シドニー雑記帳



語学学校余録

     7月に入ってから、おかげさまで千客万来....と言いたいところですが、数客数来という程度ですが、さまざまなお客さんがやってこられており(or予定)、楽しませて戴いております。若くしてリタイアされ第二の人生を探しにこられたex社長さんや、短期語学留学の高校生の方、生活体験的な観光を希望のOLの方、ワーホリの方、あるいは中高生留学のため親子で視察に来られる方、大学進学を念頭におかれる方、親子留学、家族揃ってのバカンスなどなど。ひとつとして同じ類型がないのが大変ですけど、面白いところでもあります。そういえば取材の方もお見えになりました。

     貧乏暇なし的にそこそこ忙しいのは良いのですが、ホームページの更新もなかなか進まないでおります。更新ネタは、暖炉のそばのタキギのように積み上げられているのですが、これを一本のページとして仕立てるのが、なかなかに面倒で、ほったらかし状態になってたりします。ごめんなさい。




     トビラの写真1枚交換するだけでも、3時間くらいかかってしまうのですね。なんでそんなに時間掛かるのだろうかなあと自分でも不思議なのですが、デジカメで撮った写真をパソコンに転送する→大きさを修正して保存する→今までの写真のストックから次の一枚を選び出す(これ既に1000枚近く撮ってしまったので見るだけで大変)→選び出して更にホームページ用にサイズやガンマ値、圧縮率を調整する→ 適当な解説を書く。この解説も、いい加減といえばいい加減なのですが、一応基準としては、写真としてそこそこ見れて、且つガイドブックにあまり載ってないような盲点というか、「ふーん、そうなのか」という視点を織り込むことにしてます。これが意外と難しい。また写真だけ見てる段階では面白く思えても、いざ実際にページにハメこんでみると案外面白くなかったりして、またイチからやり直しということになったり。そんなこんなで時間が過ぎます。眠い。

     でも、トビラの写真は一番時間掛からないですね。新たなページを新設するのは、少なくとも10時間くらいかかりますので、うんざりしてきてしまうという。こんな駄文書いてないで黙々とやりゃいいんですけど、はい。

     そこで、いずれページを更新or新設するにしても、いつのことやらわからないので、先にエッセンスだけここで書いてしまうことにします。




    ★語学留学情報

     現在4校ばかり載せてますが、ストックしてある情報は結構というかムチャクチャ増えました。いまとなってはあの4学校は、とりたてて代表でも典型でもないなあという感じです。かといって、別に駄目とかそんなことは全然ないのですが、選択肢の幅は意外ともっともっと広かったのね、という感じです。 例えば夜の部のコースもあるところとか、日本人が極端に少ないところとか、アクティビティとコミになってるところとか。
     
     こちらに来てから語学学校を決めるという方のお手伝いも最近やったのですが、1両日で5校ほど見てまわると、やはりそれぞれに雰囲気が違うのが誰の目にも分かったりするようです。ただ、なにがどう違うのかというと、これを表現するのはえらく難しい。例えば「こういう語学学校が希望である」というレベルでいいますと、よく「日本人の少ないところがいい」とか皆さんおっしゃいますね。日本人ばっかりだとつい日本語喋ったり、日本語訛りの英語ばっかり聞くので勉強にならないという懸念も確かにあります。でも、逆に日本人が全然おらん学校になると、ホームステイ/学校とオール英語となって、さすがに鬱積してくるものもあるかもしれないでしょ?あるいは、密度の濃い勉強が出来るのもいいといえばいいのですが、ガリ勉オンリーというのもツライかなあ、かといってチャラチャラダラダラしてるのもイヤだし、とか。要はそこらへんのミックス具合というか「レシピー」ということになるのでしょう。

     学校によってレシピーが微妙に違うのでしょう。でもその微妙な濃淡を文章で表現するのはむつかしい。カレーでいえば、激辛、大辛、ちょい辛、普通、やや甘、大甘という具合に表現したとしても、辛さだけが味の全てでもないし、本当のところは伝わらないのに似てます。それに、見ただけでどこまで分かるのか?という部分もあります。すなわち、クラスメートと先生との相性というのが、実際の学校生活を構成する大部分ですので、こればっかりは入ってみないと始まらないという根本的な問題もあります。

