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今週の1枚(2011/09/19)




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Essay 533 : Max Brenner抗議デモを考える

BDSムーブメントをめぐる複雑怪奇
 写真の場所は Newtown。わけあって「今週の2枚」です。


9月11日の昼下がり、ニュータウンにて


 最初に書いておきますが、今週はかなり長いです。動画もあるし、気長に読んでください。

 先日ニュータウンを歩いていたら、King Stに面したMax Brennerというチョコレート・カフェ店の前で人だかりがあり、一連の罵声のやりとり、さらにはチャント(日本ではドイツ語の”シュプレヒコール”が一般的だけど)が行われてました。どこぞの国の旗(あとで調べたらパレスチナの国旗)を振り回して叫んでるおっちゃんやら、「BDS」を罵倒した看板やら、わざわざご丁寧にTシャツまで作ってるおっさんやらがいます。そして両者を分けるように、道の両側には警官隊が配備されています。

 野次馬根性旺盛な僕はそそくさとデジカメのビデオで撮りながら、「なんのこっちゃ?」と思ってしばらく見ていたのですが、プラカードの内容(「NATOとその傀儡勢力と戦うリビア民衆を支持しよう」)や国旗、そしておっちゃんががなり立てる文句から、どうも中東関係のようです。マックス・ブレナーというのはイスラエルの企業です。それは以前店に入ったときに、注文の品が出てくるまでヒマに任せてお店の紹介パンフを読んでいたので知ってました。でもって、リビアといえば昨今カダフィが追い落とされ、民主化の動きが激しい国です。

 →右の動画で、最初に拡声器越しに聞こえる声は、お店側の舗道に集っている人々のもので、"Max Brenner is here to stay. Smelly ferals go away."(マックスブレナーはここに留まる!臭いケモノこそ立ち去れ!)"と言っています。プラカードの文句を読み上げているだけですが。

 これに対して旗を持ってるオジサンが"Shame!"(「恥を知れ!」という典型的な非難英語フレーズ)と怒鳴り、「パレスチナ人弾圧を経済的にサポートしている云々」と切り返します。

 「ははあ」と何となく事情が飲み込めてきました。中東においてイスラエルとアラブ民族は犬猿の仲です。特に最近のイスラエルのパレスチナ地区への攻勢は激しく、世界的にも批判を浴びています。一方、アラブは各地で民主化が起きて民族意識も高揚しています。そうなると、仇敵であるイスラエルに対する反発も強くなり、それが世界に飛び火し、こんなオーストラリアのニュータウンのチョコショップの前で罵倒合戦が繰り広げられている、、のかな、と。


 散発的な非難の応酬だけで進展がないので、見物もそこそこにして近所でランチを食べにいきました。それから数十分後、ランチを食べ終わって帰ってみると、こんどは結構人だかりになって盛り上がってました。

 盛り上がっているのは抗議側で、"Max Brenner, he can't hide, he suppurts genocide"(〜と言ってるように聞こえる=「マックスブレナー、逃げ隠れできないぞ。お前は大量虐殺(ジェノサイド)を支援している」)と繰り返し叫んでたら、今度は内容が変わります。「ほう、こうやって変わっていくのか」と興味深かったのですが、誰かが新しいフレーズを叫ぶ、良さげだったら皆で唱和するという。ラップのジャムみたいな、あるいは土佐の「よさこい節」みたいな。でもって、"Israel, USA, how many people kill today"(イスラエル、米国、今日は何人殺した?)というチャントになっていきます。

 その後、また近所にコーヒーを飲みに行って20分ほどして戻ってきたら、抗議者達はいなくなってました。おそらくは警察が移動を促したのでしょう。キングストリートを歩いていたら、前方に唱和しながら先行していく小集団がいました。


 以上が、たまたま街で出くわした光景ですが、「あれは何だったのだ?」と疑問を持って、ちょっとネットで調べてみました。すると、思っていた以上にあれこれ錯綜した世界の背景が見えてきたのでした。

WHO VS WHO?

 「ほお?」とは思ったものの、かなり釈然としないものが残りました。

 @、たしかにイスラエルのパレスチナ地区への強硬策は、僕だっていいとは思ってないし、国際世論による批判はあってしかるべきだと思う。しかし、それが現地、国連、あるいはイスラエル大使館前で行われるならともかく、はるばるオーストラリアの、ローカルの一商店街のとある商店を攻撃するという形で行われることへの違和感です。

 なんというか目的と手段がかけ離れすぎているというか、なんでそんなことするの?意味あんの?と。そして、こういうことをしているのは誰なのか。どんな政治的なグループや一派がやっているのか?こんなことが世界的には片田舎にすぎないオーストラリアでやっているということは、全世界的にも行われているような気もするのだが、そうなのか?また、これに対する世間の反応はどうなのか?

