今週の1枚(07.07.09)
ESSAY 318 : 出会い系サイトの微妙
写真は、Surry Hills のCrown St。ビザ屋の店内でピザを選ぶ家族連れと、窓の外に見えるサリーヒルズの町並み。サリーヒルズといえば、このクラウンStが最もお洒落でトンガってますね。街並の雰囲気もいいし。このお店はカフェを探していてたまたま入ったイタリア料理の店で、Pizza e Birraだったかな。現地のネットでの皆(オージー)のレビューを見ると、例によって評価がマチマチ過ぎて(最高!から二度と行くか!まで人によりけり)なんとも言えないけど、カプチーノもデザートも水準いってました。ま、小さなケーキ一つで10ドル以上するからプライシー=いいお値段なんだけど、まあ場所代か。
地元の新聞でCampbell事件に関する記事を読んでいたら、オーストラリアの「出会い系」ともいうべきサイトの話が載ってました。「ほう、こっちにもそういうのが流行ってるのね」と思ったのですが、そりゃ、あるよね。だけど、日本のそれとは傾向などが微妙に違うかもしれず、そもそも出会い系サイトって何なの?って根本的なところがよく分かってなかったりするし、この際ちょっと調べてみようと思いました。
最初に、キャンベル(Campbell)事件についてですが、別にこんな事件知らなくてもいい三面記事ですが、Desmond Cambellという人の奥さんのJanet Campbellさんが2年前に崖から墜落して死亡したのがそもそもの発端です。事故?自殺?他殺?ということで疑惑を呼び、インクエスト(inquest)という死亡原因を調査する手続きが行われています。キャンベル関連の記事はちょこちょこと、まるで連載小説のように新聞に載ってますので、現地のオージーだったら大体知っているでしょう。地元民と雑談するときのネタとか前提知識として多少知っておいてもいいかもしれません。
で、ダンナのデス・キャンベル氏ですが、この人が「疑惑の人」で、あれこれ取り沙汰されているのですが、死亡したジャネットさんと結婚する前、結婚中、結婚後においてもコンスタントに出会い系サイトを利用し、いろいろな女性と会ったいたそうです。この関係で、オーストラリアの出会い系サイトに関する記事が掲載され、僕がそれを読み「ほう?」と思ったということですね。記事は、Rogue in a voyeur's paradiseというもので、Sydney Morning Herald紙の2007年7月7日付です。
この記事によると、”He had met many of the women online on sites such as RSVP.com.au and Schoolfriends.com.au and overseas sites Match.com and uDate.com.”ということで、いくつかのサイトが紹介され、また”More than a million Australians use online dating sites, according to Nielsen//NetRatings NetView. "Everyone is on there to meet as many people as they can," says Lija Jarvis, the spokeswoman for RSVP (owned by Fairfax, publisher of the Herald). "You have to accept that your inbox is full, and so probably is the other person's [whom] you're dating."ということです。簡単に要約しますと、ニールセンのネット調査によると、オーストラリアで100万人以上の人がオンライン・デイティング・サイト(出会い系)を利用しているそうです。この新聞(SMH)の親会社であるフェアファックス社自体もRSVPという出会い系サイトを運営しています。事情に詳しい人(RSVPのスポークスウーマン)の話によると、誰もが出来る限り沢山の人に会おうとしており、自分のメールボックスがフルになったとしたら、相手のメールボックスもフルになってると思うべきだそうです(あれこれ掛け持ちして探し回ってるのはアナタだけではないのよ、と)。
しかし、人口2000万人のオーストラリアで100万人以上がやってるというのは凄いですな。日本でいえば600万人くらいやってるってことでしょ。日本は何人くらいやってるのかしら。また、フェアファックスがこういったサイトを運営してるってことは、日本でいえば朝日新聞や読売新聞が出会い系サイトを運営しているような感じですよね。これって日本でありえるのだろうか?また、オーストラリアの人はやたらめったらアポを取りまくって沢山の人と会うようだけど、日本人はどうなのかしら、、、ねえ?意外と日本の状況についても改って考えるとよく分からないもんです。
また、オーストラリアのベスト5の出会い系サイトの一つとして”Yahoo 7! Dating”が挙げられてますが、これはYahoo社とチャンネル7(日本でいえばフジテレビみたいなもの)のベンチャー企業なのでしょう。本来はニュースサイトであり、総合ポータルサイトなのだけど、DATINGという項目があり、ココに行くと出会い系になるという。ちなみに、ヤフーセブンのデイティングサイトは、ココにあります。
また、RSVPによると、”While most users of online dating are in their 30s and 40s, most sites claim to cater for the 18- to 80-year-olds. Clearly, those in middle-age have often been in long-term relationships, maybe divorced or have children, and often find it harder to meet new people.”ということで、多くのサイトは”18歳から80歳まで”とか言ってるけど、実際には30代40代が多いらしいです。中年、実年層が多い。彼らはこれまでに既に配偶者がいるとか、離婚したとか、子供がいるなどの事情で、新しい出会いを探そうにも難しい状況にあるからだそうです。このあたりも興味深いのですが、日本の出会い系よりも年長者が多い気がしますね。本当にそうなのかな?また、なぜなのでしょう?
