員の86.3%、図書館司書の67.8%が非正規公務員。

 ほとんど同じ仕事をしているにも関わらず、年収比較をすれば民間よりもひどい4分の1とか(同記事によれば、「2012年で比較してみると、一般行政職の正規公務員の平均年収総額は624万3437円です。これに対し、事務職の非正規公務員の年収は、市区町村の臨時職員が159万6218円で4分の1に過ぎません」)。

 役所の中ではものすごい格差が横行してるわけですが、ここではその不平等性ではなく、「それでも廻っている」という事実に着目したいのです。正規を非正規にしたところでさして支障はないではないか。

 さして困らないなら、正規に高い給料払うのはバカバカしいですよね。同じガソリンを入れるのにこちらではリッター150円(非正規)であちらではリッター500円(正規)だったら、誰が500円なんか出すかって話です。

 ここで、企業の姿勢を批判したり、猛省を促したりするのは簡単なんですけど、でも、まあほぼ100%効果はないと思います。あなたは、他人から猛省を促されただけで、リッター500円のガソリンを入れに行きますか?って話ですよ。誰に何と言われようが、みすみす大損こくようなことなんかしないでしょ?

 だから今後、「これは正規でないと無理」って客観的にも言えるようなものだけが残っていくと思います。例えば、、、って、例が思いつかないんだけど、極論すれば、手を汚して賄賂かなんか渡しにいってもらって、ことがバレたら、「全部私の一存でやりました」っていって罪をひっかぶってくれるか、因果を含めたら素直に自殺してくれるような人?

 ここで日本人のクソ真面目さが仇になってしまうのだけど、目の前に仕事があったら、非正規だろうが給料安かろうが頑張ってしまうのですよ、僕らは。それは日本人の仕事遂行能力や向上心の現れで、むしろ名誉なことなんだろうけど、でも結局は「やり甲斐搾取」されてしまうという。

 変な話だけど、正規と非正規の差別を解消したかったら、非正規の皆さんは一致団結してサボり倒して、失敗しまくって、職場の和を乱しまくって、「やっぱ非正規はダメだわ、高いけど金払ってちゃんと正規を雇わないと」と企業に思ってもらわないと。ところが、ある意味では非正規の人の方が頑張ってしまうから、「なーんだ差がないじゃん、じゃあ安いほうがいいか」ってなってしまって、これでは悪循環です。でも、これを自発的に解消するのは至難の業でしょう。

 ただ、それをやってる間に、正規も非正規も仲良く消滅し、全部コントラになっていってしまうかもしれないです。

 ちなみに、これで少子化や非婚化に歯止めをかけようなんて無理だと思います。将来的に、配偶者や子供の人生を背負っても余裕ってくらいの給料をもらえること、少なくとも子供に金がかかる頃(30-50代)には、最低でも3人分くらいは稼げるだろうって見込みがなかったら、怖くて出来ないでしょう。20年後に今よりも確実に支出が増えるなら、今よりも確実に収入が増えるという保障もまた欲しいでしょう。将来的に賃金が上がらないのがほぼ確定 or 上がるかもしれないけど確かではないって前提で、どうしてできる?

コントラ化の流れ〜仕事の因数分解とデジタル化

 長くなったので、ここらで一旦切ります。まだまだ続くんですけど。
 でも、ここまでは書いておきたいというのが、仕事の因数分解・デジタル化です。

 アナログ→デジタル変換のようなものですが、とある業務(仕事)の内容をデジタル的に、シンプルな作業の積み重ねに置き換えていけば、人手はどんどん要らなくなります。正社員的なゼネラル労働者はアナログの究極的な存在で、予想もできないどんな事態にも対応するためにあります。そういう人材は確かに要るとは思う。だけど、日常の仕事をみていけば、その殆どがルーチンワークであり、いくら複雑に組み合わさっていようとも、一つ一つはシンプルな単純労働に因数分解できていくはずです。そしてその組み合わせに一定の法則性が見いだせたら、もう一丁あがりでしょう。

 そうやって一つの職務やポジションを90%以上分解できたら、あとは簡単なんですよ。初見であってもそれが出来るように。あるいは1−2回の簡単な講習、それはオンラインのビデオ視聴とそれに続くテストの合格でもいいけど、それをしたら、誰にでも出来るようになります。まあ「誰にでも」といっても一定の適性はあるとは思いますが、そんな雑巾がけから修行して10年とかでなければ、かなりのレベルで汎用性が出てきます。

