ミもフタもないシドニー観光ガイド
シドニー観光のポイント
小さな京都
ロックス/The Rocksについて
1996/12月24日加筆修正
ロックス(The Rocks)とは、サーキュラーキーの西側一帯の著名な観光地を指します。
あまり生活感のない地域で(スーパーマーケットもないし)、土産物屋や日本語の看板、そして日本人観光客(新婚カップルが比較的多いかな)が目立つわけで、パッと見た目は、いかにも観光地然としています。そんなわけで、「あそこは(オペラハウスやハーバーの景観に頼った)ただの観光地」という軽んじた見方もされますし、事実最近まで僕もそう思ってました。
ところが地元の文献などを見てますと、「オーストラリア最古の町」というだけあって、一癖もふた癖もありそうです。特に観光資源として開発されてなくても、とにかくオーストラリアで一番古いだけあって、ごく普通の建物が歴史的価値を持ってたり、なにかとイワレがあったり、調べていくとどこまでも細かくなっていきそうです。「世俗的な観光地化されてる部分もあるが、実は本当に奥が深い」という意味では京都みたいなものかもしれません。
どのガイド本にも書いてありますが、最初やってきたキャプテン・フィリップが、なんでこのSyndey Coveを本拠地にしようかと思ったかというと、「天然の港」だったからだと。つまりロックスのあたりが文字どおり岩場で、それもゴツゴツとした岩場ではなく、階段状のテラスのようになっていて、しかも水深が十分にあったと。つまり、偶然そのまんま波止場に出来るような形だったと。ここを本拠とすることで波止場の建造労力は大幅に省力されたとか(当時の土木技術、しかも長い航海を終えて疲れきってることから考えても、それは切実な問題だったのでしょう)。
実際、ロックスは意外と坂があって、下図でもおわかりのように、ハーバーブリッジ(それに続く高速道路)によって、ロックスはナナメに分断されていますが、この道路が通ってるあたりが一番高くなります。一番高いからここに後述の天文台も作られるわけです。
通例、観光客が訪れるのは、ロックスの右(東)半分、特にジョージストリート周辺(東南部)です。実際この付近が一番賑わっていますし、ビジターのための施設店舗が立ち並んでいます。店によってそれぞれ違うでしょうが、他の観光地に比べると相対的にアート系のセンスのいいものが多いかもしれません。義理土産というよりは単純に自分の趣味で冷やかして歩くといいでしょう。「ケン・ドーンの店」もあって「またか」と思うのですが、ロックスの店は彼のアトリエでもあり、運が良ければ本人を見掛けることも出来るでしょう(週に2〜3回は来てるそうです。但し、ジョージストリート沿いに2軒あり、賑やかな所にあるのはただのショップ。もっと外れのガランとした建物にあるのが彼のアトリエ兼作品展示場。最近の製作である「黒(夜)のハーバー」も展示してあります)。
ジョージストリートの終点付近では、週末になるとマーケットが開かれます。
@Museum of Contemporary Art
サーキュラーキーよりの海辺のプロムナードを歩くと、ドーンとあります。立地もいいし、建物も悪くないのですが、歩く人々はオペラハウスや海の風景、歩道で繰り広げられる大道芸に目を奪われ、いま一つ注目されないかわいそうな存在のような(僕もしばらく何なのか知らなかったし、それほど興味をひかなかった)。現代美術館です。アメリカンエクスプレス他のスポンサードを受けている民間美術館だからタダというわけにはいかないのでしょうし、常に何かの展示会をやってるし、解説用の携帯CDも貸してくれるけど、ドメインのアートギャラリーがタダであるのと比較すると、大人9ドルはちょっと高いかもしれない。展示場は3階まで、それより上はオフィスになってます。
ここのカフェは眺めが良いので有名だそうです(あまり大きくないし、そこらの芝生に座って買い食いしてても眺めは同じですが)。
AThe Rocks Visitors Centre
