今週の１枚（06.07.24)

　　ESSAY ２６９／新聞の「特殊指定」見直し論議



　写真は、ハーバーブリッジ上の電車の窓からオペラハウスを望む。友人から「今シドニーに暮らしています。毎日オペラハウスを見ながら通学しています」というメールを貰ったら、こんな感じに見えているわけです。



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　最近、公正取引委員会、通称「コートリ」がえらく頑張っているようです。以前は「吠えない番犬」「吠えるけど噛まない番犬」といって揶揄（やゆ）されていたのですが、平成17年度の独占禁止法の大改正で犯則調査権限や課徴金減免制度が導入され＝要するに武器アイテムが大幅にパワーアップしたことによって、ガンガン摘発を続けています。橋梁談合事件の摘発や、マイクロソフトやインテルも血祭りにあげられています。

　その公取の昨今の動きのなかで注目されている（のかな？）のが、新聞の特殊指定見直しです。公取は特殊指定を止めるべきじゃないかと言い、新聞各社はこれに猛反発をして「特殊指定を守れ」とキャンペーンを張っているという。

　まず、この議論の構造がよくわからない。僕も、読んでて、「えーと、あれ？」とこんがらがってしまってました。特に再販価格制度と特殊指定の関係がややこしい。また、言ってることと現実とのギャップがメチャクチャ激しくて、これも混乱させる要因になってます。この機会に、このこんがらがった糸を解きほぐしてみたいと思います。論議の内容がわからなくては、賛成も反対もないですからね。



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　日本の新聞をお読みの方は、おそらくは紙面によく掲示されているであろう「宅配制度を崩壊させる特殊指定見直しに反対を！」を見たりしておられるでしょうし、特殊指定見直し＝新聞宅配制度廃止と思っておられる人も多いかもしれません。が、話のスジをクリアにするためにも、宅配制度はちょっと横にどけておいてください。別に宅配制度が槍玉にあがってるわけでもないし、これをどうこうしようって話ではないからです。宅配制度の危機とかいうのは、いわば「風が吹けば桶屋が儲かる｣式の、「あーなって→こーなって→こーなる」的な将来予測に過ぎません。だから直接の議論ではない。

　まず頭をマッサラにしてください。経済活動、ひらたくいえば「商売」ですが、これは本来自由です。誰が、どこで、何を、幾らで売ろうとも原則として自由。縁日や朝市の屋台が建ち並んでるなかで、Ａという店がお好み焼きを一つ500円で売っているとしても、Bという店が480円で価格競争をしかけるのは自由。これを受けたAが500円は変えないけど、２つ買うとコーラ一本無料サービスを打ち出すのも自由。「むむ！」となったBが「３つで1200円！」と価格破壊に打って出るのも自由。携帯電話なんかそうですよね。今加入すると加入料無料！とかキャンペーンを打ったりするわけでしょ。このように商売活動というのは原則として自由です。

　ところが幾ら自由といっても、何でもアリなのではなく、やってはいけないことがあります。一つは不正競争というズルい手段を用いること。それは強迫とか詐欺とかいう犯罪になるようなものは当然ダメですが、他にも犯罪になる一歩手前のようなもの、例えば有名他社の名前や商品のロゴをパクるようなことですね。訪問販売なんかでも、押し売りまがいに物を押し付けたり、古典的な「消防署の方から来ました」みたいな詐欺的な語りはダメ。わかりますよね。あくまで自由なのは公正な取引、公正な競争。

　このように詐欺的脅迫的なやりかたで業者が消費者に直接牙をむく以外にも、不正競争のパターンはあります。つまり業者同士が手を握って価格を高く釣り上げる方法。つまりは闇カルテルやら談合やらです。上記のお好み焼き屋のケースで、AとBとが密かに手を握って、どちらの店でもお好み焼き一つ１万円と法外な料金をつけたりすることです。まあ、縁日などでは、他にも食べる物も場所も幾らでもありますから、誰も好きこのんで１万円お好み焼きなんか食べず、実害はないのですが、原油とか公共工事の下請けなど最初から供給者（業者）が限られていて、それらが全員陰謀したら高値に吊り上げることが可能であるような場合は違法になります。また、一社だけが強大なパワーを持ってしまって、事実上自由競争がなくなってしまったら、それは「独占」ということで、独占禁止法の規制の対象になります。



