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今週の一枚(2017/04/24)



Essay 822:この漫画がすごい

 C/W よく分かんないANZAC DAY

 写真はANZAC BRIDGE。ANZACの解説は本文。

ANZAC DAY

 明日(4/25)がそうだというタイムリー感があるのと、先日WalkingでAnzac Bridgeの写真撮ってきたので、ちょい書きます。ANZAC=アンザックとは、A(オーストラリア)+NZ(ニュージーランド)+A(陸軍、アーミー)+C(軍、Ccrps)で、オーストラリア・ニュージランド混成陸軍の略。

 第一次大戦のとき、本家イギリスのために(もと植民地)分家であるA+NZが対オスマン・トルコ戦に参戦し、ガリポリの地で壮絶な苦労をしたのを讃え、且つ第二次大戦後は全ての戦争関係のオーストラリア人の苦労を記念する日。夜明け前のドーンサービスやら、勲章ジャラジャラつけた軍服の人が練り歩いたりする日。

 正直、外国人である僕らにとっては、意味わかんない日でもあります。そんなに戦争好きなの?というと、別にそういうことでもないです。また、祖国防衛のための聖戦ってわけでもないし。そのへんの位置づけが曖昧なまま、「ご先祖の苦労をしのぶ」という部分だけが強調されてて、ようわかんないです。並べて比較されるアメリカの独立記念日、フランスの革命記念日は分かりやすいのですよ。でもなー、本家の呼び出しで応じたってだけならただのパシリじゃん、また本家イギリスの参戦だって大義名分ないし。てか今日まで続く中東紛争の最初のキッカケになったんだから人類史的にはむしろ罪深いでしょ。それになんぼ苦労したにせよ、そんなもん全戦争関係者、特に自分の村が戦場になってしまった住人とかと比べて突出してるわけでもないだろうしねー。

 だから、まあ、そういう理屈で考えてはいけないんでしょうねー。

 詳しくは、昔書いた世界シリーズのESSAY369: 第一次世界大戦を参照ください。第一次世界大戦は、第二次に比べると非常にわかりにくい。それだけに玄人受けするのでしょうが、めっちゃ複雑です。もともとは「火薬庫バルカン半島」がある。なんで火薬庫なのか?という前史がある。でもって、オーストリアとセルビアが喧嘩おっぱじめて、あっという間に燃え広がって、わずか10日の間に欧州戦争なります。なりゆきを簡単に言えば「オスマントルコの凋落→民族主義の盛り上がり→バルカン半島におけるスラブ民族主義とオーストリアの対立→オーストリアの宣戦→南下したいロシアの参入→対ロシア戦を構想していたドイツの宣戦→フランスとイギリスの宣戦」です。これに枝葉のように広がったのが、周辺国のトルコ、ブルガリア、イタリア。これらはまだ利害関係あるのでわかります。

 これだけならまだヨーロッパ戦争なんだけど、世界大戦に昇格するのは、さらに沢山の付和雷同国があるからです。一つは火事場泥棒系で、筆頭が日本。これ幸いと中国や太平洋上のドイツ植民地を攻撃してちゃっかり奪っちゃいます。んでもANZACだって結構ちゃっかりしてて、日本よりも先に、ニュージーランドが8月30日に太平洋上ドイツ領サモアを、9月にはオーストラリア軍がドイツ領ニューギニアの一部に攻めているという。ANZAC DAYではまず語られないだろう黒歴史だけど。第二に、子分参戦燃え広がりパターンで、ANZACがまさにそれ。もーね、全体からみたら枝葉も枝葉、周辺も周辺の有象無象のエキストラレベル。第三に、日和見&最後に美味しいところを取る系で、ルーマニア、そしてアメリカと中国。ま、アメリカも中国も、その当時はその程度の田舎国でしかなかったってことだし、だから歴史が進めばまたそうなっても全然不思議ではないよってことですね。

 で、ふたたびオーストラリアにおけるANZAC DAYの位置づけですが、当時のエッセイの文章をそのままコピペしておきます。これで十分だろうと。

 しかし、宗主国イギリスの使いっ走りのような出兵であり、しかもトルコ上陸戦というさほどメジャーな戦場でもなく、また結果的にいいところなく失敗している戦闘が、なぜ現在に至るまでオーストラリア人のナショナリズムを刺激するのか?正直僕もよく分からないのですが、おそらくはそれまでは単なる植民地・入植者の集まりでしかなかったオーストラリアが、初めて国家として世界デビューを果たしたという点が大きいのでしょう。それまでは単なるイギリスの植民地現場、言うならばダムの建築現場みたいな存在で、烏合の衆だったこの国が、はじめて「俺達の国」というまとまりを意識したのでしょう。その高揚感は確かにあったようで、人口僅か400万の小国において、41万人以上の男性が兵士として登録され、しかもその全員がボランティア(志願兵)であった(徴兵ではない)というのは凄い事だと思います。10人に一人、人口の半分が男性だとして5人に一人が志願したわけですから、当時の国の盛り上がりは相当なものだったでしょう。

