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今週の1枚(10.02.01)





ESSAY 448:Sunshine Coast 旅行記 (その4) 〜"湖畔の宿"でのんびり編




 写真は、旅に帰路に立ち寄ったゴールドコースト、サーファーズ・パラダイス付近の風景。
 以下の本文とは直接関係ないのですが、ド定番の有名観光地ゴールドコーストと、それほど有名ではないサンシャインコースト、その中でも無名に近いLake Weyba湖畔の宿(今回の宿)との比較の意味をかねて。同じオーストラリア観光、同じQLD州でもいろいろなオプションがある、ということで。



 サンシャインコースト旅行記の最終回です。
 ヌーサ(Noosa)の二回目ですが、もっぱらのんびり、ぼけ〜っとしたことを書きます。



 今回のヌーサの宿は、ヌーサそのものではなく、ヌーサにほど近い(車で10分ほど)のWayba湖のほとりにあるEumarella Shoresというロッジを借りました。HPはここにあります。

 観光情報的に言えば、今回はたった一軒の宿体験だけであり、ほとんどオマケみたいな価値しかないのですが、主観的には今回の旅の核心部分にあたります。

 「サンシャインコーストかあ」とパラパラとネットを調べているときに、この宿を見つけたのがそもそもの始まりといっても過言ではないです。この宿に泊るためにヌーサに行き、せっかくヌーサに行くのだからヌーサ周辺もブラついて見よう(第三回内容)、ついでに道中に面白そうな所があったら立ち寄ろう(第二回)、一日予定外に余ったのでどうせだから違うところにも泊ってみよう(第一回)という次第で、第一回から前回までの内容こそが、主観的にはオマケ部分に属するのです。

 そこまでして何故にこの宿に泊りたかったのか?ですが、「何かをしに(see, do, experience)いく旅」ではなく、「何にもしない旅」をしてみたかったのですね。旅に出て何かを得るというプラス発想ではなく、何かを削り取っていくというマイナス的な発想。仕事もなーい、ネットもなーい、何にもなーいという環境で、ひたすらボケーッとして、気持ちのいいお昼寝をするという。

 まあ、こんなことはここで僕が語らなくても、誰もが言うことですし、知ってることです。僕も知ってました。だけどやったことはなかったんですよね。だからやってみました、という。

 いや、しかし、この「のんびり」というのが難しいのですね。僕もこちらに来て今年で数えて17年目になりますが、日本人的なチャカチャカした部分が未だに濃厚に残っています。もともと日本人の中でも相当にイラチ(関西弁でセッカチの意味)な方で、殆ど多動性症候群の落ち着きのない子です。名古屋の明治村だって、半日かけてゆっくり散策するべきところを早足で1時間で見終わっちゃったり、歩くのが早いといわれる大阪の町ですら、歩いていて他人に抜かされるのは年に数回あるかどうかという。とにかく待つのがキライで、どんなに有名な店でも行列作って待ってる人の気が知れないし、こうやってHPで文章書いても「あれもある、これもある」とやたら思いつくから書いてるだけで長文になってしまうし。同胞日本人に対しても、「あーもー、早よせんかい」ってキレそうになるという。

 で、「それではアカン」と自分でも痛感しているからオーストラリアに来たわけです。セカセカしてたって人生楽しくないわと、そんなに早いのが好きならとっとと自殺して人生終らせてしまえと(^_^)。というわけで、この「のんびり」は、僕の苦手科目であり、憧れであり、チャレンジングな領域です。何とかして、「のんびり道」を極めたいなと。ああ、だがしかし、ここで「道」「極めたい」みたいな発想が出てくるところで既にアウトなんでしょうね。

 もともと「レジャー」という英単語の本来の意味は「ヒマ」です。「レジャーに行く」というのは、あれこれ予定をテンコ盛りに詰め込むことではなく、「ヒマでヒマで、もう退屈で死にそうになる」ことです。そこを死にそうにならないで、ひたすら心地よく、ぼけ〜〜っとする。信号待ちをしているだけですぐ死にそうになってしまう僕にとっては、かなりチャレンジングです。


宿のDATA 場所/料金/システム


大きな地図はここをクリック

←左にGoogle地図でお分かりのように、人里離れた湖畔にロッジはあります。
 航空写真の地図を極限まで拡大していっても、あまりにも原生林の中にあるのでどこかよく分からないという。

