パース特集の第五回です。
PART 5 四日目〜五日目 Tree Top Walk 〜Margaret River, Cape Leeuwin編
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四日目の途中から続きます。Albanyで一泊した翌日、Denmarkに立ち寄って、エレファントロックなどを見物したところまででした。
さて、午前中のんびりし過ぎたせいか、デンマークを発った時点で既に午後2−3時になっていたと思います。それから一路西に向かい、本日の宿であるマーガレットリバーまで向かうわけですが、途中で Tree Top Walkという森の上に設置された遊歩道にいきました。
デンマークあたりから、西のPemberton や Manjumup までのベルト地帯は、WA州でも、というかオーストラリアでも有数の森林地帯らしいです。それも、Karri tree, Marri tree や Tingle Tree など、時として樹高数十メートルから百メートルにも達しようかという巨木です。つまりこのあたりは、「大きな木の国」なのでしょう。現地の観光用パンフに”Karri Country"なんて言葉もよく出てきます。
なお、これらの樹木はいずれもユーカリの一種らしいです。オーストラリアのネィティブトリーは、ユーカリが多いのですが、そのユーカリもまた何十何百という種類があるそうです。
Tree Top Walk & Ancient Empire (Valley of the Giants)
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”Tree Top Walk”は、デンマークからざっと40キロほど西、NornalupやWalpoleの手前にあります。この施設のあるエリア全体を”Valley of the Giants"(巨人の谷)と呼んでいるようですね。入場料大人5ドルを払って中に入ると、文字通り森林の上を歩いていく、
Tree Top Walkがあります。
写真上左、ここがスタート地点です。
写真上中央、最初はそれほど高くもないので、そう恐くもないです。皆も余裕カマして笑って歩いています。
写真上右、それが段々と高度が高くなっていきます。この一周600メートルほどの遊歩道で、一番高い部分は地上40メートルくらいにまで達するらしいです。地上40メートルといってもピンときませんが、マンション一階の高さが2.5メートルだとしても16階くらいの高さになるわけですね。
写真上左、中央、でもってどんどん高くなっていくわけですね。けっこう恐いですよ。まあ、メチャクチャ恐いかといえばそんなこともないですけど、でも人が歩くと橋もナチュラルに揺れたりするし、「おおお」くらいは思います。
写真上右、というわけで上になるにつれて、皆もあまり余裕カマして笑ってられなくなります。
写真上左、恐い分だけ眺めも良くなっていきます。
写真上右、左の写真の左下に写っていた木を望遠で撮ったものです。よくよく見ると空洞になっているのですね。これはもう死んで枯れ木になっているのか、それともまだ生きているのか、ようわからんのですが。
写真上、徐々に高度が下がってきます。ホっとする反面、「あー、もう終わっちゃうのか」と名残惜しい気分も混じります。
遊歩道を終えると、今度は地上の散歩道がありました。The Ancient Empire(古代帝国)と名づけられたこの遊歩道は、老齢で且つ巨木達(これがAncient Empireと呼ばれるそうな)の間を縫うように続きます。これも600メートルくらいの周遊道です。
興味深いのは、これらの巨木達も中が殆ど空洞になっているものが多いことです。写真はないですが、スゴイのになると根本の空洞の中に通路があったりします。
これだけ空洞化してしまえばもはや枯れていると思われるのですが、でも、見た目妙にイキイキしてたりして、「むむむ、どっちなんだ」と不思議になります。
朧ろな記憶ですが、遊歩道の傍に置かれていた解説パネルによると、度重なる山火事で空洞の中があぶられて炭化して黒ずんでいるが、それでもまだ生きているらしいです。でも、そもそも最初にどうやって空洞化が生じたのかまでは分かりません。山火事だったら外側からあぶられてむしろ樹皮が焼かれるのでは?という気がしますし。
