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今週の一枚(2018/01/15)



Essay 860:世界バブル2京6000兆円のXデーの戦々恐々 



 写真は、右に赤、左に青の二大陣営が戦ってるみたいな、なんか黙示録の世界みたいな感じが良かったから。
 場所は、CrowsnestのWoolworthの入ってるビルの屋上駐車場。ここは眺めが良いから、よく行きます。

 世界バブル破裂の「Xデー」はいつ来るのか、戦々恐々としております。

 特にカチッとした論拠に基づいてビビっているのではなく、「こんなのいつまでも続くわけないだろ」という素朴で素人的な考えです。

去年の報道〜累積1京8000兆円

 世界の債務累積額が、日本円にして一京8000兆円あるというのが去年ニュースになりました。

世界の債務1京8000兆円、FRB資産縮小で収縮に警戒(ロイター、17/09/22)
世界のカネ1京円、10年で7割増 実体経済と乖離鮮明(日経17/11/14)
世界GDP、金融危機なら1.7%減も IMF報告 過剰債務警戒を指摘(サンケイビズ 17/10/12)

 日経さんはおとなしめの数字を出してますけど、論者によってはもっと厳しい数字(世界GDPの2倍とか)を出してます。

 この「1京8000億円」というロイターの記事は「2016年末時」での数字でした。じゃ、最近はどうなの?というと、英文で検索した方が早いのでやってみると、

最近の報道 2京5600兆円



Global Debt Hits Record $233 Trillion(Bloomberg 18/01/05)
Global Debt Hits Record $233 Trillion, Up $16Tn In 9 Months(Zero Headgeというヘッジファンド、18年01月07日)

 どうも、233トリリオン・ドル というのが最近の数値のようです。

 それって日本円でいくらなの?といえば、トリリオンは「兆」に該当するから、最近の233トリリオンは233兆ドル。ドル110円として換算すると2京5860兆円で、ざっと2京6000兆円になります。この最新の数字が日本語情報になるのは、もしかしてこれが初めてかもしれない(233兆ドルに言及してるのは二つくらいあったけど)。


 さらに、記事をパラパラとみていくと、おもしろグラフが使いまわしされていたので、引用しますね。


 グラフのうち、青が1997年(20年前)、赤紫が2007年(10年前)、そして緑が2017年(現在)です。左は、一般企業の借金の額、つづいて政府債務、金融機関、そして右端が一般ピープルの世帯の借金額です。

 どれもこれも着実に増えていますが、直近10年でいえば、企業と政府の借金の増加額が半端ないです。

国別ヤバさランキング

対GDPと金額

 つづいて、Global debt woes hit $233 trillion, an all time highという記事=これはインドのメディアの記事ですが、そこに引用されていた。$63 Trillion of World Debt in One Visualizationという何でもわかりやすく図解してくれるサイトの画像をここに孫引用します。

 これは政府債務に限定しているので母数が63トリリオンになります。日付は去年10月27日だから古いものではないです。

 この図は二つの基準があって、
(1)借金額と国の大きさが比例してる(デカくかかれている国のほうが借金額が大きい)
(2)借金額と国のGDPとの比率で、濃い色(紫)から明るい色(黄色)にいくにしたがって比率が大きくなってヤバい。
(2)は分かりにくいのですが、年収1000万の人が1000万借金してたら比率100%ですが、年収500万の人が1000万借金してたら比率200%です。身分不相応度が高い。その分明るい色になる。

 コレを見てると、日本のヤバさ、ハンパないですねー。まず大きい(額が巨大)。アメリカよりもちょっと小さいくらいだし、中国やインドが雑魚に見える。こと借金に関しては日本はまだまだ大国です。
 そしてGDP比についてもハンパないです。真っ黄色の239%。これを超えるのがギリシャの275%だけです。

国民ひとりあたりの政府債務額と対GDP比

 もっとすごいのが、同じサイトの政府債務についてのHow Much Government Debt Rests Upon Your Shoulders?で、 世界各国がまるで曼荼羅のように表示されています。

 これも同じように、もう日本ダントツ。世界の諸国を従えて覇王になってる感じです。中国なんかてっぺん中央やや左の辺境の雑魚。

 この図の読み方は、
(1)国民ひとりあたり公的負債の額が大きいほど、国が大きく、中央に示される
(2)色分けは、GDP比率で緑(30%以下)→黄色(30-60%)→赤(100%以上)

