ミもフタもないシドニー観光ガイド
シドニー観光のポイント(その2)
ハーバーを楽しむ
1996/12月11日
何度も言ってますが、シドニーは港町です。まあ、オーストラリアの主要都市は大体港町ですが、そのなかでもシドニーと言えば「ハーバー」というくらい、切っても切れない関係にあります。オーストラリアやシドニーの写真というと、殆どがハーバーを絡めて撮ったものでしょう。
なんでこんなにハーバーがプッシュされるのかといえば、単純に美しいからでしょう。
実際、海の色もきれいですし、爽快です。「海のきれいさ七難隠す」じゃないですが、紺青の豊かな海が強烈な陽射に輝いているからこそ、オペラハウスも摩天楼もハーバーブリッジも光るのであって、これでドブ川というか東京湾みたいに自然感のない海だったら、全然面白くないと思います。「世界三大美港」というのも大袈裟ではないでしょう。
また単に「海」(海水)だけでなく、ハーバーの周囲の建物(摩天楼やオペラハウス)や、なだらかに続く海岸線の住宅地の緑豊かで牧歌的な感じ、セーリングしているヨットやクルーザーなどなど、見事なまでに道具立てが揃っています。アルファ波がでそうな感じで気持ちいいです。
さて、これを堪能するにはどうしたらいいかというと、(1)海から見る、(2)地上から見る、(3)上から見るの3つの選択肢があります。
★海から見る
地元観光業界が、これだけの観光資源を眠らせておく筈もなく、サーキュラーキーやダーリングハーバーからは、さまざまな遊覧船が出ています。ナイトクルーズ、ランチョン(昼飯つき)クルーズ、なんたらクルーズと沢山あります。
お好みに合わせてお選びになればいいのですが、十分に比較検討したわけじゃないですけど、クルーズしたかったら普通のフェリーに乗れば十分かと僕は思います。「普通のフェリー」というのは、市民が通勤通学の足として使ってるフェリーで、サーキュラーキーから発着してるものです。理由は、なによりも「安い」。3〜4ドルあったら乗れます。これが、なんたらクルーズになると、モノにもよりますが、安くても十数ドル、高ければ150ドルなんてのもあります。すごい差。
観光クルーズの場合、高い分だけそれなりに付加価値をつけています。昼食がつくとか、ディナーショーがあるとか、ロマンチックなナイトクルーズとか、解説がつく、色々なところを見て廻る等など。
でも、これ意地悪く言えば、一つひとつ潰せるのですね。まずメシですが、観光ツアーの食事というのは、一般にそれほど感銘深いものではないです。それに、折角世界各地の料理が食べられる土地にいるのに、そんな当たり前のものを食べてお腹一杯になってしまったら「おなかが勿体ない」でしょう。これは冗談で言ってるのではなく、遊びに来られた方を案内して「晩飯は何がいいですか?オージー流にビストロでもいきますか、イタリア料理、インドネシア、タイ、ベトナム、ああトルコ料理もいいし、ギリシャ料理も捨て難いですけど」という話になって、「そんなに一度に食べきれない」「昼間のヤムチャがまだ残っててお腹空いてない。くやしい」という話によくなるんですね。限られた日程では「空いたお腹」は貴重品です。
ナイトクルーズも、フェリーも夜まで出ているし、解説がつくって言っても全部英語です。日本語通訳付きのクルーズもあるけど、当然通訳代がつくからもっと高くなる。あちこち見てまわれるのは魅力ですが、基本的にクルーズのハイライトはオペラハウスとハーバーブリッジの周辺だけで、正味の話、「わあ!」とか言ってるのは出発して10分程度でしょう。あとは似たような風景が延々続くだけ。フェリーも直行便だけでなくあちこち各駅停車(船)するのがあります。どうせ行くならフェリーの運行先にないような静かな入り江や切り立った断崖までいくのがいいでしょうが、そうなると数時間単位で時間食います。ショーですけど、せっかくハーバー見るために船乗ってるのに、ショーなんか見てる暇あるのかという気もしますが、だからこそ面白いのは最初の10分であとは案外退屈という所以なのですが。ショー見たいならサーキュラーキーで色々な大道芸やってます。日曜の昼にはオペラハウスの裏手でタダの生演奏やってるし、Halftixで半額でチケット買ってオペラハウス行けばよろし。
誰も言ってないことですが、僕は観光クルーズの最大のメリットは、「出発地点に戻ってきてくれること」だと思います。フェリーだと、当然のことながら「行ったきり」です。目的地からまた帰ってこなきゃならないので、そのまま折り返し帰ってくるにしても一回乗降の手間が掛かります。その意味でクルーズは元に戻ってきてくれるから気楽かなという程度のメリットはあるでしょう。
