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    ホームシック






    「海外で長期間暮らすならホームシックと仲良く付き合うことが大切だ」とよく言われます。個人的にはホームシックになったことがないので何とも言えないのですが、そういう状況に苦しんだという話はよく聞きます。留学生など子供だけの話かと思いきや、年齢に関わらず大抵の人が一度は経験しているようです。

    経験のない私が書くと、なんだか知ったかぶりの評論家の文章みたいになるかもしれませんが、ご容赦をば。これから海外生活を考えている人にとっては、大切な情報だと思うので、人づてで恐縮ですけど、ご紹介しておく価値あるかなと思いまして。

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    「素顔のオーストラリア留学」の中でも書きましたが、落ち込む人はかなり落ち込むようです。特に日本に家族や恋人がいる人にありがちなようですが、「会いたい人に会えない」という具体的な「パーソンシック」なら日本国内でもよくあることです。パーソンシックだけではなく、「土地」「環境」に対する思いがつのってホームシックは増殖していくようですが、その大きな要因になっているのが、英語みたいです。

    英語に不自由する当初は当然のことながら、自分の気持ちを100%自由に伝えられないことに非常に苛だちます。また、英語で話していると、本当の自分じゃないような、本当の自分を相手に伝えきれていないような、不快感があります。心を割って話し合える友達が出来ないことも、ホームシックの原因ですが、それも結局は不自由な英語力が根本原因となっているんじゃないかという気がします。

    余談ですが、これが英語じゃなかったら状況はまだマシなのではないか?と思うことがあります。中学時代から勉強してきた英語、国際通用言語=英語だからこそ、「できて当然」という具合に、まるで英語が出来ないことが罪悪のように感じられてプレッシャーになってしまうのではないかと。これがもし、モンゴル語とかジャプカイ語(アボリジニの一族の言語)とか、今まで全く縁のなかった言語だったら、もっと気長に取り組めると思うんです。「ハロー」が言えただけで「すごいじゃん、あたし」と自分を誉めてあげられるんじゃないかと。下手に永年馴染んできた英語であるからこそ、余計にプレッシャー感じてしまうような気がします。


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    さて、話はもとに戻りますが、英語がもとでホームシック状態になるという話でした。オーストラリア人と結婚してシドニーで生活している女性から聞いた話ですが、だんなさんと一緒にパーティーに行って帰って来た夜は、なんだかわからないけど涙が止まらないのだそうです。既に数年も現地で暮らしていて、英語でも日常は苦労していない人なのに、パーティーみたいなネイティブの会話だらけの場に出ると、英語によるストレスと孤独感が急激に襲ってきて、でもそんな自覚もなく原因不明のまま泣き明かすのだそうです。

    永年現地で生活している人でもこうなのですから、移住直後あるいは生活体験中の人なら尚のことです。こんな時は「あれ?もしかしてホームシックかな」と自問自答して、自分の現状を素直に認めてしまった方が楽になると言うことです。優等生タイプの人にありがちなことですが、「私に限ってホームシックなんかにかかるはずがない」とプライドに賭けて否定してしまうと、症状は余計悪化するとか。ホームシックに限りませんが、「ダメな自分」も含めてありのままの自分を自身で認めてあげることが、海外生活を楽しむコツじゃないかと思います。
    また、ホームシックには通常周期があって、立ち直ったと思ったら、また落ち込むという、まるでそう鬱病のような波があり、時間が経つにつれて波が小さくなっていくという研究結果を読んだことがあります。ホームシックは再来するかもしれませんが、根気よく付き合ってあげていれば、そのうち自然と回復するということです。


    しかし、どうして私はホームシックにかからないのか不思議です。20才で初めて日本を離れてアメリカでホームステイしていた時も、何事もなく毎日エンジョイしていました。薄情な性格のせいも多分にあるかと思いますが、今を楽しんでしまえば過去のことを思い起こして懐かしんでいる暇もなくなるんじゃないかと思います。たしかに英語の不自由さから来るストレスはありましたが(今でもあります)、かといって「ああ、日本に帰りたい...」とは思わないんです。幸いなことに、いい友人と、面白い素材に囲まれているからかもしれませんし、もしかしたら5年ごととか10年ごととか、もっと大きな波でホームシックにかかる性質なのかも知れません。その節はホームシック経験者の皆さん、よろしくお願いします。
    (福島)





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