 そうなるとどうなるか?もう非正規でもなく、コントラ外注が出来てしまうということです。

初見で出来るデリバリー業務

 僕が今やってるデリバリーの仕事もまさにそれで、要するに「何時にどこにいって何をピックアップし」「何時にどこにいってそれをデリバーしてくるか」の積み重ねです。それをシンプルなアプリにしたのが、BRINGGという世界的なアプリです。めっちゃくちゃよく出来ていて、ずらっと並んだスケジュールの一つをタッチするとその詳細が出てきて、住所をタッチするとGoogle Mapなどに自然と連動して立ち上がって、行き先をナビしてくれる。集荷と配荷のそれぞれに写真を撮り、サイン(指で書く)を貰うようになっており、写真とサインがないと次のタスクに移行しない。

 世界的にやられているアプリ・デリバリーの基本は、Uber Eastであろうがなんだろうが大体同じです。
 そして、その中核になっているのが、世界的なGPSシステムとGoogle MapなどのGPSを利用した地図とナビシステムです。これがなかったら、やっぱり専門職に留まっていたでしょう。なんせ周囲もろくすっぽ見えない真夜中に配送する場合、ナビがなかったらやってらんないですもん。完璧に土地勘を記憶してないと出来ない。毎回同じルートの配送だったらすぐ覚えるけど、毎回違う場所だったら、覚えきれないです。いちいち路肩に車を停めて地図をパラパラめくって、、なんてやってらなんないですもん。

 つまりGPSと地図ナビアプリは、これまでの専門職(タクシーの運ちゃんのように道をかなり正確に知っている)でなくてもド素人でも出来てしまうように替えてしまいました。これが基本パターンで、高い人力スキルがなくても、誰にでも出来るようにすること。そして、あとはユーザーインタフェースを改善して、これまた誰でも初見で出来るように便利に作ってしまえばいい。

 今僕がアプリジョブのデリバリーやってるのも、そのあたりが現場でどうなってるのか自分でやってみて感じてみたかったというのが動機の一つです。で、やってみて、判ったか?といえば、感じはわかりました。なるほどよく出来ているわと。こんな具合に合理化出来るんだったら、これは広がるだろうなーってのも感覚的にわかります。

 参考までに、BRINNGというロジスティクスシステムのPR動画をあげておきます。こんな感じでオペレーションするんだよーってことで。なかなかカッコ良さげにできてるですけど、まあ大体僕がやってるのも、このまんまです。


 ただ、それを成立させるためのノウハウもまたあって、そこも色々と学べたので良かったのですが、ここでは割愛します。またそれに対抗するために個々人はどうすべきか?という点もあるんだけど、それも割愛します。いずれも今回とはテーマが微妙にずれますので。

非正規なんか目じゃない〜どんだけ得か

 シェアリング経済のビジネス利用の要諦はここで、Airbnbでも、宿屋のプロでなくても一定の基準させ満たせば誰でもサプライヤーになれる。質の不均一やトラブル処理は、本部が最初のお金を全部預かる(クレジットで)こと、レビュー方式その他でクリアできる。Uberも、車の運転という基礎技術はほぼ誰でもできるわけで、あとは入り口レベルで何年以上の新車でないとダメとかGPSによりリアルなルート検査やら、フィードバックその他で質管理が出来る。

 かくして従来の専門職を素人にもできるシンプルな仕事に分解できた時点で、もう人なんか雇う必要もない。広く外注に出せばいい。どんな産業にでもこれを推し進めていけば、労働コストは極限まで抑えられます。

 どれだけ企業にとって得かといえば、
 仕事がないのに従業員を遊ばせておく時間が限りなくゼロ、
 その他付帯の費用(福利厚生とか昇給とかその他)が一切かからない。
 だからアドミニ事務費用も簡単な時給と歩合計算だけで殆どかからない
 各自バラバラで自宅→現場で動くから、そもそもオフィスも要らない、
 配車センターもいらなければ、
 メンテ費用もリース費用も一切かからない。

 おそらく非正規を雇うよりももっともっと効率的に出来るはずです。業種により、ケースによりだけど、多分諸経費を合算すれば、半分以下のコストで所期の目的を達成できてしまうでしょう。