 A、一方、通りの反対側、マックスブレナー側に立って、抗議集団を迎え撃っている人々も、普通の市民なのか?というと微妙に違和感があります。あとでも述べますが、ちょっとヘンなんですよね。わざわざオーストラリアの国旗を持ってきてるところや、「社会主義反対」というプラカードとか、なんかズレてるんですよね。それにBDSを攻撃するプラカードも下品だし、どことなく普通の市民って感じもしない。

 つまりどっちも普通ではない、ちょっとマニアックな人達のような気がして、一体どういう人達がいがみあってるのか?疑問になったわけです。

中東についての復習〜2000年以降のパレスチナ情勢


 BDS(Boycott, Divestment and Sanctions)というのは、イスラエルのパレスチナ抑圧に対する世界的な抗議活動です。

 より広くは、「イスラエル・ボイコット運動(Boycotts of Israel)」というものがあり、反イスラエル活動です。こういった反イスラエルの動きは、第二次大戦後のイスラエル建国以前からもアラブ諸国内に存在したそうですが、オフィシャルに立ち上がってくるのはイスラエル建国直後からです。まあ、これは自分らの庭先(アラブ民族の土地)で国を立ち上げられたことへの反発ということで、中東問題の原型みたいなものです。実際には、イスラエル建国直後から戦争(第一〜第四次中東戦争)がドンパチ繰り広げられていたので、「ボイコット」などという「穏やか」なムーブメントはその影に隠れて見えにくかったようです。

 ボイコット運動が広がり出したのは、イスラエルのパレスチナ自治区への侵攻が激しくなり出した2000年以降でしょう。

 このあたりの背景事情は、かつてのエッセイの復習になりますが、エッセイ388回:キリスト教+西欧史(52)中東は何故ああなっているのか?〜イスラエル建国から湾岸戦争までをごらん下さいまし。フランスのドレフェス事件→シオニズム運動(ユダヤ建国)→バルフォア宣言とイギリスの三枚舌→イスラエルの建国→周辺アラブ諸国との葛藤とパレスチナ問題という常識レベルは押えておくのが望ましい。でないと、なんで昔から中東が「ああなってるか」が分からんと思うので。

 ともあれ21世紀になってから、イスラエルのパレスチナ地域への攻勢が激しくなりました。それまでは中東和平で、それぞれのリーダーが頑張っていました。特に1993年、当時のクリントン大統領の肝煎りで、イスラエルのラビン首相とパレスチナのアラファト議長との間で、歴史的な和平協定=パレスチナ暫定自治協定・オスロ合意がなされたのを覚えている方もいるでしょう。あの頃はとかく「握手をしている写真」が多かった。しかし、ラビン首相はその2年後に自国の若者に暗殺されてしまいます。以後、強硬派のネタニヤフ、シャロンが首相になり、和平は遠のきます。イスラエル軍に囲まれ軟禁状態だったアラファト議長は、ついに健康状態が悪化して2004年11月フランスに搬送され、永眠しています。

 要は政治家やリーダーが必死になって和平をやろうとすると自らの集団の跳ね返りの強硬派によって足を引っ張られて、結局は罪もない人々が殺されるという愚かな構図です。どこの国、どこの時代でもそうですが、大体ナショナリスティックな勢力によって国がヤバくなるという、愛国=亡国の構図です。アラファト議長がいる間は、まだパレスチナ強硬派のハマスあたりも抑えられていたと思われるのですが、アラファトなきあと、双方の強硬派との間で激しい戦闘やテロが繰り広げられ、殆ど市街戦のようになります。イスラエルは、パレスチナ自治区である筈のヨルダン川西岸(ウェスト・バンク)とガザ地区(ガザ・ストリップ)に侵攻して入植を進め、壁で覆ってしまうわ(この壁を"the wall"という。"the"が入るところが英文法的にはミソ)、両自治区の間の通路を遮断したり、検問して病人を病院に運べなくしたりイヤガラセをしてたりします。もちろんハマスも黙ってなくて、ロケット砲でイスラエル市街を砲撃したりするのですが、数ではイスラエス正規軍の敵ではなく、1対6くらいの割合で死傷者はパレスチナの方が多いです。

 2004年、これまで強硬路線だったイスラエルのシャロン首相は、一転して融和姿勢を打ち出し、これまでガザや西岸地区に入植していたユダヤ人集落を撤退するという妥協案を発表し、パレスチナ側と世界から評価されます。が、それも束の間、シャロン首相が病気で引退し、再び強硬派のオルメルト首相になり、またパレスチナも穏健派ファターハからハマスに政権が変わるや、2006年ガザ侵攻が行われます。これは年内に停戦合意になりますが、しかし2007年には今度はパレスチナでハマスとファターハの内ゲバが始まります(2007年)。さらに、2008年からまたイスラエス軍のガザ侵攻が行われてます。これはかなりエグいものらしく、パレスチナ人1300人以上が死亡していますが、その大部分は一般市民であり、救急車や学校、幼児への攻撃などかなり戦争犯罪も含んでいるようです。