インフォメーションセンター。ジョージストリートの右側(海側)、青く「i」マークがあるから分かるでしょう。一見土産物屋のようですが、奥に案内所がありパンフ類が並べてあります。2階3階は展示場にもなってますし、ビデオ上映もしてます。毎日数回1時間15分のロックス散策ツアーが出ています。
BArgyle Centre
古い建物(倉庫など)を利用して再開発した石畳の広場で、カフェや土産物屋が並んでます。こういう発想は全くの主客転倒なのだろうが、なんとなくハウステンボス(長崎オランダ村)を思い出してしまった。「本格的に作られた、西洋系の古く奇麗な街並み。でもどっかしら人工的」ということで。「土産物屋のデパート」みたいなのもありますし、気のきいた小物を売ってる店もあります。
付近のThe Rocks Squre/ロックススクェアという広場では、よくパフォーマンスやってます。
CWestpack Museum
現実に営業業しているウェストパック銀行の支店の2階がそのまま展示場になってます。
DCampbells Storehouse
古くからの倉庫を改装して、レストラン街になっている。港に面したテラスなど、ロケーションはいいのだけど、「安くて美味しいか」と言われると食べたことないので不明ですが(柏木によると「味に特に不満はない」とのことですが)、前菜10ドル代、メイン20ドル代とシドニーでも最高値クラスでしょう。
EDawes Point Park
ジョージストリートを(途中で三叉路で右のHickson Rdに進む)、とにかくズンズン先まで歩いていくとハーバーブリッジのフモトまで着きます。このあたり一帯は芝生の丘のある公園になっているし、ゴチャゴチャ建て込んでないので、眺めが良く爽快。ハーバーを一番に身近に感じられるかもしれず、豪快。良く見ると芝生の岡に古い大砲が並べてあります。
FArgyle Cut
サーキュラーキーからトコトコとジョージストリートを進んで、最初の交差点で左側を見るともう見えます(交差道路はArgyle St)。単なる立体交差に見えるのですが、本来は切り通し。地面を盛って交差橋を架けたのではなく、もともとドーンと岩山があり、そこを青の洞門みたいにエライ苦労して掘って切りとおしたわけですね。ロックスがなんで「ロック(岩)」なのか、ちょっと納得したりします。
ちなみに、この切り通しの北側の階段を上っていって辿りついた赤レンガ建物が移民局です。ビザの延長、切替、申請その他、観光客以外の在住日本人、いや市民権持ってないで住んでる全ての人々にとってはお馴染みの場所。「昨日ロックスに行ってきた」と言えば、文脈によっては「ビザのことでイミグレのオフィスに行ってきた」という意味で使われることもあるでしょう。勿論、観光名所ではないですが、受付ロビー(3Fだっけな)で順番待ってる各国の人々を見てると面白いかもしれません。観光客以外の日本人に会いたかったらここ。
なおこの階段をそのまま上ってCumberland St.という道(交差橋の道でもある)に出ると、さらに上のハーバーブリッジ(に続く高速道路の歩道)に登る階段があります。この歩道が一番高いので眺めがいいですし、さらにノース方面に進んで行くと、「ハーバーの楽しみ方」でふれたパイロン・ルックアルトという展望台に行けます。
GRusell Hotel
何故か日本のガイドブックにはあまり紹介されることもないが、地元では結構有名。「きちんとした老舗旅館」のようなもので、超高級ではないがシックな雰囲気、行き届いた配慮で、(立地を考えれば)値段もそこそこ安い。あれこれ見た中でもAPLaCおススメ宿の一つ。全29室のうち、バストイレ共同のリーズナブルな部屋からスィートまで殆ど全室どこかしら違い、その違いに応じて家具や調度も全部趣向を変えてある。1階がレストランになっていて、レストラン内の階段を上って受付。このレストランでも朝食が食べられます(別料金)。