 ということで、惜しむらくはこれもマイナス世界での話。
 世界の覇王JAPAN=借金大王という意味で、これだけ見てたら日本は世界地獄の中心地です。

 ま、あんま実感ないかもしれないけど、簡単にいえば、ひとりあたりの公的負債額が大きいということは、それだけ国民一人あたりの税金(年金、保険など)を沢山取られているか、将来ドーンと取られるという意味でしょ。

借金は甲斐性だから直ちに悪ではないが、しかし

 なお、単純な借金額だけだったら経済大国ほど借金も巨大。それは好調な企業が借金額も多いとか、お金持ちが豪邸ローンで借金が多いのと同じことで、借金額が大きいことだけが直ちに問題になるものではない。

 問題なのは、自らの生産性との関係です。年収1億稼ぎ出せる力のある人が5000万円借金してても大したことではないけど、年収100万の人が500万借金してたら、借金額は10分の1だけど、深刻度は10倍です。これがGDP比率の考え方です。GDPはその国の経済活動の総量を示しますから。

 次に個人あたりの借金額でも、それが個人の甲斐性で借りている(豪邸ぶったてるとか)だったらまだいいですけど、公的債務となると話は違う。それは「日本国というシステムを運営することが、国民ひとりあたりどれだけの負担になってるか」を示すものであって、それがデカいということは、いかに非効率な国家システムなのか、あるいはいかに思慮分別のない馬鹿使いをしているかです(その両方だが)。

壺算的屁理屈

 なお、日本の借金は国債であり、国債は日本国民や日銀が持ってるんだから差し引きチャラで怖がることはないという屁理屈が未だに流布しているようですが、いまどきこんな落語の「壺算」みたいな話に騙される情弱っているんですかね?それって、幾ら足りなくても国債発行して日銀が買えばOKさ!というさらなる暴論につながっていくのですけど、でもそれ嘘でしょ。

 だって、国が必要とする分、新たに国債→日銀でやればいいんだったら、じゃあ最初っから税金ゼロにしろよってことです。それって「足りない分はお金を刷ればいい」と言ってるのと同じですけど、ならば消費税も、所得税も、地方税も、保険料も、NHKの受信料も全部ゼロにしてくれよー、その分お金刷って賄えばいいだろ。

 それをしないのは、やっぱそれがズルだからでしょ。そんなんで良かったらそもそも経済学なんか必要ないですよ。将棋やってて、いよいよ負けそうになったら、そこらへんの木切れ拾って削って、新しく駒を作って投入すればいいんだって言ってるようなもんでしょ。

 あと日本の海外資産が多いというのも眉唾で、大きな割合を占めるのがアメリカ国債。でも、そんなもん売って暴落したらアメリカに殺されるから売れないので事実上無意味でしょ。これって、ヤンキーに「ちょっと貸してくれよ」といってカツアゲされているのを、「貸している」から「資産」だと計上してるのと同じことでしょう。今は中国のほうがアメリカ国債持ってるけど、中国は何するかわからない国だし、平気でアメリカ国債売って暴落しかけるかもしれない。だからアメリカも恐い。要するに金の問題というよりは、力関係や政治の問題。

 それと民間資産が沢山あるからというも、それがどうした?で、国の債務を埋め合わせるために民間資産を使うというなら、その分だけ国民はドーンと貧乏になるわけですから、そのこと自体が大問題でしょうに。なんかねー、殺人罪の話をしてるのに「人は誰でもいつかは死ぬのだ」「だから問題ない」とかいってウヤムヤにしようとしているような感じね。理屈になってないよ。

でも、日本の負債なんかこの際、どうでもいい

 だが、今回は日本の問題がメインではないです。日本国の借金は1000兆円ちょい。世界2.6京からすれば26分の1に過ぎません。それに、今の日本は世界経済にインパクトを与えるような立場にはないし、日本の命運はひとえに世界経済の動向にかかってます。日本株だって、外国人投資家の動きで殆ど決まってるし、あとは政府のお化粧用に日銀が買ってるだけでしょ。