あと、興味深い指摘もいろいろありまして、抜き書きすると、
”It is easier to misinterpret what people are saying, and harder to spot inconsistencies if you communicate only in writing because you miss the non-verbal clues, Hollonds says.””The internet leads people to be much more intimate than they would if they met face to face. The anonymity makes them lose some of their inhibitions and take more risks in sharing information, she says. Often people play out their fantasies more online. "When you [eventually] meet that person it's possible that some of your radar might have been switched off in the sense that you might not be assessing them in quite that critical fashion," she says.”
会話をする場合よりも、文字だけでコミュニケートする場合の方が、相手の言ってることの矛盾に気付きにくい。なぜなら、「言葉以外のヒント」がないから=急に顔色や態度が変わるとか、どもるとか、上の空になるとか、そういう部分の情報がメールだけだと抜け落ちてしまう。つまりは騙され易くなる。また、インターネットによる出会いの場合は、対面しての出会いよりも親愛度が深くなる傾向がある。匿名であるという気安さから、普段よりも自分のことを多く語ってしまうし、日頃抑制している本来の”地”や、ファンタジー(妄想)を実行する傾向にある。そして、いよいよ相手に会う段になった場合、普段よりも相手のことを厳しく査定しなくなる=好評価を与えがちになると。
ふーむ、そういえば、そういう気もしますね。確かにネット間では親密になるスピードは非常に速い。これは、その昔、インターネットが出現する前のパソコン通信レベルで、出会い系とか男女関係ではなく、異業種交流とか趣味の集まり(フォーラム)に参加していたときに感じたことでもあります。日常的な仕事の範囲内で、スーツ着て、名刺交換して、、というところから始まるよりも、ネットの場合、シンプルな一個人として出会いますから人間関係の距離感は非常に近いですよね。
あと、「ほう、そうなの?」と思ったのは、
Many of the women in Campbell's life were middle-aged and slightly overweight. Some had children from previous relationships. While he told his colleagues his ideal woman was the former Spice Girl Geri Halliwell, he nonetheless dated them, while behind their backs complaining "all I seem to get through this blasted internet dating is fat people".
The main complaint by users of Yahoo 7! Dating, one of the top five dating sites in Australia, is that they have not yet met Mr or Mrs Right on the site, says its business manager, Karen Lawson.
あたりのくだりです。デス・キャンベル氏も陰でボヤいていたそうですが、「会う奴ときたら、揃いもそろって太った女ばっかり」だと。また、ヤフーセブンの営業部長さんの話だと、お客さんの苦情の第一は、「これだという人に出会えない!」ということだそうで、まあ、親しくなるのは早いけど、本当に「これだ!」という人には出会いにくいってことなのでしょうね。このあたりはどこでも事情は同じかなって気がしますね。
でも、Online dating offers a new avenue of meeting people once you have exhausted your own networks, she says. Lawson and Jarvis insist the stigma of online dating has disappeared in the past few years.ということで、出会い系サイトに関するネガティブなイメージは、ここ数年で消えてきているそうです。一般的に当たり前のものとして認知されつつある、と。
さて、日本の出会い系サイト、オーストラリアのOnline Dateing Serviceの異同ですが、まずは、日本語版Wikipedeiaの「出会い系サイト」の解説と英語版Wikipediaの「Online dating service」とを見比べてみればある程度の概要は得られるでしょう。