そのあたり、もっとゆっくり解説を読んだり、事務所にこじんまりとした展示場があったから読めばよかったのですが、なんせ、この時点でもう4時近くになっていて、「これって、もしかしてかなりスケジュール押してるかも」と思って段々気が焦ってきて、ゆっくりできませんでした。
なお、この"Valley of the Giants"についてのサイトは、
http://www.calm.wa.gov.au/tourism/valley_of_the_giants.htmlや、
http://www.valleyofthegiants.com.au/
などがありました。ただ、そーんなに詳しくはなかったですけど。
ここの公園で、4人くらいの日本人ワーホリさんらしき男女を見かけました。ワーホリさんでラウンドしてるのか、パースあたりの留学生の人がホリデーで遊びに来てるのか。仕事柄、日常的に見慣れている筈なんですが、こういうところで会うと、「おや、懐かしい」やという感じでがしますね。
観光案内で言えば、この近くにPembertonという町があって、そこが”Karri Country”といわれる森林地帯のメッカのようです。また、ペンバートンには、有名な”火の見やぐらの巨木”があります。やぐらの代わりに、カリーの巨木の周囲に足がかりを作って、上まで登っていけるようにしたものです。Gloucester National Parkにあるグローセスターの巨木が有名ですが、全部で3本あるそうです。木の上60メートルまで、木の周囲に打ち込まれた杭だけを頼りに上がっていくわけで、かなり恐いそうです。
http://www.naturebase.net/national_parks/previous_parks_month/gloucester.html
に、解説してあるサイトがありました。興味がある方はどうぞ。
「走れメロス」爆走再び Margaret River まで
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「さーて、あとはマーガレットリバーまで行くだけだ」と思って車を走らせたのですが、意外とマーガレットリバーまでは距離がありました。かなり舐めてて、「すぐそこでしょ」みたいに思ってたのですが、実際に走ってみるとこれが遠い。
Tree Top WalkからNornalupを抜け、Wolpoleという町まで行き、ドライブ用に甘いものや冷たい飲み物を買ってから、地図をよーく見ると、WolopoleからManjimupという町まで118キロ、そこからBridgetownまで37キロ、さらにNannupまで46キロ、Karridaleまで75キロ、そしてMargaret Riverまで30キロ、合計えーと、306キロもあるじゃないか。
今晩の宿は、B&Bで午後6時以降のチェックインは別途連絡してアレンジすることとなってるし、予約するときに書いたチェックイン予想時刻は「4時半頃」なんて楽天的なことを書いてしまいました。しかし、まだ306キロ離れた時点ですでに太陽は西日になりつつあります。「わお、全然間に合わないじゃん!」ということで、気合入れて走ることになりました。
走り始めてすぐに「これは容易ならぬことになった」と思ったのは、最初のエスペランス800キロは東に向かっていたので、西日を背にしますから楽なのですが、今度はマトモに西日を受けるから眩しいのですね。オーストラリアの陽射しは厳しい。しかも、今度は森林地帯を抜け、山を抜けですから、道路が曲がりくねっています。走りにくいったらありゃしない。
途中、走りながら宿の方に連絡を入れようとしましたが、森林地帯に入ると携帯電話も通じません。電波が全然届かない。それだけ田舎だということですが、結局マンジマップにいくまで電話は入れられませんでした。でもって、116キロの田舎道を1時間足らずで走破して、やっとのことで宿に電話をしたら、「7時までにチェックインできなかったら、ダメ」というツレないお言葉をいただきました。