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　さて、このあたりから徐々に本題に入っていくのですが、不正競争のパターンとして、「再販売価格の指定」というのがあります。
　製造者（メーカー）と販売者（お店）がいるとして、製造者が値崩れを防止するため、商品を卸す際に「○○円以下で売ってはいけない」と取り決めるのは違法です。もっと正確に言えば、取り決めるのは自由なんだろうけど、「絶対にこの値段で売れよな。値引きなんかしやがったら二度と商品を卸してやらないぞ」などとその立場の強さを利用して圧力をかけたり、強制することが違法なわけです。つまり、誰が幾らで売ろうがそれは自由なのが原則。じゃあ、商品に「○○円」って印刷されているのは何なんだ？といえば、あれはメーカーが「○○円で売ってくれたらうれしいなあ」という「希望」を書いてるに過ぎません。だから、メーカー希望小売価格とか、希望価格とかいう言い方がなされます。英語で言えば、suggested retail price (SRP)やrecommended retail price (RRP)ということですね。最近ではパソコンなど、メーカーは一切価格に口を出さない「オープン価格」なんてのもあります。

　ところが強引に再販価格を維持しても良い（無理やり値引きを禁じるような取引をしても良い）とされる例外領域があります。これは著作物や公取が特に指定したもので、具体的には、音楽ソフト（CDなど）、出版物（書籍、雑誌）、新聞であり、これらに関してはメーカー（出版社など）が小売店が値引きをすることを禁じても良いことになってます。その理由は様々ですが、要は著作者や文化活動をする人々が強力な価格競争に引きずり込まれると、食っていけなくなるし、質の良い文化が育たなくなるということでしょう。商業主義に毒されて文化がダメになるからってのが本体的な理由だと思います。だから、多少競争の自由を制限しても、守るべきものは守ると。

　この再販価格制度それ自体、非常に議論が分かれているところであります。特にCDなどに関しては、ずっと昔から「日本のレコード（CD)は高すぎる」という批判が強く、公取も再販制度解除に動いていたりしたのですが、音楽業界の一致団結的反対や組織票によって未だに再販は維持され、それどころか逆輸入CDの規制、さらには輸入版CDの規制にまで及んで、草の根的の大反対が沸き起こったのは記憶に新しいところでしょう。この輸入CD規制は、結局、参議院ではろくすっぽ議論もなされず全会一致で議決、衆議院では民主党が修正案を提出するなど頑張ったんだけど、結局は数の力で原案通り可決されてます。しかし、国民、というか音楽リスナーというか、普通の我々ですけど、の脳裏には、セコい規制を作って既得権確保に汲々とする音楽業界の姿がくっきりと焼き写ったのでした。

　ところで「再販制度」とか用語や概念がメンド臭いですよね。「再販売価格維持の禁止の例外」と否定の否定という二重否定になるので、「え？あれ？」ってややこしい。この際、再販制度＝「自由な価格競争を妨害してもいいよ制度」くらいに思っておいたらいいでしょう。それが一面的な言い方で気に食わない人もいるだろうから、再販制度＝「自由な競争よりも大切な価値があるよ制度」といってもいいでしょう。



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　さて、再販価格問題というと一般に書籍やCDなどが議論になりますが、新聞もまた再販価格制度の例外的恩恵を受けています。新聞社は、「値引きして売るんじゃねーぞ」と圧力をかけても許される、天下御免であると。

　それだけではなく、新聞の場合、独占禁止法上もう一つの保護を受けています。これが今回議論になってる「特殊指定」と呼ばれる制度です。

　この「特殊指定」というのは何か？というと、一般指定に対比して考えるとわかりやすいです。一般指定（規制）というのは、上に書いたように、「ズルイことしちゃダメ」「独占しちゃダメ」という一般的な規定で、どんな業界のどんな取引にも適用されます。これに対して特殊指定とは、特殊な業界の特殊な取引に限って、「○○業界では○○と△△はやっちゃダメよ」と規制することです。

