今週の1枚(02.07.22)
ESSAY/ 料理のおはなし
風邪ひきました。大分マシになってきたはいえ、まだもうひとつ本調子ではありません。どうも週末になると体調を崩す傾向があるようです。通常、それほど大きく体調が崩れるわけではなく、「あ、まずいな」くらいの風邪のひきかけあたりで「土俵際の攻防」をするわけですね。「とりあえず安静、よく寝ろ」みたいな調子で丸1日ないし2日くらい推移すると直ります。
本来の風邪だけだったらそう大したものではないのですが、持病の偏頭痛が厄介だったりします。体調崩すとどっからともなく偏頭痛のタネが舞い降りてきて、頭にペタと貼りつきます。針で刺したような疼痛を感じると、「あ、いた」って思いますね。やれやれ厄介なことになった、と。偏頭痛は、もう根本的な対策はなく、どんな薬を飲んでも(市販薬レベルでは)効きません。「ひたすら寝る」。これしかないです。寝ないで動き回ってると、ペタと張り付いた偏頭痛のタネは発芽し、どんどん育っていきます。そうなると大変。ひどくなると一晩中吐いてたりしますから、「あ、きた」と思ったら、バタンと倒れて寝るしかないという。逆に多少熱があろうが、フラつこうが、頭痛がこなかったら結構安心です。
しかし、モノの本などによると、僕の偏頭痛なんか可愛いレベルで、本当に厳しい偏頭痛になると、「いきなり顔面を殴られた」かのような衝撃を受けるらしいですね。目の前が真っ暗になり、意識が一瞬ぶっ飛ぶくらい。あとは、しばらくの間(人によって数時間から数日)、「もう、いっそ殺してくれ!」みたいな苦痛に苛まれるという。僕の場合はそこまでひどくはありません。
昨日の夕方に、「あ、きた」状態になりまして、ほぼ丸一日経過して、頭痛の勢力は去りつつあります。まだ多少残滓はあるけど、まあ、いいんじゃないかと。台風みたいですね。頭痛が居座ったら、もう、こんなもん書いてられません。去ったようだから、おっかなびっくりベッドから出てきて、こうしてパコパコ打ってるわけです。ああ、しかし、なんでこんなの毎週書かねばならないのだろう。
西欧のどっかのエラい人が言ったそうです。「習慣とは最初は細い糸である。しかし続けばそれは鋼鉄の鎖になる」と。名言ですよね。ダイエットでも、英語の勉強でも、なんでもそうですが最初は糸。それもタコ糸ではなく絹糸。もっと最初の方は、もう「納豆の糸」みたなものでしょう。ちょっと気を抜くとプツンと切れてしまいます。くしゃみをしただけでも切れる。三日坊主ならぬ一回だけやって終わり。ちょっと雨が降っただけでジョギング無期限中止。それでも続けば鋼鉄になります。現にこのエッセイがなってます。なんでこんなシンドイのに書かなきゃならんのよ、本業でもないのに、、と思いつつも、書くわけですから、「鋼鉄の鎖」ですよね。
さて、何を書こうか、、、、。うーん、これは毎日の料理と同じで、何を作るかを決めるのが一番大変ですよね。作る物さえ決めてしまえば、実行作業はもう淡々とやっていくだけだからいいのですが、献立決定が一番面倒臭いです。メチャクチャ頭使いますよね。しかし、それでも料理は同じものを何度も作れるけど、エッセイは二番煎じになっちゃうので余計に大変だという気もします。こう書きながら、「でも、俺、同じことを何度も書いてるしな」というツッコミも自分で入れたくなったりもします。
おし、今回は料理の話をしましょう。そう大したネタもないけど、まあ病み上がりなので軽く。
シドニーでは大抵の料理は作れるでしょう、腕さえあれば。超本格的なものは無理としても、かなりの程度世界各国の料理を作ることが出来ると思います。日本料理でも、です。僕自身、こっちに来てから料理のバリエーションはかなり増えました。まあ、これは「ヒマだから」という環境的理由が大きいとは思います。他にも環境的理由は多々ありまして、食材が安いことや、調理器具が安くて豊富ということもあります。また、日本料理に関して言えば、コンビニやスーパーのお惣菜という手軽な代替手段がないため、自分で作らねばならない不便さも、自炊に向かわせる環境的要因といえないこともないでしょう。最初の頃は、居酒屋的料理恋しさの一心であれこれサカナに挑戦していましたし。
ただし、そんなに簡単にあれやこれやの料理が出来るわけではありません。まずは「地の利」の問題があります。
僕が、仕事も猫の世話もなにもかも放り出して、ただひたすら料理だけ考えるならば、シドニーの中でも Ultimo (アルティモと読む)あるいはPyrmont(ピラモント)というエリアに住むでしょう。なぜか?ここは、フィッシュマーケットと、チャイナタウン(及びパディスマーケット)の中間地点にあるからです。
