ミもフタもないシドニー観光ガイド


シドニー観光概要

−薄ぼんやりしたシドニー観光−

96 12/7

    オペラハウスひとつにこんなにページ割いてたら先が思いやられるので、予め「シドニー観光の概要」だけ言っておきたいと思います。

    乱暴に分類すると、「シドニー観光」は、(1)市内観光、(2)オプショナルツアー、(3)その他に 分けられるでしょう。まあこれはシドニーに限らず旅行一般に共通するパターンでもあるのですが。

★市内観光
    一般にシドニー市内観光といわれているエリアは、

      (1)サーキュラーキー、オペラハウス、ロックスの都心北部の波止場付近
      (2)都心西部のダーリングハーバー付近
      (3)都心ド真ん中付近のショッピングゾーン


    の3つにエリアに大別され、さらに付け加えれば、

      4)キングスクロス周辺

    ということになるでしょう。

    日本人を見たかったら上記のエリアに行けばいいですし、「何処いっても日本人ばっかり」とお嘆きの貴兄はこれら以外の場所に行けばいいです。ちょっと離れたら日本人なんか殆ど見かけなくなります。というか、日本人以外のアジア人は多いですが、おそらく区別つかないでしょうし、日本人である可能性は低いでしょう。

★近郊地域=オプショナルツアー

    通例「シドニー観光」というと、1泊〜3泊程度で、これらの市内観光に加えて半日〜1日のオプショナルツアーで、ブルーマウンテン、ワイルドライフパークあたりに行くというのが黄金のパターンだったりします。

★その他

    都心部ほどメジャーではないが、そこそこ観光地として紹介されているのは、東部海岸のボンダイビーチや、どのガイド読んでも必ず「お洒落な町」と形容されている都心南西部のパディントンでしょうか。




    これにミもフタもない寸評を加えていきましょう。

    難しい都会観光

    まず総括として言えば、これらの定番を「一応押さえておこう」という具合に、通り一遍の観光をするなら、シドニーってそんなに面白くないです。「なんで皆シドニーなんかに来るのかな?」「まあゴールドコースよりはマシなのかな」とか思うくらいのものです。そもそも「オーストラリア旅行」の日程をたてる際、「一応シドニーも押さえておこうか」程度の発想で来られるのではないかと推測します。僕が観光客だったらそう思うでしょう。もともとシドニーは積極的に「ここ!」というよりは、「一応」「押さえ」の場所なのかもしれません。

    シドニーは、東京に比べれば全然田舎ですが、それでも摩天楼立ち並ぶ「都会」ではあります。
    「都会」の「観光」というのは、どうしても焦点がボケがちになるように思います。「東京観光」「大阪観光」って面白そうですか?東京や大阪行って何見るの?という。勿論、都会には都会の底の深い面白さがあります。あるのですが「マリンブルー沖縄!」「雄大な自然、北海道!」とかと並べると、どうしてもインパクトが弱い。これら「自然一発」系の観光地は問答無用の強みがありますし、何の予備知識がなくてもビジュアルにスゴイから楽しめます。またパノラマ的景観がなくても「旅情」というものがあればグッと魅力的になります。例えば「凍てつく津軽海峡」「小雪のふりしきる敦賀駅」には、健さんが渋く熱燗を啜ってるような「旅情」が感じられます。でも、東京?旅情ありませんね。

    「東京観光」とかいうと、なんか社会科見学みたいな感じであんまりワクワクしない。かつては「二重橋だよおっかさん」とか「はとバス」系のパターンがあったようですが、現在それが熱い注目を浴びているという話も聞きません。そうなると、ちょっと古いですが「これがあの有名なオウムの南青山本部」というニュース系の観光名所や、ディズニーランドなどの人工設備などに行くという話になるのでしょう。

