何度となく書いている持病の偏頭痛ですが、今週はすごいのがきました。なにがすごいって気圧の変化です。
グラフはオーストラリアの気象庁から取ったものですが
(過去4日分のグラフ)、5月1日の正午ごろに1018hPa(ヘクトパスカル)に達した気圧は、どんどこどんどん下がり続け、48時間後の5月3日の昼過ぎには994hPaまで降下し、2日で24hPaも下がってます。気圧900台って、なんか台風みたいだぞ。
1018→994hPaまで直滑降状態
荒っぽい大陸性気候のオーストラリアでは、気圧変化も荒っぽくてジェットコースター的に上下動する場合が多く、これが偏頭痛持ちの僕としてはツライところです。カミさんも似たようなことをこぼしていました。
それがなにか?というと、それだけなんですけど、今週はたったこれだけのネタで書きます。政治経済、社会、人類、、みたいなご大層なネタは、自分でちょっと食傷気味なので、ネタになりえないような些細なことで一本書いていくということをしたい気分なのですよ。さてどこまで広がるか。GW連休にふさわしく(ふさわしいのか?というかもう連休も終わりか)、ゆ〜るゆるなモードでいきます。
実は日本の方が荒っぽかったりして
なんとなくのイメージで、日本の気圧変化よりもオーストラリアの方がずっと荒っぽいと思っていたのですが(気温に関しては確かにそうなのだが)、本当にそうか?と思って調べてみたら、なかなかどうして日本もかなり荒っぽいです。
ネットであれこれ調べてみたら、まず左のような一ヶ月データーがありました。今年の4月しょっぱなの乱上下が凄いです。
「ほう、そんなことがあったのね」と、今度は日本の気象庁のサイトにいき、日時や場所を細かく指定・入力して
過去の気象データーをピンポイントに取り出すところがあるのを発見しました。これで調べてみて、データーをエクセルファイルとしてダウンロードし、さらに自分でグラフ化したのが下のものです↓。一応原データー(エクセルファイル)も上げておきますね。
3-4月データー.csvです。
2014年3-4月の東京の気圧変化
右のグラフは、今年(2014年)の3月から4月の約2ヶ月間、東京の平均現地気圧を日別に出したものです。一覧してお分かりのように、グラフ中央部、3月末から4月初頭のあたりに激しい上下動が記録されています。993hPaくらいから3日間で一気に1018hPaくらいまで急上昇し、それから2日間で990hPaくらいまで急降下するという、まるで遊園地の絶叫マシン的な激変が記録されています。
しかもそれだけ突出しているわけではなく、3月期はこれに類する上下動のギザギザばっかです。わりと穏やかなのは4月中旬くらいで、あとはガッキガキ。
こ〜れは偏頭痛持ちにはキツいでしょう。頭痛持ちに限らず、体調不良になる人が多いだろうと思われます。
この頃(3月)といえば、消費税増税前の駆け込み需要とか、やれ確定申告だ、やれ年度末だ、やれ卒業だ、やれ引っ越しだなんだかんだで色々忙しい日本の3月。そういえば「桜3月散歩道」という曲があったな。そんな状況で、この気圧変化と体調不良。皆様におかれては、さぞやお疲れのことと拝察いたします。御身大切になさいませ。
気圧/気象変化と体調
無限にある原因
気圧変化が体調に影響をおよぼすのは、単なる都市伝説ではなく、ある程度医学的にも是認されているようです。
「ある程度」と歯切れが悪くなるのは、この種の疫学的な(集団的な)因果関係とかメカニズムというのは、メチャクチャ不確定要素が多く、複雑すぎるので、「まあ、〇〇なんとちゃうやろか?」みたいにモモモ〜って曖昧な感じでしか言い得ないからでしょう。それは分かるような気がします。