 このようなイスラエルの行動に対する国際的な非難ですが、国連での非難・制裁決議になると、大体においてアメリカが拒否権を発動してポシャらせてます。2008年のガザ侵攻でもアメリカは棄権。ちなみに日本も、兄貴株のアメリカに逆らえる筈もなく常に棄権しています。アメリカの親イスラエル姿勢は一貫していて、それはイスラエル建国からの西欧諸国の伝統という点もあろうし、アメリカの政財界がユダヤ系マネーの影響下にあるとか、いろいろあるわけですが、そんなこんなで、先ほどの「イスラエル、USA、今日は何人殺した?」というデモのフレーズになっていくのでしょう。

イスラエル・ボイコット運動の中のBDSムーブメント

 イスラエルボイコット運動は、このような時代背景をもとにしていますが、2005年にパレスチナ人擁護の人々がBDSの呼びかけをしています。BDSのBはボイコット(Boycott), Dはディベストメント(Divestment)、Sはサンクション(Sanctions)です。ボイコットは、消費者的立場にある人はイスラエル商品をボイコットして抗議の意を示してくださいという意味。ディベストメントが分かりにくいのですが、インベストメント(投資)の逆ですから、イスラエル企業への投資を引き揚げてくださいと。サンクション(制裁)は国連安保理や国際司法裁判所で適切な制裁がなされるべく要求の声を上げていこうということです。いずれも非暴力の活動で、親パレスチナ系のNGO171集団が世界に対して呼びかけたものです。

 しかしBDSに留まるものではなく、国際政治的にはトルコやノルウェーがイスラエルとの共同軍事演習やセミナーをキャンセルしています。また、アカデミックの世界ではイギリスの大学教員団体がイスラエルの2大学を招聘しなかったり、芸術関係では有名なミュージシャンなどがイスラエル公演をキャンセルしたりしています。

 その他、主として欧州諸国で、数え切れないくらい多くのボイコットや投資の引き揚げが、国や自治体レベルからスーパーマーケットチェーンで行われています。このあたりの詳しいことは、Wikipediaの英語版のイスラエル・ボイコット運動の項目をごらん下さい。残念ながら日本語Wikiにはこのあたりの項目は全くありません。Wikiに限らず、一般記事でもWEBでも非常に少ないです。日本のことはまた後述します。

Max Brenner騒動の違和感

 さて、イスラエル・ボイコット運動の背景や内容は大体わかったにせよ、それでも、「なんでマックス・ブレナーなの?」という気がしますね。確かにマックス・ブレナーは、今ではイスラエル二番目の巨大食品会社(シュトラウス・グループ)に組み込まれ、イスラエル軍の経済的基盤になっているのはそうでしょう。しかし、マックス・ブレナー店舗内にいるのは、大体おいてアジア系のアルバイトの留学生さん(場所柄シドニー大学とか)が多く、そこでチョコレートを楽しんでいるのは普通のオーストラリアの市民です。確かにシュトラウス社の経営を悪化させるという側面はあろうが、直接的にもっと迷惑を被るのは彼らであり、彼らを困らせたってしょうがないだろう?という。なんか有効性に欠けるというか、ズレてる感じがする。ちなみに、シュトラウス社がイスラエル軍を支持しているという企業サイトの文言については、エルサレム・ポストというイスラエルのメディアでStrauss reposts IDF-support commitment on websiteに詳しく全文が書かれています。

 オーストラリアにおけるBDSのマックスブレナー店舗攻撃は、僕が出くわしたのが初めてではなく、実は7月にもメルボルンのマックスブレナー店前で行われ、多くの逮捕者を出しています。他にも散発的に各地(ブリスベンや他のシドニーの店舗)で行われていたようです。僕が出くわしたのは9月11日でしたので、911テロのアニバーサリーだっただけに余計にそうなのでしょう。

 Youtubeにおけるマックス・ブレナー・デモ動画のリンクを張っておきますが、結構沢山あがってます。

 一方新聞記事はどうなっているかというと、Google Australiaで検索した”BDS、Max Brenner”結果によると、全部25件の記事があります。25件の記事「しかない」、と言うべきか。しかもその中にはユダヤ系ペーパーやムスリム系新聞もかなり含まれており、総じて言えばそれほど大きなムーブメントになっていません。

 しかし、各記事(全てではないが)をナナメ読みしていくと、なかなかに背景が複雑なことも分かってきました。非常にわかりにくくもあり、面白くもあります。

 結論的にいうと、僕のみるところ、マックスブレナー店舗攻撃を仕掛けた側も、またこれを迎え撃つ側も、やっぱりあまり「普通」ではないようです。ありていにいえば極左と極右です。BDSが極左で、カウンターBDSが極右。いや、やってる人達が全員そうだというわけではないですが、流れの底にあって暴走させていく潮流がそうだと。