英語版はもっぱらアメリカの事情ばかり書いてますが、オーストラリアも「小アメリカ」みたいな感じでそれほど大きくは違わないだろうと思われます。英語版の解説(アメリカの事情)によると、まず市場規模や傾向という経済学的な記述から始まります。2004年には469.5ミリオンドルだったのが2006年には600ミリオンに拡大しているが、いくつかの巨大なサイト=Yahoo Personal, Match Comなどの寡占傾向が強まっている。ヨーロッパにおいても又拡大傾向にある(オーストラリアについては言及無し(泣))。また、近年、Mobile Datingという携帯電話を使ったデイテイングサービスが伸びているそうです。
オンライン・デイティング・サービスに関する問題点として指摘されているのは、これは後述の日本と似たような問題ですが、入会前の情報開示が不十分とか、他の会員のプロフィールがオトリ用の嘘だったり、会費の支払いや退会手続きの不透明さとか、売春、マルチ商法、新興宗教などの勧誘の場にもなるということです。
これに対して日本版の解説をみると、全体の経済規模や効果などそのあたりの経済学的な数値は全く出てきていません。統計自体取られていないのかも知れないし、後述のようにアンダーグラウンド系が多いので統計を取れないのかも知れません。その代わり、出会い系サイトを利用した「悪用」パターンは、そのバリエーション、手の込み方、そして悪用パターンに関するWikipedia自体の記載部分の比率など、アメリカをはるかに凌駕しています。はっきりいって、日本版Wikipediaの解説ページの殆どが、悪質な手口の解説に終始しているといっても過言ではないように思います。
なお、日本版Wlikipediaで「アメリカとの違い」を書いてくれていますが、「(アメリカでは)日本と逆に、女性(特にニューヨークなどの都市部で勤務している、いわゆる「キャリアウーマン」が多い)の比率が高いといわれている。そのため有料サイトでも日本で発生しているような「援助交際」「サクラ」「悪徳商法」などの諸問題はほとんどない。
アメリカには「成人向け」の出会い系サイトが存在し、これらはセックスフレンドを探すための場であることを売りものにしている。また、一般的な出会い系サイトでも真剣に付き合う相手を探しているのか、セックスフレンドを探しているのか、オプションで選べるようになっているものもある。
アメリカで悪質業者が現在の所表面化しないのは、日本と異なり、携帯電話によるインターネットアクセスサービスが普及していないことや、いわゆる訴訟社会である実情もある。しかし、完全に「成人向け」のサイトでは、サクラを使っているものが多く、実際に相手を見つけたという記述はブログなどにも出て来ないことが多い。」
ということで、携帯電話の普及とか、実際に相手をみつけた事例があること(冒頭の新聞記事でわかるように疑惑の人がネットサイトでガンガン活躍している)など、多少リアルタイムに実情が違う部分がありますが、アメリカの場合(オーストラリアもか)、セックスはセックス、真面目な交際は真面目とハッキリ分けている傾向があり、かつあの手この手の騙し系が少ないことは言えると思います。
総じて言えば、日米(豪)の違いは、米豪は、マトモなビジネスとして成長しており、それゆえにヤフーなどの大手も参入し、また上記のように日本における朝日新聞やフジテレビのような存在の大手マスコミも参入している。また、経済規模やマーケットに関する経済統計もわりとはっきり出ている。これに対して日本の出会い系サイトは、相対的にアンダーグラウンドっぽい色彩を残しており、ある意味ではほとんどアダルトサイトと紙一重だったりします。だからなのでしょう、マーケット規模に対する経済統計も乏しいし、また騙しなどの悪徳商法も多く、大手の参入も少ない。
もっとも日本においてもヤフーの出会い系はあります(ヤフー・パートナー)。あ、良く探したら、エキサイトもあるし、MSNも、インフォシークもやってるんか。MSNはマイクロソフトだし、エキサイトは伊藤忠商事の子会社だし、インフォシーク社は、アメリカはディズニーに、日本は楽天に買収されてますね。だから、まあ、日本もそこそこ大手の出会い系があるのでしょう。ちなみにインフォシークの場合、検索してると自動的にMatch Comにいっちゃいました。提携してるのね。
それと、オーストラリアの出会い系事情をコラム形式で書いてくれている出会いの雑学/オーストラリア・ニュージーランド編がありました。基本的には地元のマスコミ記事をスクラップしたものですが、日本語に翻訳してくれているので読みやすいですね。
ところで実際どんなもんなんかな?と思ってちょっと見てみました。まず、Fairfax社のRSVPサイトを訪れるとですね、最初のページに自分が探しているのは男か女かを決め、そして年齢層を選ぶのですが、この年齢層がすごくて、下は18歳なんだけど上は120歳まであります。120歳!いいサイトですねー。それだけで好意を抱いてしまいます。
で、本当に18歳から120歳のレンジの女性で検索してみたら、入会前でもちゃんとデーターが出ます。年齢は、掲載が新しい順に、31歳、23歳、31歳と続き、以下45,45,42、33、23、50、29、39、40、24、31,28、22、48、36、53、43歳でした(最初の1頁目)。男性を検索しても似たようなもので、1頁目の最年少は22歳かな、最年長が60歳でした。しかし、これくらいバラけていると平均年齢を出すのは無意味に感じられますな。それに結構皆さん写真を載せてますし、それがまた普通の野暮ったいスナップ写真だったりして(特に男性)、これじゃサクラのわけはないな(サクラとして機能してない)って気がしますね。