　この特殊指定はそんなに数が多くなく、どんどん「もうこれは解除」ってことで廃止されてます。平成18年4月現在で残っているのは、新聞をはじめ４分野のみです。すなわち、�@教科書業における特定の不公正な取引方法（教科書特殊指定）、�A新聞業における特定の不公正な取引方法（新聞特殊指定）、�B特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法（物流特殊指定）、�C大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法（大規模小売業告示）です。最近廃止されたものは、「食品かん詰又は食品びん詰業における特定の不公正な取引方法（食品かん詰特殊指定　平成18年2月1日に廃止）」，「海運業における特定の不公正な取引方法（海運特殊指定　平成18年4月13日に廃止）」，「広告においてくじの方法等による経済上の利益の提供を申し出る場合の不公正な取引方法（オープン懸賞告示　平成18年4月27日に廃止）」です。

　このように特殊指定は、時代時代の経済情勢に応じて、「これはマズイ」と思ったら指定・規制し、「もうええやろ」となったら廃止するという新陳代謝をしています。上の�@−�Cのうち、�B�Cは最近新たに指定されたものであり、古くから残っているのは�@�Aです。つまり新聞と教科書。でもって教科書の特殊指定に関しては、先月（2006年6月）2日に正式に廃止を決定し、この9月1日から施行されます。

　となると古くからの規制で最後に残ったのは新聞です。でもってこれが今問題になっているという。



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　では、新聞の特殊指定って、いったい何を規制しているのか？ですが、正確に引用すると以下のとおりです。面倒くさいだろうから、真面目に読まなくてもいいです（あとで解説します）。



新聞業における特定の不公正な取引方法　（平成十一年七月二十一日公正取引委員会告示第九号） 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律（昭和二十二年法律第五十四号）第二条第九項の規定に基づき、新聞業における特定の不公正な取引方法（昭和三十九年公正取引委員会告示第十四号）の全部を次のように改正する。 新聞業における特定の不公正な取引方法 １　日刊新聞（以下「新聞」という。）の発行を業とする者（以下「発行業者」という。）が、直接であると間接であるとを問わず、地域又は相手方により、異なる定価を付し、又は定価を割り引いて新聞を販売すること。ただし、学校教育教材用であること、大量一括購読者向けであることその他正当かつ合理的な理由をもってするこれらの行為については、この限りでない。 ２　新聞を戸別配達の方法により販売することを業とする者（以下「販売業者」という。）が、直接であると間接であるとを問わず、地域又は相手方により、定価を割り引いて新聞を販売すること。 ３　発行業者が、販売業者に対し、正当かつ合理的な理由がないのに、次の各号のいずれかに該当する行為をすることにより、販売業者に不利益を与えること。 一　販売業者が注文した部数を超えて新聞を供給すること（販売業者からの減紙の申出に応じない方法による場合を含む。）。 二　販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給すること。 備考、附則　（省略）


　１と２は、要するに「値引きしちゃダメよ」と言ってます。１と２は主体が違うだけで、１は新聞社、２は販売者（取次店、小売店）です。３はいわゆる押し紙と業界用語で呼ばれているらしい行為で、新聞社が取次店に「もっと大量に売らんかい！」とドドドと押し付けるようなことはしてはダメよいうことです。

　この特殊指定と、再販制度は、ぜーんぜん別個のシステムです。混同しちゃダメですよ。
　システムも違えば、ルートも違うんだけど、「値引き禁止」という結論は一緒です。逆に言えば、新聞は定価維持（定額収入維持）／値引き競争に晒されないで済むという点において、二重に公的に保護されているということです。



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　ここで出てくる疑問は、第一になんで新聞だけそんなに保護されなきゃいけないのか？第二にその保護を廃止したらなにか大切なモノが破滅するのか？第三にその保護に価するだけの現状なのか？です。

　新聞が他の商品、他のビジネス活動に優先して二重特権地位にあるとする理由は、これは新聞自体が声をからして説いています。いわく「 日本の新聞の戸別配達（宅配）を支えている「特殊指定」という制度があります。新聞がどこでも同じ価格で読者に公平に配達されているのはこの制度に支えられているからです。しかし、公正取引委員会は昨年１１月、この制度を見直す意向を表明しました。日本新聞協会などは新聞が持つ社会的・文化的な役割が果たせなくなるとして見直しには反対しています」と。これは毎日新聞の「新聞宅配制度を守るために」と題したページです。ここにいかに守るべきかが個別に論じられています。