通例フェリー観光の場合は、マンリービーチとかタロンガ動物園とか、目的地でも楽しんでそれから帰ってくるという形にするのが定石です。マンリーとタロンガ動物園は定番ですが、もっと深い楽しみ方をするルートもあり、そのための解説本も出ています。ただ、これをやるには、地図持ってバスで帰ってこれる程度でないと大変かもしれません。バルメインまで行って下町風情を楽しんできて帰るとか、ワトソンズベイまで行ってそこで断崖風景を楽しんで帰るとか、色々なルートはあります。
もっと「船が好き!」という人は、本格的にヨットセーリングしたり、太平洋まで出てイルカ探しに行ったりするツアーがあります。逆に「ちょっとだけ乗ればいい」という人は、サーキュラーキーからダーリングハーバーまで乗れば、15分で着きますし、降りた後も道に迷わずに済むでしょう。
★地上から見る
地上からでも十分にハーバーは楽しめます。オペラハウスまで行ったら裏手までぐるりと廻ると、海が間近に見れます。ロックスも、土産物屋街を過ぎてズンズン先まで歩いていって、ハーバーブリッジの橋脚あたりまで来ると、芝生の丘になってて、ここの眺めはいいです。古式ゆかしい大砲なんかが並んでたりします。
「絵葉書のような」定番の景観は、まず、マックォーリーポイント(Ms.Macquaries Point)(図@)。観光バスがいつも並んでます。手前にオペラハウス、背景にハーバーブリッジ全景が映り、絵に描いたような風景です。アートギャラリーからトコトコ歩いていくのもいいですが、意外と行く人少ないのですが、オペラハウスの裏手(東側)からもボタニックガーデンに沿って歩いていけます。
対岸(ノース側)からのポイントは、ルナパーク(閉鎖されてますが)のあるミルソンズポイント(Milsons Point)(A)、その西側の岬のマクマハンズ・ポイント(MacMahons Point)(B)、さらに西のボールズヘッド(Balls Head)(C)などがいいでしょう。基本的には北側の海沿いだったらどこでもいいのですが、風景がいい部分はちゃっかり建物が建って(億単位のマンションとか)遮ってしまってますので、中々見えない。ミルソンズポイントは電車で行けますし(橋渡って一つ目)、マクマハンズポイントはノースシドニー駅からも歩けますし(1kmくらい)、フェリーでも行けます。ボールズヘッドは、頑張ればウェイバートン(Waverton)という駅から歩けますがちょっとしんどいかな(1.5kmくらい)。ただ、周囲が木立に囲まれて静かですし、バーベキューも出来ます。観光客はおろかあんまり人に出会いません。逆に東側のクラバ(kurraba)ポイント(D)もいいのですが、これはフェリーでいけます。
意外なのは、岬の先端がコンクリートで固めてるわけでもなく、とことこと進んで行くと、岩場の海岸になってて直接海に触われることです。マックォーリーポイントは観光客ばかりかというとそんなこともなく、地元のおっちゃんがよく釣りをしていたりします。
★上から見る
ハーバーブリッジには4つの巨大な橋柱(塔)がありますが、南西(一番サーキュラーキーに近いやつ)は、中が階段になってて上まで登れます。パイロン・ルックアウト(Pylon lookout)(E)というのですが、間違えやすいのは、これに登る為に直接橋脚の下まで行ってしまうこと。そこからは登れません(古い地図やガイドには登れると表記しているものもあるけど、ダメです)。ず〜っと700メートルほどサーキュラーキーに戻って(Cumberland Street)、そこに橋の歩道に登る階段があり、そこを登って橋の歩道(これはノースまで続いているのでそのまま橋を渡ってノースまで歩けます)を進んで、橋塔のところから中に入ります。僕も最初間違えて往生しました。中の階段を上がっていくと、簡単な展示場になっていて、そこで入場料2ドルを払うと一番上まで出れます。歩道の時点でも、既にかなり高いので(風が強いと怖いくらい)そこでも結構楽しめますが。
同じような発想で、ハーバーブリッジを車や電車で見ると景色がいいかな?と思ってしまいがちですが、電車(二階建ての二階で)で見ても、オペラハウスの屋根が、そうですね10秒くらい見えるだけです。オペラハウスの反対側(西側)の景色はかなり楽しめますが。車にいたっては、全くと言っていいほど見えないです。それに自分で運転してたら、中央分離帯のない恐ろしい道路で時速80キロでビュンビュン対向車が迫ってきますから、よそ見なんかしてたら即死でしょう。