     だもんで、「学校なんてどこも同じ」という人もいれば、「全然違うよ」という人もいるでしょう。これは、各自の好みやら滞在計画に関わってくるので、すぐれてインディヴィジュアルな話なのでしょう。以上のことを踏まえて、一般的概括的に情報として何が出せるのやら?と思うと悩みますです。もう「結婚相手に誰がふさわしいか」みたいな話で、客観化してランク付けできるんかいな?という根本的疑問もありますね。無理やりすると「3高」みたいな、表層的なものになってしまいそうで。




     ところで柏木は現在、某会社で語学学校選択の相談を担当しております(APLaCは各自自弁参加で、誰ひとり給料なんか貰ってません、「面白い」のが配当という同好会的世界、なんて威張ってる場合ではないのですが)。そこで、いろいろな学校を訪問したり、相談したりしてるわけで、個人的な知識は増えるわけです。といっても、そこでの情報を右から左にこちらで使う気は毛頭ありませんし、使おうと思っても使えない。あとの二名の意見や経験、さらに実際にお客さんと一緒に見て廻ったり、そこでの意見を聞いたり、それらを全部を加味総合してはじめてAPLaCの見解になるわけですから。また、お客さんをどっかの学校に入学させたらその学校からコミッションが入るというビジネスをしてるわけでもないので、自ずと視点も違ってきます。

     そんななかで、どういう情報をホームページで提供したらええんやろか?という問題はあります。例えば「いい/悪い」という最終価値判断はこちらがすべきではなく、「あなた」の判断だろうからこちらはやらないようにしようとか、するにしても、出来るだけ「○月○日、○○さんが○○という経験をした」という情報の出所を明らかにした方がいいんじゃないか?とか。何を言ってるかというと、例えば、柏木さんがどっかの学校の校長と面談して、非常にいい印象を持ったとします。当然、彼女のなかでは、「この学校はいい」という判断になるわけです。それはそれで間違ってないのでしょうけど、ほんでも、他の二名としては、「それは、単に柏木さんと校長さんとが、個人的人間的に波長が合っただけの話じゃないの?ひとりの生徒として授業を受ける立場からすれば、それは関係ないんちゃうの?」という「ツッコミ」もせんとならんわけです。

     確かに、学校を司る人間の性格やポリシーは、その学校の運営に一定の影響を及ぼすだろう、だからその人間の性格識見は、学校のよしあしを測るひとつの有力な根拠資料になるだろう。でも、ひとつの間接事実にすぎない。Aという事実からBという事実を推認する場合、A事実の推定力証明力を厳密に判断せんとならんだろうとか−−−−−−。すみません、堅苦しいのは、裁判とか生業にしてきた人間のクセなのですが、やっぱ冤罪とか誤判とかが恐いから、ちょっとやそっと事実や証拠が集まっても、そうそう簡単に結論にむすびつけたくないわけですね。「被害者の服に付着していた血の血液型とあなたの血液型が同じだから、あなたが犯人だ」みたいな杜撰な認定はしたくないという。だから、「3ヵ月前に校長と2時間ほど面談して、非常によい印象を持った人間が一人います」という「事実」だけを出すべきちゃうか?とか。で、その事実の評価は、あなたの判断です、と。

     しかしそんなことをやってたら、その2時間の面談の経過をテープにでも録音して、それを公開するとか、そこらへんまでやらないと駄目じゃないかとか、キリがなくなってしまう。厳密に考えていくほどに迷宮に入り込んでしまうわけです。まあ、それが「情報」というものの本質でもあるのでしょうけど。



     そんな「事実」関係で言うならば、こういう事実は提供できます。

     例えば、前述の短期留学で現地で学校を探した人のケースだと、日本でとある業者さんにいろいろ相談したところ、入学手続&ホームステイの手配をやってくれるという。で、証言その1:「航空券の手配まで頼むと、手数料を結構割引いてくれるが、航空券手配を自分でやるとなると手数料があがった」、証言その2:「この時期(7月)は混むので今のうち(6月段階)から申込をしておかないと間に合わないですよと言われた」、と。証言1に対する「解釈」としては、おそらくはチケットまで売れば、航空会社からコミッションが入るので、その分、手数料を割引できるということなのだろう。