 僕も含めて、平均的なオーストラリア市民の感覚でいえば、両主張とも多少のシンパシーを感じてます。イスラエル軍の攻撃を受けてヒドイ目に遭っているパレスチナの一般市民には同情を禁じ得ないし、国際政治、とくにアメリカがイスラエル寄りに傾きすぎているという感覚は抱いているでしょう。だからイスラエル政府に何らかの意思表示をするという活動、それも非暴力的で草の根的なBDS活動そのものへは多少のシンパシーは感じる。このくらいの感じでデモに参加している人達もそこそこいるとは思います。

 しかしながら、それをイスラエル大使館とか公園でやるならともかく、イスラエル資本であるというだけでオーストラリアで合法に営業している店舗をターゲットにして、その店先で脅迫的な感じで行うことには違和感を覚えるし、端的に間違っているとすら思う。だれかのブログコメントに「リテール(小売店)テロリズム」と表現していたけど、まさに。だから、お店の側に助力してあげようという一般市民もいて当然なのだが、しかし、ここでも「臭いケモノは出ていけ」みたいな表現に違和感を覚える。

 実際、オーストラリアのメジャーな政党では、あんまりマトモにとりあってないです。BDSのマックスブレナー攻撃について、ケビン・ラッド外相は「21世紀のオーストラリアでそんなことをやる余地はない」と端的に否定的なコメントを出してますし、他の議員もそうです。また、BDSを推進していたり、パレスチナ人の人権擁護を地道にやっている組織も困惑気味のコメントを出しています。やり方がおかしいし、これではBDS活動そのものが誤解されるというカンウター・プロダクティブ(逆効果)な要素の方が強いと。

 メジャーなメディアでの報道例として、ブリスベンタイムズのChocolate war gets messyという記事(Ellen Lutton記者、August 28, 2011)を紹介しておきます。

→記事全文と簡単な訳をつけておきました。長くなるので折り畳んでおきます。クリックして表示させてください

 まあ、オーストラリアは西側諸国の一員ですから多少イスラエル寄りでしょうし、パレスチナやBDSに多少冷たいところもあるでしょう(もっともパレスチナ難民を数多く受け入れ、アラブ系住人は中国系と並んで大きな移民集団を形成しているけど)。でも、中道的に見て(何が中道なのか人によって違うけど)、BDS活動をするのは良い、マックスブレナーがパレスチナ抑圧に間接的に協力しているという意見を述べたり、ビラを配ったり、討論集会を開くのも良い。しかし、店の前で、数人がビラを配るのではなく、集団でもって威勢を示しながら営業妨害をするのはアウトでしょう。それはやり過ぎだと思う。それに、単なる抗議というよりは、殆ど口汚く罵倒しているし。また、主催者側は「反イスラエル、反軍事行動であって、反ユダヤではない」と言うのだけど、実際の現場ではほとんど反ユダヤ人的な言動が目だつ。さらに、彼らは、パレスチナ抑圧を、南アフリカでのアパルトヘイトと同列に論じたがるキライがあるのだけど、反ユダヤ的な言動をしている時点で自分達こそアパルトヘイトじゃないかって感じもするし。

 他方、お店の側に立つ人々も、上の記事に出てきたダニエル君のように素朴にオーストラリアの自由主義を守るために出てきた市民層もいるけど、そうでない人も多い。特にこっちサイドでも口汚く罵っている人達がいて、彼らはなんなんだ?と。

 特に右の写真でも分かるように、ウンコをかたどったTシャツを着て、そこに(写真ではわかりにくいが) "SOCIALISM" と書いてある。要するに「社会主義はクソだ」という主張なんだけど、およそ品性というものがない(特注なんだろうが、よく作るよな)。さらに、BDSをケダモノ呼ばわりするばかりか、写真にはないけどBDSの頭文字を使って、「B=BAD、D=DUMB、S=STUPID」と書かれた立て看板までちゃんと用意してきて、これって「アホ、ボケ、カス!」という小学生の喧嘩のような品性です。でもって、(ユダヤ人を迫害する)「ナチスは去れ!」と言う。ほんでもって、やたらオーストラリアの国旗を打ち振っている。

 両サイドとも、これがパレスチナ系やアラブ系の人達と、ユダヤやイスラエルコミュニティの人々が出てきて罵倒しあうんだったら、まだ話は分かります。彼らはある意味では当事者ですから。積年の恨みもあろうし、言いたいことも山ほどあろうし。しかし、それとて、オーストラリア的にいえば、「そんなことは自分の家(国)でやれ」です。オーストラリアに合法的に滞在する以上、オーストラリアの法律を守り、偏見や怨恨は国境で置いてきて貰いたい。そんなことが許されるなら、世界中どこのエリアでも隣同士で喧嘩しているのだからメチャクチャになってしまう。