ねえ、B&Bといっても一応は宿なんだから、8時とか9時にチェックインさせてくれるだろう、「別途アレンジが必要」とかいうのも、「表の玄関を閉めるので裏口から入って」とか「着いたら電話ちょうだい」とか「裏口の玄関マットの下に鍵を置いておくから」とか、その種の話で済むと思うじゃないですか。それが、「今晩は午後7時から約束があって出なきゃイケナイから、それまでに来なかったらもう泊まれないよ」と言われちゃったら、一瞬絶句しますよね。泊まれないって、そりゃ別の宿を探せってことかい?もう宿代もクレジットで払ってるのに、、、と混乱しつつも、知らない町の街道沿いで、西日に照らされながら、携帯を握り締めて食い下がるわけです。「今、マンジマップにいるんですよ。ここからそこまで2時間でいけると思います?不可能ですよ」「うーん、でも、しょうがないのよね」「本当にしょうがないんですか?でも、まあ、いずれにせよ、トライはしてみますよ」「トライしてくれる?だったら7時半までこっちも出発を延ばすから」ということで、あと200キロ×山道×西日を2時間ちょいで爆走することになったわけですね。
はい、もう、爆走しましたよ。「うおおおお」という感じで。山越えだからアップダウンはあるし、道は狭いし、見通しがきかないきついカーブは多いから80キロ以下までスピードを落とさなきゃならないところもあるし。巡航110キロレベルで2時間走ればなんとかなるのですが、巡航(平均)110キロというのは、飛ばせるときはメチャクチャ飛ばさないとならないわけで、正直成否は五分五分以下だったりします。
しかしですねえ、こうなると妙に燃えたりするんですね。おーし、やったろうじゃないの、畜生って。なんかウキウキしてる自分がいたりして(カミさんは横で死んでたが)。いやあ、久しぶりだなあ、こういう感覚。日本にいたときは毎日がこうだったよなあ、だから疲れるんだよなあ、とか思いつつ、西日に向かって峠道を走っていきました。
ただ、このときの風景が一番記憶に残ったですね。写真撮ってるヒマなんかないから一枚も写真がないですけど、一番印象に残った風景でした。本当に人里離れた山ですし、また広々とした牧場にボーンと巨木が立ってたりして、それがまた夕陽を浴びてえらく綺麗だったりして。「ああ、すごいいい景色だなあ、写真撮りたいなあ、失敗したなあ」と思ってました。まあ切羽詰った状況が、より風景を美しく印象深くしたのかもしれませんが、今度行きたいです。
そういえば、マンジマップに着く前、携帯電話は電波が届かないから公衆電話をと思って、どこか小さな村に立ち寄りました。結局、「くそー、公衆電話ひとつないのかよー、時間ロスした」と泣きながらUターンしたのですが、その村なんかすごくいい感じでしたよね。開拓時代の面影を残してましたしね。
Margaret River Gusethouse
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結果的には間に合いました。最後の30キロの整備された直線道路に出た時点でまだ7時になってなかったので、ほぼ勝利を確信って感じです。宿に着いて電話をしたら、オーナーのおばちゃんが出てきてくれました。電話のときは、「ヤな奴だな、宿選び失敗したかも」と思ったのですが、会ってみたら別にイヤな人でもなかったです。
晩飯食べたいから美味しい店はありますか?と聞いたら、沢山割引チケットをくれました。「ここは○○が中々美味しい」とか、「ここは、まあ、要するに高いだけかな」とか、地元住民ならではの素直で辛辣なコメントもありがたかったです。ちなみに紹介してもらったレストラン、美味しかったです。”Prideau's” という店でしたが、オリジナル料理のメニューよし、味よし、雰囲気よし、サービス良し、料金も手頃で、今回の旅行中最高のヒットの一つです。ただ、最初「小さい町なんだから行けばわかるだろう」とタカを括っていたのですが、実際にマーガレットリバーの町を歩き始めたら「あれえ?ないぞ?」となって、しばらく空腹をかかえて彷徨しました。レンタルビデオ屋で聞いて、やってわかったという。あとでネットで調べたらありました。
http://www.margaretriver.com/search_result1.asp?code=7564にあります。
さて、泊まったB&Bは、”Margaret River Gusethouse”という、これまた、”そのまんまやないけ”という名前の宿です。自前のサイトはなく、
マーガレットリバー観光事務所のサイトの中にあります。
なぜここを選んだかというと、実はマーガレットリバーの宿と翌日の宿が一番難産でした。なぜかというと、この日は金曜日で、予約が混み合ったのですね。それと、マーガレットリバーは、パースの南西部では一番の観光メッカだけに、結構相場が高かったのですね。「お、これ、いいじゃん」と思うとすごく高かったり、週末は最低2泊からでないとダメだったり。