     証言2については、先週(7月中旬)にシドニーの学校を5校ほど見てまわったけど、別にその段階でも全然OKだった。最終的に決めたのは木曜日の昼で、それで翌週月曜日始まりのクラスに参加するのに問題なかったし、申込書に貼る証明写真も入学当日持参してそれで済んだという「事実」があります。そら学校側としては、ダンドリあるから出来るだけ早めに申し込んで欲しいだろうし、締め切りのサバ読みもするだろうし、そのように(早めに申請するように)指導してほしいと代理店や紹介会社に申し入れてるでしょう。僕が学校の立場だったらそう言いますわ。当日ドドドとやってこられたら絶対収集つかないでしょうし。でも、だからといってコンサートのチケットのように予約しないと絶対駄目という性質のものでもないでしょう。極端な話、現金持ってきてくれたら、入学願書白紙でも、(その場で適当に記入させて)入学させるんじゃなかろか。役所の窓口じゃあるまいし、僕が学校でもそうしますね。せっかくのお客さん逃がすわけないよ。だから、「申込手続きが難しい・不安」とかいうことはあんまり無いんじゃないかな。そら願書も杜撰よりはキッチリしてるほうが好ましいでしょうが、不動産登記するわけじゃあるまいし、そんなにナーバスになるこたないと思います。駅で定期券買う程度の正確さ&労力という感じかな。




     ちなみに、語学学校に紹介すると、学校からコミッションが貰えます。この率は、払い込んだ額の10%〜25%など様々のようですが、コミッション率が高いのは良くない学校かというと、どうも実はあまり関係ないんじゃなかろかという気もします。ところで、3ヵ月入学すれば、30〜40万円くらいの学費になるから20%としても6〜8万くらい入るから、「いいなあ」と思ったりもします。まあ、でも、普通のビジネスとして考えればそんなもんでしょうけど。APLaCとしても、そろそろ同好会的体質を脱却して経営体質を確立すべく、「商談」をしにいってちゃんとコミッション貰おうかなという気もしますけど、そのときは「コミッション・ゼロ・ポリシー」を部分的に修正するわけだから、ちゃんと「幾ら貰ってます」と公開すべきかなと言う気もしてます。

     なんつっても、「コミッション欲しさにそこを紹介する」とバイアスがかかるのが一番イヤなので、そういうポリシーにしてるわけですが、いざ貰うという話になれば、こっちも弱い人間ですから、欲につられて奇麗なこともいってられないだろう。そこで、コミッション率を公開してですね、「この学校を紹介するのはこれだけのコミッションが欲しいからちゃうの?」とお客さんからツッコミを入れてもらってバランスを取るとか、もうこっちの取り分は一律同額にして、あまったコミッション分がお客さんに返して(その分事実上割引になる)、バイアス掛からないように調整するとか、何らかの方法が必要かなという気がします。でも、まあ、コミッションとかやらないだろうなあ。なんでかというと、単純に「面倒臭い」からだったりします。語学学校なんてのも、こっちから見れば数あるパターンの一つに過ぎないし、メールで良く聞かれるし、興味もあるからちょっと調べてるだけの話で、そこで特化してビジネスしていくというものでもないからです。コミッション契約結んだところで、殆どの学校が年間入学者ゼロになったりして、契約切られてしまうかしらんし、下手したらペナルティ食らったりして、そこらへんの契約上のメンテナンス考えるだけでも「面倒臭い」という気もしてます。




     ちなみに最近やったパターンとしては、現地での語学学校選びのサポートで、大体の意向を聞いて、適当に学校をピックアップして、見に行く学校を選んでもらって、そんでアポイント取って、1〜2日かけて見てまわるという。

     これ、別に僕らがついていかんでも、またアポイント取らなくても、自分で勝手に見てまわることできますよ。受付いって、「学校探しているんですけど、見学させていただけますか」と頼めば、まず大抵の学校はOKだし、案内してくれます。向こうさんだって学校のこと知って欲しくて、高い金かけて広告宣伝してるんだから、直接見に来てくれて嫌な筈ないと思います(まあ、毎日1000人見学に来たら嫌でしょうけど)。だから、僕らが出来るサポートというのは、数あるなかから、ここはこんな感じかなと事前に絞るのを相談する部分と、知らない町で場所探して移動してると時間掛かるのが短縮出来るのと、英語で案内してくれるのを適宜通訳する程度でしょうか。時間がない人には効率的だけど、時間がゆったりある人は、自分で見て廻るのが面白いと思います。これはホテルでも何でもそうです。時間のある人は、手間暇惜しまず自分の足で探すのが一番いいと思います。「情報、情報」と言って広告や解説記事ばっかり探してる暇があったら、現地で歩いたらよろし。その方がよっぽど正確だし、ずっと面白いですよ。

