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今週の1枚(2010/09/13)




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Essay 480:ARによる「熱海ラブプラス現象(まつり)」の日本男子が世界に配信されている件

 写真は、Wynyard駅で新聞を読むオジサン(見れば分るか)。今回は海外メディアネタなんですけど、こんな感じで読まれていたのでしょうかねえ。



 なんのこっちゃ?と思われる方も多いでしょうし、かくいう僕もその一人でした。
 僕は、なにげにシドニーの地元の新聞(Sydney Morning Herald)を読んでいて知りました。「ん?なに?」って。
 まずは、記事を読んでみてください。英語だとかったるいでしょうから、以下に翻訳しておきました。

熱海ラブプラス現象(まつり)のSMH記事

 記事の原典は、Japan resort draws men with virtual girlfriends です。新聞記事は時間が経ったら削除されてしまう可能性があるので、僕の方でも保存しておきました。もし原典がなかった場合は、ココをどうぞ。
 
ヴァーチャル恋人で男性を惹きつける日本の観光地

(2010年8月30日、SMH記事、AFP配信)

写真の説明(左:白と黒に塗り分けられた小さなパネルの横に立った男性を、iPhoneのソフトを使って撮影すると、写真右のようにアニメの女の子の映像とともに映るようになる)。


かつて恋人達や新婚旅行のメッカであり、今は斜陽に悩む日本の海岸沿いの観光地は、若い男性と仮想の恋人を撮影することで、奇妙な時代のニッチな観光資源を発見した。

うだるような猛暑が続く最近のこと、東京からのツアーバスは、熱海=大都市の南西にある太平洋沿いのリゾート地=の炎天下のビーチ沿いに停車し、iPhoneを握りしめた若い男性達を吐き出した。

彼らは、ビーチサイドのビキニギャル達には目もくれず、熱海の有名なラブストーリーを元にして作られた寛一お宮のブロンズ像の所に一直線に向う。

彼らの、そして彼らのスマートフォンのフォーカスは、小さくて四角い白黒パネルに絞られている。それはAR(augmented reality、拡張現実)技術にもとづく二次元バーコードによって、彼らのお気に入りのキャラクターを現実世界に呼び出すものなのだ。

「ほら、まるで彼女と一緒に写ってるみたいでしょう?」と、シュー・ワタナベ君(23歳)は、彼のiPhoneのディスプレを見せながら言う。そこには、リンコという名の牝鹿のようにあどけない目をした(doe-eyed)アニメの女子高生キャラが笑いながら彼の横に立っていた。

「これってただのデジタルイメージじゃ、、」と思われるかもしれないが、そんなことは、ワタナベ君や、ニンテンドーDSやARソフトを搭載したiPhoneでプレイできる「ラブプラス」というデートシュミュレーションゲームのファン軍団(legion)に言ってやってください("try telling that で、「言ってやって!」の意味になる慣用句)

このソフトを制作したコナミ・デジタル・エンターテイメントは、ハイテクやマンガやアニメに取り憑かれた”otaku”として知られている若い男 性達に、彼らのデジタルドリームを実現するもう一つの世界(alternative universe)を提供し、彼らにスリルを与え続けている。

昨年後半、"Sal 9000"としか知られていない27歳の日本人の男性が、ゲームキャラの一人であるネネ・アネガサキとタキシードの結婚式姿をオンライン上の何千という視聴者の前に表わしたことで、このヒットゲームはマスコミに取り上げられるようになった。

しかし、最新ヴァージョン(ラブ・プラス・プラス)では、メーカーはさらに先に進み、日本の首都から100キロ南西にある温泉街である現実の街である熱海とタイアップ企画を打ち出した。彼らは、ロマンチックなロケーションを13箇所選び、リンコやその友達のマナカ、ネネを出現させ、しかも通常のセーラ服だけではなく、夏の私服にも変えられるようにした。

地元の土産物屋は、恋に冒された(love-struck)新しい顧客達をつかみ、お金を落としてもらうために、お守りから饅頭、ひいては魚肉ソーセージにいたるまで「ラブプラス」をテーマにした土産物を売っている。