 また、ANZACスピリットと呼ばれる概念があり、「オーストラリア(人)らしさ」「オーストラリアのアイデンティ」を現すものとして語り継がれています。それは、辛抱強くて、肉体的に壮健で、勇気とユーモアを忘れず、マイトシップと呼ばれる自然で平等な友愛意識を持つこと、、、こういった「オーストラリアらしさ」が世界の舞台で発揮され、また認知されたということで、オーストラリア人にとってはガリポリのシンドイ戦いを頑張った先輩達は、オーストラリアのいわば建国の英雄みたいなものに感じられるのだと思います。Diggers(穴を掘る人)というのは、オーストラリアやニュージランド兵を意味する軍隊スラングであり、今なおオーストラリア兵士を意味します。おそらくは第一大戦のしんどい塹壕や坑道掘りをしたことから由来するのでしょう(諸説あるらしいけど)。

 このようにトルコ戦線は、オーストラリアやニュージランド人にとってみれば、初の国際舞台であり、国としてのアイデンティ確立、ナショナリズムのゆりかごとして格別重要なメモリアルになるのですが、だがしかし、第一次大戦の戦局全体でいえば、「イギリス軍がトルコにちょっかいだそうとして失敗した」という程度の意味でしかないです。

 だから、僕の理解では、ANZAC DAYというのは戦争記念日というよりも、戦場というハードな局面を触媒にして、鮮やかに浮き彫りにされた「オーストラリアらしさ」、それを自分たちのアイデンティティとして再確認し合う日、なんじゃないかと思います。それなら理解できるんですけどね。


この漫画がすごい〜ギャングースとキーチVS

 今週は打って変わって漫画紹介です。この紹介系は、昔はデビルマンとかブランキーとか高橋和巳とか書いてたのに、最近はあんまりやってなかったので。FBでやればいいやって、ちょろっと書いたんだけど、なんかもう溜まって溜まってどうしようもないので、ここである程度まとめて書きます。

 ギャングースは、この国のいわゆる貧困児童がアンダーグラウンド世界で生き抜いていく話、キーチVSは、この国のヒーローになった若い男が、真剣に世直しを考えて、実行していく話。

日本のリアル

 この両者に共通するのは、今の日本の実相がエグいくらいに描かれていることです。人は自分の姿を大体3割増くらいに良い方向に盛って認識するとか言われます。実際よりも美男美女に、カッコよく自分という存在を見ようとする。だから第三者の何気ないスナップ写真に写ってる自分を見て愕然とするわけで。国や社会も同じことで、実際よりも良いように思う、この世はなべて平和で安穏で、まかり間違っても自分が地獄みたいな世界に叩き落されることはないと思う。思いたい。それを、無遠慮なくらいリアルに描いているのがこれらの漫画だと思う。

 ギャングースのリアルさは、オレオレ詐欺や半グレなど近時の日本のアンダーグラウンドを10年以上丹念に取材を続けてきた原作者が、防犯的な意味も込めて、その手口の詳細を書いてます。取材の深さもさることながら、彼らアンダーグラウンド社会の連中の緻密さ、計画性、慎重さ、残忍さ、だからこそ逆説的に感じられる人間らしさ。実際読まれてみて一驚されると思いますが、全編欄外の注釈だらけで、読むのに非常に時間がかかります。が、読む価値はある。僕自身、刑事弁護や民事暴力、倒産案件などでアンダーグラウンドと触れる機会は、普通の人よりはあった方でしょうけど、その僕から見ても、ああ、これはリアルだなーって思う。リアルならではの論理的整合性や実戦性があるから。防犯的な意味だけでも、読む価値ありますよ。某建設会社の工事現場のナンバー錠の番号は全部同じにしてあるとか、違法携帯のルートの一つに八王子系があるとか、個人情報漏えいの行き着く先としてのカモリストがあり、そこには独自の調べで「威迫に弱いか」「世間体を気にして金で解決する傾向があるか」などの心理傾向まで詳細に調べ上げられているとか。

 逆にキーチVSはアンダーグラウンドではなく、オーバーグラウンドのリアル。主人公の設定やストーリーは非リアルなんだけど、その背景で取り上げられている日本の社会問題のリアルさ、それは例えば狂牛病騒ぎの詐欺まがいのでっち上げから、ころっと騙される世論の馬鹿さ加減やら、介護保険の自己負担金まで。特に一巻で延々描写される、実直なサラリーマンが、母の介護で疲れ果てて、心中を考えるに至るまでの緻密な経過は、そのあまりの「他人事じゃねーよ」感は背中に氷水ぶっかけられるくらいリアルです。

