シドニー雑記帳




キサラギ99/日本にて(4)






     ぽんぽこUPしてますが、日本訪問記第4回目です。

     雑記帳も書けないときは書けないけど、今回みたいに書くネタがあるときは幾らでも書けます。普段は、断片みたいなネタは沢山あるけど、なかなか一本としてまとまらない。空気のなかを手で掻き回して、ワタアメ作るみたいにまとめていくという、これが骨です。だって、もう大抵のことは書いちゃってますもんね。雑記帳も僕個人としてはこれで92本目ですから。

     それと今回はいつもより軽く、ライトにしてます。本当だったら書き上げてから2〜3日寝かして、それから推敲なりをするのですが(ああ、この部分はこう誤読する人もあるだろからちょっと釘刺しておこうかとか)、それもしてないです。どうもそうやって煮詰めていくとちょっと読んでて重いかな?って気もするので、もうあんまり煮詰めずに、荒いままにしてます。




     さて、「そうなんだよな、ここは日本なんだよな」で気を取り直して、日本式快楽方式に切り替えたワタクシでありました。ぼーっとしてても楽しくないから、昼は買い物をはじめとして日本式快楽を、夜はほぼ毎晩飲みにいき、そんでもって終電で帰ってくるという。

     買い物はですねー、しましたですよ。電気製品、光学製品。もうこの分野のリテールは、日本は天国ですからね。品種は豊富だわ、メチャクチャ安いわ、店員さん嘘言わないわ(これも大事)、日本語喋ってくれるわ(もっと大事)。





     まずはカメラのレンズ。その前に告白しますが、僕は物を壊すことに関しては名人です。どんな高い物でもあっさりうっかり壊してしまいます。相棒福島も横でみていて呆然としてます。車なんか多少ぶつけても屁とも思いません。車庫入れでポールにぶつけても「お、そこまでなのね」と思うくらいで、どうかすると「面倒だからぶつかるまで進んでみよか」くらいに思ったりしてるフシもあります。

     その反面、壊れた物を騙し騙し使うのも名人です。例えば中古で買ったCDプレーヤーはCD入れても回転せずに動かなくなってるのですが、あれもコツがあって、「このCDを入れると不思議と動く」というCDがありまして、「動かんな」となったらまずそれを挿入する。どうしてこのCDなら動くのか科学的にはさっぱり判りませんが、これも長年の研究結果でそういうことになってます。でもって2〜3回トライしてから、それでも動かないときは、ある場所をある角度で叩く(これも長年の〜以下同文)、また手で廻してやりつつ(既にキャビネットのビスは外して常時オープンになってる)、電源を入れたり消したりすると大抵動きます。で、「ほらね、やれば出来るじゃないか」とCDプレーヤー君に自信を与えつつ、「じゃ今度はこれでいってみようね」でお目当てのCDを入れて廻すわけです。大体10分くらいやってたら何とかなります。

     「そんな面倒なことしていないで新しいの買えよ、高くもないんだから」と思うのですけど、一旦動いてしまえば新品と変わらんしね、それにこれで今まで何とかなってきたから、新しいの買うのも面倒臭くて。そんな例が沢山あります。自分としては皆も同じようにやってるんだと思ってたのですが、福島に言わすと「あんただけ」だそうです。そうなんかなー。

     ちなみに僕は、本を買ったとき付いてくる横帯とかハトロン紙のピラピラとかは、ほとんど即刻破棄します。あれをいつまでも付けてる人がいるけど信じられない。気持悪くないのだろうか。ちなみに僕は、家にあがったら速攻で靴下脱ぎます。ずっと穿いてる人、どうかしたら靴下はいたままコタツに入ってる人とかいますが、これも信じられません。また、多少の寒さならばいつも腕まくりしてます。腕の先まで何かに包まれてるのが暑苦して堪らないわけです。だから何だ?と言われると、これらの性格、どことなく根は一つのような気がするのですが。そんな気、しません?