　総じて議論は、特殊指定が解除されると、激烈な価格競争の波にさらわれることになり、国民の圧倒的大多数が支持している宅配制度もコスト的に破綻を招きかねないという主論調に加えて、「雪と格闘、熱い思い」と題する僻地の取次店の宅配奮戦振りを紹介し、ポピュリストの御用学者の藤原正彦氏あたりに語らせているわけです。

　毎日新聞の社説では、「こうした販売ルールが緩和されたりなくなったりすれば、販売店間の値下げ競争で、配達コストがかさむ山間部や過疎地では配達の打ち切りが発生しかねない。また、住んでいる場所等によってさまざまな定価が存在し、現在の全国くまなく同じ条件で情報や知識を伝えるという新聞の使命が守れなくなってしまう。国民はそんな事態を望んでいるだろうか。日本新聞協会の調査では、新聞の宅配制度について７２・６％が「ぜひ続けてほしい」と答え、１４・２％が「できれば続けてほしい」と答えた。合わせて９割近い国民が新聞の宅配を望んでいる。 昨年７月には国民の活字離れに歯止めをかけようと超党派の国会議員提出の「文字・活字文化振興法」が施行された。「すべての国民が等しく文字・活字文化の恵沢を享受できる環境を整備」しようとするものだ。公取委の特殊指定見直しは、この新法の精神に逆行するものと言わざるをえない。公取委は９９年、特殊指定を現行規定に改定し、０１年には再販制度の存続を決めたばかりだ。特殊指定の見直しは再販制度を揺るがす。なぜわずか６年半前の決定を再見直しする必要があるのか。」 と熱く説いています。



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　これだけ読んでるとなるほどなあって思うのですが、よーく考えると「そうかあ？」ってツッコミどころ満載だったりもします。
　まず、特殊指定廃止＝値引きしてもいいよ＝になると、即宅配制度が危機に瀕するという点ですが、そうなのですかね？どうしても宅配制度と特殊指定をリンクさせたいようなんだけど、これって論理必然でもないし、経済実態にもそぐわないのではないか。

　民営化や規制緩和になると反対論者から必ず出てくるレトリックだけど、激烈な商業主義によってサービスが低下するとか、採算路線に乗らない弱者の切捨てになるとか。でも、そうなると決まったものでもないでしょう。既存の業者のサービスが低下して割高になったとしたら、それはすなわちビジネスチャンスであり、他社が付け込む隙が出てくる。だいたい宅配制度維持が国民の９割の要望だとするならば（この数字自体かなり疑問があるけど、それはさておき）、それだけ大きなニーズがあるということで、より自由になった新聞販売競争においては、これを見逃す手はないでしょう。宅配にしたって、よりきめ濃やかに水木金だけ配達とか、土日はパスとか、その分割引とかいう方法だってあるはずです。

　もともと公取が言ってるのは、新聞に関する消費者のニーズは多種多様なんだから、それに応じた供給をしてもいいんじゃないか、それを硬直的に一律定価ってするのはかえって好ましくないのではないかってことでしょ。例えば朝刊でも、夕刊が出る頃にも同じ値段で売らなくてもいいんじゃないか？鮮度が落ちたらスーパーの午後５時特売のように安くしたっていいじゃないかってことです。

　それに採算路線に合わないから弱者切り捨てが生じるというけど、今だって異様に遠いエリアだったら宅配はダメでしょ。現に「奮戦する取次店」として紹介されている福島県喜多方市大楚々木地区だって、「市街地から６キロ離れた大楚々木地区の戸数はわずか６世帯。２０年ほど前まで新聞は郵送されていた」ってことで、宅配じゃなかったりするわけですよ。今現在は加藤さんという取次店の方の頑張りで宅配になっているようですけど、価格競争がいっくら激烈になったといっても、そこは加藤さんしか届けないのであれば加藤さんの宅配分の利益は損なわれない。逆に、他社が参入してより安く宅配をするようになったら、お客さんを失う加藤さんは大変かもしれないけど、その６世帯の人はより安く宅配を受けられるわけで良いではないですか。