普通の人の非リアル

 もう一点、両作品に共通するのは、「普通の人が一番ダメだな〜」という認識です。これは、どんな問題を掘り下げていっても、最後に鉱脈のようにブチ当たる問題で、いわゆる大衆の愚民性の問題でもあります。羊の集団がおって、狼が襲ってきて端からガシガシ喰われているんだけど、羊は自分の目の下30センチしか見ようとしないから全然気づかない、それに気づいて警鐘を鳴らす羊もいるんだけど、逆に狼少年呼ばわりされて他の羊にウザがられたり、いじめられたりする。狼なんか来るわけないよ、今の平穏がずっと続くんだよと根拠のない思い込み、時には信仰に近いくらいの願望的すがりつきで、結局誰も救われないという構図ですね。ギャングースの場合は、貧困家庭がどれだけのものか想像力がしょぼいから理解できず、生活に苦しいのは俺も同じだと一般化することで誤魔化したり、盗人も三分の理的なくだらない矮小化をして済ませようとする羊っぷりに対して。

 この点、キーチVSはもっと明確に主張されてます。主人公の輝一は、爽やかなくらい巨大な男気を持ってて、困ってるやつを助けるのは当たり前だ、理屈じゃねえ!で子供の頃から抜群のカリスマ性を発揮しする。そのあたりは「男一匹ガキ大将」のノリです。で、新興宗教の教祖まがいに大きな影響力をもつ存在になるのですが、そこまでは前作の「キーチ」部分で、「VS」になると、全然世の中良くならないのに業を煮やし、むしろ大衆を敵に廻すような言動をします。お前らが見て見ぬふりしてるからだろ?と。そして今の大人はもうダメだで見捨てて、子供たちになんでこの世界がクソなのか、自分で考えろと投げかけ、そして自分は、、と破天荒な展開になだれこんでいきます。

 以前弁護士やり始めて、わりと早い時期に思ったのだけど、この社会の上下10%はわりとリアルに生きているんだけど、真ん中の80%くらい(数はテキトー)はあんまりリアルじゃないなと。上の10%というのは大企業のトップクラスや、政官界を動かすレベル、あるいは筋金入りの社会活動家とか、下の10%というのはヤクザやアンダーグランドです。上が善で、下が悪かというと、実は上もそんなに善ではなかったりするんだけど(笑)、ことの善悪はともかく、彼らは(ボケな二代目やサラリーマン社長は別として)。この世界のリアル(弱肉強食の非情さや、人間幻想の虚妄さ)をよく知っていて、それがゆえにいつ殺されても不思議でない的な現場で命張って生きている。生きることに命がけ。この世界では他人の目を気にする奴など皆無だし(あるとしたら冷静に計算された戦略的なイメージコントールだけ)、「人並みに」なんて間違っても思わない。だもんで、やってることには同意できなくても、人間的にはまだ理解も共感も出来る。でも真ん中の80%が微妙に謎で、まあ自分もそっちなのかもしれないから、ある程度わからんでもないんだけど、でもやっぱ分からんわーって感じ。そんな気持ち悪い非リアルさ、「皆がやってるから」「世間では」とか、本当にそんなものだけで人間生きていけるのかどうか、ギリギリのところで僕にもわからん。生き物として不自然というか、人間ってそこまで自分を誤魔化せるもんなの?どうやって?とも思う。

 なお、誤解を招いたらあかんので、もうちょい言うと、リアルに生きるというのは、別にヤクザや社長にならんでもいいです。全然市井の平凡人でもいいんだけど(てか立場や身分なんか関係ない)、でも生き方に誤魔化しがない、自分を騙してない人は沢山おって、そういう人達にはリアルをすごく感じます。自分の良心や感性を殺してる度合いが少ないというか。最近は、そういう人、むしろ増えてるんじゃないかなー?性格もやってることも全然普通なんだけど、要所要所でスジはきっちり通すというか、にっこり笑って貧乏くじひく人。

 でもって、この80%が社会を良くしていこうという部分ではやっぱネックになるのですね。その見ようとしない部分やら、素直な感性を自分で殺している部分やらがあかんのだろうけど。こういうのって共鳴が共鳴を呼んで広がっていくのが大事なんだけど、そこに消音材みたいなデフな素材があちこちに入ってきてしまうから、止まってしまうという。

ギャングースの面白さ

 で、何の話かいえば、ギャングースもキーチVSも、そこがまた別の意味で(人の生き方というレベルで)リアルで、それが読んでて気持ちいいです。特にギャングースの主人公三人トリオの馬鹿的なひたむきさはすごい。小学校もいかせてもらってないから俺は漢字読めないんだよ、何にも世間のこと知らないんだよ、だから恥ずかしいもクソもなく必要だったら一番知ってそうな人に聞きまくる、それっきゃないんだって部分。背中一面、虐待といじめの傷跡だらけで、「ウンコ」とまで掘られていながら、「大したこっちゃねーよ」と鼻くそほじりなら嘯いたり、少年院のイジメでメシを床にぶちまけられ啜って食えと言われている奴を助けるため、自分でも一緒になって啜って「あー、うめー、床ゴハン、サイコーだぜ」ってしゃあしゃあとやってのけられるメンタルのタフさ。お馬鹿でありながらも、俺みたいな子供をもう日本で作らせない、そのために銭がいるんだ、61兆円あればなんとかなるという意外に勉強熱心だったりする部分やら。