何にでも応用可

 これはどんな業界にでも応用できるはずです。あとはやるか、やらないかですよ。
 飛び込み営業だって、アプリ化することも可能でしょう。やりたい人は、簡単な商品知識の講習を受けたり、ビデオラーニングでやる。オンライン講習はColesの社会研修で受けたけど、めっちゃよう出来ている。自分の名前でログインすると、受信箱に「これを受講せよ」と入ってて、そこにいくと動画が始まる。リアルに客(役者さんだけど)がやってきて、それぞれに言いたいことを言う。で、あなたはどうしますか?で選ばせ、なぜその答えはダメかを教えてくれる。正解率が90ないし100パーになるまで、手を変え品を変え延々繰り返される。動画も早送りするとバレてしまってモトに戻される。でも、繰り返しやってられると嫌でも覚えてしまうんですよね。だから、現場で口頭で指示されるよりもずっと効率がいい。

 アプリを開くと、自分の現在地点でまだ営業をかけてないエリアが赤で示されてたりなんかして、そこを予約すると、そこに飛び込み営業をかける予約ができる。で、必要なパンフや資材は、必要なときにセンターにいって取ってくるか送ってもらう。いよいよ始めるとなったら、アプリをオンにして一軒づついき、一軒ごと成果を書くか記録すると、1軒10円もらえる。全滅でも100軒いけば千円もらえる。そのうち、商談がうまくいきかけてそのまま売って成功になれば、売上高の○%が報酬として記録される。難しい話になったら、本社の営業にスィッチし、端緒営業成功として一件2000円とあと出来高歩合をもらえる、、、なんてシステムにしたら、暇だったら廻ってみるかって話になって、やる人もいるんじゃない?通勤時間もゼロだし、面倒くさい社内の人間関係もゼロだし、やりたいとにやればいいだけだし。

 弁護士だって、人余ってるからアプリジョブになって、簡単な交通事故、離婚、相続だったら、アプリジョブにして、依頼者に来てもらうのではなく、こちらから依頼者宅(ないし待ち合わせ場所)にデリヘルのように弁護士が赴き1時間3000円くらいで相談業務をし、その3000円はまるまるもらえるようにすればいい。依頼者にしても、アプリにポンと依頼して3000円クレカで払うだけで、弁護士が家の近くまで来てくれるんだから楽だよ。ダメ弁が来たら、その旨クレーム処理をして、その弁護士は登録抹消にすればいいから、やる側も真剣になるでしょうしね。弁護士側からすれば、登録しておいてアプリをオンにすると、自分の現在地の近所の相談案件が見える。お、あるじゃんとなったら、「受任」ボタンを押して、そこに行って、3000円稼いでくる。継続して依頼になったら、本店事務所に引き継いだり、あるいは自分がやったりして、歩合を決める。本店にしてみれば、広く依頼者をゲットする営業をやってくれるわけだし、継続で誰がやろうが一定レベルで歩合が入ってくるから損をすることもない。弁護士側からしたら、いい顧客開拓のチャンスですから、ここで多少割が悪かろうとも、いい印象を与えておけば、次はダイレクトに依頼が来るかもしれないから美味しいでしょう。

 ね、こういったやり方が本格的に活用されてきたら、どんな業界であれ、ほんと人なんか雇う必要ないんですよ。今はそこまで踏ん切れないから、まだ古式ゆかしき雇用とかやってるけど、だんだん「気がついて」くる企業や業界も増えてくるでしょう。正規が〜非正規が〜とかやってること自体が既に時代遅れと言えなくもない。

コントラが必ずしも収入減になるかは別の話

 あ、それと言っておくべきは、コントラになって企業は人件費を削減できますけど、それは付帯経費を削減できるからであって、給与そのものが圧縮されるとは限らないのです。つまり、非正規からコントラになってますます収入は減るのか?というと、必ずしもそうではない、という点は注意が必要です。

 コントラ系は「何にもしなくても座っていれば給料が与えられる」という楽チンはできないのですけど、その代わり、一般に給与水準は高い。コストもリスクも自分で持つから、それは当然なんですけど、そのくらいの水準にしないと誰もやらない。あと、働く側からすれば、最大のメリットは自分の時間裁量が大きい。やりたくなかったらやらなくても良いし、意味なく毎朝満員電車に揺られて出社しなくてもいいし、やりたいときにやればいいという自由が得られます。ワーク・ライフ・バランスが取りやすいんですね。だから、非正規で割食った感バリバリでやるくらいなら、出来のいいコントラ探したほうがいいし、基本対等なビジネス交渉であり、自分のスキルが上がれば、それこそゴルゴ13みたいに法外な要求をしてもいいです。