 本当の問題は、実体経済と金融経済がど−しよーもないくらい離れてしまってる点にあるからでしょう。まあ誰もが言うことではあるのだが。

どこまで続くのか

 もともとこれってリーマンション・ショックからですよね。あの時世界的に信用危機があったので、世界の先進国政府が蔵から千両箱持ち出してガンガン投入した。緊急に手当したり、金融緩和したり。金利は低くなり、大量に投入されたお金が世界中でダブついてダブついてどうしようもなくなってる。そして世界のファンドマネージャーは、それを運用して儲けないといけないから、なんだかんだ理屈をつけて世界の相場に投資し、なんだかんだ理屈をつけてそれを上げ潮にもっていった。

 そのうち、「なんだかんだ理屈をつけて」って手間暇さえどうでもよくなってきて、理屈的にはありえないような動きになって久しいです。

もはや後出しジャンケン的な理屈すらない

 前々からいい加減だなーって思ってたんですけど、「これはシャレにならんだろ」とマジに思い出したのは、トランプが大統領になった頃です。

 あの頃、アメリカをはじめとして先進国のメディアはこぞって「ヒラリー絶対有利」って鉄板だった筈です。オバマ→ヒラリーになれば、同じ民主党だし、経済政策もさほど違わないし、国の安定度も高いし、ヒラリーもキャリア長いし、頭いいから馬鹿なことはするまいと。これがトランプになったら、頭わるそうだし、何するかわからんし、もう地獄になるかもって話だったでしょうが。だもんで、ヒラリー有利ってことで、NYダウとか上がりまくってたわけですよ。

 それが、まさかのトランプになって、本来なら大暴落しても良さそうなんだけど、実際には、ちょっと相場はたじろいだけど、今度は「トランプだから、いいんだ」ってことで(何がいいんだか)、相場が上がりはじめた。「なにそれ?」と思いましたよ。以後、トランプがあちこちで、これまでの常識を破るようなことをして、世界から嫌われるように、アメリカの覇権を落とすように仕向ければ仕向けるほど(意図的にやってるかどうかは議論のあるところだが)、株価が上がっていくという。もう途中で「なぜ上がるのか」の後出しジャンケンのような理屈付けも、手抜きっぽくなり、もう「やる気あんのか?」ってレベルになってます。

 要するに、もう株があがることに理屈なんか誰も求めてない。てか理屈が無い。
 じゃあ、なんで上がるのか?といえば、金融機関や投資家が困るからです。つまり「上がらないと俺らが死ぬから」→「上がっている」というだけのことでしょ、簡単に言えば。こうなったら、証券系のメディアやアナリストとかリストラしてもいいんじゃないのかな。

 そんなのアリ?って思いますよね。
 それでいいなら、話は簡単ですよね。いや、いいですよ。ガンガン儲けて、ガンガン贅沢しまくって金使って、俺らにも金を廻してくださいよ。千円の定食食ったら、「とっときたまえ」でチップ10万円くらい払ってくださいよ。

バブルゲーム

バブルの思い出

 もちろん「そんな筈ないだろ?」ってのは、皆さんプロだから知ってる筈です。しかし目の前の現象としては上がっている。「おかしーだろ?」とは誰もが思ってるんだけど、上がってるんだから投資しないと損。で、投資したら現実に儲かるんだから、やってしまう。だから辞められないって。

 これ、誰がなんといってもバブルでしょ。日本のバブルのときだって、こんなクソみたいなワンルームマンションが5000万円?私鉄沿線の駅からバス15分のクソ不便の1DKの新築ペンシルビルのくせに?「んなわけねーだろ」とは誰もが思ってましたよ(今では百万でも買い手つかないでしょ)。でも、現実に上がってるんだし、やってみたら「あら、儲かっちゃった」てなもんだから、止め時がなかった。おかしかろうがなんだろうが、現実に儲かるならやらなきゃ損だと、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆ならって状況です。

 で、どーんと弾けて、「やっぱねー」って誰もがなんとなく腑に落ちて、すっとした気分がしたもんです。これって、リアルタイムにいなかったからわからないけど、日本が戦争に負けて玉音放送聴いてるときも、皆そう感じてたんじゃないかなー、言ったら殺されそうだから言わないけど、「やっぱねー」「おかしいなーとか思ってたんだよなー」って。