 ギャングースは、生い立ちがめちゃくちゃ悲惨なんだけど、ギャグ漫画でもあるという不思議な作品で、主人公が底抜けに明るく、底抜けに真っ直ぐなところが救いです。このあたりはフィクションなんだろうけど、暗くなりがちな世界を描きながら暗くならない。また出て来る人間がえらくキャラが立ってて、アンダーグランド勢揃いって感じで、闇系の道具屋ナンバー1の高田くん、チャイマ(チャイニーズマフィア)のヤンくん、黒孩子(ヘイハイズ)の可愛いユイカちゃん、筋金の入りの極道のミヤさん、地元の町の後輩達の面倒を一心に見てみたスーパー番頭の加藤さん、在日外国人二世ハーフのマルコスとカルロス、闇金に追い込まれて両親が首を括るのを目の前で見させられ、復讐を誓って何年もかかって敵に懐に潜り込んでいったアゲハさん、敵役の半グレの王様安達(チャラいホリエモンらしき人物も出てくるけど)などなど。

 でもほんとギャングースはネタの宝庫というか、一巻づつ語りたいくらい濃密ですよ。福島地震の直後に行われた窃盗団、詐欺団のリアルとか、お年寄りを騙す手口としてのリフォーム詐欺のあれこれ(バリアフリーだの、金庫だの、金庫補強のジャッキアップだの、床暖房だの)、リタイアした大手企業の部長を騙すために相手のプライドをくすぐりつつ誘導していくリアルな話術、詐欺チームの選抜方法や、そこでの人格改造講座まがいの特訓の様子、これだけ周到に準備されたらそりゃ騙されるわってレベルです。

 でもって、また思うことが2つあって、一つは、日本で貧困が広がるというのは、こういう世界が広がるということでもある点。このレベルでやってこられたら、普通の人だったら太刀打ちできないですよ。でもそれは単に荒廃が広がるというだけではなく、それはそれでまた新しい何かのシステムになっていくのかなーという気もします。いい意味でも悪い意味でも。もうひとつは、子供の貧困って、要するにそこまで追いやってる大人の問題だということです。本当にむちゃくちゃな親とかいますから。自分の娘を小学生の頃からずっと犯してる親とかさー、中学生の娘に売春させてその金で覚せい剤買ってる母親とか、でもそれだって生活保護を却下されて、必死で働いて疲れ果てた末だったりとか。こういうのは一部の変な人達、自分には関係ない世界の人達だと思ってるのが80%の非リアルな世界の人達で、その非リアルな鈍感さが惨状を招いているんだと思いますわ。

 じゃあどうすんの?というと、社会全体をせーので直すのはそれはそれとして、今の自分にリアルに出来ることをやるっきゃないべと。名前も知らない誰かを助けることは難しくても、友達や仲間は助けられる(場合もある)。博愛主義になれっていっても無理だから、自分の好きな人がなんかで困ってたら、もう半歩でも一歩でも進んで手を貸すこと。とりあえずそのくらいは出来るんじゃないか。あらたまって「いいこと」なんかしようとしても照れるし、気恥ずかしいしってのもあるし、とりあえずは、ああ気の毒だな、頑張ってほしいなって思ったその初期衝動を保存して、もうちょっとだけ「なんか」するってことですかね。あと手が届かない部分については(殆どがそうだが)、見ないふりはしない、理解しようと試みる、でも理解なんかできっこないんだから、少なくとも分かったような気持ちにならないこと、くらいですか。出来ることしか出来ないんだし。でも、出来るのにやってないことって結構あるから、まずはそこから(多分そこで力尽きるが(笑))。それでも結構違ってくるとは思います。


 ↑ギャングースより。



 ↑キーチVSより


その他

 おお、予期はしていたがたった2つでこんなに書いてしまった。あと以下のように山ほどあるのですが、これでも直近1-2年に読んで、過去10年内外に出て、且つ紹介したくなるものと絞り込んだんだけど。それぞれに上と同量は書けるのですが、それはあとの楽しみにしておいて、大雑把な走り書きのみ。

★音楽王道系

[石塚真一] BLUE GIANT
[浅田有皆] ウッドストック
[一色まこと] ピアノの森

音楽系は概してアタリが多いです。伝説の名作(僕のなかでは)「TO-Y」とか、リアルタイムに読んでましたけど、時代のセンスの一歩も二歩も先にいってて(だから今読んでもピンとこないだろうが〜なんつっても吉川晃司のデビュー当時ですから)、作画やデザインの斬新さもあって(その後多くの模倣者を産んで一つの流れになったと思う)、死ぬほどカッコ良かったです。

TO-Yと同じロックバンド系は「ウッドストック」ですが、漫画に限らずロック系の面白さって、出て来るバンドのキャラの立ち具合だと思います。名前からビジュアルからとにかく個性を立たせようとするからね。もーね「こんな人間、この世にいるんか?」的な、まるでウルトラマンの新しい怪獣のような。「TO-Y」に出てくる「GASP」も「ペニシリンショック」「カシミール」も、このウッドストックでも、主人公のバンドはチャーリーで普通なんだけど(なんでこの名前なの?という点が腑に落ちないが)、対バンの連中がいいです。「ヴァンダーカマー」とか、「是ケ非」とか「雷怒」とか。