大体ですね、特定個人に限定したとしても、なんで今頭痛になってるの?と厳密に調べていくとよく分からない。風邪ひきかけているからかもしれないし、直近に目を酷使したからかもしれない。ストレスが溜まりまくってる?免疫力が低下してる?ビタミン○など特定栄養素の不足?それとも単なる寝不足?昨日変なモノを食べたから?もう無限に原因なんか考えられる。しかも、原因はひとつに限るという決まりもないから、数十ある要因が全部寄与している可能性もある、てか多分そうだろう。そのなかで常に気圧変化だけが突出しているものでもないでしょう。また、頭痛といっても原因も機序も違う様々なパターンがあり、偏頭痛と呼ばれる一群でも、その精密な発生メカニズムは結局はようわからんという。
それに体調不良の原因は、なにも医学的なこととは限らないのですよ。「地縛霊が取り憑いているから」かもしれない。水子の霊かもしれない。ツタンカーメンの呪いかもしれない。あるいはそこだけ時空間がゆがんでいるからかもしれないし、前世の因縁かもしれない。この種のオカルティックやSFまがいのことも、その多くは眉唾だとしても、100%完全に嘘だ!絶対そういう要素は無い!という証明もまた出来ない(”無い”という証明は「悪魔の証明」だし)。あるいはもっとケミカルな工場跡地の土壌汚染かもしれないし、放射能かもしれないし、その他の物理・化学物質(食べ物の保存剤とか)によるかもしれない。
一人だけでもこれだけ大変なのに、それが日本だけでも1億人ほどおって、それら全員を緻密に調べましょうなんて絶対無理でしょう。かつて公害訴訟で、あの工場によって→この病気になったという証明が、異様に難しくて原告住民側(と弁護団)が壮絶な苦労をしたわけですが、それは精密に調べていけばいくほど絶対に証明不可能になっていってしまうという難しさです。「あそこに煙突があんなにあって、こんだけ煤煙で空気が汚れて、そんで皆でゲホゲホいってんだから、そんなの明白じゃないか!」と直感的には思えることでも、科学的メカニズムの解明になると絶望的に難しい。科学というのは、ほんと、便利なんだか不便なんだか。まあ、それは科学のせいではないのですが。そこで救済の法理として「疫学的証明で良い」という判例法になっていったのですが、疫学的証明というとカッコいいんですけど、「大雑把に、まあ、大体こんなもん」ってアタリがついたら良いよということです。そうしないと被害者救済が出来ないからです。
だから、まあ、この世の「本当のこと」なんか、多くの場合永遠に分からんのでしょうね。「何となくそんな気がする」というレベルでそれぞれに勝手に思い込んで、「そうに決まっとるやないか!」と「確信」しているだけの話で、正味のところはようわからんことばっかでしょう。よく広告に「医学的に証明!」とか書かれていても、まあ、そう言う人もいるよねって程度なんでしょう。
気圧と体調変化のメカニズム
さて、無数にある要因のうちの「気圧の変化」が体調に影響を与えるか?という一般命題でいえば、これはYESだそうです。ネットでちょとちょろ見た限りでは、大雑把に二系統の機序があって、一つは単純に物理的なメカニズム。気圧が下がると、大気の圧力がゆるむわけで、その分、脳内の血管が膨張して、それが痛覚神経に触って「痛い」と感じる。鼓動に合わせてズッキンズッキンするのもそれだからだと。とてもわかり易いのですが、わかり易すぎて本当かな?とかも思う。
しかし、大気圧というのは途方も無く凄いらしく、1平米あたりなんと10トン!普通乗用車7台分(軽自動車で10台分)くらいだそうです。「空気のように軽い」というけど、空気はとてつもなく重いのでありました。なんせ上空の人工衛星軌道、さらにその上の成層圏とか電離層とか空気が尽きる超上空までの全空気の単位平米あたりの重さですから、自動車7台分くらい重くても不思議ではない。まあ、さらに突っ込んで言えば、その程度で済んでいるからやっぱり空気は軽いのだっていうことも出来るでしょうが。
しかし、頭から自動車7台分の重さを食らってたら、即ぺちゃんこになって死んでしまいそうなんだけど、でも、そういう前提環境で生命が進化してきているから、耐えられるようにできている。そして最初から耐えられるから感覚的にはゼロ。「私、プレッシャーに弱いんです」と言う方がいますが、何をおっしゃるウサギさん。平常状態で10トン楽勝で耐えて、てか「耐えている」という自覚もなく、楽勝すぎてまるで無感覚という強すぎるあなたは、実はプレッシャーに強いのです。10トンいけたら、大したものですよ。