 ちなみに、日本のバブルが弾けたときですが、「どーん」も「ぱーん」も音はしませんでしたよ。てか、少しづつ認識が広がっていって、国民半分くらいに知られるようになるのに1年くらいかかりました。僕らは弁護士で、やれ地上げだ、やれ不動産の奪い合いだで最前線にいたので気づく機会がありましたけど(相手方が行方不明になったとか)、一般人はわからん。現に僕の弟なんて、バブルがはじけて1年以上たってから、まだ「マンション買えって言われてんだけど」とか相談の電話してきて、「馬鹿か、お前は」と思ったもんです。情弱にもほどがあるだろと。日本人が「バブル」という言葉を普通に使いだしたのは、弾けてから2年目か3年目くらいだと思います。

 そのくらいリアルタイムには何が起きてるのかわからんよって話です。その間、情弱狙いで壮大のババ抜き合戦(少しでも高く売りつけて逃げる)が日本列島津々浦々で行われていました。

オーストラリアも良くない

 実際、世界の株価はアホみたいに上がってるけど、実体経済は良くないでしょ。日本の実質賃金や可処分所得はジリ貧一直線だし、今年からまた鬼のように税金などが上がるし。オーストラリアだって、鉱山バブルが終わったら地味だもんねー。あんなに上がってた賃金がぱたっと上がらなくなったし、来た頃には定期預金で8%くらい利息ついたのに、いまでは2%ちょいという涙もチョチョ切れるレベルですよー。公定歩合だって1.5%とか情けない数字で、オーストラリアのバブル期ってなんと17.5%もあったんですよ。リーマンショック直前ですら7%以上あったのに。移民や海外からの投資で上がりまくってた不動産もついに去年には頭打ちになって下り始めた。


 もし、株などの実体経済と連動してちゃんと景気を反映してたら、上のグラフと大体同じように、ずーっと下がり局面である筈です。もちろん企業別に成功する企業もあれば、落ちていく企業もあり、そこで企業分析をやり、相場の読みをやるという、本来の株式投資の醍醐味もあった。それが、こんな阿波踊り状態だったら、怖くて手出せないですよ。

 バブルというのは、いつかピーっと笛が鳴って、はい終わりーで、そのとき持ってた奴は地獄に堕ちるゲーム。だから、いつ鳴るかわからない笛にビビながら、上がり相場でどこまで度胸だめしでやれるか、チキンレースと言われる所以でしょう。


じゃ、破裂したら?

 これ、もう考えたくないです。

 「いつ?」については、出来るだけ先延ばしにしたいってことだけど、先になればなるほど破壊力はキツいから、その意味で言えば、今すぐ破裂した方がいい。

 なんに例えたらいいのかな?竜巻に襲われて、ぶわーっと中空に舞い上がってる状態みたいな感じ?まだ地上2メートルか3メートルくらいに上がってるんだったら、そこで落とされても、まあ骨折くらいで済むかしらん。しかし既に10メートルくらい上がってるような気もして、ここで落とされたらただ事では済まない。かといって待ってたらどんどん高度は上がるから致死率はどんどん上がる、、てな感じです。

 だから「いつ」に関しては、本来的に予想できないけど(それを出そうとしたら群衆心理学と高等数学がいるんじゃない?)、「いつがいいか」という希望も言えない。

 そして、破裂したらどうなるのか?ですけど、○メートルから地表に叩きつけられてどうなるのか?を考えるようなものだから、「考えたくない」です。そこを無理やり考えるとしたら、、

理屈の上ではこうなるかも

 GDPの何倍も負債があるということは、実際の経済活動に必要な資金の何倍ものお金が無駄に廻ってるってことでしょう?実際にはお金は何度も使いまわしがきくから、必要な量の数十数百倍無駄に出回ってるってことじゃないかな。普通だったら猛烈なインフレが起きて、お金の価値が墜落して(猛烈な物価上昇になって)調整をしようとする筈です。「お金=経済活動(売買その他の取引)に必要なツール」という本来の意味からすれば、必要な限度にあればいいし、その過不足は価格その他によって調整される。