マーガレットリバーはWA州のみならず、オーストラリアでも有数のワインの産地ですが、ワイナリー観光は僕らにとってそれほど興味をひくものではなかったです。というのは、シドニー近辺にもハンターバレーがあり何度となく行ってますから、ワイナリーそのものは、もう格別物珍しいものでもなくなっています。また、ワインは好きですが、そんなに「もう、大好き!」というほどでもなく、またそれほど酒量もなく(こっちにきてからガクッと酒量が減りました)一本買っても持て余すからそんなに買いたいとは思わないし、飲んだら運転が面倒になるし(爆走しなきゃならんし)で。ただ、ワイナリーエリアには探せば美味しいレストランがあるのですね。それが目当てだったりします。つまりは食い気優先。
ところがどこに行けば美味しいレストランがあるのかが問題です。さんざんネットで調べたのですが、ワイナリーのレストランは夕方で閉まるところも多いし、またワイナリーというのは当然大きなブドウ畑を持ってるから、結果としてあちこちに散在しているわけですね。で、調べてみると、マーガレットリバーと呼ばれるエリア以外でも、CowaramupからYallingupというエリアにかけてワイナリーが沢山あったりするわけですし、宿も別にマーガレットリバーにだけあるわけではなく、周辺に沢山散在してるわけです。
こういうのって困るわけです。海が名物のエリアだったら話は簡単で、海の近くで海が見えるところにいたらとりあえずハッピーになれるわけですが、ワイナリーエリアというのは居場所が定めにくいです。ましてや僕らのように、風のように進軍して、暗くなってから着いて晩飯だけ食べたいという場合、どこらへんに泊まって、どうしたもんか?と悩むわけです。
ちなみに、シドニー近辺のハンターバレーの場合、ハンターバレーという名前の地名はなく、もっとも大きな町はセスノックですが、別にセスノックという町に宿やらレストランがひしめているわけではないです。というか、セスノックにはあんまり無いです。宿もレストランも広々とした葡萄畑に散らばっているわけです。マーガレットリバーもそれと同じだったら、マーガレットリバーの町に泊まったらスカをひくわけですね。かといって、妙に離れてブドウ畑のとある一軒家に泊まったら、下手をしたら周囲は真っ暗で何もないってことになりかねないです。食べに行くにしても、昼間に走って道を覚えているならともかく、夜に着いて、街灯もない真っ暗な畑道をあれこれ走ってたら、迷って帰れなくなるかもしれません。
そこでマーガレットリバーの町のサイトであれこれ調べてみて、どうも結構いろいろありそうな町だということなり、町に泊まることにしました。町にとまればレストランまで歩いていけるし、歩いていけるんだったら安心してワインも飲めるしね。で、調べているうちに、「その昔修道女院だった古い建物」「朝食が充実してるようだ」「庭がきれい」「部屋から庭ないし庭が望めるベランダに行ける」「町のメインストリートまで200メートル」「だけど、カル・デ・サコ(行き止まりの道で、住民以外の通リ抜けがないから閑静)にある」、そして一泊二人で95ドルで、しかも金曜の当日空いているとなって、ここに決めたわけですね。
この宿、良かったかどうかというと、まあ肯定的な評価になると思います。と、「良かった!」とすぱっと言わずに、奥歯に物の挟まったような言い方になってしまうのは、部屋自体はそう大したことなかったからです。それほど広くもないし、家具調度も別に普通だし。ありていにいって、部屋はそんなにイイコトないです。部屋の写真はありませんが、撮ろうという気にならないというか、狭いのでよほどの広角レンズでないと撮ったところで半分くらいしか写らないだろうし。しかし、部屋以外がいいです。周囲が寝殿造りのようにグルリと通路で取り囲まれている、いわゆるフェデレーションスタイルもいいですし、庭は言うだけあって綺麗でしたし、朝食もナイスでした。
写真上左は、外の通りから見た宿。
写真上中央は門から玄関へ、右の写真はその逆のアングル(玄関から門へ)。写真では色が飛んでしまってわかりにくいですが、花がきれいでした。写ってない門の周囲にもバラが咲き乱れていました。
写真上左と中央、玄関をくぐったところ。結構ゆったりしたラウンジがあります。
写真上右、朝食を食べるダイニングルーム。朝食は良かったですよ。また、結構他にも3−4組のオージーカップル(いい年の夫婦ばっか)がいました。
