シドニー雑記帳



お休みの話



     日本では年度末の追い込みで超多忙な日々を過ごしておられる方も多いでしょう。また、新年度に入ったと思ったらいきなり消費税が5%に上がるという、結構大変な時期かと思いますが、ここオーストラリアではこの金曜日(3月28日)から楽しい楽しいイースターホリデーの始まりです。って僕には、あまり関係ないですが、相棒福島は「やった!やたっ!」と狂喜乱舞しています。金曜日のグッドフライデーから翌月曜日のイースターマンデーまで土日を挟んで4連休になります。

     イースターホリデーは結構メジャーなイベントのようで、ニュースでも「いよいよイースターの始まりです」なんてやってます。これは、敬謙な信仰心の発露というよりは、「大型連休到来」という社会風俗的なノリでしょう。金曜日には、イースターの為の買物客のためにフィッシュマーケットも大幅に営業時間を延長するとか(もっとも、クリスチャンの場合、グッドフライデーには肉を食べてはならず魚を食べるという風習もあるそうですが)。盛り上がっています。

     たかが4連休にどうしてこんなに盛り上がるかと不思議な気もするのですが、こっちではクリスマスホリデーを除いて、他にこれだけ連休が続くような時がないのですね。まず国民の祝日が少ない。日本の半分くらいしかないんじゃないかな。今から思うと日本って本当に祝日が多いです。国民の祝日全部言えますか?なんだかんだで休んでるますね。俗にいわゆる「カンチャン法案」「オセロ法案」と言われる、「前日と翌日が祝日である場合は、その日も休日になる=飛び石連休を3連休化する」というシステムまであったりして、よく考えたらスゴイ法律ですね、「そうなると嬉しいから」くらいしか理由がないという。

     ところで、このカンチャン立法も含め、いつが祝日なのかを決める法律として、「国民の祝日に関する法律」という法律があるのをご存知ですか?大抵の六法には載ってると思いますが、読んでみると「おお、そういう日だったのか!」と新たな発見をして面白いです。例えば「成人の日」。法律によりますと「大人になったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日だそうです。「みずから生き抜こうとする」という所が迫力ありますね。「春分の日」=「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日だそうです。「春の訪れを愛でる日」かと思ったら、もっとグローバルでエンバイロメンタルな日だったわけです。他にも「子供の日」=「(前略)母に感謝する日」、「秋分の日」=「祖先をうやまう」などなど、「なんで?」という気もしますが、そーゆーことになってます。休めりゃ何でもいいんだということで、特に強い法改正の動きも聞きません。

     このような法律上の根拠のある祝日の他に、社会的コンセンサスで休みになってる日も多々あります。御用納めのあとの年末や、1月の2日と3日。お盆なんかも別に休みではありませんけど、皆さん休みますね。ゴールデンウィークの中日なんか、半分仕事になりません。キッチリとカレンダー通りの出勤日程だと「人情味のない会社」というニュアンスさえあります。だから日本ってすごく休みが多いのでしょう。オーストラリア、あるいは西欧社会が休みが多いとか言いますが、確かに年に4週間ホリデーとか取れますが、通算していけばそんなに変わりはないように思います。

     だから自発的にホリデーを取るのではなく、カレンダーに従っていたら自動的に連休になるというのは、こちらでも非常に嬉しいようです。こちらの大型連休を日本の感覚に「意訳」しますと、クリスマスホリデーは「正月+夏休み(お盆)」、イースターはゴールデンウィークくらいの存在感があるように思います。ちなみに「連休」って英語で何ていうかというと、ロングホリデーとか言ってるようですね。

     



     イースター祭になりますと、なぜかスーパーで卵型のチョコが売られています、イースターエッグということで、「なんで卵やねん?」という気もしますが、「復活」=「生誕」というのがキーワードになるような気もします。オーストラリア人に「なんで?」と聞いたこともありますが、「なんでかしらんが、そうなってるんだわ」という答えでした。キチンとした神学的あるいは社会学的理由はあるのかしりませんが、どうでもいいんだろうなあ。家の中に卵を隠して、子供がそれを探し出すという風習があるという話も聞いたことありますが、どれだけの家庭が律義にそれをやってるのかは分かりません。「節分で本当に豆を撒いている家は、日本の全世帯のうち何%か?(知らんけど50%は切ると思うけど)」みたいな感じでしょうか。