ということは、人間というのは(そのへんの猫も虫も)10トンの圧力をはね返すだけの内圧をもってるわけで、ものすごい力と力のせめぎ合いなわけですね。土俵中央、がっぷり四つって感じ。そして、バランスを保っているときはまるで無感覚なくせに、大気以上に何かを載せると(肩車とか幼児をおんぶ)、いきなり重く感じるという。そのくらい強力な力と力がせめぎ合っているのだとしたら、ほんのちょっと気圧が緩んでバランスが変わっただけで、内圧過剰になり血管が膨れ上がり、神経やらが密集しているあたりでは隣の神経に触れて痛いと感じる、というのは、なんかありそうな気もします。また、血管が膨張すれば、反比例して血流の勢いは下がるので血行不良気味になり、それが肩こりその他のトラブルを呼ぶという。まあ、高山病とかと同じ原理ですかね。
ちなみに、10トンが突如としてゼロになったら=いきなり真空状態になったら、人間は爆発とまではいわないまでも、10トンに対抗する内圧がモロに空振りになるから、魚を釣り上げたら口から浮袋を出しているような、深海魚になると内蔵とか目玉が飛び出すように、人間もほとんど「破裂」みたいな感じになるのでしょう。北斗の拳の「ひでぶっ」状態ですか、考えたくないなあ。それ以前に気圧ゼロによって血液が瞬時に沸騰してしまうという説もあるそうだがこれも考えたくないですな。
あれこれフクザツな、医学的な
もう一つのメカニズムは、ちょっと複雑で、気圧の変化によって自律神経が微妙に狂ってくるからだそうです。気圧変化は内耳にある器官がセンサーになるそうだけど、それによって交感神経の活動が活発になり、そうなると痛覚閾値低下(痛いと思うボーダーが低下)や末端血流の不全、それにより「痛い、だるい」という不快感が生じ、それによってさらに交感神経がさらに活発化し、ドツボにはいっていき、それが精神にも影響し益々、、、という悪循環だそうです(詳しい説明は、
ココ)。
いや、こんなシンプルなものではなく、もっともっとフォローしきれないくらい複雑な話で、フォローしきれないので僕もわかりません。なんせ読めば読むだけ微妙に違った説明が山ほど出てくるので、ちゃんと医学を基礎からやってないと整理しきれません。
例えば、気象変化による身体への影響でも、気圧が低下すると、体内で炎症物質ヒスタミンが発生してこれが痛みの原因となる場合もあるし、気圧の低下は体内の水分の循環をさまたげるから、体内に水分が貯まって組織にむくみが生じ、むくんで膨張した体の組織に神経がふれて神経痛の原因になるとか、慢性の気管支喘息を持つ人は、気道がむくんで空気が通りにくくなってしまい、呼吸に支障をきたしたり、痰が増えたりする。気圧が低下すると手足の血行が悪くなるけど、脳の血流は増えてズキンズキンという頭痛を招こともあると(出典は
ココ)。
他方ではそもそも「痛み」とはなにか?という見地もあります。何がどうなって「痛い」と感じるのか、そのメカニズムはなにかというと、これがまた複雑なダンドリでやってるから、ダンドリ各所でトラブって問題を生じさせる。分かりやすい物理的な痛み(外傷や筋肉痛など)の場合、「神経終末」という痛みの感覚受容器が機械的刺激や化学的(炎症物質による)刺激を電気的刺激に変え、それを連結する神経線維の電気化学的性質による興奮として脳に伝え、「どこの部位」が「どのように痛い」のかが表現されるという。読みながら「ふむ、なるほど」と思うものの、本当にわかっているのか自分でも疑問だったりして。