     さて、レンズの話でした。去年日本にいったとき、28〜200ミリのレンズを買ったのですが、これがまた壊れました。ズームがスムースに動かんようになり、それでも無理して使ってるうちにウンともスンとも動かなくなり、最後にはレンズの中からコロンと小さな部品まで出てきてしまいました。「これはアカン」と思って修理に持っていったら、「こんな症状見たことない」といわれ、直すとしても最低で1万円以上、1ヶ月以上と言われてしまいました。1万円以上はいいのですが、滞在期間の関係もあって1ケ月以上というのは無理です。

     で、しょーがないから新しいレンズ買っちゃったわけです。古い奴は機会をみてゆっくり直そうということで。それに、今までの利用形態から、「もっと望遠、もっと広角」が欲しかったのでいい機会でもありました。もっと望遠というのは、オーストラリアの野生動物とか人々の表情とか撮るには200ミリでもキツイときがあったからです、もっと広角というのはホテルなど狭い一室を撮影するにはさらなる広角が欲しいということです。どっちも業務用のニーズですね。

     驚いたのは、最近のカメラというのは安い、というか安く売ってる。結局、24〜70ミリ、70〜300ミリの二本セットを買ったのですが、定価(希望小売価格)9万6000円くらいのが3万9800円で売ってました。サンキュッパです。最近この種のレンズ専門メーカーの二本セットというのは随分安くなってるそうですが、それにしてもねえ。で、買っちゃいました。だってこんなのオーストラリアに売ってないもん。いや確認したわけではないけど、まずありそうな雰囲気じゃないですもん。あったとしても中古でもこれより絶対高いと思います。高いに決まってます。だって、もう買っちゃったんだもん。そういうことにしておいてくれよ。仮に真実がそうじゃなくても、その真実を僕は黙殺します。

     あとフィルムも安いから、30本位まとめ買いしてしまいました。APLaCの方で経費で出してくれないかな〜。ダメかな〜。





     しかし、こんなのは序の口であります。最近話題のCD−Rも買ってしまいました。しかもRW(rewritable=何度も書き換えができるタイプ)。「自分でCDを焼く」、こんな便利な機械がここまでリーズナブルになってたとは知りませんでした。安い機種だったら4万切るもんね。大体、MDだってろくすっぽ知りませんでしたからね。「なに、この小さなフロッピー?」てなもんです。あれ日本しか売ってないのかな。少なくともオーストラリアで見掛けたことないです。

     ここで、本文を読んだ読者(シドニー大に留学されていた塩崎舞さん)から、「オーストラリアでもMD売ってました」という貴重な情報をいただきました。「タウンホールの地下道の..」など2〜3場所も教えていただきました。「はいはい、アソコね」という場所です。なるほど行く所にいけば売ってるようです。失礼しました。しかし、その方の話でも、やはり高いわ、古いわであったそうです。



     で、CD−Rです。オーストラリアでも最近出はじめているようですが、やっぱり高いわ、性能が一昔前だわ、生CDも一枚5〜8ドルだわですが、日本の場合、店によってはドワワっと山積みされてます。中学の頃から毎週土曜日は秋葉原通い、楽器屋通いをしていた血が騒ぎますね。京都の寺町、大阪の日本橋全部回って、ついでに「CD−Rとはなんぞや」「賢い選び方」なんてのも、雑誌を超真剣に立ち読みして頭に叩き込みました。

     なんせSCSI(スカジー)ボードとケーブルから揃えるところから始まるわけですが、日本とオーストラリアと両方のパソコンに対応させないとならんので、そのあたりも手探り状態。途中でわざわざ家までもどって、パソコン開いて確認したりして。そんでもって、結局買いました。本体の他、ウルトラスカジーとケーブルで7万ちょいってとこです。


     このあたりから段々金銭感覚麻痺してきます。と同時に、段々と日本式快楽を身体が思いだしてくるわけです。「そうそう」というか、「こーゆーの、俺、実は得意」みたいな。「日本ソフト」が立ち上がっていきます。

     ところで、正直言うとスカジーなんて使うのこれが初めてだったりしてビビる部分もあったのですが、なんせ滞在時間が限られているわけです。夜は夜で大阪神戸で飲み会です。時間がないのだ、俺は!というわけで、勢いでセッティングも終らせます。前回も、実家用のパソコン、その場で「型遅れになって一番安くて一番お買い得なのおくれ」で30分で買ってきて、タクシーで運んで、箱から出して2時間で設定してインターネットにつなげたりしたわけですが、あのときも時間がなかったわけです。この「時間がない!」という感覚、すごい懐かしいのですが、日本の都会で暮す場合、この「時間がない!」という感覚があった方がイイですね。イキイキしてきますね、いいスパイスになります。今回発見しましたけど、日本の都会に居る以上、のんびりしてちゃ駄目なんだわね。落ちていくだけ。どうもこれがコツみたいね。