     キリスト教的風習にまつわる疑問というのは他にもいろいろありまして、最大に疑問なのはクリスマスです。なんで12月25日なのか?という点です。「その日に生まれたからでしょ?」というアナタ、良く考えてください。西暦という暦はキリストを基準に作られているのではなかったのか?だったらキリスト生誕の日を元旦にするのがスジというもんとちゃいまっかと思うわけです。他にもキリスト基準のくせに、どうしてキリスト誕生が紀元前4年(でしたよね)なのだろうか?これも不思議ですね。

     他にも、あのサンタクロースというのは何なんだ?灼熱の聖地エルサレムの筈なのに、なんで厚着してトナカイに乗ってるのだ?バレンタインデーって何なのだ。こちらでは女性だけでなく男女問わず告白する日らしいが(日本ほど盛り上がっても、儀式化もされてないけど)、もともとは何なの?とか。

     よくわかりませんね。よく分からないけど、起源や沿革はさておき、世界的に面白くて楽しい風習だけ広まってたりして、「面白かったらそれでいいんだ」というのが人類の正しい態度なのかもしれません。

     疑問ついでにもう一つ挙げておきます。1年12ヶ月というのは、古来の12進法、60進法の名残として承服するとしても、なんで各月が30日とか31日とか、あるいは28日とか凸凹があるのでありましょうや?太陰暦のように全部月の満ち欠け基準で28日でやって、あるとき豪快に「閏月」で調整するほうがよっぽど合理的だと思うですが。そもそも太陽基準でやるなら、「年」は公転軌道一周ということで計測できても「月」は出てこない筈。これを12等分するにしても、なんでこう不規則にするのだ。特に2月は理由がないぞ、と。

     この点に関しまして、私、以前に「カレンダーの改正案」を人々に問うたことがあります。すなわち、1ヶ月は全て30日にする。すると365日だから5日余りますが、その5日を年末の「特別期間」「おまけ」に当て、年末の整理と、行く年来る年の回顧と展望の日に当てると。だいたい年末が忙しすぎるというのが問題意識の発端でありました。ただでさえクソ忙しいのに、やれ忘年会はあるわ、クリスマスはあるわ、嬉しいんだか迷惑なんだか23日に天皇誕生日はあるわ、お歳暮は発送せなあかんわ、年賀状は書かなきゃならんわ、御用納めのあとも正月の準備の買出しやら、大掃除やら、帰省や旅行のダンドリやら、ハッキリ言って忙しすぎます。こんなに忙しくて「ゆっくりと、今年の整理と新年の計画」なんか出来るわけがない。これじゃ心にゆとりなんか生じるわけないよと。だったら、各月を分かりやすく30日にし、年末5日をプライベートな「おまけの日」にすると。その方がよっぽど計画的に物事進むだろうし、生きてて楽しいじゃないかと思うわけです。これは日本一国でやるわけいきませんから、全世界「せーの」でやらないと駄目です。国連で議論してくれないかなあ。

     


     さて話はまたイースターに戻ります。
     ニュースでやっていましたが、今年からイースターホリデー期間(正確には4月7日までだからもっと長くスクールホリデーが終わるまでだが)、交通違反(スピード違反)の点数が無条件にダブルになるそうです。こちらでも違反の点数はあるのですね(デメリットポイントという)。

     なんでか?というと、ホリデー期間皆さん遠出したりして遊びに行く、ぶっ飛ばす奴も出てくる、交通事故死者が増える、なんとか安全運転してもらって悲劇を最小限に抑えようということなのでしょう。日本でも特別交通安全週間とか、歳末などになると頑張ってはりますけど、大抵は交通警察の人員補強とかそういう実務的な強化であって、「いっそのこと法律を変えちゃおう」という発想はないですね。でも、この国は、面白いアイデアが出て、実益ありそうだったら、「とにかくやってみようや」ということでとっとと実行しちゃう所があって面白いのですね。

     まあ交通違反の点数を倍にしてどれだけ効果があるのか分かりませんし、事後的な罰則なんかで意味あるんかという批判もあるようです。ただ、「一つでも悲劇を減らせるのであれば、考えうる手段は全て講じるべきだ」という発想も強いのでしょう。警官隊を配備するより、法律変えるというのが確かに一番安上がりでもある。ただ、「歳入増加の下心があるんだろう」という批判もあるので、ダブルになるのは点数だけで罰金はそのままだそうです。

     この週末には遠出しようと思っているのですが、免許取り消しとかならんように気をつけよう。高速乗れば、120〜130キロとかすぐ出てしまうので、結構恐いのですね。

(97年3月27日)

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