地元のオーノヤホテルでは、通常の部屋の他に、二組の布団と、きれいな浴衣姿になった彼らのガールフレンドを映しだすバーコードパネルを設置した部屋すら提供している。

日本市場でしか売り出されていない「ラブプラス」は、昨年9月に発売されてから、日本で最も人気のあるデートゲームになり、エンターブレインというリサーチ会社の調べによると43万本近く売れているそうだ。

この成功の秘訣は、これまでこのジャンルのゲームが出会いから恋人になるまでをメインにしているのに対して、恋人になったあと関係を育んでいく長い部分をフィーチャーした点にあるとされる。

コナミの広報担当のクニオ・イシジマさんは、「これまでのラブゲームは、女の子をあなたに振り向かせる部分、あなたを恋人として受け入れさせ、愛を告白させるまでがポイントでした。しかし、ラブプラスのプレイヤー=男子高校生という設定=は、既に恋人がいます。このゲームの目的は、いかにして快い人間関係を築き続けるかという点にあるのです。だからラブプラスにゴールはありません。べーシックな音声認識システムと、リアルタイムの時間と同じ速さで進んでいく画面時計の経過によって、プレイヤーに現実世界を彼女と一緒に過しているように感じてもらうようにしています」と説明する。

長いことほったらかしにしておくと、ゲーム内の彼女は不機嫌になるし、もっとかまうように要求してくる。もし夏休みの旅行に生きたかったら、コミュニケーションを通じて彼女を説得したり、プランニングをしなければならない、とイシジマさんは解説してくれた。

ファンはこのチャレンジを楽しみながら、街をあちこち歩き回っていた。
「初期の頃のラブゲームでは、僕らは単に女の子をゲットするだけ、本当にただそれだけだったんですよね」と40代のナオユキ・ササザキさんは、寛一お宮像の前でiPhone写真を撮ったあと話してくれた。「ラブプラスは面白いですよ、だって関係が永遠に続くんですからね。」

1970年代のピーク時に比べ、観光客が40%も減っていた熱海にとって、ラブプラスのヒットは福音であった。
前述のオーノヤホテルだけで200人のラブプラスファンが宿泊ているし、2010年の7月10日〜8月末までのラブプラスキャンペーンでは優に2000人以上のファンが熱海を訪れている。地元によると、韓国や台湾から来たファンもいるようだ。

熱海の商工会は、最初、女子高生がボーイフレンドと熱海で一夜を共にするというスートリーに当惑し、難色を示したという。「不道徳だとしてキャンペーンに参加することを反対された方々もいます」と商工会のサイキ・オオタさんは言う。「それにこんなにウケるとは思ってませんでしたね。でも、徐々に経済効果の大きさというのものが皆にもわかってきたんです」

コナミのイシハラさんは、このゲームにセクシャルな要素は入っていないと強調する。
「コミュニケーションの一態様として女の子がキスしてくれることはありますけど、ホテルの部屋で隣に寝てても何も起りません。ポルノ的な要素で売るつもりはありませんから。そんな風にラブプラスの女の子達を見たりしたりしたら、ファンの皆さんは怒ると思いますよ。」

 以上です。
 「熱海ラブプラス現象(”まつり”と読む)」は、このゲームの会社が期間限定で企画したイベントの名前です。
 2010年7月10日から8月末まで、要するに「夏休み」ですね、に熱海に行くと、指定された場所に白黒のARパネルが置いてあり、それをARソフトを装備したiPhoneなどの機器で撮影すると、ゲームのキャラの女の子が画面に映しだされるという。

AR/拡張現実とは?

 ここで、AR(オーギュメンティド・リアリティ=augmented reality)というのが出てきます。ARは、VR/ヴァーチャルリアリティではないです。仮想現実ではなく、拡張現実。


 何それ?というと(僕もよう知らんかった)、これは字で説明しにくいのですが、要は現実空間に情報を付加する技術で、、、なんて書いても分からんな。立体ホログラフみたいなもので、ただし裸眼で見てもだめで、それなりのソフトを備えたカメラ&ディスプレイで見ないといけなくて、、、

 見たら一発で分かるのでYouTubeで検索して、もっともフラットに説明してある動画を貼っておきます。大体のところは分かるでしょう。英語ですけど、絵を見てれば分ると思います。日本語サイトも探したのだけど、アニメファンの自作ビデオは沢山あるのだけど、ここまでフラットに説明してあるものがみつかりませんでした。