 一応住所は "251 Eumarella Rd, Lake Weyba" なのですが、建物そのものは全然Eumarella Rdに面していません。表示に従って、道路から進入路に入り込み、舗装もしていない林道をうねうねと進んでいくという。当然照明も何もなく、夜になると真っ暗な原生林を突き進むというワイルドな展開になります。


 先に気になるお値段を書いておくと、僕らの場合、2泊トータルで386.15ドルでした。それなりに高いのですが、しかし2LDKのロッジを丸々二日借りて二人で3万円弱(ドル80円換算)だったら安いと思います。もっとも定価ではなく、ネット予約割引だったかで10%オフになってます。

 正確に言うと、ネット予約の時の予約金が169.35ドル、現地精算時に残金216.80ドルを払うという二段構えでした。

 でもって、最初の予約時の確認メールには”Deposit Paid - $100”と100ドルしか計上されてなく、しかし未払残高は正しいという妙な額でした。「どゆこと?もしかしてブッキングエージェント(World Toursm)のコミッションが入ってないのかな?」とメールで問い合わせをしたら、「そうです」とのこと。大らかというか何というか、普通コミッションの額なんか一般消費者にバラさないでしょうに(^_^)。



 大らかなのはチェックインの時もそうで、山道をうねうねと進み、管理事務所らしき小屋について入ってみたら誰もいない。ブザーを押しても出てこず、電話をかけようとしても携帯がそもそも着外(^_^)。途方に暮れて周囲を見たら、大きな掲示板に、ロッジ各棟(10棟くらいある)と予約者の名前が一覧掲示されており、「勝手に直接ロッジに行ってね」ということでした。

 「ほう?」と思って木々に打ち付けられている表示に従って自分らの棟とおぼしきロッジに行くと、入り口のところに左の写真のように黒板に名前が書いてあり、鍵はメイン玄関にさしっぱなしになっていました。なんてお手軽な、なんて大らかな。ちなみにロッジ棟の名前は"Cormorant"でしたが、あとで聞いたらこのあたりにいる野鳥の名前だそうです。まあ旅館における”潮騒の間”みたいなもんですね。

 スゴイのは、結局、ここの事務所の人に会ったのは、最後の最後のチェックアウトのときだけだったということです。こんなん、勝手に什器備品を持ち逃げしたり、破壊したり、あるいは予約人数以上が泊ったりしたらどうするのだ?そもそも残金払わないで逃げたらどうするのか?と思うのですが、そのあたりがいかにもオーストラリア的ですね。以前にエッセイでも書いたように、基本、性善説。ウチの最寄りの駅も未だに改札ないし。社会にセコいことをする人があまり居ないのでしょうし、仮に多少セコいことをする人がいたとしても、そんなのは絶対少数であり、不快な少数に引っ張られて全体の雰囲気をギスギス不快にするのは馬鹿馬鹿しいとオージーは思うのでしょう。

 いずれにせよ、こんな不用心とも思える大らかさで今もやっているということは、これまでこのシステムで問題なく廻っているってことでしょう。

 でも、ここまで徹底的に信頼され、徹底的にほったらかしにされるのは、なかなか気分いいですよ。
 

宿の内容



 内容的には林の中にある一戸建てのロッジで、間取りは2LDK。
 ロッジの前に屋根付きの駐車場(頑張れば2台入る)があり、そこに洗濯機も、簡易な物干し台もあります。写真で黄色く映ってる物体は水遊びをするときのための救命胴衣。ロッジの下の湖沿いにはロッジ毎にボートが置かれてあり、胴衣の所にオールがあります(後になって知ったのだが)。


 ↑写真左:ドアを開けるとリビングがあり、突き当たり正面に二部屋あります。右手は後で述べますが大きなバルコニー。写真には映ってませんが、撮影位置の左手にキッチン。
 写真中央が向って右手の部屋で、ベランダと湖ビューが望めます。とろとろ昼寝をするに良し。
 写真右が、ビューはないので、ぐっすり夜眠るのに良し。


 ↑バス・トイレですが、バスタブがあるのがうれしい。別の棟にはSPAがあったりするのですが、ここはナシ。
 写真右はリビングを逆方向(奥の部屋から入り口に向って)撮ったものです。

