でも、オーストラリア人ってそんなに激怒しないけど、やることはやるんですよ。日本人は、「嘆かわしい」と怒って、ブチブチ不満述べて、それで終わりでしょ。何もしないでしょ。ポイ捨てしてる人に注意することもしない。他人に話し掛けない。眉をひそめて遠くから見て、でも何もしない。オーストラリア人はそんなに怒らないけど、物理的に改善できるところを探してチャッチャと改善していきましょうという発想になる。誰かがイケナイことをしてたら、別に怒りもせずに、"Hi, Mate!"っていって注意します。僕も先日、標識を誤解していて駐禁時間に路駐してたら、"Hi, mate, you can't do that"って声をかけられました。怒ったり、嘆いたりはしないけど、声はかけるんだわ。でも、その方が問題解決にははるかに有効じゃないですか?
日本と同じような問題はオーストラリアにもあるけど、日本のように「マナーからルールへ」とはあんまり考えない。そもそも「マナー」という言い方も発想もあまりしません。あるとしたら、時々「ゴミはゴミ箱に」という意味の標語として、"Do the right thing"ってのはあります。「正しいことをしなはれ」ってことで、それがマナーだよという言い方はしない。ちなみに「マナー(manner)」はれっきとした英単語ですが、実際にはそんなに使いません。日本人の方がはるかに頻繁に使いますね。携帯のマナーモードとか。そもそも”manner”の第一語義は、「方法」「形式」という意味で、マナーリズム(形式主義)が日本で訛ってマンネリズムになってるように、「型」「手法」というの意味で使われる場合が多い。"in a manner of speaking"というイディオムは時々使われますが、この意味も「喋り方の行儀作法」という意味ではなく、「ある意味では」って意味です。「そういう言い方もできるね」みたいな感じです。
ところで、「ゴミなら掃除すりゃいいじゃん」という話に、「そんな金がどこにあるんじゃ」ということですが、いくらでもやりようはあるんじゃないんですかね。例えば、オーストラリアの失業保険は日本みたいに掛け金がいるわけじゃないし、期間制限もないです。その代わり、work
for the doleといって、失業保険を貰うためには職安が指示する一定の作業や訓練を受けないといけません。その際に、ボランティアとかコミュニティサービスがあったりするわけです。失業者の人にやってもらうわけですね。あるいは、ホームレスの方々に炊き出しとか、シャワーとか福祉的サービスをする反面、それが受けられるためには一定の作業をやってもらうと。