    都会観光というのは基本的に難しいと思います。東京であれば、「柴又帝釈天の下町情緒」「六本木のナイトクラビング」「秋葉原でデジカメを買う」「早朝の築地でマグロを食う」「国鉄跡地を見る」「厚生省と大蔵省の塀に落書きしてくる」などなど、ある程度の前提知識があって、ポイント絞るなり、視点設定をすると面白くなっていくのでしょう。何の知識もなかったら、「ビルばっかり」で終わりでしょう。これは都会に限らず、例えば奈良の明日香あたりでも、古代史に詳しい人なら歩いているだけでエキサイティングな旅になるでしょうが、な〜んも知らなかったら「ただの田舎」にしか映らない。

    シドニーもこれと似たような構図で、エアーズロックの大平原やら、グレートバリアリーフあたりの分かりやすさに比べたら、あまり分かりやすい観光地ではないです。ビジュアルなインパクトとしてはオペラハウスとかブルーマウンテン程度しか認知されていませんし、実際、「大して面白くなかった」というパックツアーのお客さんの声も聞いたりもします。結局ある程度の前提知識や視点設定がないと、「なんとなくシドニーに行ってきた」程度の薄ぼんやりした旅になってしまうと思います。

    何となくシドニー

    では「何となくシドニーに来ちゃった」場合、シドニーの観光地がどう映るのかを、ややネガティブに誇張して描写してみましょう。

    まず。「わあ、都会だあ!」という「都会」それ自体が珍しく面白いという点ですが、これはシドニー以外のオーストラリアに数ヶ月以上暮らすというキャリアがないと味わえないでしょう。日本からポンとやてきても、摩天楼の密集度はすごいかもしれないけど、「都会だあ!」という興奮はないでしょう。都会性に感激してくれなかったら、その都会は立つ瀬なくなります。

    サーキュラーキーも、波止場と言っても、小ぶりのフェリーがチマチマ並んでるだけで、田舎の漁港ほどの広さもない。オペラハウスは大きさと奇抜さで楽しめますが、面白いのは外観だけで、中に入っても大して見るようなものはない。ロックスはやたら日本語の看板が目立つし、石を投げたら日本の新婚カップルに当たる。

    ダーリングハーバーも、水族館や博物館、エキジビジョンセンターなどが並んでて、とって付けたような小さな遊園地もあったりしますが、全体に無味乾燥でとっ散らかった印象しか受けない。だいたいこの手の「きれいに纏められた人工的広場」というのは、日本でもうんざりするほど見ることできますし。

    都心のショッピングといっても、ブランド品は、円安トレンドと輸入規制緩和の昨今、そんな期待するほど安くもないです。品ぞろえも別に豊かというほどのものでもない。やたら人が多いわ、道は狭いわ、歩いている半数は観光客だわで、安心するけど新鮮ではない。古い教会といっても、要するにお茶の水のニコライ堂です。

    キングスクロスも、これまた日本語の看板の目立つ、雑然とした小さな商店街でしかないです。パディントンも、今一つ盛り上がりに欠けるまま、靴が擦り減るほどやたらダラダラ長いし、行けば行くほど何か埃っぽいし、車だけがビュンビュン通っているし。「お洒落なテラスハウス」といっても、どうしてこの古ぼけたニコイチ(二戸一)系の「文化住宅」みたいな民家がお洒落なのか理解に苦しんだりするでしょう。

    ブルーマウンテンも、急角度で下るトロッコも絶叫マシンに慣れた身にとってはアクビがでるでしょう。 「スリーシスターズ」とか言われても、岩尾根がギザギザになってるだけの話です。ワイルドライフパークやタロンガズーのコアラも、大抵は寝てますし、あまりにもヌイグルミのようなので、本当にヌイグルミが置いてあるだけのような感銘しか受けない。抱くことも出来なくなったし、コアラだけなら日本でも(名古屋の東山動物園だっけな)見られます。