西欧人はあまり魚を食べません。全く食べないかというと、別にそんなことはなく、イタリア系、ギリシャ系はよく食べますし、フランス料理にブイヤベース、スペイン料理に漁師風パエリアなんてのがあることからも分かるように、地中海方面の人たちはよく食べるようです。ただ、オーストラリアの保守本流のイギリス人があんまり食べない。フィッシュ・アンド・チップスくらいだったりします。したがいまして、オーストラリアの町では、魚屋が少ないですし、あったところでフライ用に三枚におろした切り身(フィレット)が中心で、店の奥がフィッシュ・アンド・チップス屋だったりします。
それでは「アジのタタキが食べたい」「シメサバが食べたい」と思っても無理です。そういった食材は、フィッシュマーケット、ないし郊外の限られた店に行くしかないです。実際にはフィッシュマーケットにトドメを刺します、やっぱり。僕もそれほど注意深く見てるわけではないですが、フィッシュマーケットの代わりになりうるような質の小売店は、チャイナタウンのマーケットシティ(パディスマーケットの上)のチャイニーズスーパー泰紀の隣にある魚屋くらいでしょうか。あと、ノース方面で、東京マートのあるノースブリッジショッピングセンター、あるいはチャッツウッドのウェストフィールドの魚屋も質はいいですが、値段が「むむ、許せん、、」と呟きたくなるくらい高いです。
フィッシュマーケットには、小売店が6店くらいあります。6店もありますと、自ずと「本日のBest Buy」が見えてきます。ちなみに、ぜーんぜんダメな日もあります。「おお、これは!」と創作意欲を掻き立てるようなブツがないときですね。例えば、キラキラと新鮮な鯵なんかがあると、自ずと「今晩はタタキを食え」と「天の声」みたいなのが降って来るわけですね(^^*)。青魚の新鮮なやつはイイですよね。サバでも丸々、キラキラしていてくれると嬉しいです。あと、なかなかないけどイワシとか。
そんな魚の目利きなんか出来ないとおっしゃる人が多いでしょうが、僕も最初は知りませんでした。でも、自分で楽しむ程度であれば、見てたら自然にわかりますよ。ほんとにキラキラしてるから。生鮮品は、工業製品ではありませんから、日によって、店によって、すごい差があります。あって当たり前だし、なければ嘘です。その意味では、毎日のように買いに行くのがベストなんだと思います。毎日のように買いにいってれば、自然と市場を一巡するうちに献立も向こうからやってくる、という。
このあたりは日常的に料理しておられる方なら僕以上によくご存知だと思います。ただ、仕事が忙しくなると、どうしてもスーパーのパック詰めやら、コンビニやら、レトルトやらになっちゃうわけですが、それやってるとこの種の感覚がボケてきてしまうと思います。ボケるもなにも、最初からパックやインスタントばっかりだったら、生鮮品は自然の産物であり、おっそろしいほど個体差があり、またその差が陰影を作り表情を作り、献立に跳ね返ってくるというダイナミズムを知らんままになるでしょう。僕もそうでした。こっちにきてからですよね、こんなにシゲシゲとナマの食材を見るようになったのは。
たまーに日本に帰ったとき、スーパーじゃないけど、主婦でごった返している店があって興味がてら入ってみたことがあります。そんなに広くない、というか全然狭いんですけど、主婦の皆さんに人気があるのがわかりました。並んでる食材に「フック」があるんですよ。創作意欲を掻き立てるというか、「お、これ、いいじゃん」というピピピとくるような品揃えなんですな。これは、単に安いとかいう値段の問題ではないんですな。またとにかく高級品ということでもないし、有機栽培云々ということでもないんです。狭い店舗なんですが、きちんと陰影というか、メリハリがあって、「これを食べるといいよ」という主張みたいなものがあるわけですね。ピーマンひとつとっても、「お、これ食べたい」と思わせるピーマンと、ただのピーマンがあるんですね。わかります?分かる人だったら、「はいはい」とすぐお分かりでしょう。分からない人、ちょっと人生で楽しい時間を損してるかもしれませんよ。