 しかし、これとて2007年のTV番組で、3年前の放送を今更に見て学んでるワタシは、もうどんだけ不勉強かって(^_^;)。


なぜか世界の方が注目(?)している件

 さて、本稿のお題は、この出来事が日本ではなく、むしろ海外において盛んにニュース配信されているというヘンテコな現象です。

 日本のニュースで取り上げられたのは、Googleでのニュース検索であがってくるのは、ざっと10件。検索時期によって結果は変わるでしょうが、その程度のオーダーであり、しかもメジャーメディアで取り上げたのは読売、さらに地元近くの静岡新聞くらいで、あとは時事通信の国際系、準大手(なのかな)でJ-Cast、サーチニュース、あとはなぜかマネー系のメディアがちらほら、他はゲーム系です。ニュースではない一般検索では何と20万件以上ヒットするのですが(これは当事者や関係者系のブログや話題が殆ど)、ニュース系では10件そこそこ。

 ところが海外においては、”Love Plus Japan Atami”でニュース検索をかけると33件、しかもうちメイン記事には同種記事が125件もあります。

 メインに挙げられているのはWall Street Journalの記事ですが、みてると結構まんべんなく紹介されていたりします。大体オーストラリアみたいな田舎の新聞に載ってるくらいなんだから。アメリカやイギリスはもちろんのこと、コレなんかアドレス的にいってスイスだし、これはノルウェー。メチャクチャ画像がバーンと紹介されてます。それでまた結構読者のコメントがあったりして(ノルウェー語だからわからんけど)。でもって、コレはスウェーデンコレはデンマーク。なんか北欧系が多いですね。北欧は親日的だからかな。コレはイタリア、コレはオーストリア(ラリアじゃなくて)、コレはクロアチア。まあAFPが世界配信しているんだから、大抵のところにはいっているでしょう。ブラジルにもペルーにも、アラブ首長国連邦にもありました。

 当然、お隣の中国でも記事になっていて、「宅男「虚擬約會」振旅業」なんて漢字見てるだけで意味がわかりますよね。もっと凄いのは「日本宅男帶虚擬女友出遊・沒落勝地熱海起死回生」で、なんか漢字にすると妙にミもフタもなくクリアになってて大笑いしてしまった。「虚偽女友」とか「没落」とか「起死回生」とか。「出遊」って釈迦の「四門出遊」しか知らなかったけど、こういうときにも言うのね。でも「宅男」というんだ、初めて知った。

 で、どういう具合に紹介されているかという、まずはウォールストリートジャーナルの記事から。
 原典はOnly in Japan, Real Men Go to a Hotel With Virtual Girlfriends(The Wall Street Journal 31/AUG/2010)ですが、日本語版もあります
 動画を載せておきます。
★表示させない リンクがキレた  こっちのサイトに掲載されている動画の方がいいです。なぜならキャプションを選ぶと英語や日本語の字幕が出てきてくれますから。画面の右上にあります。特に英語字幕は、僕も分かったつもりでいながら、「げ、そんな単語聞き落としてるわ!」というのが何度もあって、いい練習になります。


 やはり動画は偉大で、新聞記事を読むよりもリアルに分かります。日本の日常の風景で馴染みがあるし。意外と真面目に取材してたりして、参考になります。オーノヤってあんなに大きな立派な旅館だったのですね。一泊5万円とか、AFPとは違った情報も得られて面白いです。上の記事では"steamed bun"を最初僕は「肉まん」と訳したのですが、この動画ニュースを見て、「ああ、温泉饅頭のことかい」と分かったりして。


で、世界の人はどう見てるの?