    はい、シドニー2泊3日でした〜、楽しかったですかあ?と聞かれても、「うん、まあまあかな」と歯切れが悪かったりします。無理ないです。上記の描写は、ことさら悪意に書いてるようですが、あれは僕が最初シドニーに来たときの正直な印象です。僕はそれまで海外旅行なんか全く興味なかったのですが、心底「今まで行かないで良かった」と思いましたし、「こんなもんに30万も費用かかるなら、温泉5回行くわい」と思いました。今でもそう思ってます。




    逆にシドニーに来た人(パックツアーではないですが)に「一番印象深かったのは?」と聞くと、「ひとりでバス(電車)に乗った」という達成感だったりします。あるいは、地元のラグビーの試合を見に行ったり、センテニアルパークで乗馬したり、ゴチャゴチャした屋台で1杯5ドルのアジアフードを食べたり、要するに地元の人が毎日してるようなことです。なんでそれが面白いのかというと、「外国」を感じられるからでしょう。

    思うに一般の観光ルートは、観光用に無菌隔離されたものであんまり「外国」じゃないのかもしれません。海外旅行は「外国」旅行であって、生々しいライブの「外国」性、違和感や意外性があってはじめて面白いのでしょう。

    ちなみにこのホームページ始めて最初にメールを呉れた人はオーストラリア人でしたけど、「オーストラリア人は日本の観光業の、サニタイズしたやり方にうんざりしてる。だからリアル・オーストラリアを伝えてやって欲しい」ということでした。その部分の原文を抜粋引用すると、

    I like your idea of providing visitors to Sydney with a means of obtaining objective information about Sydney. Myself and many Australians find it annoying that the big Japanese tour companies sanitise Australia for their customers. Even more annoying are their controlling techniques which ensures that almost all the money spent by the travellers is kept in Japanese hands. Any alternative to this corrupt and monopolistic system is a plus for both the tourists and Australian tour operators who would love to show tourists the "real Australia".
    見る目は誰も一緒かなという気もしますが、この方もかなり腹に据えかねてるようですが、ある意味では地元の典型的な意見のひとつでしょう。もっとも詰まらなくしてるのは日本の観光業だけでなく、オペラハウスの手前にホテル建設したり、開発至上主義のダーリングハーバーなどからも分かるようにオーストラリア観光当局も似たようなもので、地元の目、素人目から見てると「全員一丸となってハズしている」ような気もします。




    問題は、「じゃあ、どうするの?」です。批判したり詰まらないと愚痴ってるだけなら、益々詰まらなくなるだけで、何の意味もない。「一見詰まらないシドニー」も、今の僕には「全部堪能しょうと思ったら一生かかるな」と思うくらい面白い所になったのですが、それは東京や大阪がそうであるように、ある程度のコツというか焦点の絞り方があると思います。

    また、実際に地元で人気が出てきたりしているのは、従来の路線とはちょっと変わったツアーのようです。例えばおもしろツアー情報で紹介したクレイグというオーストラリア人の4WDブルーマウンテンツアーも口コミで広がってるそうですが、何が受けてるかというと、「自分達で買出しに行き、自分達でバーベキューをする」という参加感覚の面白さだと思います。魚屋さんや八百屋さんに行って買物現場に参加できるし、子供の頃から何万回もバーベキューやってるオーストラリア人の手際の鮮やかさは、確かに見てて面白いです(すべり台があるようなそこらへんの公園でいきなり店を広げて焼きだしてしまう)。その情景はQTムービーになって、彼のサイト(AUSSIE BLUE TOURS)にあります。興味があったらどうぞ。フィッシュマーケットでの買物のシーンというのはWWW広しと言えどもここだけかもしれません。同じブルーマウンテンであっても、行き方一つで随分と面白さも変わるということだと思います。


    というわけで、「こう見るべし」という押し付けがましいものにならないように、読み手への「洗脳」の危険も承知しつつ、「たとえばこんな見方はどうですか」という感じで伝えられたらなと思います。



★→観光ポイント(その1)開発と保存に進む
★→観光ガイドトップに戻る
★→APLaCのトップに戻る