 調整(破裂)する場合=ピーっと笛が鳴って「そんなワケないじゃん」って皆が我に返った場合、「こんなしょぼいマンションが5000万?冗談じゃねえや」ってなり、「いいとこ2000万だろ?」ってことなるので資産価値がドーンと下がる。この例だと60%くらいぶっ飛ぶ。5000万資産の保有者だ富裕層だと調子こいてBMWとか乗ってたのが、一夜明けたら3000万円丸損。しかも長期ローンで買ってるから実際の元利合計額は1億円くらいで、これは弾けても減額されないから、実際には借金8000万円くらい食らう。日本のバブルのときもそうで、遺産分割で3億円もらった人が、翌年負債7億くらいで自己破産しましたねー。

 ただね、個人レベルだったらまだいいんですよ(良くはないだろうが)。これが企業とか国家になってくるとシャレになりません。日本の大企業の資産(本社社屋の含み資産、保有不動産や債権、海外資産)がハンパなく溶けるんだから、せっせと貯めてる内部留保分つっこんでも追いつくかどうか。さらに、世界の消費は一気に冷え込むから本業も売れなくなる。倒産するか、それを避けるために超ハードなリストラをするか。でもそれがまた消費を冷やす。

 これが国や自治体の場合、もっと半端なくて、とりあえず税収がどーんと落ち込む、落ち込んだ分失業が増えたりして失業保険や生活保護など支出が増えるダブルパンチ。でもって国債が溶けたらどうなる?という、ここから先はSF的な話になるでしょう。

 このへん、何が何でも大丈夫だと思ってもらいたい陣営(国とか企業とか)、ダメだと思って自分の商品を買ってもらいたい陣営(外債買えとか)とが、それぞれに壮大な客引きのポジショントークやってるから、ネットで調べてても頭が破裂します。真逆なことを皆いいますから。

 でも外貨、外債つったって、世界同時に破裂してるし、日本自体は大してバブってないんだから、外から津波が押し寄せてくるようなものです。外国人投資家が一斉に浴びせ売りすれば日本の株価が墜落死するみたいな話です。だから外国に逃げてもあんま意味ないってことだと思いますけどね。ちなみ、だから「仮想空間」に逃げるんだってことで仮想通貨になったりするけど、投資とかそういう切り口で捉えたら、それはもう一般資産と全然変わらんから無意味でしょ。

 こういった状況(シビアさは神のみぞ知るだろうが)で、なんとなく想像できるのは、かなりの人が失業するでしょうし、年金や公的給付もガンガン減らされ、帳尻合わせのために税金などがすごく上がるでしょう。それすらダメだった場合(税金上げても払おうとしない、払えない)だったら、国家運営そのものがやばくなるでしょう。年金ストっプ、公務員給料カットてか無期限遅配とか。デトロイトがそうであるように、お巡りさんの給料でないから、皆やめちゃってパトカー来ない、来てもえらく待たされる。火事が起きても消す人いない、みたいな。やがて、電車、バスが来ない、水道が濁ってきた、電気が不安定に、、というインフラレベルにまで浸透するかも。

いつまで踊れるか阿波踊り 

 とりあえず、もう無理やり自己暗示かけて、大丈夫さ、そんなことないさ、ほら店にもこんなに人が買いに来て、綺麗なショーウィンドウにはこんなに豊かな商品が、ははは、破綻なんか気の迷いだよ、気にするなよって思い込むことです。集団幻想を見てる間は破滅から逃れられる。我に返ったら死にますからね。なんか雪山で遭難して幻想を見てるみたいな。

 でも、ま、今世界でやってることってそういうことのように思えてならないです。なんかもう半泣きになって阿波踊り踊ってるかのようにすら見える。踊ってる間は大丈夫だと。まあ、確かにそうなんだけど、踊ってる分、どんどん高度があがってるから、墜落したときの被害は日に日に上がってる。

 でもこれ未来永劫踊ってられないでしょ?これが、今80歳以上の「逃げ切り態勢」を図っている人だったら、もしかしたらいけるかもしれない。あるいは甘い汁を吸える立場にある人達は、ここを先途と火事場泥棒のようになりふり構わず利権を吸おうとするでしょう。ある意味「合理的な行動」です。ただねー、今の20-30代の人が天寿を迎えるまでの50年間、ずーっと踊ってられるのか?って言われたら、それは無いんじゃないのかな。それに踊ってれば破綻は免れるけど、すごーく不自然なことをしてることに変わりはないから、その歪みは出てくるだろうし、その歪み自体がキツいでしょう。当たり前のことが言えないとか、正気を保ってること自体が苦痛になるとか。

どこがどううやって生き残るの?