で、フィッシュマーケットですけど、フィッシュマーケットはシドニーにただ一つしかないわけで、そんなに簡単に誰でも行けるわけではないです。車を飛ばして、ブリッジ渡って、駐車場料金3ドルも払わないといけないわけです。面倒なわけです。そこで地の利というのが重要になってくるわけですね。僕も、出来るものなら毎日だって行きたいですけど、これだけ面倒だったら2週間に一回くらいしか行けてないです。悔しいです。
チャイナタウンに近いのもポイントが高いです。チャイナタウンにいくと、チャイニーズのスーパーがあります。ここでアジア系の食材が手に入ります。アジア系食材、大事です。なんといっても日本人ですから。
アジア系の食材といっても、ミソとか醤油とか豆腐だけではないです。例えば、野菜。ネギ、白菜、大根の類は、普通のコールズのようなスーパーでも売ってないことはないけど、やっぱりアジア系の店の方がモノがいい場合が多いです。なんといってもパディスマーケットで新鮮な野菜がゲットできます。パディスマーケットというと、どうしてもフリーマーケット系に目がいきますが、本来はあそこは青果市場だったので、奥のほうの野菜ブースが一番充実してます。
日本人だから日本食ばかり食べてるかというと、別にそんなことはないです。日本の人が、スパゲティやカレーを食べる度に、「今日はイタリア料理にしよう」「インド料理にしよう」とイチイチ思わないのと同じように取り混ぜます。しかし、日本料理の方が馴染みがある分、レパートリーはどうしたって広いです。寒いから鍋にしようとか、同じ鍋でも石狩鍋がいいか、うどんすきがいいか、ちゃんこがいいか、おでんがいいか。凝った料理にしようか、あっさりしようか、ともあれバリエーションは豊富です。これがイタリア料理になると、パスタでもそう種類は増えません。パスタでもよくて10種類くらい、大きく分ければトマトソース系か、ホワイトソース系かの二つしかないです。また、日本料理における、里芋の煮付、切干大根、ひじきなどのささやかな一品物に対応するイタリア料理なんか知りません。アンティパストなんかよう作りません。というか、パスタ以外のイタリア料理になるとしんどいです。
結局、日本料理の方が「料理の構造」を知ってますから、応用が利くのですね。作り方もだいたい想像がつくという。でも、他の国の料理になると、構造をあんまり知らないから、一品出来ても他に広がらない。例えば、イタリア料理でも、フェッタチーズとリコッタチーズとパルメザンチーズの特性の差や、オリーブ(これがメチャクチャ種類がある)の違いが分からないから、それらを食材にあわせて組み合わせていく方程式みたいなのが分からんわけです。また、日本にはなじみのないハーブやスパイスの数々。無限ともいえる組み合わせの中で、食の体系が出来ているのですが、そのあたりがわからんのですね。
だから結局簡単に作れて、バリエーションが広く、冷蔵庫の中身や体調にあわせて調節がきく(そのアイディアが出る)のは、どうしてもよく知ってる日本料理になっていくことになります。「今日はもう渋く、カボチャの煮付けとダシ巻卵でいいや」みたいなことができるのは、日本料理です。となると、そういった食材が手に入りやすいのは、アジア系スーパーだったりするわけです。
アジア系スーパーも、そうそう転がってるわけではないです。後々のシェア探し、家探しのポイントでいえば、このアジア系食材店の有無が結構ポイントになったりします。具体的にはチャイナタウン周辺であるか、あるいは東だったらRandwick、西だったらAshfield、さらに足を伸ばして、Burwood, Strathfield近辺。北だったらChatswood, 南だったらHurstvilleとか。特にランドウィックやアッシュフィールドは家賃も安めですし、いいと思います。
ランドウィックはなんでアジア食材があるのかというと、留学生がやたら多いNSW大学が近いからですね。アジア人も多いですし、スーパーもあります。ちなみに、先日の新聞で最新のセンサスが載ってましたが、ここ数年オーストラリアに移民してきた連中の過半数がNSW州に住み、そのなかでもほとんどがシドニーに住み、そしてシドニーのなかで一番移民者が多く住み着くのはランドウィックだったそうです。「見る目は誰も一緒なのね」と思いましたわ。
いいですよね、ランドウィック。高級住宅地であるイースタンサバーブでありながら、妙にほっとする庶民性があり、家賃相場も安めです。で、その2キロほど北のボンダイジャンクション→ボンダイビーチという構造は、ランドィック→クージービーチという形で相似型をなしているのですが、ボンダイがやたら開けて商業&観光シフトしてるのに対して、ランドウィック&クージーコンビは、いい意味でローカル的に「いなたい」雰囲気が残っていて、落ち着きます。