これがもっと複雑な自律神経系になると、交感神経系(イケイケ系の活動神経)と副交感神経系(まったりリラックス系)のバランスですが、過労やら人間関係ストレスなどから「えらいこっちゃモード」の交換神経系が強くなると、全身的な血流障害が起こって痛みが生じる。片頭痛はこの交感神経がリラックスして脳への血管が一時に血流を回復させるときにズキンズキンした痛みとなって現れる(ホリデーになると頭痛になるのはよくあるパターン、僕もそう)。
しかし、交感神経系が一概に悪いわけでもなく、まったり副交換が強すぎると分泌排泄機能が活発となるため、痛みの感覚受容器も鋭敏となり、カタール性の痛み(なにそれ?)が生じるそうです。要はバランスで、自律神経がふらついてきて、交感神経優位となると血流障害による痛みが発生し、副交感神経優位となると分泌排泄作用が活発となりこれが痛みを生じさせると(以上についての出典は
ココ。
それに痛覚神経という神経メカそのものがアホになってくる場合もあります。例えば痛覚閾値という、ここまでは痛くないけど、ここから先は痛いと感じるというボーダーラインがあります。大学入試の合否水準や国境線みたいなものでしょうけど、これが状況によって上がったり下がったりする。閾値が下がると、普通だったら痛くないものでも痛く感じるという困ったものです。
ココによると、「痛みの感じやすさ(疼痛閾値)のなかで、1.閾値を下げる(痛みが強くなる)因子として「不眠、疲労、不安、恐怖、怒り、悲しみ、うつ状態、社会的・個人的孤独感、いらだち」があげられ、2.閾値を上げる(痛みが和らぐ)因子としては「人とのふれあい・会話、気分の高揚、熟眠、気晴らし、楽しいことへの集中、やすらぎ」などが挙示されています。なんとなく経験的にわかりますよね。
さらに閾値センサーは正常作動していても、他の箇所で物理的に機能障害を生じている(壊れている)場合もあるし、機能的にはOKでも精神的な要因でうまく作動しなかったりすることもある。抹消→中枢→視床下部→大脳とちゃんと痛み情報を伝達すればいいのに、途中でサボって伝達しなかったり、話を膨らませて10の痛みを30くらいに過大に伝えたりもする。
や!こんなん分からなくていいですよ。って僕が決めることでもないのだろうが、僕だって分かって書いているわけじゃないし、「いろいろあるのね」という一例として上げているだけですから。
本格的に調べだすと、例えば、
「DRGで産生される神経ペプチドの中で神経炎症に重要な役割を演じていると考えられるもの一つにサブスタンスPと呼ばれる神経ペプチドがある。サブスタンスPの約95%は末梢へ軸索輸送をされて末梢の侵害受容器から放出され炎症を増強させる。また残り約5%は脊髄内での伝達物質として中枢側へ送られる」(出典は
ココ)
というレベルの記述になっていったり、
あるいは、偏頭痛に関する記述でも
「片頭痛に関しては、セロトニンによる血管収縮によって前駆症状が現れ、セロトニンの枯渇による血管拡張期に片頭痛が始まる。髄膜の血管平滑筋には収縮を仲介する5-HT1B受容体が証明されている。血漿中の5-HTが血管内皮細胞を超えて、平滑筋5-HT1B受容体に到達し、それが血管収縮作用を発揮すると考えられる。この過程が進行すると、血小板に貯蔵されている5-HTがやがて枯渇してしまい、血管平滑筋は収縮から弛緩に転じ、髄膜血管が拡張する。5-HT1B/1D/1F受容体のアンタゴニストであるトリプタン製剤を投与すると、血管を収縮させることによって頭痛を抑えるので、前兆期に服用しても効果はなく、痛みが始まってすぐに服用すると効果がある。」(出典は
ココ)。
いやあ、ここまでくると逆に燃えてきますね。その昔、医療過誤訴訟で、筋萎縮性側索硬化症やら新生児核黄疸やらで中之島の阪大医学部の図書館に行き、資料といっても素人向けの「よくわかる〇〇!」ではなく、〇〇大学の紀要などの学会雑誌くらいしかなく(あとはドイツ語文献とか)、迷子になった子供のように途方にくれていたのを思い出しますな。「わかるか、馬鹿野郎〜」って叫びたくなるよな。でも、ま、しょせん人間のやってることですから時間さえかければそこそこは分かります。でないと医療過誤訴訟なんか出来ないし。
で?