一番高い所に登るならば、シドニータワーがあります。「シドニータワー」と言ってるのは僕ら日本人でして、地元ではセンターポイントと言います。しかしこれも「通称」で本当はAMPタワーというとか?AMPという民間会社があるのですが、先日、タワーの展望台の東西南北にオリンピックのロゴとAMP社のロゴマークを取り付けるという話が出たくらいですのでそうなのでしょう。余談ですが、これには勿論市民の総スカンを食らって、たまたまラジオでトークバック(視聴者が電話かけて意見を言う番組)を聞いてたら、こんな電話がありました。「この件についての私の意見はたった3語で言い表せるのだが」「なんですか、それは?」「NO!NO!NO!だ」と。その後この計画の話は寡聞にして聞いたことないです。
登るのにいちいち金(それも安くない)取るのが腹立ちますが、登ったら登ったで、ハーバーだけでなく360度全部見れます。シドニータワーもといAMPタワーのホームページもありますし、そこに行けばタワーからの東西南北の写真がありますので参考になるでしょう(あまり出来がいいとは思わないが)。なお、展望台にレストランもあるそうですが、「高い!」という不満は聞いても、美味しいという話は、僕の周囲では聞いたことがありません。「360度でなくてもいい、そんなに高くなくてもいい、ちょっとだけ見たい」ならば、裁判所の14階に食堂があります。一般の人も入れます。というか職員さんの他は地元のおばあちゃんあたりが皆でお茶してるような感じですね(彼女らは穴場をよく知ってるのでしょう)。ハーバーはちょっとしか見られませんが、ハイドパークや真下に見下ろす聖メアリー大聖堂はなかなかの景観です。上から見た方がカッコいいですね、あの建物は。
遠くから、はるばる臨んでみたいというのなら、一番のおススメは、マンリーの先端のノースヘッド(North Head)です。左手に太平洋、右手にハーバー、東尋坊のように切り立つ断崖、遥かに望むシティ、波涛きらめき、航跡を描くフェリーが遠くに見えるわけで、絶景です。難点はいくのが大変なこと。ここに行くツアーは殆どないし、交通機関もない。車か、マンリーから頑張って歩くか(往復4〜5キロ)。ノースヘッドは、外洋(太平洋)から湾に切れ込む部分の北の岬ですが、北があるからには南もあります。これがサウスヘッド(South Head)。ここもいいですし、バスでもフェリーでもいけます。
車やバスで通過するなら、New South Head Roadをローズベイからヴァウクルーズ(Vaucluse)方面に進み坂を登って、Kincoppalという超名門女子校(建物もスゴイ)の手前のバス停のあたりが、文字どおりBay view Hillと名付けられており、そこからの眺めもいいです。あるいは、シティの反対側(西側)からは、Victoria RoadをHunters HillからDrummoyneに向けてGladesville Bridgeという大きな橋を渡りますが、その頂上付近(かなり高い)からシティやハーバーブリッジを遠望できます。歩道からは高い柵に邪魔されて今一つよく見えないので車から見るしかないかな。運転手役の人にはお気の毒ですが。
さらに、もっと高いところから見たいという人は、飛行機遊覧、ヘリコプター遊覧もあります。
シンプルに見たいならハーバーフライト15分で45ドルというのが、ローズベイから出てます。(South Pacific Seaplanes TEL:02-9544-0077)4人乗りだからよく見えるでしょうし(6人乗りの飛行艇を出してる会社もあります)。これに「おみやげ」がついたり「ティー」がついたりゴテゴテくっついてくると、いきなり100ドル超えますし、300ドル近いのまであります。(ブルーマウンテン・ヘリコプター観光は290ドル!もするのに結構売れているとか。ガイドさんのセールスの成果でしょう)まあそこはお好みですが、僕の意見はハーバークルーズと同じ。ポイント絞った方が安いし、時間も短くて済むということです。
なお、「オペラハウス」の部で述べたHalftixですが、あれ実は劇場の当日チケットだけでなく、ツアーチケットも売ってます。クルーズやフライト、ブルーマウンテンツアーなどあって、3日前の分から売ってます。半額とはいかないまでも40%オフくらいで買えます。
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