写真上左、中央。こうやって建物の周囲を寝殿造りのように、廊下というかベランダというか、通路が取り囲んでいる建物様式をフェデレーションスタイルというらしく、いい感じです。中央の写真、手前のドアが僕らの泊まった部屋。
とまあ、部屋を写さず、それ以外の部分を写すと、なかなか良い宿です。ただ、部屋がねー。まあ、受容の限度内ではあるのですが、外観から期待するほどのものではないです。
というわけで、暗くなってから着いて、レストランを探して歩いて、一泊して朝食を食べたら、それでもうマーガレットリバーは終わりです。我ながら、「え、それだけ?」という気がせんでもないですが、なんせこれからあと1泊するうちに、オーガスタの灯台見て、ケイブ(鍾乳洞)を二つ見て、フリーマントルいって、ロットネスト島に行って、またパースに戻らねばなりませぬ。個人旅行だから、「ねばならない」というほどスケジュールに拘束されているわけではないのだけど、興味の赴く順に並べていくと、そのくらいは見たいよなーという気になるわけですね。
写真左は、翌朝宿を出てから、マーガレットリバーのメインストリートを通過しているときに撮った一枚です。フロントガラスが汚れてて写りも悪いし、あんまりよく分からない風景ですが、マーガレットリバーってこんな感じです。印象としては、陽気な金曜の夜にほっつき歩いたこともあって、さすが観光のメッカだけある、快活で、小奇麗な、こじんまりした町でした。
Cape Leeuwin / Lighthouse
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さて、5日目です。本当は、この日は余裕があったらピナクルズまで一路行く筈だったのですが、とてもじゃないけど無理です。まあ、無理だってことは、事前の計画段階でわかりそうなものなのですが、あんまり詰めて考えなかったです。「時間との兼ね合いで、適当に見て廻って」くらいの大雑把な計画でしたからね。まあ詰めて考えられないこともなかったわけですが、考えるほど時間が足りないのがミエミエでしたから、考えようもなかったというのが正直なところです。なんにせよエスペランスまでの往復1000キロ分が響いているわけですね。この行程でエスペランスを入れる以上、どこかで無理が出るのは覚悟の上ということです。
というわけで今日は、灯台と鍾乳洞をやっつけてから、軽く北上してMandurah近くのYalgorupまで行けばいいや、距離も知れてるし、チェックインのタイムリミットも無さそうだし、のんびり行けばいいやと思ってました。マーガレットリバーから、Bussell Highwayを20分ほど南下して、Augustaを通り抜け、Cape Leeuwin(ルーウィン岬)までいき、岬の先端にそびえたつlighthouse、つまり灯台までいきます。
灯台なんか別に珍しくもないだろう、なんでここまで行ったのか?というと、まずルーウィン岬がオーストラリアの南西端にあるということ。四国に似て四角いオーストラリアの一番左下の隅っこだということですね。四国でいえば高知県足摺岬みたいなものです。まあ、この種の地理上の「最○端」というのは、地図でみると凄そうだけど、行ってみたら別に変わり映えのしない普通の田舎だったりするのは重々承知の上でしたが、まあ、このあたりは「行きました」という「お約束」ですよね。
理由のその2は、四角の端っこにあるだけに、南に南氷洋、西にインド洋が同時に見えるわけで、はるか沖合いを望めば、「ここからインド洋、ここから南氷洋」という壮大な海のスペクタキュラーなヴューが楽しめる、、、といっても、これも多分に観念的なもので、海に「ここからインド洋だよー」なんて書いてあるわけもないし、色がくっきり違うなんてこともありません。これもまあ、抽象的な「行ってきました感」を楽しむお約束の一種でしょう。ですので、現実的な話でいえば、灯台に登れるらしいし、「高いところから海をみたらきれいだろうな」という素朴なところだったりします(^^*)。
オーガスタの小さな町を走り抜けていくと、岬まで一本道です。意外と距離がありましたが(歩いていくのは結構キツいかも)、広々とした視界がひらけ、なだらかな丘陵と海が見えます。眺め的に気持ちいいですし、これで別に灯台がなかったとしても、「ああ、いいところに来たな」と思うでしょう。走りながら、この雰囲気どっかに似てるなと思ったら、メルボルンのフィリップ島(ペンギンパレードで有名)の感じに似てます。視界のひらけ方が似てます。