で?それが何か?というと、「いろいろある」ということですね〜。
なんでそうなるのか?は、突き詰めていけば泥沼になっていくのだけど、大雑把に気象の変化、そして気圧の変化によって体調がおかしくなるってことは、経験的には、まあ、あるよね〜ってことです。別にこんなこと今更言うまでもないことだけど。
僕の場合の頭痛は、おそらく物理的に大気圧力がゆるむので血管膨張→神経に触るという機序がメインかと思われます。というのは、偏頭痛といっても大体起きる箇所は眼球の上(てか裏)あたりの血管の一部分だけ(場所はときによって違うけど)で、確かに「血管が神経に触ってる」という感じがします。「ここが〜!」と指差して特定することが出来る。でもって、他の諸症状(だるい、肩がこる、耳鳴り、関節痛、古傷疼き、鬱っぽくなるなど)は一切ないです。まあ頭が痛けりゃナチュラルに憂鬱にもなりますが、その程度で。
ま、でも、何度も言うけど、ほんとのところはわかりませんけどね。気圧変化が激しいとかならず頭痛になるかというとそういうものでもないし、気圧は安定していても頭痛になる場合もある。じゃあ関係ないじゃん!ってことにもなりそうなんだけど、同じ頭痛でも、「あ、これは気圧系かな?」と疑われる場合があるということ、それが単なる邪推や思いすごしとは言いがたい理由としては、自然に治る時と気圧が安定しはじめる時とが合致している場合が多いです。
もちろん他にも原因があって、他には目の酷使。特にギラギラ直射日光や反射光の強い状態でドライブを続けると、てきめんにやられちゃいます。同じように、似たような姿勢で長時間ディスプレイを見ているというPC作業も、体調変化には気圧以上に影響を与えます。早い話が、こんなエッセイやめたらええねん、ってことなんですけど(^^)。
皆は?
皆さんはどうなの?というと、I'm not alone"でありまして、Weathernews社が独自に行なった
雨と気圧と体調の関係を解き明かせ!「雨と気圧と体調調査」結果発表によると、なかなか興味深い結果が出ています。
これは
「1時間に気圧が1hPa低下したエリアの方にメールでお知らせし、体調や気分の変化と過去1時間に天気がどのように変化したのかを携帯電話を利用して報告してもらい、得られた3,524人(男性47%、女性53%)の有効回答結果をまとめたもの」だそうで、ピンポイントに調査をしていることから面白いです。
1時間で1hPa気圧低下というのは、これ、結構激しいですよ。24時間で24hPaですから、冒頭に述べた2日で24よりも倍厳しい急カーブ時期です。この調査によると、過去1時間
「“だるい”が42%、“頭痛”が24%、“関節が痛む”が13%となり、体調に変化が現れたという回答は、合計で64%に達しているそうです。特に女性に多く「女性の2人に1人が“だるい”と感じ、3人に1人が“頭痛”を感じている」そうです。
「“鬱っぽい”と回答した方は10代が最も多く、年齢が高くなるにつれてその割合が減少しており、若年層ほど気分が落ち込みやすい」ということだそうです。ただしこれにはクレバーなフォローがしてあって、
「考えられる要因として、この調査を行った際、台風接近により調査対象エリア(気圧が1時間で1hPa低下したエリア)では“雨が降り出した”という天気の変化があったことが挙げられます。平日、出かけたり遊ぶ機会が多い若い人にとっては、雨の日がいっそう憂鬱に感じられるのかもしれません」と。「なるほどね」と思いますね。単に「若年層に鬱が多い」だけの情報だと誤解を招きがちです。「遊びに行こうと思ってたら雨が降りだしたので気分が落ち込む」のであれば、また全然違ったイメージになりますしね。
これ面白いからダラダラ紹介しますが、
「“特になし”の回答をした人の割合は、60代男性が59%と最も多い回答となり、男女問わず他のどの世代よりも気圧の変化に強いことが分かりました」というのは意外でした。
「反対に、40代女性では23%と最も低く、気圧の変化が体調に影響しやすいと考えられます」、これは分かります。
また
「男性について見ると、“頭痛”と答えたのは50代や60代が10%以下であるのに対し、10代から20代は20%でした。また、“だるい”と答えたのは、50代や60代が30%前後である一方、10代や20代は40%前後となることから、若年層ほど気圧の変化に弱いと言えそうです」ということで、これもそうなんだ!?と思いました。年とった方が弱くなりそうなんだけどな。