Yahoo7!Datingでも調べてみました。ここでも、まあ、事情は似たり寄ったりです。
世界大手のMatch.Comオーストラリアですが、ここはサインアップしないと見せてくれないようで(といっても適当に書けるものばっかりだけど)、もうそれだけでヤなサイトだなとか思っちゃいますね。まあ、本当はサインアップした人にだけ見せるのが、個人情報の管理としては良いのかも知れませんけど。
ところで、日本のヤフーパートナーですが、ここは別に登録しなくても検索できます(というか、先にヤフーの会員(ヤフーの無料メールアカウントを持ってるとか)でないとダメですけど)。検索してみると、年齢もバラけているし、わりと普通の感じの(真面目な)サイトでしたね。気がついたのは、オーストラリアよりも若干年齢低めかな?ということと、写真を掲載する人の率がずっと少ないことが違いといえば違いでしょうか。もっとも、インフォシーク経由の日本のMatch Comだったら全員顔写真付きでしたので、これももうどちらとも言えないのでしょうか。
個人的には出会い系サイトって利用したことないのでよう分かりません。途中ブレイク期間はありつつも、22年前から結婚してますから、そんなのしてたらマズイんだけど(^_^)。でも、その昔のダイヤルQ2とか、伝言ダイヤルとか、テレクラとかだったらやったことあります。好奇心の盛りだったですからねー。あれもねー、語り始めると長くなるんだけど(いいのか)、釣りみたいなもので、やり始めると「うぬ、畜生、ここまでやって今さら止められるか」的にムキになってしまいますね。もういい友達を作るとか、セックスしたいとかいうのも単純にゲームの「ゴール」でしかなくなり、本末転倒になります。金もかかりますね。止めた方が無難ですね。それに、Easy come easy goといいますが、簡単に始まったものは簡単に終わりますね。帯に短し襷に長しとでもいいますか、セックスするだけだったら風俗行った方が早いですし、いい友達作りたかったらそういう「いい人」が自然と集まる場に自分がいた方が早いと思います。
しかし、オンラインとかネットでの恋愛、結婚、いい人間関係を築くということに関しては全然偏見ないです。実際にいい人が沢山いると思いますし。だいたい、今のカミさんだって、また多くの素晴らしい友人達だって、ネットベースの異業種交流会で知り合ったわけですから、「ネットで出会った」といえばそうなります。だから、ネットだからどうってことは、あんまり思いません。ウチらの会で知り合って結婚したカップルなんか数知れずいますもん。
それに今はどんなサークル、集団、会社であれ、サイトやブログの一つは持っているでしょう。実際のサークルで知り合って、ネット上でもコミュニケーションを交わしているから、最初に知り合ったのがネットであるか実社会であるかとかいっても、あんまり意味ないですよね。人間同士の意思疎通に郵便や電話などのシステムが介在するのは昔からあったことですし、ネットと言っても電話と郵便の混血児みたいなものなんだから、電話と同じような単なるツールに過ぎない。よく考えたらそんなに珍しいことでもない。
しかし、こういう出会い系などの男女関係の発端→発展”だけ”を目的にしたネットになると、なぜか話が分かりにくくなります。「出会い系とは何か?定義せよ」と正面切って言われた場合、「えーと、、」と口ごもってしまう。Wikipedia日本語版は、「出会い系サイト(であいけいサイト)とは、インターネット、特にウェブサイトを通じて不特定の男女がナンパや出会いを目的としたやり取りをするウェブサイトの総称である」と定義しています。英語版では「A Net dating service, also known as online dating or internet dating, is an example of a dating system and allows individuals, couples and groups to meet online and possibly develop a romantic or sexual relationship. Net dating services provide un-moderated matchmaking through the use of personal computers, the Internet, or even cell phones.」と長ったらしいのですが、まあ言ってる内容は似たようなものでしょう。
それはまあ分かるし、そのとおりなんだろうけど、ニュアンスが分からないのですね。初対面の人、例えばビジネスの場での雑談で、「最近、出会い系サイトをよく使っていますよ」と言えるか?というと、ちょっと微妙でしょう?「最近、テニスを始めましてね」「最近、ゴルフに凝ってまして」とか言うのと全く同じニュアンスになるの?言っていいの?って気もしますね。どうなんですか、最近の日本では?そーゆーのアリですか?