     さて、「作動成功、やった〜」で喜んでる場合ではありません。7万円モトを取らねばなりません。速攻で近くのレンタルCD屋を探して、チャリンコ飛ばして駆けつけ、ここを先途とばかりに、ごっそり借りてきます。ちなみに日本の免許証忘れたので、会員証作るの往生しました。NSW州の免許証出して「これじゃ駄目?」って、駄目に決まってるっつーの。結局パスポートで会員証作りましたけど、それはともかく、レンタルCDです。

     僕の試算によりますと、生CDが大体一枚140〜200円。レンタル料金が1枚300円。それにローソンで歌詞カードをコピーするのが大体50〜100円。シメて1枚500円前後掛かります。一方CDはマトモに買ったら3000円です。だから一枚CDコピー焼きする度に、2500円浮くわけです。ということは、日本にいる間に、28枚CD借りてきて焼いたら7万円分モトを取った計算になります。で、ガンガンやりましたね。最後は時間切れになりましたけど、何枚焼いたのかな、え〜、今数えてみたら29枚でした。一応クリアね。


     で、今度は、パソコンから再び外したスカジーボードとともに、このクソ重たいCD−Rをオーストラリアまで運ばねばなりません。恐いから、機内持ち込み用にするべく発砲スチロールを切って整形したりしてデイパックに収めます。前回は、2万円くらいする備前焼の大皿を背負って帰りました。日本に帰ると、どうしても最後はただの買出しおじさんになってしまうようです。

     やっとの思いでオーストラリアまで持ち帰って、つなげてみました。作動しました。OK。これで機種対応してなかったら泣きですもんね。

     というわけで、これからが本当の業務用利用に入ります。ファイルのバックアップだけでなくて、APLaC CD−ROMも出来ます。APLaCのホームページは全部で20MB以上あると思いますが、それを全部収納。さらにこれまで撮り貯めたシドニーの風景写真など約6000枚、380MBもつけましょう。90%駄作ばっかだけど。これを売り出すわけです、2000円くらいで。しかし、こんなん誰も買わんだろうな〜。

     それにもし本当に作成する羽目になった場合には、大きな問題があります。リンク整理が異様にややこしい。何を言ってるかというと、実際にサーバーにあげる場合、サーバーの容量の制約があるので、「このコンテンツはこのサーバー」と割り振ってます。この場合のリンク表示はいわゆる「絶対リンク」、つまり”http://www〜”ではじまるリンク指定になってるから、これをローカルで読み出すと、クリックしてもそのページにいってくれないわけです。ダイアルアップが立ち上がって「じゃ電話をかけよう」と聞いてくると思います。だから、そうなってる部分を全部相対リンクに書き換えないとならないのですが、もうどれがどれやら覚えきれません。画像ファイルも入れれば全部で2000ファイルくらいありますから、その相互関係なんか”Who knows!”てなもんです。その整理なんか考えただけで昏倒しそうです。





     しかしCD−Rを教えてくれた友達とも話してましたが、これ音楽業界キツいんじゃないの?これまで不正コピー制限その他でDAT叩きとかしてたのに、CD−Rは、そっくりそのまま同じCDが複製できちゃうんだから。もう「音がいい」とかいうレベルじゃないもんね、全く同一物だもんね。

     どういうことなんだろな?もしかして、CD−Rなんて、やれスカジー設定がどうのとか、かなりパソコン使えないと出来ないだろうからそんなに普及しないとタカを括っているのかな。でも話によると既にCD−R付きのラジカセなんかもあるというから、そんなの時間の問題だろう。

     あるいは、幾らコピー機器が発達したといっても、それでも皆CD買うのだということに気付いたのかな。だって売上げ落ちてないんじゃないかしら。その昔、大ヒットで100万枚だったけど、最近は500万枚とか売れてるもんね。単に聴くだけでなく、「カラオケで歌う」ために買う人も多くなったろうし、その場合歌詞カードが大事だし。

     しかし、これを機会に、一気にCDも1枚1000円くらいまで値下げして欲しいもんです。その方が結局売れるんじゃないかなあ。だって、僕だって必死こいてレンタル屋まで出掛けて、生CD買って、歌詞カードコピーしてなんて労力考えたら1000円で現物買いますわ。それにCD焼くのって案外ミスが多く、スクリーンセーバー切っておかないと駄目とか面倒臭いし。16倍読み出し+4倍書き込みだって、結局30分くらいかかっちゃうし。

     僕の場合は、そもそもオーストラリアでは邦盤CD売ってないし、また運ぶにあたってカセットよりもCDの方がコンパクトだという色々な理由があってCD焼いたけど、このまま日本にいるならあそこまでムキになって焼いてたかどうか。大体レンタルCD屋さんって一時期に比べて減ってません?