総じて言えば、
「1時間に1hPa下がると全国の2人に1人が気分に何かしらの変化が認められました」、
「男女別に見ていくと、“ふつう”以外を選んだ男性が42%だったのに対し、女性は55%だったことから、男性よりも女性の方が気分が変わりやすい」ということで、大体2人に一人は気圧による体調の変化を感じているし、男性よりも女性の方が敏感であると。これは何となくわかりますね。
そして女性の中でも
「40代女性が58%と最も多く、気圧変化によって最も気分が変わりやすい傾向にあることが分かりました。40代女性は気圧変化によって体調の変化が大きい分、気分も落ち込みやすいのかもしれません」ということで、アラフォー(てかオーバーフォーティ)の女性、大まかにいえば「お母さん」的な役割をやってる人(子供がまだ手がかかるくらいの年代)は、「あ〜痛た」「う〜、気持ちわる」ってなってるパターンが多いようで、お母さんをいたわりましょうってことですね。ま、でも、ガキは自己中だからそんなことお構いなしだろうし。また、配偶者たるお父さん年代はあまり気にしてないので、そのあたりのギャップもあるでしょう。外出するときに、お母さんが「う〜、しんど」とやってるときに、「グズグズすんな、早くしろ」と急かしたりして、それがまたあれこれと問題を生じさせたり。
しかしながら、
「10代では男性42%、女性36%と男性の方が多い結果になりました。若者の中でも、特に男性にとっては、雨で気分が変わりやすいと言えそうです」ということで、ティーンの場合は男のほうが敏感。でも、これは上述のように、遊びたいという活発度が高いからこそ、低気圧(≒雨曇天)で「ちぇっ!」という反動的な失望感の現れともいえるわけで、そのあたりはようわからんです。
なお、これ、気づいたのですが、最後の図表の男性と女性が逆になってるんじゃないかな。文章の内容からしたら逆だと思われます。
それはそうと、「皆もそうなんだ」と思いきや、最後に自分で統計バイアス修正をしないとダメなんでしょうね。そもそもこういうアンケートに答えるのは、そういう問題に関心がある人、なにか言いたい人、また回答するヒマがある人になるでしょうから、実際の数値よりも「影響アリ」と高めに出るような気がします。例えば、50代男性が気圧の変化に強い頑健な肉体を持っているという仮説もありつつも、他方では、ハードな仕事で忙殺されている支店長や役員クラスの50代男性が、偏頭痛にキリキリ油汗を流してきたら、はたしてこんなアンケートに回答している余裕があるだろうか?という視点もあるわけで。
ま、そんなこと言い出したら、どんな調査にだってケチはつけられるので、あまり言い過ぎるのも問題だとは思いますが、実際には心持ち低目に見積もっておいたほうがいいのかな?って気もします。そうだとしても、やっぱ大まかな傾向としては気圧変化による影響は、皆レベルで「ある」と言って良いのでしょう。
というわけで
うだうだ書いてたら一本書けちゃいました。多分に消化不良気味なんだけど、突っ込みすぎるとこっちも大変だし、また読んでても煮抜き卵のように固すぎちゃうし、半熟卵くらいの感じで書きたかったので。
補充的に幾つか書くと、健康お助けサイトとしては、iPhoneのアプリになってる
頭痛〜るが有名でしょう。僕もダウンロードして入れているんだけど、残念ながら日本のデーターしか無いから、オーストラリアに住んでいても意味が無いという。だったらアンインストールすればいいんだけど、役に立たなくても見てて楽しい。こっちにもその種のアプリがあるかと思って探しているのですが、見つけられていません。
あと、健康系にシフトした天気予報として、
バイオウェザーサービスというのを見つけました。天気予報に、さまざまな健康ファクターを個人設定で入れられるんだけど、惜しむらくは頭痛がないじゃないか。でも、まあ、読んでて楽しいサイト。こういうことやらせると日本は凄いよね。
結局は「痛み」なんだな〜という話
書いたり調べたりしていて思ったのは、結局は「痛み」なんだよな〜ということです。ペイン・リリーフ、痛みを緩和する医学や実際のシステムが、これからどんどん注目されるのではないかと。また、注目されるべきだし、ガンガン実践していくべきだろうと。
実際に医学会でもこういう動きはあるようで、
日本慢性疼痛学会や、