　あるいは、加藤さんは比較的容易に宅配できるエリアでお客さんを沢山持ってるから、利潤においても余裕が出来、だから赤字覚悟の遠距離宅配が出来ているのだ、ここで激戦区で競争を強いられ値崩れが起きたら、コストカットのために遠距離宅配をやっていける余裕はなくなるってことかもしれません。加藤さんがコストをまかなうために遠距離の場合は別途宅配料を設定し、結果的に遠くに住んでる人はそれだけ情報をゲットすることが出来ず、情報格差が起きて好ましくないってことも考えられているのかもしれません。それならそれで話はわかります。

　しかしこれにも山ほど反論はあって、まず経営が苦しくなった加藤さんが残った６世帯を切り捨てるかどうかです。むしろ死守って感じで守るかもしれないですよ。それにそれだけ遠距離奉仕宅配をやってる加藤さんのお人柄を考えたら、価格自由化によって競争が激化したらむしろ勝者になるかもしれないわけですよ。上記のきめ細かな割引サービスをするとか、地方独特の「心のふれあい」みたいな営業で業績を伸ばすことも可能でしょ。競争になると必ず負けるってわけでもないでしょ。

　第二に、そんなエリア、そんな人数が日本全国でいったいどれだけあるというのだ。圧倒的大多数はそういう事例に属さないでしょう。むろん、少数者だからといって切り捨てて良し！とは言いませんよ。だけど、議論をする場合、少数事例だけを引き合いに出してきて、それと関係ない本体部分を論じるというのは、議論のやり方としておかしいです。また、予想される宅配カットの世帯数がどのくらいになるのか、具体的な数字は、僕の知る限り計上されてませんでした。さらに実際にそういう事態が起きるのであれば、特別な指定過疎エリアに関しては従来の規定を温存するという規制だって可能だし、それで問題解決でしょ。

　第三に、過疎エリアが困っているのは新聞の宅配だけではないです。そもそもJRの赤字路線廃止によって大きく困っています。市町村の統廃合で遠くの役所まで出向かねばならないという点でもかなり困っているでしょう。いまさら新聞くらいなんだというのだ？って議論も可能です。これは「新聞ってそんなに大事なの？」ということで、新聞社だけ新聞の重大性を普通の国民の三倍くらいに過大評価してるんじゃないかって気もするのですよ。TVもニュースもインターネットもなにもかもある時代に、新聞の宅配がなくなっただけで「国民の間で重大な知的格差が生じる」みたいなことが起きますか？それに地域による情報の偏在をいうのであれば、テレビ放送局においてはるかに顕著です。「田舎にいったら２チャンネルしかない」というメチャクチャな情報の偏在が昔っからずっとあるではないですか。そっちを是正する方が先決なのだけど、そんなことあんまり議論されていない。

　第四に、これも何度も公取が主張しているように（例えば「特殊指定の見直しに関するQ＆A」、「第１６４回国会　参議院予算委員会（平成十八年三月二十四日（金曜日））末松信介議員（自由民主党）の質問に対する答弁）」、「第１６４回国会　参議院予算委員会（平成十八年三月二十七日（月曜日））（平野達男議員（民主党）の質問に対する答弁）」 ）、日本の新聞宅配制度は、特殊指定が行われるより前から存在しています。また、諸外国でも特殊指定が行われなくても、ここまで保護されてなくてもホームデリバリーはなされています。歴史的にいっても、諸外国の例をみても、特殊指定廃止＝宅配制度の危機というのは実証的根拠が薄いです。


　そもそも、どうして全国どこでも誰でも一律定価にしなきゃいけないのでしょうか？それで何が守られるかというと、一番守られているのは新聞社の利益でしょ。値引き禁止ってことは、国民全体からしたら、誰も値引きを受けることができず、最も高い料金負担を強いられるってことじゃないですか？イヤらしい言い方をするならば、新聞各社は、「過疎の地で新聞の宅配を楽しみに待っているお年寄り」というナゴミキャラを持ち出して、その影に隠れて自らの利益をむさぼろうとしているだけではないのか？