出会い系サイトには、非常に真面目なサイトもあるし=あ、そっか、何が「真面目」か定義しておくと、「主としてセックスを目的としたカジュアルな人間関係ではなく、結婚をも視野に入れて永続的で誠実な人間関係を築こうとすること」のを「真面目」だとします=、真面目な志向性をもってるユーザーもサイト以上にあるでしょう。そして、そのこと(真面目なお付き合いをする相手を探すこと)自体は、多少揶揄されるかもしれないけど、基本的に後ろ暗いところはない。例えば「○○さん、最近精力的にお見合いをこなしているらしいよ」と言う場合、「おお、頑張るねえ」って茶々を入れたくもなりますが、別に悪いことではないし、堂々と人前でも、本人の前でも言える。つまり後ろ暗くないんですわ。でも、「最近、○○さん、出会い系サイトにハマってるらしいよ」っていうと微妙に「陰口」っぽいでしょ。オフィシャルな席上で会社の上司に言えるか?っていうと、やっぱり微妙なんだわ。どっかしら、後ろ暗いというか「遊んでます」「ナンパしてます」、もっと端的に言えば「不特定多数の異性とのカジュアルなセックスを望み、その実現に向けて努力しています」、さらに露骨にいえば「いやもう、セックスしたいんですよ」って暗に言ってるようなニュアンスがあるでしょ。言ってる人間は真面目なつもりかもしれないけど、周囲からそう受け取られる可能性は、まあ、あるよね。
ちなみに、日本語の定義の場合「ナンパや出会いを目的として」としてナンパを先に出し、英語版の場合"romantic or sexual"とセックスを後に持ってきているあたり、深読みすると興味深いです。やっぱり、日本の場合、出会い系=ナンパの一方法=カジュアルなセックスというニュアンスの方が強いのですかね?このあたりのニュアンスの微妙さが、出会い系サイトをして「なんだかよく分からない」存在にしているのだと思います。それが何であるのかは抽象的には分かるけど、その実態はよくわからない、どう接していいのかわからない、肯定否定・好悪の情をどう表現していいのかわからない。ほんと、微妙なんだわ。
ところで、他のビジネスや趣味のサークルなどの場合は、まず社会的実体があって通信手段の一助としてネットを使うということではあまり混乱はありません。銀行のオンラインサービスにせよ、通信販売にせよ、趣味サークルの連絡掲示板にせよ、出会い系のような「なんだかよく分からない」という状況はないです。でも、出会い系にしたって「男女関係」というアダムとイブ以来の人類最古の「実体」があるわけです。社会的実体に欠けるところはないにも関わらず、何かよく分からない。
一方、ビジネスや趣味の人間集団内部で恋が芽生え、結婚に至り、あるいはカジュアルなセックスが行われることはザラです。社内結婚、社内不倫、サークル内での三角関係、、、ザラでしょう。男女が複数入り混じってたら、ごく自然にそういうことが起きる。つまり会社や学校、趣味のサークル、つまりありふれた社会の人間集団内部では、集団本来の営みもするし、通信手段にごく自然にネットも入り込んでいるし、恋愛を含めたあらゆる人間関係が生起する。非常に広範囲の「何でもアリ」状態になってるわけですけど、そこに概念の混乱はない。会社内部で社内不倫があったからといって、その会社や、会社制度そのものが何かいかがわしいものであるかのような見られ方はしない。しかし、出会い系のように、ひとたび「男女関係」と行動や対象を限定すると、いきなりなんだかよく分からなくなる。本来対象を限定した方が話はクリアに見えやすくなる筈なのに。変な話ですよね。
何故か?というと、繰り返しになるけど、出会い系サイトというのは本当に味噌もクソもゴチャ混ぜというか、真剣に結婚を前提とした出会いを探しておられる人のための場もあれば、純粋にセックスだけ!という場もあるわけです。後者の場合、スペクトラムの終端は限りなく風俗に近づきます。アメリカでもエスコートクラブやコールガールのサイトがあり、ネット上でオンライン予約なんかしてるわけですから、「出会い」といってもプロの方に出会うわけだし、カタログによる商品選びに近いところまでいくでしょう。そして、その中間地帯に、「いい人がいたら出会いたいな、エッチもしたいな、でも最初はお友達から」という、ごくごくモデレートな善男善女がひしめきあってるわけですね。さらに、そこに悪質な業者の騙しやら、サクラやら、詐欺やらが治外法権的にチョーリョー跋扈してるわけです。
なんでこんなにバリエーションが多いのだ?といえば、それはそもそも人間関係のバリエーションがそれだけ豊富だからでしょう。人間というのは、本当にいろんな形で人と付き合うわけで、微妙な心理の綾まで細かくみていれば、男女関係に限定してみても、そのパターンは数千というオーダーであるとは思います。憧憬35%、同情12%、恋愛感情26%、友情33%、同胞愛5%、、などなど、人間の心理というものは多種多様な要素で紡がれているわけだし、しかもそれが刻一刻とレシピーが変わる。これだけ複雑極まる現象を、これは純粋にセックス、これは純粋に結婚なんて分けられるわけがない。100%セックスフレンドあるいは100%行きずりだといっても身体を重ねたらなにがしか情が移るものもあるだろうし(昔の遊郭の遊女にも客との間で真剣な恋が芽生えたりしてるし)、結婚相手にだって性欲は感じるだろうし(感じなかったら子孫が絶滅する)。
