シドニー雑記帳
シドニー/トイレ事情
これから海外旅行や生活体験しようと考えている方にとって、一番欲しいその国の情報は?というと、「治安」であったり「予算」であったりします。ですが、あまり表立っては取り上げられることはないものの、「トイレ事情」というのは、かなり潜在的なニーズがあるんじゃないでしょうか?
中国の田舎のように、前の人の背中を見ながら用を足すという大部屋式トイレだったら、ちょっと旅行も躊躇してしまうかもしれません。町を歩いていて突然トイレに行きたくなったら、駆け込めるような公衆便所は随所にあるのか、トイレットペーパーは常に置いてあるのか、清潔度はどれくらいなのか、、、まあ、大した問題じゃないっていえばそうですけど、とりあえず事前に知っておいたら安心じゃないですか?
そこで、異名「トイレ研究家」の私、福島(単に他人よりトイレが近いだけだけど)が、これまでの経験をもとにトイレ情報をお届けします。
★シドニーの公衆トイレ評価−−EXCELLENT!!
全般的に申し上げて、シドニーの公衆トイレはかなり質が高いです。少なくとも日本のキタナイ公衆便所と比べれば、大差でシドニーに軍配があがるでしょう(最近は日本にも有料の超キレイな公衆トイレがありますが、シドニーのは無料でそこそこキレイ)。まずは、シドニーの公衆トイレのプラス評価要因をあげてみます。
- どの公衆トイレもよく掃除が行き届いている。
−−これは地方自治体が失業者対策も兼ねてお掃除人をふんだんに雇っているためと聞いたことがあります。実際、トイレに限らず、そこらの公園のごみ箱なども頻繁に掃除されています。ただし、使う人のマナーが悪いせいか、お掃除直前のトイレは「散らかっている」ことがあります。
- 公衆トイレの数が豊富。
−−さすが観光国だけあって、観光客があふれる都心エリアや観光スポットには必ず十分な部屋数を備えた公衆トイレが設置されてます。従って、観光バスの団体さんご一行が到着した直後でもない限り、トイレは比較的すいていて、苛々しながら待たされることはあまりありません。
- 必ずトイレットペーパーが設置されている。
−−設置率95%(調査したわけじゃないけど)。従って、日本のように街角で宣伝用のティッシュを配ってくれないのが、悲しいところ。しかも、ご丁寧にトイレットペーパーが盗まれることがないよう、ロックできるシステムを取り入れているところが多い。トイレットロールを上に数個積み重ねるタイプの筒には鍵がかかっているし、直径数十センチほどのバカデカイトイレットロールもよく見掛ける。
- 必ずハンドドライヤーが設置されている。
−−設置率80%(上に同じ)。日本のヤツのようにレーザー光線(?)による殺菌機能まではついていないが、手をかざすと(あるいはボタンを押すと)温風が出てくるタイプの乾燥機がついている。一点、批判させてもらえば、ハンドドライヤーの設置位置が高すぎること(子供のイタズラ防止のためだろうか?)。身長の高い人はよいだろうが、私はいつも袖の中に逆流してくる水をぬぐいながら手を乾かしている。
なお、故障しているドライヤーもよく見掛けるが、よくよく見ると単に電源が抜けているだけってのも結構あります。
- サニタりー・ボックスがかなりの頻度で設置されている。
−−設置率50%(上に同じ)。サニタりー・ボックスというのは使用済みの生理用品を捨てるゴミ箱のことですが、これが特殊な造りになっていて(たぶん化学薬品が入っているだとおもう)、消臭・殺菌効果があるらしいのです。もっとも同じ公衆トイレでもすべての個室に置いてあるわけではないこともよくあります。月経中の場合は箱の有無を確認してから個室を選びましょう。
★せっぱつまった時「使える」トイレ・リスト
公衆トイレは多いといっても、巷にころがっているわけではありませんし、キャバレーのネオンサインのように自らの存在を主張しているわけでもありません。それなりに探しかたのコツはありますし、レストランなど私有地内のトイレを使わせてもらう際の気がね度も知っておく価値があります。
- パブ
街角に1つや2つは必ず目につくのがパブです。パブに人が溢れかえるのは夜だけですが、昼間から開いてるパブも結構あって、おっちゃんたちがカウンターに肘をついて呑気にやってます。こういうパブは昼間のトイレ休憩先としてオススメなのです。昼間は掃除したてでキレイである確率が高いし、人も少ない。昼間の特に女性用トイレは超快適(他に使用者がいないから)。
ちなみにトイレを使わせてもらうのにイチイチ何か飲み物を注文する必要はありません。入る時はちょっと勇気がいるかもしれませんが、シレッと入ってシレッと出ても全然問題ありません。実際、オージーはパブのトイレを上手に使いこなしているようです。
- マクドナルド
パブと並んで、町中の「使える」トイレです。マクドナルド以外にもKFCとかハングリージャックとか、ファーストフード屋さんは町中にあふれていますので、探すには苦労しないでしょう。