漫画で音をやるのは超難しいんだけど、でも音が出ないだけにフィクションが出来るとも言えるわけで、「音一発の説得力」でご都合主義的に話を進めることも出来る。ウッドストックの主人公は温厚な「羊」とあだ名されている青年だけど、ギター一発鳴らすだけで周囲がのけぞるという。冷静に考えればそんな音あるのか?って気もするんだけど(笑)。この点は「ブルージャイアント」のサックスもそうです。

ブルージャイアントは思いっきりジャズの漫画で、ジャズに魅せられた高校生が毎日狂ったように練習して、東京に出てきてまた狂ったように吹きまくって、徐々に認められていくというベタベタな根性展開。しかし、主人公のキャラが底抜けに突き抜けてていいです。どんなに心折れそうになっても「屁でもねえや」ってやりすごすところは、意外とリアリティあります。ベッタベッタで暑苦しいようにみえるんだけど、実は暑苦しく感じないのは、基礎練習の理論やら、なっかなかうまくいかない展開やら、厳しい指摘をする先導者や周囲の大人達がきちんとよく描けているからでしょう。あと主人公が熱血すぎる分、仲間の雪折君が超クールで傲慢。「才能ない人はなにやっても無駄でーす、はい、消えてください」とか言っちゃう。でも実はもっと熱くて「ジャズっぽく聞こえる手癖の音楽、グルグル回してダラダラ流す、オレらみたいな若い連中で本当の音を作って、ジジイ連中にわからせてやらないと、あいつらがどんだけジャズをダメにしてきたか」とのたまうわけですな。この作品はまだ連載中で、単身ドイツにわたって、言葉もわからなければ、路上で吹いてもウザがられるという段階を経て、超親身になってくれる友達をみつけて、、、って段階まで読みました。これって、ありえないくらいご都合主義な展開だろ?と昔の自分だったら思ってたけど、実際に海外に住んでみて思うのは、こっちでうまくいくのって大体がこのパターンだよなーって。ありえないような出会いがあるんだわ、本当に。そのへん実はすごいリアルだなって。

だー、全然短くならない!「ピアノの森」は文字通りピアノの話ですけど、これもいいです。「安心してお子さんに読ませられる」っていう王道展開で(微妙な描写もあるが)、ピアノが好きで好きで、自己流でうまくなって、でも天才的な才能があるから世界の頂点にまでいってしまう、これもありえないような話ですが、でも嫌味成分ゼロに近いくらい爽やかな話です。勿論、天才師匠について発狂レベルに練習もする過程もきちんと踏んで書かれているし、同時に脇役たちが個性的でいいです。コンクールで世界各国から天才達が集まってくるんだけど、それぞれに生い立ちやら葛藤のストーリーがあって、それが音の個性を作っていく、そして天才ライバル達に揉まれて一皮むけて突き抜けて、広い世界に解放されていくあたりは読み応えあります。中国のバン・ウェイ君の解脱物語とかベタなんだけど素直に感動したなー。でもって、大団円の大ハッピーエンドにつながっていくという、どこまでも爽やかなんだけど、これを白けさせずに読ませるのは、やっぱストーリーの作り込みが上手なんだと思います。画力的には抜きん出てるわけではないし、むしろ描線少なくさらっと書いている反劇画タッチの絵柄なんだけど、それが逆に良い。てか無駄を削ぎ落とした画力の凄みもあるのかな。伝わってくるし。

あー、もう時間がない、ページも尽きた。あとはまたやります。一行コメントだけ。


★外国史・異文化系

[森薫] 乙嫁語り〜超好き。カザフスタンとか中央アジアの人達の暮らしを描いたもので、その佇まいが親しみが持てるし、とりあえずカッコいいんだわ。良いです。あと、夫を持ちながら、女友達同志で結婚するというレズ婚も公認されているという文化があったとは知らんかったです。絵もか〜なり綺麗で読み味良し。

[野田サトル] ゴールデンカムイ 〜明治初頭の北海道、アイヌ文化がこれでもかって出てきて、それが面白いです。膨大な文献を調べているみたいで読み応えありますし、明治時代の諸相がわかるのもいいです。最近モテモテの土方トシ様、カッコいいジジイになってここにも登場。そうえいば手塚治虫の「シュマリ」も同じような時代設定/場所でしたね。あれも名作です。

[王欣太] 達人伝 9万里を風に乗り〜名作「蒼天航路」の作者で、これはキングダムよりもやや早い時期の秦国勃興前夜。ただ曹操に匹敵する突出したキャラがないので、なんとなく散漫な感じもするかな。

[夏達] 長歌行〜唐の初期の話だが、周辺の突厥とかウイグルなどの部族との交流も描かれてて、こういう人種問題もあるのかと。中国の作家さんですが、女性らしく綺麗で清冽な絵です。