このような微妙で複雑な男女関係を全部をひっくるめて「出会い系」と一括りにするの方が間違ってるのでしょう。真面目なんだかカジュアルなんだか、騙しなんだか真剣なんだかよう分からんのは無理もないところで、全部本当だからです。出会い系が分かりにくいのは、それは出会い系サイトの責任ではなく、人間心理のカオスにこそ原因があるのでしょう。他の会社とかサークルがなんで分かりやすいのか?というと、もともと銀行業務とか釣りの同好会とか、非常に分かりやすい集団の屋台骨があるからでしょう。そういう分かりやすいフレームがあるから、そのフレームに守られて、結婚から不倫、派閥、陰謀、イジメ、さらには横領や殺人などの犯罪までありとあらゆる人間模様が展開されるわけですけど、「学園生活でのあれこれ」「職場でのいろいろ」とまとめてパッケージできた。
しかし、出会い系の場合は、「男女関係」というパンドラの箱のような究極兵器をダイレクトに対象にし、且つフレームワークが無いから、男女関係の微妙で隠微なあらゆるニュアンスが全開になってしまう。だから、「なんだかよく分からない」って印象になるんじゃないかと思います。
ということは、出会い系サイトの微妙なニュアンスは、それが「出会い」だからでも「サイト(ネット)」だからでもなく、それが男女関係だからなのでしょう。ネットだからいきなり妙なニュアンスが出てくるわけでもないと思います。また、「出会う」だけなら、掲示板の「売ります買います」も「メンバー募集」も全て「出会い」ですよ。”男女の”出会いだからこそややこしくなるんでしょう。だから根源は”男女”という、森羅万象のインヤン(Yin-Yang、陰陽)にあるのでしょう。むべなるかな(そりゃそうだろうな)。
ただし、上記の新聞記事で書かれていたように、ネットというのは男女関係の微妙さの「加速装置」「拡大装置」にはなると思います。アクセルレーターにしてアンプリファイアーですね。だって、実社会ではこんなに効率的に出会えないもん。ネット画面にドドドと表示される異性達は全員何らかの出会いを求めているわけです。普通に街歩いたって、地下鉄乗ったって、こんな具合に人々が都合良く眼前に展開することなんかないです。一車両の半分は同性だろうし(それがいい人もいようが)、あとの半分は老人や子供で明らかに対象外だろうし(対象内の人もいようが)、残りの半分はカップルだったりして、そもそも自分の対象になりうる人が少ない。また、その人達が出会いを求めているかどうか分からない。「人は皆出会いを求めているんだよ」とか言う人もいるけど、「人はみな」とか言い出したら何とでも言えるんだから有効な説得力なし。ましてや眼前の人の名前や年齢なんか分かりっこないです。死神と目の取引でもしていない限り(ごめん、マンガの「Death Note」読んでない人には分からないギャグでした)。ところが出会い系サイトだと、都合良く対象になる人だけがズララと並び、年齢も表示され(サバ読みの可能性は大アリだけど)、通称名(本名ではないだろうけど)もわかる。そして大事なことは全員が全員出会いを望んでいる(あなたを望んでいる保障はどこにもないけど)。それがまた、ページをクリックする事に大量に出てくる。読むのが鬱陶しくなるくらい出てくる。
さらに、出会い系ではコンタクトも取れる。って、コンタクトが取れなかったら出会えないから出会い系である意味ないんだけど。でも、実社会で初対面の人にコンタクトを取るのって難しいですよ。具体的には「声を掛ける=ナンパ」という行動に収斂されていくのだろうけど、それが難しい。「ハンカチ落としましたよ」とか超古典的な手法があるのも、声を掛けるのが難しいからでしょう。そりゃ超イケメンの人だったら、爽やかな笑顔や、含羞の微笑の一撃でいきなりいいムードになってくれたりするだろうけど、世の中そんなに恵まれている人ばかりではない。第一、そんなに恵まれてたら、現状の在庫ストックの整理に追われ、出会いとかやってるヒマもないでしょう。このように現実社会では、コンタクトを取るということがかなり至難の業だったりするし、人によっては殆ど不可能だったりするわけだけど、出会い系サイトだったらそれがいともたやすく出来る。返事が返ってくるかどうかは保障の限りではないが、声をかける(メールを送る)ことは簡単。カット&ペーストで量産することも楽ちんだ。
というわけで出会い系サイト=ネットは確かに「出会い」に関してはおっそろしく効率的で、通常1年かかるところが数時間で出来てしまうという凄まじい加速装置であったりするわけです。考えてみれば人間社会の進化というのは、この種の効率化の進歩でもあるのでしょう。自給自足から物々交換の方が合理的じゃないかということになる。物々交換でも魚が欲しかったら魚が余ってる奴を捜し回らねばならなかったから、魚屋という形で固定的な位置や時間でやってくれると都合がいいから店が出来、商店街が出来る。また物々交換だけだったら、仮に相手に物が余っていても自分の物が余ってなかったら交渉不成立になるけど、一旦その分を別の形にしておけばタイムラグの不都合をクリアすることが出来る。こうして抽象的に価値を体現する物質=貨幣=を作ろう、あるいは貸し借りという債権債務を作ろう。また債権債務という約束を実行しなかった奴を罰するために裁判所や強制執行というシステムを決めよう、法律を整備しよう、裁判所を作ろう、スタッフを選ぼう、スタッフの教育機関を作ろう、、、ということで、どんどん社会が発展していったわけでしょ。ここに出会いたい僕がいて、どっかに出会いたい彼女がいて、そのままだったら出会えないから、場所を決めましょ、ルールを決めましょ、コンタクト手段を簡便にしましょということで、出会い系サイトの発展は、人類社会の進歩と軌を一にしてると言えなくもないです。