     前々から3000円は高いなあと思ってました。3000円じゃそう気楽に「買って損した」という失敗はできないわ。でも失敗しないと本当に自分の好きなアルバムに出会えないのも事実。「ちょっと試しに聞いてみたいな」というCDは山ほどあるんだけど、1000円だったら騙されてもいいと思って買うけど、3000円なら考えてしまう。で、結局音聴いてない。そんなバンド山ほどあります。本当は「一生の宝物」になりうる曲が転がってる筈なんだけど辿り着けてない。

     ミュージシャンサイドからしても、とにかく音聴いてもらわないと話にならない。でも売れて話題にならないと聴いてもくれない。じゃどうするか?というところで、やれメンバーで有線やラジオにリクエストのノルマこなすといういじらしい努力から、各地方局に営業に出掛けたり、TVの新人大会でヌイグルミ着たり。それ以上にもっと効率的な方法でTV番組とのタイアップを画策したり。そうなってくると、「売り出す」ための力を持ってる、メディアやら業界やらのオヤジが不当に絶大な権力持ったりする。それがこれまで日本の音楽シーンをどれだけ消耗させてきたか、リスナーの耳を歪ませてきたか。

     アメリカだったかな、インターネットのサイトで一曲丸々無料でダウンロードさせてるサイトもあるっていうし。そこはもうレコード会社とメンチ切って喧嘩して、システムぶっ壊すつもりで腹括ってやってるみたいだけど。リアルプレーヤーなどの圧縮技術も日進月歩だもんね。普通のwavファイルだったら1曲50MBあるからダウンロードは非現実的だけど、これからどんどんカジュアルになっていくだろう。だからCD買わなくても無料でそのまま落せる。そのうちに、それをWAVファイルにコンバートするファイルも誰かが作るだろうし、そうなれば、自分のCD−RでCDに出来る。ここ1〜2年でそうなると思います。

     この話は前にした記憶がありますが、普通、まずミュージシャンなどプレーヤーがおってオーディエンスがおってという原始的なところから始まって、それをシステム的アレンジする興行会社が出来て、さらに再生するためにレコード会社ができて、その為の機材としての電気メーカーが出てくるという図式があります。だからプレーヤーとオーディエンスが一番エラい。イギリスなんかそうだと聞きます。でも日本はまず家電メーカーが先にハードを作って、ハードを作ったはいいけどソフトが無いと困るからソフト会社、つまりレコード会社を作ると。その後に芸人をかき集めるから、プレーヤーの扱いは下になる。だもんで日本のレコード会社の大手は家電メーカーだもんね。東芝にせよ、ビクターにせよ。一方、イギリス製のラジカセなんかあんまり聴いたことない(タンノイとか有名なオーディオメーカーはあるけど)。これ、本でいえば、印刷機器製造メーカーが出版社やってるようなもんです。

     でも本来ソフトとハードは別物だと思います。何を当たり前のことを、と思うかもしれないけど、漠然と思ってる以上に違うんじゃないろか。もうハードの人とソフトの人は、人間のタイプも生き方も違うのではなかろうか。だからカルチャーも全然違う。本気でソフト作ろうと思うなら、作家とか画家とか、もうちょっとイっちゃってような破滅型タイプも出てきます。で、イっちゃってるのを良しとするカルチャーがないと彼らは育たないし、それを理解しうる素養がありそれも正常な世界に通訳してあげる人がソフト産業に従事する、と。編集とか画商とか。もちろん、ハードでも開発部門では創造力・ソフトが問われるから、全部が全部そうという訳ではないでしょう。でも、やっぱりカルチャーの違いというのはあると思います。