 さらに、ユダヤでもパレスチナでもない全くの第三者勢力が出てくる。これも義憤や公憤、国際的な人権活動としてやるならまだ分かる。BDS活動もその限りでは理解できる。しかし、アパルトヘイトのレトリックを使ったり、反ユダヤ感情に乗っかったり、逆にナチ呼ばわりしたり、ウンコ呼ばわりすることはどうなんだ?つまり、両陣営において、本来それなりに頷ける主張もあるのに、それを遙かにオーバーランして声高に叫んでる人達がいて、彼らが一連の騒動をいやが上にもmessyにしているという図式が浮かんできます。

 結局の所、両サイドでこのムーブメントを「利用」しようとしている(メインストリームとは言い難い)マイナーな勢力がある。そして、それは何かというと、どうも色々読んでみると、オーストラリアにおける極右、極左勢力らしいです。

オーストラリアの極左と極右

 もともとオーストラリアには極左も極右も少ないです。普通の左系なら、日本の民主党やアメリカのデモクラッツがそうである程度に、連邦与党レイバー党が左です。なんせ「労働党」というくらいですからね。それにオーストラリアは伝統的に労働運動が強く、組合加入率は激減しているものの、それでもAWARDなど最低賃金基準や労働法の規定が厳しく、国民一般の労働者の権利意識は高い。その意味では、国そのものが左がかっているといってもいいです。

 しかし、真性の左翼、資本主義を否定して社会主義を唱えるような勢力は非常に少ない。この伝統的な社会主義志向の左翼を極左"far left"と言います。日本とはちょっと違う。日本で極左というと、いつぞやの浅間山荘事件やよど号ハイジャックのように暴力革命を志向するくらいのレベルで言いますが、オーストラリアでは純正左翼でも極左と言われる。だから非常に少なく、「いないことはない」という程度。

 同じように極右も少ないです。普通に国旗を掲げて、"I love Australia!""Ausie, oi! oi!"と叫ぶくらいだったら、普通の国民の普通の態度ですので、別に右翼でもなんでもない。つまりオーストラリアでは、普通の市民が普通に左翼でもあり、普通に右翼でもあるわけです。労働者の権利には熱心で、これが侵害されるとどんどんデモで訴えるし、躊躇うことなくストライキもやる。看護師さんも、教職員も、バスの運ちゃんもやってます。余にもありふれているのでいちいちニュースにならないくらいです。でも、ストライキをやってた人が同時にオーストラリアの国旗を嬉しそうに振ってたりする。労働者を大事にする国だから好きだみたいな感じで、右と左が渾然一体になってるところがあります。そこでの左右は、中道派の中での相対的な差でしかない。中道よりやや左なのがレイバー(労働党)で、もうちょい左なのが環境政党グリーンズという構図になるでしょう。ビジネスの効率性を重視するか、労働者や弱者救済に力点を置くかの差です。が、労働党や自由党内部においても左右の派閥対立はあります。

 一方、オーストラリアも含めて、西欧圏で極右(far right)というと、これはもうネオナチ君みたいな一派です。一般に右系というと、コンサーバティブ(保守)系、財界・支配層系、国家民族主義系といろいろあるのですが、中道やや右がリベラル・ナショナルの連立野党です。が、これも別に国粋主義的なのではなく、政策のバランスにおいてやや経済面を重視する程度。あとは「保守」といっても、旧宗主国のイギリスカルチャーに忠実なモナキスト(イギリス王室を核とする君主制主義者)などが保守層ですが、これも言ってしまえば「古き良き風俗」を懐かしんでるだけという気もします。日本において「女は家で家庭を守るのが美しい」とか言ってるジジババ層と変わらんように思う。だから、そんなに活動的ではないし、まかり間違ってもウンコTシャツは着ないと思う。

 そうなると残るは、ネオナチ系の人々です。国家主義的というよりは民族的(白人優越主義)であり、極端なのはKKKのような存在ですが、これもグラデーションで様々です。英語では単に「ファシスト達」と呼ばれたりもします。ヨーロッパでは結構盛んだといいますが(先日のノルウェー事件などが典型的)、オーストラリアではそれほど盛んではありません。てか、普通にしてたらまず見ない。だから今回は生右翼が見られるいいチャンスだったわけです。

 ネットは便利なもので、こういった各種団体のサイトもいけるし、それぞれがマックスブレナー攻防戦(お店こそいい迷惑だと思うが)の「戦果」を誇らしげに書いています。

 幾つか例を挙げると、まずBDS本家のページSocialist Altanativesで「なぜマックスブレナーを非難すべきか」の理論武装のページDirect Actionというグループのブリスベンデモ(上の新聞で報道された)の報告ページGreen Leftというグループのデモ報告のページなどなどです。