トイレに直行しても気まずいということはないので、別に何かを注文する必要もないです。
- 雑居ビルの階段付近
ビジネス街でトイレに困った時は、付近のビルをあたってみましょう。コツとしてはちょっと古めの雑居ビルがねらい目です。というのは、新しいビルは管理システムがきっちりしているので、外来者が簡単に入り込める構造になっていないからです。場所的には、階段付近にあることが多いのは日本と同じ。
また、ビジネス街のビルに入るのにスーツじゃないと不自然とか思われるかもしれませんが、こっちの人たちは仕事でもラフな恰好をしている人もいるし、ビル内にはいろんなファッションをした人が出入りするものなので、自分が気にするほど他人は気にしてないでしょう。堂々と入りましょう(笑)。
- ガソリンスタンド
ドライブの時や、公衆トイレがあまりない田舎に行った時にオススメなのがガソリンスタンド。こっちのガソリンスタンドはほとんどがセルフサービスなので、車で入っても「はい、いらっしゃーい」と店員に迎えられることがないので、義理でガソリン1000円分とか入れる必要もありません。しかもコンビニ的機能が備わっているスタンドが多く、ガソリン目的でないお客さんの駐車スペースもありますので、トイレも比較的気軽に使えます。
店としても、トイレ休憩ついでにガムでも買っていってくれたらしめたものなので、別に嫌な顔もせずに使わせてくれます。時々、トイレに外から鍵がかかっているところもありますが、店内のレジまで行って「キー、プリーズ」と言えば、NO PROBLEMです。
- ブッシュの中
観光地を離れたブッシュの中のトイレは、概してレベルが低いです。水洗トイレなどの設備がなく、おっこち便所であったり、一段高くなった台の上に丸い穴があいているだけというのもあります。それでもトイレットペーパーだけは置いてあったりするのですが、大抵は「これなら茂みでした方がマシ」という場合が多いです。
ブッシュの中は野生のトイレの宝庫ですので、腹を括ってそちらを利用することにした方がよさそうです。
逆に日本の感覚では「使えそうに思えるが、ここではあまり使えないトイレ」というのがあります。たとえば、お店のトイレ。デパートのトイレは一応問題ないのですが、なにぶんデパートが広すぎて探すのが大変という難点があります。スーパーマーケットのトイレは一般に使用できません(例外もあるが普通はスタッフ用のみ。交渉すれば鍵を貸してくれることもある)。
日本なら絶対文句なく使わせてもらえる飲食店のトイレは、おおむね問題ないのですが、雑居ビル内の飲食店の場合、鍵をもらわないと入れないところもあるので要注意。あと、庶民レベルのレストラン、カフェのトイレは概してあまりキレイじゃありません。仕事が忙しくて掃除なんかしてる暇ないのでしょうか。テイクアウェイの店のトイレなど、客に使わせることを前提にしていないせいか、かなりの確率でキタナイです(そんな店のトイレまで強引に使っている私が図々しいのだが)。
日本ですと、トイレの清潔さ、手入れのよさが店の品格を決める一つの材料と思われているようなところがありますが、この国ではあんまり関係ないようです。うまい店はうまい、トイレがキレイだろうがキタナかろうが、関係ない!といった感じ。感覚的にはアジア系の店ほどそういう傾向があるような気がします。
あと、学校のトイレも注目に値します。この国では学生に掃除させることはしないので(掃除を教育の一環ととらえる日本との違いですね)、掃除業者が掃除してくれます。従って、小学校、中高校のトイレは概してキレイです。が、父兄のような顔して入っていくのもちょっと気がひけますね。
入りやすさで言うなら、大学のトイレ。大学というところは実にいろんな風体の人々が闊歩していますので、全然違和感なくトイレまで進入できます。まあ、広いキャンパスからトイレを探りあてるのは大変ですけど。大学のトイレ付近では全共闘時代のような落書きの数々など面白いものも見られますが、あまりキレイじゃないことが多いです。
※豆知識
トイレは「トイレット(toilet)」でも通じますが、他人に場所を聞く時などは「レイディース(ladies)」とか「ジェンツ(gents)」と言うと、それなりに社会性のある言葉に響きます。「お化粧室」みたいなノりでしょうか。
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★家庭のトイレについて
家庭のトイレは家庭によって違います(そりゃそうだ)。ただ、一般的に言えることとしては、日本のようにウォッシュレットとか、便座ヒーターなどのハイテク機器は見掛けないこと(お金持ちの豪邸にもなかった)、そして、ビデ(お尻を洗うためのシンク)もあることはあるがあまり見掛けないこと(たぶん欧米に比べたら少ないのではないか?→統計はないのだろうか?)くらいです。
さて、私はオーストラリアの家庭のトイレについて、いくつか疑問を持っております。どうでもいいっつっちゃどうでもいい疑問なのですが、皆さんどう思われます??