     どんどん技術が進歩して、より気軽にソフトがコピーできるようになること、それによって多くのソフトが僕らの周囲に出回っていくのは、基本的にいいことだと僕は思います。CDだって、考えてみれば、書籍のように一冊丸々コピーした方が現物買うより高いとなっても不思議ではないと思う。また、文庫本一冊に収められた小説家の知的労働量と、一枚のCDに収められた演奏者の知的労働量とで、CDの方が数倍大きいというものではない筈です。だから、CD一枚数百円でも全然不思議ではないと思う。原価考えてもそんなに差があるとは思えない。流通費用もそう。それに、制作費に関しても、今はデジタル機材がかなり進歩してるし、ハードディスクレコーダーも発達してきてるから、別にスタジオで録音せんでも自室で結構できてしまう。結局、本とCDで何処が違うかというと、プロモーションなどの莫大な宣伝広告費ということになるのでしょうか。

     じゃなんでそんなに広告費が掛かるのかというと、音楽はビジュアルも売るからってこともあるだろうけど、基本的にはそうやって大々的に売り出してドル箱スターを作って一発あてて、それで他の売れないアーティストを養ってるという構図があるのでしょう。歌謡曲的構図。でも、これってなんか悪循環のような気がする。広告宣伝も金かけないで、もっと単価落して多くの人に気軽に聴いてもらい、色んな種類の音楽は周囲に溢れた方が面白いじゃないかと思います。今の時代、その方が業界全体としても潤うと思うですけど、違うのかな。





     ところでオーストラリアのCDも高いです。購買力平価を考えたら日本よりもずっと高い。品数もないくせに「許せん」と思ってたのですが、これ、やっぱり英語圏の悲哀でしょう。これまで英語圏の国って英語学ばなくていいから得だよなあと思ってたのですが、最近はあまりそう思わなくなりました。日本は日本語というバリアがあるから、どんなにグローバリゼーションが進んでも、残る領域があります。特に邦画、邦楽、書籍などがそうです。自分達のリアルタイムの環境に即応したソフトが沢山出せる。でもオーストラリアの場合、もう言葉が一緒だから、アメリカ、イギリス製の、音楽・映画・TV・本がなだれ込んできます。ニュースエージェントで雑誌が沢山並んでいるようですが、あの半分以上はオーストラリア外で作成された雑誌でしょう。

     外国の雑誌を読んでると情けないものがあります。例えば広告等を見て、「お、安いじゃん」とか思って住所を調べると、ロンドンだったり、シカゴだったり。買いにいけないという。やっぱり自分の住んでる所をベースにした、番組や雑誌を見たいですもん。日本の番組でも当たり前のように場面が東京だったりして、なんか詰まらんなと思ってる地方の方も多いとおもいますが、これ殆どがボストンとかテキサスとか自分の国じゃなかったらもっとイヤでしょ。英語版「面接の達人」みたいな本も出てますが、よく見たらアメリカ製。アメリかとは微妙に企業風土も違うだろうに、それでいいんかという気にもなります。ポップなカルチャーというのは、その土地の雰囲気に密着して「そうそう、わかる」という部分があってこそ面白いと思うのですが、それが全部海外に席巻されてしまったらほんと詰まらんと思います。

     オーストラリアでも、TV番組編成において海外制作番組の占める比率に制限をかけるなどの特別な規制が行なわれてます。つまりそうでもしないと「文化侵略」されちゃうのでしょう。日本がアメリカナイズされたとか言いますけど、英語圏諸国のアメリカナイズに比べたら全然大したことないと思います。こっちには日本のベストテンみたいな歌番組が殆ど無いのですが、あるわけないよね。ベストテンの殆どが「外人」だもんね。毎週シドニーのスタジオに呼んでこれるわけないもん。英語圏というのは文化的には全部で一つ国みたいなもので、そのなかでオーストラリアというのはひたすら田舎であるという。

     このような状況下で、自国の音楽産業を守ろうとしたら、そらもう輸入CDにバリバリ関税掛けたりするしかないのかもしれません。ちょっと前でしたか、CDの値段が安くなるという動きもあったようですが、結局国内業界の反対に遭ってポシャッてしまったんじゃないかな。

     こんな国でCD−Rなんか売った日にはどうなっちゃうんだろうと思いきや、あんまり関係なさそうです。日本に比べて、そういうのが好きなメカフェチの人もぐっと少ないように見受けられますし、CD−Rなんか大して普及しないのではなかろーか。それよりも、そもそもレンタルCD屋というのを見たことがないのです。レンタルビデオ屋は結構あちこちにあるのにね。これ僕が知らないだけかもしれませんけど。でも新品売ってる普通のCD屋さんのあの品揃えの少なさを考えると、仮にレンタルがあったとしても輪をかけてショボいような気もします。



1999年03月09日:田村


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