 一方、極右系もAustralian Protectionist PartyAustralian First part、Australian Defence League、Australian Patriots Defence Movementなどなど沢山あるのですが、左系に比べて寡黙というか、あんまり文章書いたりするのが好きじゃないのか、「行動で示す」のか、ドンピシャが少ないです。むしろ解説しているページの方が多い。例えば、slackbastardというページでは、この手の人々の動きが細かく掲載されています。マックスブレナー騒動についても、Brenner, BDS, ADL, APDM, APP… A storm in a chocolate mug?などに詳しく解説されています。面白いっていうか、どんどんディープになっていって、ほとんどオタクの世界です。ここにも解説があり、”Neo-Nazi Friend"とタイトルが付けられた人々の動画があります。

 あと、組織というほどの組織でもなく、単なる気分というかムーブメント的な”hate-group”もあります。“Fuck Off We’re Full”, “Speak English or Piss Off!!!” -- Australian hate-groups, viral expansion loops & Facebookでちょびっと紹介されていますが、タイトルが示すように「(オーストラリア)は満員だ、これ以上移民で来るんじゃねえ!」「(オーストラリアにいるなら)英語喋れよ!喋れ(ら)ないなら出ていけ!」という、ゼノフォビックな、殆ど八つ当たりみたいなセンチメントがあったりもします。これも一応極右なんだろうけど、そこまで組織立ってるわけでもなく、要するにチンピラみたいなものです。ただし、こういうのがフーリガン化して、一番粗暴で人に迷惑をかける。クロヌラ暴動もそうだし、日本でも朝鮮韓国系の学生さんに悪さをするようなアホとか。もうゴキブリのようなもので、世界のどこに行ってもいるのでしょう。

 ところで、極右だろうが極左だろうが、彼らのページを見る分には言ってることは別にエキセントリックでもなくて、むしろマトモに聞こえる。多分に美辞麗句でまとめているキライもあるのだけど、でも、書いてある記事をぱっと読むだけだったら、右なんだか左なんだか分からないくらいです。そういえばNATIONAL REPUBLICANS という組織では、書いてある内容は思いっきり右翼なんだけど、本人達は「オーストラリアで唯一の革命的な左翼集団」と名乗っています。

 はっきり言って、今の時代、右も左もかつての有効性を失っているのでしょう。例えば環境問題は、一般には左翼的なトピックなんだけど、環境保全を英語でいうと「コンサーバティブ(保全)」というくらいであり、「美しい祖国の国土を守ろう」といえば右翼的にもなる。極右と言われるAPPもProtectionist(守る人)で、保守といえば保守なんだけど、国土を守ろうといえば環境問題であり、国民の職を守ろうともいうからその限りでは労働運動系の左翼に見えるのですよ。もう、なにがなんだか、です。

 あれこれネットで調べているウチに(はまってしまってのべ十時間以上、読みふけっていた)、オススメのアーティクルがありました。

 Conversations with BDS counter-protesters in Newtown
 これは、ニュータウンの現場でブレナー店側でワイワイ言ってた人達に話しかけて、どういう趣旨で来ているのか聞いたものを集めた労作です。これは価値があります。いわゆる極右ばかりではなく、ホロコーストの生き残りの人とか、いきなり洗剤をふりかけようとする人とか、非常に冷静にマトモなことをいうユダヤ系の女性とか。ほんといろいろです。

極右が親ユダヤになり、相手を「ナチ」と罵倒する奇妙なねじれ現象

 もう一つオススメの論考は、Jeff Sparrow氏の分析です。このエッセイを書こうと思ったキッカケになったアーティクルです。オーストラリアの極右の状況が興味深く分析されています。

 Max Brenner and Australia's fascists

 ここでも書かれており、僕も「あれ?なんで?」と思ったのは、極右連中にみられる奇妙なねじれ現象です。彼らはネオナチというくらいだから、伝統的に反ユダヤです。反ユダヤなんだけど、今回はユダヤ側に立っている。なぜかというと、彼らは反イスラム(アラブ)でもあるわけです。ノルウェー事件でも犯人は反ムスリムを唱えていましたね。あと、BDSが極左勢力によってなされているので、それへのライバル感情も勿論あるのでしょう。いずれにせよ「敵の敵は味方」みたいな奇妙な図式になって、ユダヤ側に立って、BDSムーブメントをイスラム系として「ナチは去れ!」と呼ぶ。自分らがネオナチのくせに相手をナチといって罵倒するという、このもの凄い倒錯状況は何なんだ?という。