西のアッシュフィールドは、これはもうバリバリチャイニーズの町で、ディープです。でも、一本奥にはいったら静かな住宅地であることは、シドニー各サバーブと一緒です。でもって、交通が便利なんですね、ここ。急行が停まりますから。シティから帰ろうと思ったら、シティからずっと近いニュータウンあたりの方が、各駅停車を待たねばならないので結局時間がかかったりするのですね。僕も前ニュータウンに住んでたから分かりますが、何遍、恨みがましい目つきで急行電車を見送ったことか。その意味ではStrathfieldの方がもっと便利ですけどね。
余談ですが、このあたりは、CityRailのタイムテーブルで確認されるといいです。地図上ではすごく遠く見えて、実は急行にのったら、シティのセントラル駅から、アッシュフィールドまでわずか8分、ストラスフィールドまで13分程度でいきます。ちなみに日本人の好きな北のチャッツウッドって、実はタウンホールまで19分かかります。心理的な距離感だったら、ストラスフィールドの方がチャッツウッドの倍くらい離れている「西の果て」のように思ってる日本人が多いのですが、実際はその逆だったりします。
そういう地の利でいいますと、フィッシュマーケットにもチャイナタウンにも歩いていける距離のアルティモ、ピラモントは、料理をするなら最高の立地だと思います。それと、Broadway ショッピングセンターのコールズ(あそこのコールズは中々いいモノが揃ってます)とを合わせて、ゴールデントライアングルにしたら、大抵のものは揃うと思います。
なお、アジア系食材の店でも、数少ない東京マートなどの日本系をのぞけば、だいたいは韓国系か中国系になります。これが微妙に違うのですよね、品揃えが。チャッツウッドも、北の(プチブル)チャイナタウンですので、アジア系食材店は多いのですが、これは韓国系、これは中国系とかいって買いまわる必要があったりして、面倒臭いんですよね。韓国系の方が日本人と同じ物食べてる度合が高いからより日本系にシフトしたものだったら韓国系の方がモノが揃ってたり、安かったりします。
もうちょい実践的な話に移って、「じゃあ、どんなものが食べられるのよ?」といいますと、簡単で豪華でシアワセな気分になれるんだったら、フィッシュマーケットで鯛買ってきて塩焼きにしたらいいです。
タイはsnapper とかbreamとかいいますが、まあ見たらわかるでしょう。僕はタイを買うときは、なぜか一番タイの種類が多く(サイズ分けされていて)値段も(タイに関しては)安めである、えーと名前なんて言ったかな、De Costi だったかな(「デコ助」と覚えてますが(^^*))、駐車場の一番奥の方にある店で買ってます。そうですね、キロ10〜12ドルくらいで、2キロ分(20ドル)もあったら、5〜6人楽しめます。2キロで30センチくらいです。買うときに、「じゅわんくりん?」と聞かれますから、イエスプリーズと言いましょう。"Do you want to clean?"と聞いてるわけです。つまりは、鱗を取って、ハラワタを抜いてくれるわけですね。より正確には、scale(鱗を取る) and degut(ガット=内臓=を取る)というのですが、最近はクリーンって言う場合が殆どです。
調理法は簡単。塩を振って、ホイルでくるんでオーブンで焼けばいいです。注意点としては、鱗が完全に落とされてないケースが多いので(特に頭まで食べるとは思ってないから頭部によく残っている)、自分で落としましょう。あとは、両面に数箇所切れ目をいれて塩を振ります。塩も、本当には二回にわけて振るといいみたいですね。最初は全体になじませるように擦りこみ、10分ほどしてからまた振るとか。まあ、どっちゃでもいいですけど、二度目のときは、尻尾あたりにこんもり盛っていわゆる「飾り塩」にすると、出来上がったときの雰囲気が盛り上がります。なお、塩は、「げげ、こんなに?」というくらい振って丁度いいです。
アルミホイールですが、出来ればオーブンプレートの上に乗せるといいです。で、プレートの下に一枚ホイルを敷きますが、サラダオイルなどを塗っておくといいです。そこにタイを乗せて、上から包むように別のホイル(これも油を塗っておく)をかぶせます。ここで注意すべきは、タイの身にぴたっとつけずに空間を作るようにしてかぶせることです。理由は、これは出来上がったら否でもわかるのですが、ホイルが身にくっついて、ホイルをはがそうとしたら皮も一緒にビビビと剥がれてしまうのを防ぐためです。また、下のホイルと隙間を作らずきっちり密封するようにするといいです。空いてるところがあると身が焦げがちですから。