 什器ですが、そこそこ良いものを使ってました。重厚でクラシカルな家具というよりは、FREEDOM(IKEAのようにちょっとお洒落目な大規模家具店)のショールームみたいな感じ。アップマーケットを狙ってるようで、ロッジ特有の質素なものではなく、それなりに選ばれているようです。石鹸一つとっても量販品ではなく、手作りアロマ系の石鹸をスライスして置いてあったり。
 また、「ちょっとリッチな気分に浸りたいオージーの気分」が逆によく分かるので面白かったです。キッチン備品も一通り揃ってますが、シャンパングラスやワイングラスの種類と数がやたら豊富だったり、キッチンのカウンターに小さなステレオコンポが置かれていたり。

 ベッドはさすがに良いものを使っていたようで、心地よく眠れました。夏場だから使わなかったけど薪をいれる暖炉もあるし。


 ほったらかしを好む人は徹底的にほったらかしにしておいてくれますが、あれこれサービスを求める人にはちゃんと用意されていました。リビングに置かれていたロッジの説明書によると、ルームサービスならぬケータリングサービスもあります。マッサージもスパエステもある。「ほお」と感心したのが「詩の朗読」。専門の人がやってきて、1時間1万円くらいで詩を朗読してくれるのですね。寝る前にやってもらうのか分かりませんが、そういう時間の過ごし方があるのか、と。「絵を描いてくれる」なんてサービスもありました。それも似顔絵なんかじゃなくて風景画を描くのを横で見てるのでしょうか。このあたりは、「のんびり道」でもかなり達人の領域な気がしますね。


湖のある風景


 最も核心部分にあるのが「静かな湖のほとりで思う存分ぼけーっとする」のがコンセプトですから、ロッジからの眺め、湖ヴューはとても大事なポイントになります。期待していったのですが、これが想像した以上に良かったです。



 リビングや奥のベッドルームからはベランダに出れるのですが、このベランダで過ごしている時間が一番長かったです。上はガラスの屋根になってるから雨が降っても大丈夫だし(降らなかったけど)。


 ↑パノラマビューです。写真のつなぎに多少無理があるので、変な形になってますが、何となく雰囲気はわかるでしょう。クリックすると幅3904pxの巨大画面にしておきましたので、雰囲気を味わってみてください。




 ロッジの下の方、湖に面したところにはボートがあり、簡易な船着き場もあります。
 下からロッジをみると、結構簡素な建物なのねってことが分かりますが、まあこんなんで十分なのでしょう。

ペリカンのいる湖


 ベランダにたたずんで、ふと見ると、湖面にわさわさとペリカンの小集団がタムロしていました。「お、ペリカンだ。おお、結構いるじゃん!」と湖のほとりまで行ってペリカン見物をしていました。



 シドニーにもペリカンはいますし(過去のエッセイ写真に何度か登場してます)、メチャクチャ珍しいものではないのですが、やっぱり見ると嬉しいですよね。


リラクゼーションな風景


 これはイチイチ解説する必要はないでしょう。
 いわゆる綺麗な写真であり、リラクゼーション系のCDのジャケットになってたりする類です。壁紙用にこのコーナーだけ大きめの写真にしています(1600px)。気に入ったのがあったら使ってください。まあ、そこまで素晴らしいものでもないのですが。

 いずれも夜明け前のものです。
 こんな時間(朝の5時前)に起きているのか?というと、起きちゃうんですよね。なんせ居心地いいから、すぐに寝ちゃう。夜も、もう9時くらいになるとコテンと寝てしまう。間違ってもTVを見ようなんて気にはならないですしね。ここまで来てTVを見るなんて、そんな勿体ないことはようやらんです。かくして寝るのが早いから起きるのも早い。


 夜明け前の湖面は、空気も冷たくて、気持ちいいです。
 波打ち際の水音がまたいいです、、って、そんなことは言われるまでもなく知ってますよね。
 妙に青っぽい写真が半分混じってますが、これはカメラのホワイトバランスをわざと変えて撮ったものです。その方が雰囲気が出る場合もあるし、写真集なんかでよく見るアレです。


 以下の写真はベランダから撮りました。



↑ガラステーブルに反射するのが万華鏡みたいで面白く、あれこれ撮ってました。ちょっと前のエッセイ写真にも選びましたが(Essay442)。
 



 何がいいって、樹木のシルエットが綺麗だったです。海でも、山でも、雲でもそうですが、自然の造形というのは幾ら見てても見飽きませんね。なんでだろ。


 ということで、今回は、静謐な雰囲気のまま、あまりウダウダ語らず終っていきましょう。




文責:田村




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