 一体彼らは何がしたいの?ただ騒ぎたいだけなの?と思ったりもするのですが、この論考で分析されているように、これはオーストラリアだけの現象ではなく、世界的に極右勢力のリ・アラインメント(方針転換)がなされているようです。イギリスのゴリゴリの極右のNick Griffinなどは、長年「ホロコーストなんかデッチ上げだ」と言い、ユダヤ人を徹底的に攻撃していたのだけど、最近は、最も熱心なユダヤ活動家になっているという。すごい転身。なぜか?ここで"We should," he says, "be positioning ourselves to take advantage for our own political ends of the growing wave of public hostility to Islam currently being whipped up by the mass media."と説明しちゃうあたり、人の良さが微妙にうかがわれてしまったりするのですが、要するに911テロあたりから西欧での反イスラム感情が強くなってるから、それに便乗しちゃおうという戦略だそうです。

 しょせんは、どこまでいっても泡沫勢力でしかない彼らはメディアの注目が欲しい。しかしかつて自分達が「世界のメディアはユダヤが握ってる」と攻撃しているように、ユダヤを敵に廻したらメディアの注目を集められない。だから親ユダヤにするんだと。このままではマイナー過ぎて支持者も増えない、経営も苦しいという、なんか非常に分かりやすいというか、中小企業のオヤジさんの悲哀のようなものを感じます。しかし、一方で、彼らのような連中になつかれたユダヤ系の組織としては、どうなんでしょうね?ありがた迷惑という部分もあるのではないかと。

 さて、一方のイスラエル・ユダヤ側のサイトですが、これも沢山あります。よく出来ているのはNGO MonitorによるBDSムーブメント解析のページです。BDS活動がどのような形で運営され、お金の流れはどうなっているかを示したものです。ビデオまで作っていて、かなりプロの仕事です。さすが。

 さて、これらの話題は日本ではどう語られているかというと、あんまり語られていません。かなりマニアックですね。「週刊金曜日」問題〜「イスラエル支援企業の製品ボイコット」と「イスラエル支援もの書き製品ボイコット」 イスラエル/パレスチナ問題に関する諸言説についてを挙げておきますが、なんというか、いわゆる知識人村の出来事みたいな感じになってます。

 これって日本ではよくあるパターンですけど、やれ佐藤優が親イスラエルだとか、村上春樹がエルサレム賞を受賞したからどうとかいう。でも、ここで紹介したような世界的な、ちょっと珍妙でもある大きな趨勢みたいなものはあんまりうかがわれません。日本語文献だけ読んでても、このあたりは感じは殆どつかめないでしょう。これに限らず(先日のイギリス暴動もそうだったけど)、国際的な流れというのは、とりあえずは英語で読むべきだと思います。そもそも日本語で紹介されていないものが多いし、また日本語になった時点で、なんかしらニュアンスがズレてくるような気がします。

私見

 かなり長くなったのでもうシメますが、僕個人としてはどう思うか?ですが、まずあなたがオーストラリアに居たらマックスブレナーに行くべし。ちょっと高いけど、チョコはお洒落で美味しいし。暑くなってきたら冷たい系の飲み物がナイスです。でもって、あなたがチョコを楽しんでいる間にこういった騒ぎが起きたら、当然興味津々で見物すべきでしょう。いきなりブン殴られるなんてことはまず無いし、警官隊も沢山いるし。別に恐がることではない。世界を知る格好の教材なんだから。

 もう少しシリアスに考えはじめると、泥沼に入りそうです。たくさんの「?」があるのです。そもそもイスラエルがなんであんなにパレスチナ自治区に固執するのかよく分からんのです。恒久的なことを考えれば適当なところで周辺のアラブ諸国と仲良くやるべきでしょう。そういう声は国内にも強いだろうに。大体あんなに年がら年中戦争やってたら軍事支出で国が疲弊するし、現にしている。かなりヤバい状態にあると言われています。失業率も高くなってるし、ワープアや格差社会も日本以上とも言われる。だから、若い世代はイスラエルを出て他の国に移住しているもの多いらしい。軍事費くらい金食い虫はないのだから当然でしょう。だから、とっとと和解すればいいのに、いちいちそれをブチ壊すような国内右派が出てくるけど、なんで?と。

 また、パレスチナを完全に占領して自国にしてしまうというのも変です。なぜなら、先進国の御多聞に洩れず、イスラエルも少子化が進んでおり、一方でパレスチナは子だくさん。今は513万対144万でユダヤが多いけど、建国時は233万対39万だったのだ。もの凄い勢いで差が縮まっている。このままいけば将来的にアラブ系が多くなり、そもそもイスラエルは「ユダヤ人の国」ではなくなるという絶対矛盾がある。だから、なんでそんなにパレスチナ自治区にこだわるのか?と。あれだって景気よく攻めてるようだけど、かなり金がかかって大変らしいし、入植者だって全体からしたら微々たる数だし、あまりにも割が合っていないのに、なぜ?