 でもって世界レベルで見た場合、生き残りの方程式や力学に興味あります。せいぜい数代以下の新興成金(三菱など日本の財閥なんかも所詮はそのレベルでしょ)ではなく、十数代以上続いた、世界の真の富裕層(富裕かどうかはしらんが)とか貴族系(○○家とか)は、多分これまで生き延びてきた家伝ノウハウがあるかもしれないです。「ノアの箱舟」の作り方を知ってるとか、もう用意できているとか。てか一定レベル以上いったら、「家柄」「血筋」とかそのへんでメシ食っていけるでしょ。日本でいえば、それが出来るのは天皇家くらいでしょうか。五摂家とかどうなの、リアルに。

 あと中国は大丈夫だと思います。大丈夫じゃなくても大丈夫に出来るからというか、必要があったら自国民を数百万だろうが殺せるだけの「根性」ありそうだし(それが素晴らしいことかどうかは別問題)、その裏返しとして国民性として逆境に強そうだから。北朝鮮もOKでしょうね。何を今更って感じでしょうから。

 総じて先進国は厳しいんだけど、それでもアメリカは国民性としてこれまた負けず嫌いだし、あそこは一回ぶっ壊れた方がいいと思うし、いい再生機会かも。EU系は、先進的に洗練されたシステムを作りつつある国、そして規模が小さいので小廻がきくようなところは、新しい社会体制に脱皮できるかもしれない。例えばシェアリング経済的な国家運営を先進的に進めていくとか。なんだかんだいって、彼らは2000年間殺し合いやって、革命も自分らでやってきてるから、タフっちゃタフでしょう。

 新興国や第三世界はポッキリ折れたりするけど、もともとの絶対値がそれほど高くないので、成金連中が死ぬくらいで、国民レベル、全体レベルでは案外と大差ないかもしれないですね。オーストラリアも、楽観できると思います。これも国民性として開拓民精神をまだ持ってて、頑健な肉体とタフな精神をよしとする文化あるし、自然発生でどんどんボランティアやってるように、いざ秩序がなくなったきの臨機応変の助け合いになると強いからです。

 さて、じゃあ日本はどうか?です。ほんといったら、世界で一番タフなのが日本人だと思うのだけど、「本気出す」ところまでいけるかどうかですね。そこまでの過程がややしんどいかも。

でも、ま、大したこっちゃねーよ

 でも、ま、しょせん銭金の話ですからね。破裂しようがなんだろうが、別にゴジラが暴れまわってるわけでも、火星人が襲来したわけでも、太陽が赤色巨星になって地球が溶けちゃうわけでもない。ただ金がないだけ。人は別に消えないし、その優秀な知識も技術も文化もなにも失われない。そして大自然は尚の事なにも変化はない。相変わらず霊峰富士は雪をいただき、渡り鳥はやってくるし、ゴーギャンが呆けなような表情で見惚れていたタヒチの壮麗は夕暮れは、なにも変わらない。

 なーんだ、何も変わらんじゃん。盆踊りのBGMが止まるだけの話でしょう。
 ただ、それだけのことにどれだけ個々人が影響を受けるかは、それは個々人の問題。ま、簡単にいえば、現在の体制やシステム、それと自我とがどんだけ密着してるかどうかでしょう。システム→パーソナライズされたシステム=世間体=自我になってると、ポッキリいったら、自分もポッキリいっちゃうから、ちょっと距離をあけておいたほうがいいかもです。

 でもなー、この阿波踊り、今日にでも終わるかもしれないんだもんなー。ま、津波みたいなものだから、終わってから影響が出てくるまで時間があるので、早めに気づいて、さっさと現地点から撤収して、次のフェイズに移行できるように準備はしておいた方がいいだろうと思うわけです、個人的には。別にそれが無駄になっても、いい棚卸しになるだろうしね。




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 文責:田村

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