[乃木坂太郎] 第3のギデオン〜「医龍」の作者がフランス革命を描いたもの、ただちょっと視点が違うところがミソ。きれいにトントン読ませてくれるのはさすが。

★職業系、業界系

[池田邦彦] カレチ〜昭和時代の国鉄マンを描いたもの。三丁目の夕日の職業版みたいなもので、職業に誇りを持てた良き時代の日本。

[雲田はるこ] 昭和元禄落語心中〜けっこうドロドロした部分もあるんだけど、女性作家らしい流麗な描線でさらりと読ませてくれるし、全編に込められている落語愛がいいです。しかし、つるつる流れる江戸弁喋りは気持ちいいさね、僕も中坊の頃はこういう喋りだったし。

[二ノ宮知子] 87CLOCKERS〜「ハチミツとクローバー」の次回作のような感じで、パソコンのCPUをいかに高めるかという超ニッチな世界を描いたもの。ドライアイスで冷やしたり、液体窒素を垂らすスピードが命だったり、それで世界大会があるという、こんな世界もあったのね、という。

[小玉ユキ] 月影ベイベ〜独特のテイストと屈折のある青春ドラマなんだけど、特筆すべきは富山県八尾市の伝統舞踊「おわら」が全面にフィーチャーされている点。方言やおわらの取材の確かさは特筆モノらしいし。しかし、ファシズムまがいに学校から町から一丸となってて、そうなんだー、熱いぜ、という。

[坂本眞一] 孤高の人イノサンイノサン Rouge〜新田次郎の山岳小説の名作「孤高の人」の現代版リメイク。不器用で内向的な青年が山しか居場所がない的にのめりこむんだけど、途中で結婚してよき家庭人になる転換がいいし、それでいてクライマックスで生死の境でヒマラヤを制覇するあたり、ツルがヒマラヤを越えていくシーンとあいまって、人はなぜ登るのか、生きるのかというところが感動。
「イノサン」はイノセントのフランス語読み(なのか)、フランス革命前夜の死刑執行人でありギロチンの発明家でもある主人公の繊細な魂と苦悩、対象的に奔放で男気100%の妹。今は続編のルージュが連載中。この人、絵がめちゃくちゃ上手で惚れ惚れするんだけど、それだけに処刑のシーンで筋肉や血管レベルまでリアルに描写してて、気の弱い人はトラウマになるかも。んでも、あの頃のフランスの衣装というのは、人類史でも一番カッコいいんじゃないかってくらい、リボンの騎士的な帽子がいいです。

★医療系

[恵三郎] フラジャイル 病理医岸京一郎の所見〜医療系漫画は沢山あるけど、病理医というのは知らんかった。緻密な検証をする病理医からは「医者の診断の3割は誤診」に見え、そのニッチな職業描写がいい。超過酷なんだけど妙にゆるい職場の雰囲気とか、治験目的で不正を企む製薬会社、経営不振の病院のためのコンサルの無理解とか、あれこれある中を、長身・強面・無愛想の主人公が踏み潰していく。

[関 達也 ] ホルスの手 は、スーパードクターK的な、ブラックジャック的な感じなんだけど、どっちかというと義理人情系でもあり、昭和の香りが濃厚の漂う[史村翔×ながやす巧] Dr.クマひげと同系列かな。

★アート系

[ながべ] とつくにの少女〜めっちゃ好き。グリム童話的、ムーミンがサスペンスやってるようなストーリーなんだけど、それはどうでもいいってくらい、絵がいい。もう「絵本」です。どっかで見たことある絵柄なんだけど、それは子供の頃にみた絵本のイメージそのままで、でも構図でもなんでも斬新。無垢の少女と一見怪物的なんだけど実は知的な紳士である主人公(?)の森の中の物語。

[marginal×竹谷州史] Astral Project 月の光〜幽体離脱ものなんだけど、ありがちなパターンにいかなくて、時代精神とか哲学系にいく。でもって、普通の絵なんだけど、でも誰にも似てない絵とあいまって、独特の世界をつくってる。なんの話かよう分からんまま終わっていくのだが、でも読み終わると感動しているという、映画見た感じに似てるのでアート的だと思う。

[オノ・ナツメ] ふたがしら〜版画のような絵柄がいいです。すごい個性。ちょっとBL入ってるんじゃないの?ってくらい「男の色気」が女性視点で(そう思えるんだわ)描かれる。淡々と続く渋い展開、特に最後の方の無音の墓参りはシンとします。これもいい日本映画見たような感じ。

[林田球] ドロヘドロ〜これ手強いです(笑)。なんじゃこりゃってグロで怪物ばっか出てくる絵柄なんだけど、ここまでくるとアートだなーと。グラフィーティが漫画になってるような。トカゲの顔をした主人公の口の中に知らないやつが住んでいて〜って設定自体がぶっとんでいる。しかも、あんな怪物的でありながら、意外とドメスティックで、手製のギョーザが好きとか。一発芸かと思いきや21巻まで出てて、根強い固定ファンを掴んでいる。