 イスラエル国内での権力闘争は、それはそれは熾烈であり、今二度目の首相をやってるネタニヤフも、一度目は強硬派で鳴らして首相になったけど、サッチャーを尊敬するバリバリの自由経済論者だから、小泉政権的に国内に貧困を増やしたとかいってすぐに失脚している。日本ほどではないにせよ、結構コロコロ首相が替わる。国内人気が落ち目になると対外的に強硬策をやって人気回復をするのは政治の定石だから、パレスチナとドンパチやるのはわかるけど、本当にそれだけなのか?という疑問もあるのです。

 またユダヤ人=イスラエル人ではないです。そもそもユダヤ人というのは長い期間放浪したので混血が進んで、民族的にユダヤ民族というカッチリしたものがあるかどうかすら怪しいそうです。またこれまでの居住地区によって性向も違う。多くはロシアやアラブ諸国で地道に農業をやってた勤勉な人達だけど、なかには典型的な「ユダヤ商人」で成功して、西欧諸国に入り込んで支配層になってるロスチャイルドみたいな一派もいる。彼らはユダヤ教を捨ててキリスト教にもなってるし、イスラエルにも住んでない。

 彼らこそがアメリカ議会をはじめ世界に強い影響力を持っているというけど、そんなにも強く、且つイスラエルを真剣に思っているなら、なんで最初っから油田も含めた広大なエリアに建国しなかったのだ?金持ちユダヤ系は自分らの存在価値を示すため、イスラエルが強くなりすぎないよう適当に加減してるのではないか、という説もあるそうです。それに世界のメディアをユダヤが支配しているなら、あの程度の(敢えてそういう)パレスチナの状況をあそこまで西欧メディアは大々的に報道し、あたかもイスラエルが一方的に悪者のように書くのか?という。世界各地での悲惨な状況というのは、もっとケタ外れに悲惨なんだけど、パレスチナ問題だけ突出して取り上げている。変だよね?と。まあ、わからんけど。

 それはともあれ、イスラエルも強大そうに見えて内情は火の車だし、今はエジプトとトルコに挟み撃ちにされているし。そうかといって、西欧やアメリカもイスラエルに消滅して貰っては困るでしょう。アラブ・イスラム諸国とガチで対決することになるし。やはり戦略的にも、強いイスラエルが西側の橋頭堡のように睨みを利かせて欲しいとは思う筈。

 こういった大きな背景は幾らでも考えられるのですが、そんなことを思ってると、BDS活動そのものが「誰か」の思惑に乗せられているような気もしなくもない。パレスチナであんな「ひどいこと」が行われ、イスラエルは「悪い奴」だと、思わされているんじゃないか?と。まあ、実際ヒドいことはしているのでしょうから、それはそれで分かる。だけどメディアの言うことを鵜呑みにしてはいけないとも思う。かといって、よくある隠謀史観に溺れるのは最悪の選択です。多分、これって、結局誰にも分からないんだろうなって思います。いろいろな勢力がいろいろな絵を描いているでしょうけど(オーストラリアの極右・極左だって便乗絵巻を描いてるくらいなんだし)、それぞれがそれぞれに潰しにかかっているから、結局誰かの思惑が一方的に通るなんてことはありえないでしょう。「わからない」という意味では誰でも同じ。

 さて、マックスブレナー騒動についてですが、あそこで騒いでいる人、とくに率先して騒いでいる人達は、なんだかんだいって「エンジョイ」してるんだろうなって思う。でも、基本的に他人のフンドシで相撲を取ってるんだから、もうちょい遠慮というものがあるべきだし、いつだって必要なのは罵倒ではなく、対話でしょう。BDSも宜しいんですけど、ボイコットして本当に効果あるんか?って気もするし、仮に効果があってもイスラエル経済が悪くなったら益々格差社会になり、ポピュリズムを煽るために意地になってもっと攻勢をしかけるという逆効果もある。思うに、イスラエルだからダメというよりも、イスラエル内部の良心的な勢力と回路を開いて、世界的に援助して彼らがイスラエル国内で勢力を付けるようにした方が意味あるんじゃないかとか。少なくとも非難罵倒して物事が解決した試しはないように思います。やられた方は恨みに思い続けるぞ。

 でもって、今回の騒動は、オーストラリア全体には殆どなんの影響も与えてないし(知らない人も多いだろうし、僕も出くわさなかったら知らなかった)、一番の貧乏くじを引かされたのはおそらく環境政党グリーンズでしょう。Bob Brownという党首は、さすがマックスブレナー叩きには距離を置く発言をしているけど、党の基盤がもともと左系だから党内でもBDSに夢中になってる人達が多く、板挟みになって、公でも沈黙せざるを得なくなっているという。苦しいところでしょうねえ。


文責:田村




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