でもね、おお、凄いじゃないか、素晴らしいじゃないか、人類の進化じゃないか、出会い系サイト万歳!ってなるかっていうと、そうはならんと思います。大事なことを忘れているからです。それは、男女関係というのは、出会えばそれでいいってもんじゃないからです。「出会い」という言葉に惑わされてはイケナイと思うのですが、一般に「出会い」というと、とても幸福なカップルの「そもそものなれそめ」という成功事例の最初の一歩を想起しがちです。別にそう考えても間違いではないのですが、だとしたら出会い系の最初の「出会い」=リストの誰かにメール等のコンタクトを試みることは、「出会い」でも何でもないです。だって、その時点では成功するかどうかなんか分からないし、冷たく言い切ってしまえば99%失敗するからです。
出会い系サイトの攻略ノウハウを実体験を元にいろいろ書いているサイトがあります。先ほどオーストラリアの出会い系サイト事情をよくラッピングしてくれていたNice Meetsなんか非常にまとまってるサイトだと思いますが、それを読んでいると、過去のQ2とか伝言ダイヤルの苦労を思い出します。そうなんだよねー、そーんなに簡単に会えたら苦労しないんだわ。嘘も騙しもサクラも山盛りあるし、こっちが凡庸なプロフを書いてたら鳴かず飛ばず誰も振り向かずだし、せっせとコンタクトを取っても滅多に返事なんか返ってこないし、やっとのことでアポまでこぎ着けても半分以上の確率ですっぽかされるし、やっと会えたと思ったら、「う−ん」という考え込んでしまいたくなるような相手さんだったりして。すっごい大変。さらに、こっちがいいなと思っても、相手がいいと思ってくれるかどうかは未知数。ですので、「とりあえず、まあ、お茶でも」ってところまで行くまでに、大量の捨て玉が必要なわけです。これに比べれば、シドニーでのシェア探しなんか楽なもんですよ。
出会い系ってコンタクトを取るところまでは非常に簡単なんだけど、実際に会うところまでは非常に長い。でも、実社会だったら普通会う(見る)ところから話が始まるわけです。最初からいきなり会ってる(見てる)。「人は外見ではない」と言いますが、外見でもある程度のことは分かります。というか単に100行かそこらの自己アピールや、いつ撮ったのか分からない写真なんかの100倍は分かりますよ。それはルックスがいいとか好みとかいうこと以外に、どんな服を好むかとか、明るいオーラとか、ボソボソ喋るとか、落ち着きがないとか、その人となりはある程度は分かります。もちろんそんなの一部に過ぎないけど、それでも100文字データーなんかよりは遙かにマシ。実社会では、実際に見て(会って)、それからこっちも「いいな」と思ってから、初めてコンタクトって話になるわけです。つまり最初に厳しくスクリーニングをしてるわけです。出会い系サイトではこれをしないから、膨大な無駄な作業をすることになる。結果論的に言えば、二度とお近づきになりたくもないような人に会うために、胸ときめかせ、長時間費やしてせっせとメールを書いたりしてるわけですよ。どっちがいいか?というと一概に言えないです。
それにプロフィールが分かるとかいっても、年齢や体重なんかは「ホワイト・ライ=可愛い嘘」にまぶされていようし(可愛いがしかし許せないレベルかも)、プロフなんかも話半分に読んでおいた方がいいでしょ。名前なんか別にどうでもいいでしょ。社会においてすら姓名判断その他で戸籍と違う名称を使う人もいるわけだし、第一親しい間柄になったら新しい愛称を二人で開発するか、「キミ」「あなた」とかいう人称代名詞になるんだから。写真なんかも会ってみたら同一人物かどうかすら危ぶまれたりするしさ。だからリストでデーターが分かるなんていっても、あんまり有用なデータではない。それよりは目の前に本人がいるという状況から始まった方が、スタートラインとしては遙かに効率的だと言えなくもないんですね。
それにコンタクトが取れる(メールが送れる)といっても、返事がかえってくる保障はないし、返事の意味もどれだけの本気度かはかりかねるし。色よい返事をもらっても、相手が自分を見た途端いきなり冷めるかも知れないし。でも、目の前で返事されたら、そのあたりのニュアンスはかなり分かるし、相手もこっちを見てから返事してるんだから確度は高いでしょう。総じて言えば、出会い系サイトが合理的、効率的と言っても、それは面倒臭いプロセスを後回しにしてるからそう見えるだけで、後回しにしたからといって通り抜けなければならないことに変わりはないです。そこは誤解があってはならない部分だと思いますね。
これがリアルな実社会でのリアルな恋愛、つまりナンパとかではなく、最初はただの知り合いとか同僚だったのが、何かのキッカケで意識するようになり、相思相愛になるというケースの場合、幸福な男女関係が成立するためのA〜Zまでの要素のうち、A(声掛け=ここでは告白)以外の全てがONになってから、Aになるわけです。テンパってからリーチをかけるわけです。あと一つで上がり。これに対してナンパは適当に揃ったところで(見た目だけ)リーチ、出会い系サイトは何も揃ってない段階でリーチだけをかけるというようなものでしょう。やってる内容に変わりはないんです。当たり前ですよね、男女関係なんだから、幸福になるための構成要素に変化なんかあるわけない。しかし、順番が違う。それだけのことなのかもしれません。