 さらにとある業種に特化してある程度分かるようになったら、そのビジネスを自分がパクって自営で独立するという目もないわけではないです。いつも同じ顧客とやってるんだったら、直にやっちゃう。それはUberでもAirbnbでも本部が一番恐れているところで、馴染み客になったら、本部にピンはねされるのが双方ともバカバカしいから直取引になるでしょ?そういう事ができる。

 いずれにせよ、起業自営マインドをもっていたら、コントラ系はフリーランス系でもあり、非正規よりも展望は広いとも言えます。でも、それはもう「雇用」じゃないのですよね。


ロボ化IoT化

 他にもロボ化やIoTも目覚ましいです。AIというほど高度じゃないんだけど、比較的なシンプルな技術で人手に代替できる。

 最近、メジャーなメディアのダメさ加減にうんざりして、専門誌やマイナーなサイトを見たりするんですが、これが面白いのですよ。とくに業界専門誌の広告が、一番時代を先取りしているというか、これからこういう世の中になるというのがよく見えます。

 例えば、インバウンド狙いで民泊やゲストハウスが盛んですが、人件費がネックになります。そこで無人でも(あるいは省人で)コストカットするためにあれこれの技術や会社が出てきてます。こういうのって専門誌を読まないとわからないんですよ。メジャーには話題にならないから。でもテーマが動向がわかれば、あとはそれでネット検索すると見えてきます。

 例えば、宿泊事業における無人/ローコスト経営の実現と運用ツールの選び方というサイトに書かれている試算を見ると、


 まあ営業文句だから鵜呑みにしていいのかどうかわかりませんが、無人化によって人件費の年間差額が1200万、省人化によって900万浮くとなったら、やっぱ考えるでしょう?そうかそんなに浮くのかって。かくして、また仕事は減るわけですよ。

 MinpakuINというサイトは、民泊用のセルフチェックインをサポートする会社で、見てると、まあシステム一式よくできてます。


 この種のロボット系=人減らし産業は日本はお得意で、ゴハンよそうロボット(盛り付けロボ)なんかも広告出てました。なるほど〜って。


 で、これらのロボット開発、運用適用関係の仕事も沢山出てました。Robot Job Japanというサイトをみると、これでもかってくらい出てますね。


 かくして、また職が減っていくと。
 でも、こういった現場系は一定頭打ちになるとは思います。なぜならあるところで損益分岐点がきて、もともとそんなに人件費が高くないので、ここから先は人を雇ったほうが安いってラインが来るとおもうからです。それをするなら、もともと人件費の高いエリア、ホワイトカラーの高給職の方が絶対狙い目でしょうし、実際そうなってるでしょう。

 まずは非正規で代替し、同時並行してIT化やコントラ化でさらなる合理化を進める。アドミニ系の仕事だったらデーター処理工学の世界ですし、今は何十億人分のビッグデーターを処理するレベルにきてるんだから、せいぜいが万単位の業務関係のデーター処理なんか、そう難しいとは思えないです。

 そんなこんなで職や給与がどんどん減るなり、自由化するなりしていくだろうなーと思うわけです。正規・非正規なんか、ほんと序の口に過ぎないだろうと。

 森永卓郎が予想〜「年収300万円時代」を予言して15年、今後は年収いくらになる?という記事では、15年前に「日本人の平均年収は300万になる」と予言して、ちょうど今そんなもんだから、ドヤ顔してもらってもOKなんですけど、その人が今後はどうなるで、「年収10万時代」とか画期的すぎることを言っておられます。まあ事実上職がゼロになるという話ですけどね。


 ただ、それもどっかで歯止めはあるハズなんですよね。
 年収10万になるずっと手前に社会そのもの、この経済体制そのものが壊れるでしょう。なぜなら、今、世界的にも話題になってますけど、従業員というのは、同時に消費者(お客)であり、従業員を貧乏にするということはお客を貧乏にするということで、要するにコストカットすれば、同時に消費者も支出カットするわけで、長期的にみれば自殺行為、ビジネスそのものが成り立たない。だからまだ成り立ってる国際市場に行きたいし、行ってるのでしょうけど。でも、それだっていつかは頭打ちです。展望がないのですよ、こういうことやってても。

 でも、そもそもなんでこんなに職の減少、賃金の減少という世界的な傾向が生じているのか、その根本理由はなんなのか?という問題があります。これも既にある程度書いたんだけど、長くなるのでまた今度にしますね。




実は結構水がきれいだったりします

文責:田村


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