あとはオーブンに入れて30分ほど加熱すればOKです。オーブンは、オーストラリアの家だったらほぼ全てにあると思いますから問題ないでしょう。火力ですが、450度とか180度とかいろいろあるのでしょうが、僕は面倒なのでいつも最強にしてます。それで、まあ、問題ないスよ。30分ほどしたら、出してみます。奇麗に蒸し焼きになってるはずです。このままだと蒸し焼きで、「塩焼き」独特のパリパリ感とワイルドさが出ませんから、上のホイルだけ取って、もう一回オーブンに入れます。表面を少し乾かしたり焦がしたりする「仕上げ」ですね。これは短時間でいいです。あっというまに焦げますから、気をつけてください。
出来上がったら皿に移します。これが結構、熱いわ、重いわで重労働です。大皿があるといいのですけど、なかなか鯛全体をおさめられるだけの皿が無かったりしますから、最初から皿の大きさを考えてタイの大きさを決めた方がいいかも。皿に移すとき、下のホイルごと皿に移すといいです。で、皿に移してからバリバリと手でホイルを引きちぎったらいいです。ホイルは全部取らなくてもいいです。食べてるときに取ればいいです。出来たての熱い段階で無理に全部取ろうとしても、下の皮がべりっといったり、身がグチャグチャに崩れたりして泣きをみることもあります。また、ホイルに溜まってる汁も「美味さのエキス」ですからこぼさないように皿に移しましょう(身にかけるといいです)。最後に、そこらへんの木の葉っぱ(杉でもツバキでもなんでも)適当に添えると、一層雰囲気がゴゴゴと盛り上がります(^^*)。
食べ終わった後は、楽しいタイ雑炊になります。
明日の朝食などにもってこいです。土鍋に水を張って食べ残しのタイをぶちこみます。一切合切ぶちこみます。特に骨からスープがでるので骨は捨てないように。で、しばらく煮込みます。十分ダシが出たかなというところで、一旦火を止めて、冷まします。時間にして20分もあれば十分かな。適当に冷めたら(手を入れても火傷しないくらいになったら)、よーく手を洗います。手を洗うとき、よくよく石鹸を落としてください。さもないと石鹸につけられた匂いが汁に移って飲めたもんじゃなくなりますから。で、手ですくって、骨を取り出して捨てていってください。別に骨付きのままでいいんだったらこの作業は不要ですが、骨取りをしておいた方が食べるとき楽です。簡単にほぐれるでしょうから、5分もあれば済みます。本当は箸でやったほうがいいんでしょうけど、面倒臭いですもんね。
骨をとったスープをもう一回加熱して、あとは冷や飯を入れ、適当なところで、溶き卵とネギを散らしてできあがりです。
ダシは一切入れる必要はありません。醤油のたぐいも不要です。タイと、タイについた塩味だけで十分にGOODになる筈です。ただし、量を増そうと欲張って、ゴハンを沢山入れすぎますと味が薄まってトホホになります。茶碗一膳かニ膳程度で十分です。あつあつのところを召し上がれ、と。「タイは骨が一番美味い」といいますが、結構納得できます。
これでまあ、総予算といっても、タイだけですが、20ドルないし1500円ほどで、かなりハッピーになれると思います。日本で、これだけの尾頭つきのタイを丸ごと楽しもうと思ってもなかなか出来ないです。30センチクラスのタイまるごと一尾なんてそう売ってないでしょうしね。
これは非常に簡単なくせに、見た目が盛り上がりますので、パーティなんかにはいいですよ。
ところで、上の写真は、Ashfieldのチャイニーズレストランでいつも食べる一品。なかにアツアツのスープが一緒に入っていて、かなり美味。でもって、6ドル50とか、そんなもんだったと思います。いつも食べるワリには名前を覚えてなくて、たしかなんちゃらスープ・バンとかいう名前でした。店の名前は、これも上海なんたらだったかな、、、うーん、魚屋の隣だったような。でも、あそこらへんなら、どの店入っても、また何を食べても、そうハズレはないと思います。カタ焼きそばなんかもイイですよ(crispy noodle)。
ああ、こんなの書いてたらまた食べたくなりました。
まあ、このくらい食欲があるなら風邪の方も大丈夫でしょう。
写真・文/田村
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