 以下の動画は、YouTubeにあった"The Alyona Show"です。「あるようなショー」ではなく(あー、しょーもな)、RT(ロシアのTV局)ワシントン支局のアリョーナ・ミンコフスキーという、ロシア語、英語、スペイン語ペラペラのジャーナリストが、アメリカをはじめ世界の出来事をプレゼンする番組です。



 でもってこの天下のアリョーナショーで、日本のラブプラス男子が9分以上にも亘って堂々と放映されています。

 簡単な紹介のあと、アメリカの街頭で「どう思いますか?」とインタビューが行われます。多くの反応は予想通り「はあ?」であるのですが、3分半くらいしてから始まる日本のカルチャーに詳しいローランド・ケルツさんのインタビューが面白いです。当然ラブプラスについてもよく知ってますし、「なんで日本ではこんなことやってるの?」という質問に対して幾つかの仮説を立ててます。

 街頭インタビューでは何言ってるのか分からなくても(僕も何度も聞き直さないと分からん)、ケルツさんの英語はとても明確で分かりやすいです。リスニングの勉強にオススメです。

 説明その1は、日本のアニミズム社会性ですね。神道もうそうですが八百万の神々という世界観においては、何も見えない空間に神々をクリエイトし、パーソナライズ、キャラクタライズすることに日本人は慣れている。無機物をあたかも現実の生き物のように扱い、個性を持たせて愛でるというのは、オモチャもそうだし、アニメもそうだし、その精神はひいては車やロボット技術にも転用されている。だから何もない空間に可愛い女の子がクリエイトされても広い意味では日本文化の一つのありようとも言えるのだと。これはフェーフェッチト(こじつけ)に近い印象を受けますが、よーく考えてみるとそうなんかな?という部分もあります。

 説明その2は日本社会におけるジェンダーギャップ。日本の女性は、キャリアや私生活を大事にするので以前ほど結婚や育児に関心がなくなり、あぶれてしまった男性は内面的な世界に入っていく。

 ゲームのキャラが女子高生であるという点について、西欧的には高校生はアンダーエイジであり、大人からはまともに恋愛の対象とすべきではないのだが、日本ではそういうのは当たり前なのか?というツッコミに対して、@これに興じているのはスーパーギーキー、おたくと呼ばれるサブカルのサブカルのサブカルだから日本全般の傾向として考えるのは間違っていること、Aコンセプトは思わず世話をしたくなるくらいスーパーキュート、KAWAI、であることだから、必ずしも高校生という点がポイントになってデザインされているわけではないと。

 これは日本だけのユニークな現象なのか、それとも世界の他のエリアでもいずれは生じる現象を日本が先端を切っているのか?という問い掛けについては、どっちとも言えるし、どちらもあると。日本以外の世界も、少しづつ日本みたいになっている。携帯技術によってヴァーチャル世界に親和性を持ってきて、ファイスブックなどソーシャルネットワーキングのヴァーチャル世界への積極的な参加をしているわけで、時代の傾向としては誰もが少しづつ内向的になりつつあるのではないかと。「たまごっち」の話を始めたところでタイムアップで切られてしまいます。

で、あなたは?

 はい、ここで宿題です。
 以上の考えるネタをもとに、あなたはどう思いますか?What do you think?まあ、世界中に配信されたとはいえ、そんなの数あるニュースのほんの一部ですから誰もが知ってるわけでもない。でも、知ってる人が絶無というわけでもない。あなたが海外にいって、あるいは日本にいながらでも外国の人から、「〜だってね?あなたはどう思うの?」と聞かれたら、本家日本を代表してどう答えますか。これ、先ほどのケルツさんじゃないけど、考えていくと結構深いんですよね。

 @、ぱっと考えたら、「またしょーもない連中がしょーもないことを、、」というものかもしれません。海外のどっかのブログのコメントにありましたけど、高校生を対象にした時点でペドフェリアだし、"20+ loosers"(20代の負け犬ども)みたいな、吐き捨てるような見方もあるでしょう。街頭インタビューでもそんなニュアンスでした。まあ、そう言われたらそうなんだろうけど、それだけか?

 A、取りあえずこの「現象(まつり)」に参加した方々ですけど、そんな理解を隔絶した存在ではないと思います。43万台売れて参加者が2000人というのは多いのか少ないのかわからんけど、平均的なプレイヤーからみたら、この2000人は結構明るい人達のような気がしますね。半分シャレでやってるというか、インタビューにも堂々と答えてるし、実際に熱海まで行っちゃうんだから、世界平均で考えてもポジティブでアクティブな人達なんじゃないかな。どっかしら突き抜けてる。アメリカあたりの馬鹿馬鹿しい大会(蛙の幅飛びコンテストとか)に参加している気のいいアメリカ人みたいなニュアンスを感じます。他の日本メディアによれば、非常に礼儀正しくて地元の印象もかなり良かったというし。でもって、日本全体1億2000万人中の2000人だから、比率からすれば、これで日本の傾向を云々すること自体がナンセンスでしょ。