     あんまりこんなことばっかり書いてると、日本で入学斡旋してはる方々から恨まれちゃいそうだけど、でも、どうしてそんなところが商売になるんかなあと思ったりもします。語学学校に入学するのも、八百屋で大根買うのも、突き詰めれば同じでしょ?と。自分の目で見て、気にいったのを「これ」といって金払えばいいだけだもん。

     ただ、自分でも心当たりあるけど、日本にいる時点ではすごい大変なことのような気がするのですね。これ、なんでかな?と思ったら、日本の事務ってやたら書類書類また書類の山で記入するのがえらく大変。また、記入欄が分かり難いし、似たような書類が何枚も必要だし、何がなんだかわからないし、それが全部英文でこられたら「こら、あかん」という気がするのですね。もう不動産登記申請を司法書士さんにお任せするような感じなっちゃう。でも、こっちの文書ってほんと少ないですよ。銀行口座を開くのも、申請書類なんかないもん。いや、あるにはあるんだけど、窓口で「口座開きたいんだけど」と言えば、あとは口頭の会話で、向こうがどんどん書き込んでいってくれて、2〜3箇所サインするだけ。だから語学学校だって、ペラ1の紙にちょこちょこ書くだけだし、日本語で印刷された申請書を用意してるところもあるし。

     話それますけど、日本の場合って、どうしてあんなに書類だらけなんだろう。ハンコ文化っていうこともあるけど、いざというときの責任回避システムなんでしょうか。そのくせ、HIVやら原発事故やら情報公開とか問題になると、何にもわからないという。なんのために膨大な労力をかけて国民一丸となって書類を作成しているのだろうーか。挙句の果には、銀行に借金返したのに、銀行が書類処理をミスったが故に、二重請求されて家屋敷差し押さえられたという実例なんかもあったりします。こういうとき、銀行さんとか絶対にミスを認めようとしないし、裁判所も「銀行の書類がそうなってるから」とか紋切り判決書きがちだし。まあ、最近は銀行の信用も(真実に即して)下がってきてるようですから良い傾向とは思いますが。オーストラリアのように、「書類?無くしちゃったかな」みたいなアバウトな世界もそれはそれで問題ですけど、日本のように役にも立たない書類に埋もれてその呪縛で皆がナーバスになってるというのもなんだかなあという気がします。余談でした。

     ところで、学生ビザの場合、先に入学して金送金して、学校からアクセプタンスフォームとかいう入学許可証(というかハッキリ言えば領収書みたいなもんでしょ)を貰って、それを添付してビザ申請するというダンドリになってるので、現地で学校見て決めるというわけにはいきません。でも入国してから学校替えてビザ延長することは出来ます。延長に金かかる(300ドル弱というボったくり)のが難点だけど手続きそのものは、ロックスの移民局いけばそんなに難しくないです。ましてや、ワーホリとか観光ビザで来られる場合は、入国してから現地で学校決めたらいいわけだし、その場で手続できるから気楽なもんだと思います。




     いかん、語学学校ひとつでこんなに掛かってしまった。

     あとホームステイの斡旋とか、料理方面の新知識とか、オーストラリアの基礎知識とか、ホテル関連で写真がかなり増えましたよとか、いろいろあるんです。そうそう、こないだ、皆で一泊かけてクジラ見に いきました。あいにくクジラは見えなかったけど、イルカとペンギンと、コアラは見られました。「野生のコアラ」というからどんな奥地かと思ったら、緑豊かではあるけど基本的には住宅地だったりして、ガイドさんと一緒に歩いていたら、近所のおっさんが「コアラ探してるんなら、うちの裏庭にいるよ」と声かけてくれて、「嘘ぉ」と思ったら、ほんとにいた。居たといっても、ユーカリの木のかなり高いところにちょこんといるので、下からはお尻しか見えなかったりしますけど、都合3匹ばかり発見しました。あんな感じにいるとなると、「野生のコアラ」というより、野良猫のように「野良コアラ」という感じでした。そこらへんの話も、また、せっせとページを追加していきたいと思いますです。

(1997年7月22日:田村)

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