その1)公衆トイレは便座の高さが高すぎると感じることがよくあるのだが、家庭用トイレは大抵低い。子供の使用を考えての配慮なのだろうか? 背の高すぎる便器を大量に作ってしまった会社が大量ロットで安く在庫を吐き出したのだろうか?
その2)便座カバーがない。どんなに探しても売っていない。オージーはお尻が冷たくないのだろうか?少なくとも便座カバーがないという現象から判断して「そんなモノを開発するくらいなら、冷たいのを我慢した方がマシだ」という程度の不快感なのだろう。
その3)ほとんどの家のトイレはお風呂(あるいはシャワー)と同室になっている。これは欧米も同じことだが、誰かがお風呂に入っている間トイレにいけないということに不便を感じないのだろうか? (バスルームが2〜3つある家もあるが、1つしかない家も結構ある)おそらくお風呂では軽くシャワーを浴びるだけなので使用時間がトイレと同じくらい短いから、やっていけるのだろうケド。それとも実際には、家族がシャワー浴びてる間にも、関係なくトイレ使っちゃったりしてるのだろうか?
★トイレのマナー
ついでながら、トイレを使わせていただく際のマナーをご紹介しておきます。
まず、公衆トイレや外のプライベートトイレで混雑している際には皆さん列(queue)を作って並びます。この列はどんなに個室がいっぱいあっても1列のみで、どのトイレが空いても列の一番前の人から順番に入っていく仕組になっています。これは、たまたま並んだ個室の前利用者が予想以上の時間を費やすことで苛立たずに済む、極めてフェアな順番待ち方法だと思います。最近、日本でもこのシステムが浸透してきましたが、ときにこの列を無視して個別のトビラの前で陣取ろうとするアジア人風(日本人かもしれない)のおばさんを目撃することがよくあります。これやると、列中の人から「こらこら、みんな並んでいるんですよ」とお叱りを受けるか、皆の冷たい視線を浴びますので、要注意です。
日本では中に使用者がいるかどうかを確認するために「トントン」とドアをノックするのが常識ですが、オーストラリアではまずしません。「トントン」とやると、「なんだよ、うっせーな」という感じで、すごい迷惑がられるみたいです。ふつう、空いているトイレはドアが空いているものなので、一目瞭然で分かるだろうというのが、コンセンサスになっているからでしょう。でも、時々人がいないのにドアが閉まっていることもあるし、ドアの鍵が壊れていて半分ドアを開けた状態で用を足している人がいたりするので、何とも言えないのですが。
そういう場合は、「Is anybody there?」とか叫ぶか、ドアの下(数十センチ程スキマがある)から覗いて足があるかどうかを確認しましょう
また、他人の家で使用させていただく場合ですが、「使用後にトイレの便座をどうすべきか」という超無意味な論争を聞いたことがあります。
「トイレの便座は下ろしておくべき派」が主張するのは、「便座があがっていると、いかにも男性が使用した後という印象を受け、見た目にも清潔感がない」という論点。また、「あげておくべき派」が主張するのは、「おろしてあると、いかにも大をしました、という感じがして気持ちよくない」という論点。どうやらまとめると、男性は「あげておくべき」、女性は「下ろしておくべき」と言ってるよーな気もしますね。
・・・意味のないディベートでした。
以上、シドニーで充実したトイレライフを!!
(1997年6月2日 福島)
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