大体なんでもそうですけど、近道というのは概して遠回りになる場合が多いです。一番効率のいいお金の稼ぎ方を知ってますか?「働く」ことですよ。競馬やパチンコ、宝くじを買ったとしても、あの種のベッティングというのは必ず胴元がいてテラ銭巻き上げるから、数学的確率論でいえば絶対損することになってます。長期的にやればやるほど絶対損する。その確率の波長を微妙に感知できる第六感が冴えている人がたまにいるけど、そういう人は勝ちますが、多くはトータルでは損。皆がトータルで得してたら中央競馬会は破産してます。株も同じ。犯罪だって同じ。徹夜して目を血走らせながら競馬新聞その他で予想を立てても負ける場合の方が多い。一日中煙草の煙の立ちこめるパチンコ屋で座りながら打ってたら、健康被害による潜在的支出部分は莫大になる(後の治療費と逸失利益)。大体、そこまで体力精神力エネルギーを使うなら、働いた方がマシです。確実にお金が入ってきますもん。ネットでお金儲けとかいって、異様に頑張ってアフィリエイトとかやってる人がいますけど、それだけのエネルギー使うなら普通に就職した方が楽でしょ。
といわけで、かなり出会い系サイトをクサしてしまったようですけど、別に恨みがあってのことではないです。あれはあれで弁えて使えば非常に有用なツールになると思います。またそれでめでたくゴールインした人々に茶々入れるような馬鹿なことはしません。素敵なことだと思います。ただし、難しいことが簡単であるかのように見えるのは誤解だよって言ってるだけです。
しかし、さっきちょっと書きかけたように、ネットでの文字情報だけでやってると、実際以上に盛り上がったり、相手に対する批判能力が低下する傾向はあります。つまり、すぐに火が付きやすくなる。可燃性の度合いが高くなる。そりゃそうですわ、最初から「そのつもり」で双方臨んでいるんですから、通常の世間的交際よりはスピーディーな展開になるでしょうし、また許容性も高くなるでしょう。人間心理の綾として、好きになったから付き合うのではなく、付き合ってるから好きになるって心理はあります。悲しいから泣くのではなく、泣いてるから悲しいのだとか言いますが、あれと同じことです。
ですので、通常の場合よりも、親密な関係にいたる異性の数はネット系の方がずっと多くなるでしょう。しかし、それも又、批判能力を眠らせているとか、「ここまで苦労したんだから最後までいきたい」というフィニッシュ願望という本筋とは関係ない邪念も混入してくるでしょう。普通だったら、まず付き合わないような相手でも、「まあ、一杯飲むくらいいいか。せっかくここまでこぎ着けたんだし」って感じになり、その先もっと親密になれるかもしれません。まあ、なる可能性も高いでしょう。でも、最終的に心が満たされるかというと、それは究極兵器の男女関係、そんなに簡単に問屋が卸してくれません。冒頭の新聞記事でも書いてあったでしょう?ユーザの苦情の最大のものは「これだ」という人に出会えないことだって。だいたい本人達も幸せ絶頂、周囲から祝福されて結婚していながらも、皆さんバンバン離婚してるでしょう?結婚ですらゴールインじゃないんですよ。あんなの序の口、ほんのとっかかり。ましてや、最初の出会いやら、親密になってからの2−3ヶ月なんかカウントしなくてもいいくらいです。10年たったら名前だって忘れちゃうよ。Easy come easy go とはよく言ったもんです。
結局、ここでも同じ原理が働いて、第一関門で楽したら第二関門で苦労するという、トータルでは変わらないってことでしょう。
ではでは、出会い系サイトなんか抹殺してしまった方が世のためなのかというと、あれはあれで有用です。人によっては、本当に出会いのキッカケすらない状況だってあるわけです。また、それほど超本格的な男女関係を望んでいるわけでもない人だっているわけです。生煮えみたいなつきあいでもいいって人だっているでしょう。そこは好みですよ。だから、有用性は全然否定しません。悪徳商法とか詐欺被害とかは可能な限り防止、救済されるべきだと思いますが、だからといって抹殺せよとは思わない。
じゃあ、どういう姿勢で出会い系サイトに臨んだらいいのか?というと、これって、競馬や宝くじと同じなんじゃないんですかね。あまり過大に期待せず、入れこみ過ぎもせず、淡々と楽しむような感じでいいんじゃないかと思います。要するに、ネットだから、出会い系だからと特殊に考えるのではなく、一般世間と同様に、ごくフツーにやってればいいんじゃないかと思います。僕らが昔やってた異業種交流は、ネットベースだけど、極力ネットならではの「毒」を除去しようとしてました。ネットの良さだけを取り出して、弊害を潰す。そのためには、可能な限り一般社会の同様に振る舞うってことです。だから基本的に本名も勤務先も全部公開してやるという。匿名でやりたい人はそれでもいいけど、匿名にしてる奴なんかいなかったですね。ネットで連絡取るのもまどろっこしいときは、勤務先まで電話をかけてましたし。健全な一般社会常識ってやつは、かなり徹底して浸透させてました。それが良かったんだと思います。無責任な発言をする奴もいなくなるし、おちゃらけた馬鹿も困ったちゃんもあんまり出現しなかったし、出てきてもすぐに消えた。だから、普通にやるのが一番実りが多いと思います。
多分、出会い系サイトでも、真面目に考えている人は、素朴にその真面目さを出せば(無理にアピールする必要なんかないから)、自然とうまくいくと思います。ただし、そのうまくいく確率は、一般世間の男女関係に比べて高くも低くもないと思います。でも、それでいいでしょ?別に損してるわけでもないんだし。ただ、日常生活よりもチャンネルが広がったという、その一点で満足してればいいんだと思います。
文責:田村
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