★勉強系

これらは娯楽的に面白いというよりも、こういう世界もしらなきゃなーって勉強的な動機で読んだもの、あるいは結果的にそうなったものです。

[永田カビ] さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ[永田カビ] 一人交換日記〜赤裸々自己告白系の漫画なんだけど、よくそこまで自分のことをさらけ出せるなーというところでまず感心します。が、でも、表現がめちゃくちゃ上手です。すごい分かりやすい。自分はクソ鈍感なところがあって、メンタル的に大変な人の気持がようわからんかもという自省もあって、教えてもらうような気持ちで読みました。ああ、なるほどなーという、「甘ったれんじゃねえ」的な片付けをしてはいけんよな、それじゃ上に書いた80%になっちゃうなって。

[沖田×華、君影草]はざまのコドモ 息子は知的ボーダーで発達障害児〜育児系で、明確にどこにもカテゴライズされない傾向のある子供を持った親の場合、その育児のしんどさに加えて周囲の無理解がさらに重くのしかかることがよく分かる。

[榎本 由美] 児童養護施設の子どもたち〜これも書きたいことはわかるし勉強になるんだけど、ギャングースや永田カピさんのような読ませるためのサムシングが欲しかったところ。むしろそれをメインに描いているわけではないんだけど、あとの「リクドウ」の方が記憶に残った。

[ふみふみこ] ぼくらのへんたい〜性同一性障害というか、そこまでシリアスではなく、趣味なんだかってパステルトーンの女装子さん3人の青春友情物語。ほわわんとした絵柄で、ほわわんと進んでいくんだけど、その違和感をもたせない空気感の描き方が秀逸。別に変わったことじゃないでしょ?ってテーマのようなものが浸透する。

[流水りんこ] アナタもワタシも知らない世界 オカルト万華鏡〜オカルト最前線みたいな話なんだけど、知的で化学的なツッコミがバランス感覚良くて好きです。なにかなんでもインチキと決めつけるわけでもなく、かといってお花畑に行くわけでもなく、「そう考えた方が自己暗示になりやすくて、結果オーライって場合もあるんだよねー」みたいな、大人的な視点がいいです。自分でもそう考えるだろうし。

[玄鉄絢] 星川銀座四丁目〜レズビアンほのぼの純愛系というか、生徒と教師という二重にイレギュラーなんだけど、すごい真面目な主人公達なんで、応援したくなるという(笑)。性差とか年齢差とか言ってる奴が馬鹿に見えるっつか、人が人を大事に思うのっていいよねって素朴なところで。でも社会生活との折り合いとかもキッチリつけてて、おませな小学生も一級建築士になるし。

★ゲーム・知的パズル系

[迫稔雄] 嘘喰い〜延々続いている隠れた?名作。JoJoの荒木飛呂彦氏のお弟子(スタッフ)さんだったっけ、あの「変なんだけどカッコいい」的なタッチは受け継がれているかも。デスノート以上に頭がウニになるギャンブルゲームの知的闘争(複雑な確率計算を暗算でやる)。それでいて、戦国時代から続く「賭郎」という日本最強の闇組織というぶっとんだ設定、立会人の人間離れした格闘能力や格闘シーン。さらに負けたら本当に殺されてしまう残酷さ。絵も上手いんだか、デッサン狂ってんだか分からんのだけど、そんなことはどうでもいい的なパワーがあって、もう濃い。途中から脇役の立会人達のキャラが魅力的すぎて、主人公かすんでるんですけど、長い漫画が大抵そうよね。

[大沢俊太郎] ゴタ消し -示談交渉人 白井虎次郎-〜絵が「TO-Y」じゃんって思ったけど、交渉や駆け引きの王道いってます。さんざん押したりひいたりブラフかましたりするんだけど、相手の言うことの論理整合性を瞬時に検証する知的能力(これ、証人尋問でもモロに使う力です)、でありながら最後は「誠意」ってところが、わかってるなーって。最後モロに打ち切りって感じで可哀想。

[宮月新×神崎裕也] 不能犯 〜刑法理論に出てくる不能犯から着想を得たんだろうけど、何巻も続かせて読ませるのは芸だなー。

[FLIPFLOPs ] ダーウィンズゲーム〜これもよくある異世界バトル・ロワイヤル系で、話のテンポがいいです。最初うろたえてた主人公がだんだんスーパーな存在になるんだけど、そこの過程がいまいち説得力ないんだけど、テンポがいいから許すって感じ。

★外国系

[コースケ] ギャングスタ GANGSTA〜これは次の異人系に入れてもいいんだけど、イタリアあたりを彷彿とさせる、いかにも外国という風景や乾いた空気感がいいです。また「フタガシラ」のような男の色気もかかれてて、クールだけど熱い、ルパンと次元コンビ的なのが好きな人にはおすすめ。あとになるほどキャラが増えてワケわかんなくなってるのが難点かな、ちょいハガレン的なニュアンスもある。

[皆川亮二] PEACE MAKER ピースメーカー〜異世界?なんだけど、まんまアメリカ西部劇王道風味のガンバトル。離れて、向かい合って、早撃ちでってやつなんだけど、17巻もありながらテーマがブレない、ダレないのが良い。エマーソンとか、クリムゾンとか、太陽と戦慄とか、さりげにプログレ入ってます。過去に自分が倒してきたライバル達が怨念オーラになって包むという、北斗の拳の無想転生みたいなコンセプトながら、その表現技法は発明レベル。