日本ペインクリニック学会などが発足・活動しているようです。門外漢としては「ふーん」くらいの関心しか呼ばなさそうだけど、でも、これまでの医療システムの体系というのは、医学の体系をそのまま横滑りさせたようなもので、内科医、外科医、麻酔科医、歯科医、薬剤師など病気の発生メカのカテゴリーと系統によって学が生じ、医療システムが出来ていたような印象があります。
しかし、ある自然現象(病気)の因果関係を学術的にリサーチして考察する「学問」というアプローチと、それら得られた知見を一般社会に還元し、福音をもたらすシステム構築というアプローチとでは、視点や発想が全然違って当たり前だと思うわけですね。そんなことはここで僕に言われるまでもなく、皆さんも先刻ご承知でしょうし、医療の現場ではあれこれ取り組みが行われてきたのだと思います。そして、医療システムの究極目的は何かといえば、患者の健康増進であり、さらにもっとぶっちゃけてイチ患者の立場でいえば、「この痛いの何とかしてくれ〜!」ってことだと思うのですよ。
僕らが病気や心身不調に遭遇してまず困るのは、不快感であり、わけても痛みです。「痛くてしんどい」と。この痛みさえなんとかしてくれるなら、それが何に起因して、どういうメカニズムでどうなってなんて専門的な内輪話はどーでもいいんですわ。敢えてそう力任せに言い切っちゃうけど。それは車が故障して動かない場合、やれディストリビューターがどうのとか、キャブレターがどうのというオタク話はどうでもいいから「動けるようにしてくれ」だけが関心の焦点であり、パソコンが壊れて動かない場合、なんちゃらソフトがレジストリでコンフリクトを起こしていてなんて話はどうでもいいのだ。それと同じ。
特に高齢化社会だし、誰も彼もがいずれは高齢化するわけで、医療の進歩で長生きするとなっても、ひたすら痛みに苦しむだけの老後が延々と何十年も続くだけだったら、全然うれしくないわけですな。特に終末期医療なんかそうでしょう。もう治る見込みがないのだから、痛みしかない延命治療と、早く死んじゃうけど痛くないのとどっちがいいか?って話もあるわけですよね。
でも痛みの発生機序は千差万別であり、学問体系という縦軸に対して横断的な横軸みたいな関係に立つでしょうから、縦割り行政の弊害みたいなものを除去してフレキシブルに対処しましょうという動きが出てきても不思議ではないです。そして、これらの学会のリーダー的な立場にある小川節郎氏を調べてみたら、麻酔科のお医者さんです。麻酔科医といえば、僕ら素人考えでは、手術の実行するためのプロフェッショナルな助っ人的なニュアンスですが、よく考えたら麻酔鎮痛作用というのは、手術に限ったものではない。
ほんでもって「痛みとはなにか」というのを読んで見てたら、これがかなりディープです。末梢、中枢、自律という三大神経系にそれぞれに痛みが生じるメカがありますが、それ以上に過去の記憶やトラウマであったり、心理的・精神的な要因による痛みもかなりある。痛みを生じさせる化学反応やら電気信号は生じてないのに脳が勝手に誤解して痛いと感じるという幻痛なんかもある。切除して存在しない筈の脚や手が痛いと感じるファントムなんか有名だけど。
本来、痛みというのは心身の不調を知らせる大事な身体のメッセージですから、やたら鎮痛除去すれば良いというものではないでしょう。しかし、これだけ検査技術や機器が進歩してたら、痛みによる心身不調の発見機能というのは、もう日常生活における個々人の初動だけで良く、プロによる経過観察体制下に入ったら、あとはもうできれば除去したほうが良いのでしょう。そのあたりの現場における進歩発展を望みますし、業界の発展を真に促す原動力になるのは、僕らユーザーや消費者ですから、そのあたりを僕らはもっと考えて、知見を増やしたらいいんだろうなって、思いました。
もっとも、人間はアホだから、痛みが除去されただけで直ったと勘違いして、また無茶やって取り返しがつかないことに、、ってケースも多々あろうから、多少痛くて苦しいくらいのほうが自重するからいいんだってこともあるでしょう。しかし、まあ、それはそれでまた別の話だと思います。
ところで!
5日月曜日の朝6時(日本では5時)、今からこれをUPするわけですが、その後、こちらの気圧はどうなったか?というと、こういう感じです。
もう昇竜のように駆け上がっていってます。
やっぱ、こっちも荒っぽいすね。
文責:田村