*執筆者は教育関係者ではありません。
在シドニーの異文化交流事務所勤務時代に、現地で起こる留学生のトラブルを散々目の当たりにし、「こりゃ、現状をよく調べなあかんわ」という認識を抱き、更に現地の教育現場にしつこく足を運んで調べあげるに従って、「なんとしてでも正確な情報を伝えなあかん」という使命感を持つに至ってしまっただけのことです。
*従って、時に、しつこいくらい「教育的示唆」に富む、お節介な表現があるかもしれませんが(特に第1章はお説教食らってるみたいで、読んでて飽きるとおもう・・)、そういう部分が邪魔だと感じる方はバンバン読み飛ばしてください。でも、こんだけ言いたくなるほど「留学の現状」は大変なんです。そこんとこ、ご理解ください。
*本来ならば、「素顔のオーストラリア留学」と題したからには、オーストラリア全土の留学情報を網羅すべきところですが、オーストラリアは連邦制をとっており、各州の政治的管轄範囲が広く、特に教育関係は各州ごとの管轄となっているため、州によって事情がかなり異なります。他州についても文書を取り寄せ、翻訳するなど手段はありますが、「現地にいるメリットを生かした生の情報を!」というコンセプトのもと、この際、自分らの目で直接確かめることのできない他州については一切オミットしました。一般的な情報は他州についても掲載しましたが、留学生受入条件や学校生活等細かい部分についてはニューサウスウェールズ州内に限ってのハナシです。他州の事情についても将来手がけるかどうかは、今後の風向き次第です。ご了承ください。
*ところで、「留学といえば、語学留学か大学留学の方が主流だろうに、なんで中・高校生留学だけしか情報集めてないの?」という疑問の声もあろうかと思います。そうなんです、語学・大学留学の方もやりたいんです。でも、自己責任で切り抜けられる18才以上の語学・大学留学生よりも、未熟さ故に被害度が大きい中・高校留学の方を先に手がける必要を感じています。ゆくゆくシドニー近郊の語学・大学留学・ワーキングホリデー情報等も取材し、掲載していく予定ですので、ご期待ください。
*データは1996年7〜9月現在のもの。更新するよう努力はしますが保証の限りではありませんので、不安な方は「付録」に掲載した生情報ソースでご確認ください。
尚、本文中でも紹介していますが、現地情報は現地に来て集めるのが確実です。本気で留学をお考えなら、是非とも事前に学校選びを兼ねた「現地視察旅行」を決行なさることをお勧めします。
*余談ながら。これ、書いてて気付いたのですが、中・高校留学ってなにも中学生、高校生だけのものではないな、と。日本の高校、大学を卒業した人にも、ぴったりの教育機関ともいえるのではないでしょうか。オーストラリアの学校は特に年齢制限もなく、高校にしても大学にしても、いろんな世代の人々が一緒に学んでいます。「一度社会に出たけどもう一度勉強してみたい、でも大学は大変そうだし、英語も自信ないし・・」という方には、もってこいの教育機関ではないかと思います。
多くの大人はまず英語学校に留学します。しかし、英語学校のクラスメイトは当然のことながら英語が下手です。従って、いつまでたっても学校で習う英語しか覚えません。ではネイティブスピーカーが周囲にいる大学へ入ればいいじゃないかと考えますが、大学入学の英語基準点は相当高く、現地で半年〜1年くらい英語を集中して勉強しなければ、目指す得点は取れません。でも、そこそこの英語力でも高校になら入れます。
しかも、語学留学に比べると、大人が高校留学した場合、費用はグッと安くあがります。(語学留学の場合、半年間の授業料が約45万円、高校留学の授業料は半年間約30万円)こんなに安くて効率よく生の英語を学べる教育機関はなかなかありません。
また、本書にて説明したように、オーストラリアの教育方法は日本のそれとはかなり異なり、今から大人が再度勉強しても十分面白い内容だと思います。
もっとも、現実には「制服を着なきゃならない」とか、「今更高校修了証書があってもキャリアアップには繋がらない」といった問題もあるわけですが。とりあえず、大人の皆さんにも、人ごとと思わず読んでいただきたく存じます。
*最後に。執筆にあたっては、情報収集に限りないエネルギーを注いでくれたAPLACの柏木、取材中知らない道を頼りないナビで中古のオンボロ車を走らせてくれた同じくAPLACの田村両名、及び取材過程で数々の貴重な情報を提供して下さったオーストラリアの受入校の方々と現在留学生活を送っている学生諸氏に深く感謝いたします。