 B、なんで日本で取りあげずに世界で取り上げているのか?が一番気になりますね。「日本メディアで取り上げられてない」ことは、そんなに不思議なことだとは思いません。この種のオタクに慣れて免疫ができているから、ではなく、もともとがメディアで取り上げるようなことかい?という視点です。別にいいじゃん、これって「ニュース」なのか?って。でも、世界は妙に敏感に反応してますよね。「ほら、また日本人がアホなことしてるぞ」と定番の「こんなにヘンな日本」ネタ(確かに定番化してる部分はあるが)で、日本人を嘲笑しようという底意地の悪さも感じるのだけど、なんかそれだけじゃないような気がする。妙に彼らの琴線、、、というのも変か、神経に障る部分があるのかも。

 それは何なのか分からないのだけど、例えば、もしかしたら内心羨ましいんじゃないか、とか。「ガキの見るもの」だったアニメも、ピカチューやドラゴンボールは到底無視できないくらい社会的存在になったし、自分達には理解できないけど、もしかしてすごくイイモノかもしれん、もしかしてあっち(日本)の方が進んでいるのかもという。そこまで明確に言葉にして思ってないのだろうけど、「あはは」と笑って終わりにせずに、マジに取材までやって配信してるんだから、「なにか」を感じてる筈なんですよね。

 もうちょい深層心理にいくと、アメリカなんか典型的だけど西欧カルチャーというのは、立派で堂々としてカッコいいことを尊ぶ=そうでない自信なさげでオドオドしている人を卑しむ、いわゆるマッチョ文化です。愚痴をいったり、ひねくれたり、落ち込んだり、最初からダメだと思ってトライしない人間をルーザーといって軽蔑する。だけど、誰もがウィナーになれるわけではなく、本当はしんどい人だって沢山いる。そこに彼らからしたらありえない、ルーザーカルチャーというか、ヘタレ文化というか、最初から「現実の彼女はいない!出来ない!」という凄いところから出発しているこの世界観は、「ありえない」という強烈な拒否反応を招くと同時に、ショッキングでもあるのでしょう。だって、よい異性のパートナーに恵まれず寂しい思いをしているのは、世界中どこだって同じだもん。それを常に常に強がってみせてなきゃいけないってのは不自然だし、疲れるよね。だから、ラブプラスのようにあっけらかんと開き直られると逆に衝撃的なのでは、と。そこにニュース価値を見いだしているのでは?と。

 C、誰が彼らを笑えるか?
 考えて見りゃ、誰だって似たようなことやってるんじゃないのか?と。世間の人々がありがたがってる価値、すなわちエラいとか、強いとか、金持ちだとか、美人だとか、カッコいいとか、その種の社会的なステイタスって、本人が勝手にその気になって喜んでるだけのヴァーチャルな脳内現実じゃないのか?と。地元の有名な進学校に入って、エリートな自分というアイデンティティを作って喜んでても、そんなの県外に一歩出たら誰も知らないって。社内では人も羨む出世コースを歩もうとも、社外に出たらただのおっさん、おばさんでしかない。皮肉なことを言えば、リアルな男女関係だって、殆どが勝手な思いこみで成立してるんじゃないかと。その意味で言えば、五十歩百歩じゃないの?と。てか、突き詰めれば、人間の幸福というのは、そういう空しい幻想の上に成立するものではないのかと。だから彼らの姿は、ある意味では人間の普遍的な姿ではないのか。

 その他、幾らでもあります。この企画に乗った熱海はエラいとか、町おこしは大変だけど頑張ってくださいとか、多分やってみたら面白いんだろうなこのゲームとか、こんな風に知らないところで日本は世界から見られているんだとか、なんぼでも。あなたはどう思いますか?

 ちなみに、今度はユーザー主導の企画として熱海ラブプラス秋現象(まつり)というのが企画されているそうです。熱海の地元の人達とも仲良くなったみたいで、なんか、「ちょっといい話」っぽい部分もあるかと。




文責:田村




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