西半分はどうなってるかというと、こっちが実は渋いです。古い街並みも、かなり「そのまんま」に残っています。ロックスの北西部のPiar(突堤)が突き出てるあたりまで歩いていけば、いわゆる「波止場」的な雰囲気、ガランとした倉庫が並んでて、「太陽に吠えろ」のロケやってるような雰囲気になります。なお、「シドニーハーバー」というと盛んにフェリーが発着してるサーキュラーキーのことを連想しますが、本来的にはシドニーの波止場とは、ロックスを指すことが、やや殺風景な北西部を歩いていると実感されるでしょう。
@Sydney Observatory
前述のアーガイルカットを抜けてブリッジの下をくぐると、右手に教会(Garrison Church)があり、左手に芝生の小高い岡があり、その頂上にあるのが天文台。博物館になってます。入場無料。小さいけど年季が入りまくった観測ドームは、ドアを開けてガリレオが出てきそうな雰囲気。周囲は芝生になっていて、東側は高速に邪魔された眺望は良くないけど、裏側(西側)はうららかなシドニー入り江を一望できていいです。下界のロックスの喧騒が嘘のようで、大きな木立の下でボーっと昼寝したら気持ち良さそう。西日に照らされて歩いていると、なんだかデートコースみたい。
ALoad Nelson
最古のパブ&ホテル。サンドストーン(砂岩)の壁がゴツゴツしてて、いい味出してます。オーストラリアのパブは、皆立ちながらビール飲んで、プール(ビリヤード)やって、ガハハと笑ってるという、とっ散らかってて喧しいのですが、ここは落ち着いています。こじんまりとしたビヤホールですね。なお、3階は本当にホテルになってます。バストイレ共同で簡素ではありますが、オーストラリア随一の「名代の老舗旅館」です。そういうのが好きな人にはたまらんでしょう。
ビール製造所でもあり、1Fのパブの一角に大きな製造樽もあります。自家製ビールの種類は6種類。カウンターに短冊形のビール解説(写真とアルコール度数まで書かれている)があります。食べ物も美味しいし10ドル前後で楽しめます。なお、パブ、ビストロ系統のルールとして、席についても注文を取りに来てくれません。黒板に書いてあるメニューを見て(10品もない)、カウンターでビールともども注文してその場でお金を払います。食事は運んでくれるけど、忙しいのか結構待たされるときもあり、のんびりやっててください。
BColonial House Museum
要するに古い建物(1884年)の一部がそのまま博物館になっているわけで、コンセプトは神戸の異人館や長崎のグラバー邸のようなものでしょうか。でもそんなに立派な邸宅ではなく、この一軒だけ独立してドーンと建っているのではなく、ずらっと続く連棟式のテラスハウスの一軒がたまたま一般に開放されてるというもの。それだけに、道路に並ぶテラスハウスを見ていて「この中はどうなっているのだろう?」と思う人には一見の価値はあるでしょう。4階建てだけど、道路の高さが2〜3階相当なので、パッと見た目はそんなに高くないです。好事家が精力的に集めたという感じのアンティークの館です。建物そのものもアンティークです。
入場料大人1ドル。ドアは開けっ放しではなく、ノックすると開けてくれます。
CPier one
ガイドブックによると「500万ドルを投下して開発したが、最近はさびれ気味」と書かれてあります。しかしこれも控えめな表現で、「一体どこに金掛けたというの?誰か使い込んだんじゃないの?」と思うくらい、小気味いいほどにさびれてます。日本人観光客を当て込んだのだろう、日本語の表示もあるのですが、全部平仮名だったり、「てんえん(「天然」のつもりなのだろう)」となってたりして、悲しい。キッチュな雰囲気は、「季節はずれの海の家」というか、そこらへんにオロナイン軟膏のホーローの古ぼけた看板が掛かってるんじゃないかと錯覚するほどで、ここまでくると却ってイイです。先端にシーフードレストランがあって、立地の割には値段もそれほどバカ高くもないし、もしここが美味しかったら、眺めがいいのは事実だからいいかもしれません。
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