★SF異人系

[三浦追儺x桜井画門] 亜人〜有名だから解説の必要もないでしょうけど、けっこう好きです。頭が良すぎるがゆえに性格が悪い(わけではないが誤解される)、だから感情移入しにくい主人公という設定が面白いです。むしろアメリカ海兵隊のスーパーエリートだった佐藤(見た目は優しそうなおじさん)の方が凄すぎて、喰われてる感はある。でも、これ、絶対、大友克洋のAKIRAに影響受けてるというか、目指してるというか。空気感が似てるし、カバーの想定なんかも。これみよがしにしてるのかな。

[石田スイ] 東京喰種東京喰種 Re〜これも解説の必要ないド有名な。先日、ウチの隣のマリアンヌと話してたら、これの大ファンらしく、「カネキケン!」とか叫んでました。SF異人系、ソリッドでハードなものなんだけど、テーマになるのは人のつながりとか、かなり温度も湿度も高いものです。新シリーズReになって、キャラが増える増える、もう収拾つかんぞ、場面転換早すぎて3回くらい読まないと意味わからんぞって難点はあるんだけど、でも面白い。

[オニグンソウ] ヒトガタナ〜人と日本刀が合体するという発想が面白いし、実在する日本刀の名称がそのまま使われてて、昔の人のネーミングセンスに感動。白黒モノトーンのコントラストを上手に使った絵柄。

[ゆうきまさみ] 白暮のクロニクル〜よくある長命人間モノなんだけど、サスペンス推理ものでもある。主人公が見た目ベビーフェイスでありながら、ちゃっかり人を食った明るい性格なので救われているというか。運命に絶望して死にたくなるようなことでも、「なかなか大変なんだぜ、これでも」で済ませてしまう強さがあって、それが背骨になって、この一連の物語を明るくさせている。

[花田陵] デビルズライン〜これは逆にシリアスハードな展開ながら、ウェットな部分が効いていて、東京グールや亜人的な設定でありながら、切なすぎる初恋的な、「男女○人物語」という青春恋愛系も入ってるという面白いテイスト。

★サスペンス系

[三部けい] 僕だけがいない街〜これは名作です。サスペンスの妙もありますが、ほのぼのした地方の街や人々の雰囲気が和むんだけど、周到に練られたプロットで完成度が高いです。

[松浦だるま] 累(かさね) 〜演劇もので、超名作「ガラスの仮面」を彷彿とさせます。が、口紅によって顔を入れ替えるというとんでもない反則設定で、それがゆえに犯罪サスペンスにもなりというひねった設定。カバーの絵が突出してるので読んでみたら、面白かった。

★私小説文学系

[小西明日翔] 春の呪い〜美男美女カップルの王道ラブストーリーなんだけど、最初から陰鬱な展開で、でもそれがイヤではなくて、なんつのかな絵柄のとおり「端正な」作品です。

[波津彬子] 秋霧の忌〜これも女のドラマ王道編で、ちょっと昭和入ってます。てか源氏物語から変わらん普遍性もあります。昔よくやってた(今も?)の昼メロを良質にしたような感じね。

[須藤佑実] ミッドナイトブルー〜カバーの絵がよかった。バブル時代の「わたせせいぞう」的な描線なんだけど、実際に読んでみたら、話の内容はもっと良かったという。短編集なので、気楽に良質なものを読みたい人には。

[吉田秋生] 海街diary〜これもカバーの水彩画風に惹かれて。有名な作品だけど。まあ、よく出来てて、街、暮らし、ドメスティックな良さは「3月のライオン」的なものに通じます。ただ、ちょい主人公の気配りや大人度が鼻につく部分もあるんですよねー。出来過ぎ感があって。

[麻生みこと] 海月と私〜ど田舎の民宿の親父さんと、ぶらり来訪した謎の美女(めちゃ優秀)とのなんだか良くわからないまま進展していく物語で、どっかの日本映画見てるみたいな。でもすっとぼけたテイストが妙になごむのですな。






 、、、って、だ〜、まだこんなにあるのか?(↓)。もうなんぼなんでも書きすぎでしょ。以下、次回。
 これから書くタイトルですが、長くてうざいからタックしておきます。見たかったら見てね。

→書き残したタイトル一覧




ANZACブリッジをPyrmont側から登るには、巨大な螺旋階段ならぬ螺旋スロープを二周します。


途中でGlebeの水辺が見えるんだけど、手前の岸(フィッシュママーケットの隣)には、多くのボートが鎮座ましましてます。


ハーバーブリッジとはまた違った視覚ですよね。秋の空


これが噂のアンザック像。Rozelle側にあります。


実は両側にあります


それぞれに碑文にはあれこれ書かれてて、本当にトルコのガリポリの砂を埋めているとか、NZの首相も招いてるとか


下を通ると両方行ける。つか、橋の下はこうなってるのね。


先の方まで道が続いてて、、、


そうなると、行けるところまで行きたくなるのが業というもの。




 文責:田村



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