先端までいくと自然と駐車場になっていて、そこから灯台まで歩きです。
途中にある売店で灯台見学の切符を購入してから行くのですが、そういうシステムも知らぬうちにぶらぶら歩いて通り過ぎてしまい、切符を買いそびれてしまいました。灯台についたものの、入り口らしきものは閉まってるし、どうやって入ればいいのかチト悩みました。が、灯台の上に観光客がいたのは見えてましたし、また周囲の人たちものんびりしてるし、しばらく待ってれば中に入れるだろうと思ってたら案の定ほどなくしてドアが開いて、10名足らずの人々が出てきました。どうも勝手に入れるのではなく、定期的にツアーをやっていて、ガイドさんと一緒に入るようです。
ガイドさんの周囲に見学希望者が集まり(付近にいる全員が見るのかと思ったら、意外に一部に過ぎなかった)、切符を出してます。「げげ、切符なんかあるじゃん」と思ったのですが、頼んだら「ああ、あとで売店で買えばいいよ」というオーストラリアらしいのんびり対応でした。
ガイドさんは、灯台で働いている気の良さそうなオジサンで、毎日毎日同じことを喋ってるのでしょう、立て板に水でスラスラと解説をはじめます。今となっては何言ってたのか大分忘れてしまいましたが、吹きさらしの岬にこれだけ高い(40メートル)建物をたてるだけあって、やたら頑丈に作ってあるのだなというのが印象深かったです。地中深く基礎を埋め込み、壁の厚さが、えーと1メートル?「え、そんなに厚いの?」というくらい厚かったです。1895年に建造され、特に改築もされぬまま100年以上働いてきているそうです。 また当時は電気なんかろくすっぽなかったから、灯油などで文字通り「灯火」をつけてやっていたとのこと。考えてみればエラい話ですよね。
灯台の中の螺旋階段を登ります。それほど長く、キツいわけでもないでもないです。小さな子供も一緒に登るからペースもゆっくりしてますし、ガイドさんも途中で2回ほど休憩をいれて、のんびり登ってくれます。中に入ると結構狭い、つまりはそれだけ壁が厚いのでしょう。
なお、灯台が頑張って信号を送りながらも、このあたりの海は荒く、また岩礁もあり、昔から難破する船が多かったそうです。
写真上左と右ですが、左の写真の売店で切符を買います。ところで、左の写真と右の写真とでは、右の写真の方が灯台に近そうですが、実際は逆です。建物を見るとよくわかると思います。これは望遠で撮るかどうかの差で、望遠倍率が高いほど距離感が無くなり、逆に広角になるほど遠くに見えるという例で、まるで写真教室の教材のような写真です。
上にのぼるとさすがに眺望は素晴らしいです。
写真上も、これまた広角か望遠かの差です。左の二枚がキャノンの普通のカメラ。その昔、広角レンズが欲しくて普通のカメラを買ったのですが、これで24ミリの広角。右端の写真がデジカメで、えーと、これは38ミリかな。24対38ミリで数字だけみると大差なさそうなのですが、実際に撮って見るとかなり違います。24ミリと28ミリでも使い勝手は結構違います。デジカメって意外と広角が弱いですよね。広告などには、「○万画素!」と画素数ばっかりフィーチャーされてますけど。
なお、実際に目で見た感じでは、右端の写真のデジカメの風景が一番近いです。下の建物もけっこう近くに見えます。しかし、これだと、左端の写真のような付近の広々とした感じが出ないんですよね。広大な感じをだしたかったら、多少距離感を犠牲にしても広角が欲しいです。ちなみに、広角で自分の家を撮ると立派に見えますよ。会社や学校の美しいパンフレット写真なんかも、広角で実際よりも広い感じに撮られていたりしますし。
これが、話題の「インド洋と南氷洋の境目あたりの海」です。予想通り、海は、まあ普通の海でした(^^*)。ただ、別にこれがインド洋であろうが、南氷洋であろうが、眺めのいいところから海を遠望するのは、いつだって気持ちのいいものです。
なお、同行したカミさんの方も
自分のホームページで旅行記を書いてます。同じモノを見てても別の人が書くとまた意見も感想も違うし、併せて読むと立体的に、ステレオになって面白いと思います。今回述べたあたりの該当個所は、
http://yuu-au.web.infoseek.co.jp/yuu/perth4.htmlと、
http://yuu-au.web.infoseek.co.jp/yuu/perth5.htmlにあります。