　それに特殊指定が廃止されても、新聞社にはまだ再販価格という保護があります。再販制度は、新聞社VS取次店／販売店という民間同士の契約レベルの話で、「値引きする奴には売らないと新聞社は言っても良い」ということだけしか規定せず、特殊指定のように公的規制ではないので強制力において弱いって新聞社は言うのだけど、他のCDや書籍などの著作物はそれでやってるでしょ。それに、新聞社と取次店との力関係を考えたら、圧倒的に新聞社が有利なわけですよ。CD店や書店は「○○出版社専属」という縛りはなく、どこの出版社の本だろうがCDだろうが売れますけど、取次店なんか一社専属という所も多いわけで、そこで供給をストップされたらそれで終わり。これくらい強烈な強制力はないわけで、それでもまだ不足なのか？って思っちゃいますけど、僕は何かを見落としているのでしょうか？




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　新聞の販売流通ルートに関しては、自由競争が行われなさすぎて、ジャーナリズムの自由な活動を阻害し、新聞業界の談合体質を助長しているって批判があります。公取でなくても各方面からつとになされてきました。

　実際、今調べてみましたが、朝日、読売、毎日新聞各社とも、一ヶ月の購読料はキッチリ計ったように同じ3925円。なんという半端な金額！と思うけど、ほんとにキッチリ同じだったりします。これ談合じゃないんですか？談合じゃないとしても、この強烈な横並び意識はなんなんだって気もしますね。ところで、新聞購読料の推移というページを読むと、この三大紙ですが、実に昭和21年から一糸乱れず購読料を揃えて値上げしてきている事実がわかります。過去に独禁法違反で消費者団体から公取に訴えられたこともあるそうです。

　しかし、3925円ってことはオーストラリアドルで大体45ドルくらいか。僕が今こちらで宅配を頼んでいる地元新聞の場合、半年で170ドルとかそのくらいです。１か月28ドルくらい（1年申し込むともっと安くなります）。つまり日本の新聞の方が１・５倍以上高いです。また、こちらの新聞の方が内容は濃いわ、分量は多いわ、雑誌を買う必要がないくらい分厚い各エリアの分冊がつきます。週末版は日本の元旦版以上に盛りだくさんです。新聞一週間読むと、TVガイドとクルマ雑誌とスポーツ雑誌と不動産情報誌と求人情報誌と経済誌と暮らしの雑誌やグルメ雑誌とエンターティメント情報誌とパソコン系雑誌は、よほどディープな情報を求めるのでなければ、買う必要がないくらいです。実際ほとんど買わないし。やっぱ、日本の新聞って高いですよ。夕刊がついたくらいでは追いつかないです。



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　さて、このように問題含みの新聞業界だったりするわけで、公取による見直し論議はガチガチに固めた新聞業界体質に一石を投じるものとして注目する人は注目していたようです。

　ああ、だが、しかし、結論的にいうと、今回の公取のチャレンジは挫折しています。新聞指定の見直しについては見送りという、公取の敗北宣言が今年の6月2日になされています。

「公取が新聞特殊指定見直し問題で敗北宣言」などに詳しくかかれていますが、「公取委の事実上敗北宣言になった背景には、日本新聞協会の主張に対する反対意見や公取委の主張、両者の意見の相違点などを解説する記事などが、新聞にほとんど掲載されなかったために、同議論の詳細を知らされなかった国民から「特殊指定」廃止の支援を得られなかったことが大きな要因となっていた。「特殊指定」の見直しに歯止めをかけるため独占禁止法改正案の国会提出などを準備していた自民党独占禁止法調査会をはじめ、各政党から支援をこぎつけた新聞業界の動きの前に、公取委が屈した形となった。」ということです。



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　今回の問題については考えるべき課題は沢山あると思います。事柄が新聞社の利益に反するだけに、ほとんど新聞社の一方的意見しかマスコミに乗らなかったという重大な課題がありますが、他にも多々あります。興味のある方は、新聞の特殊指定」撤廃問題の記事リンク集などで詳しくごらん下さい。

　僕なりにまとめてみますと、さきに「第三にその保護に価するだけの現状なのか？」と書いたように、現在の日本の新聞社というのは、他の業界に最優先してまで利潤保護されなきゃいけないだけの実質を備えているかという点が最も問題だと思うし、そこを問いたいですね。

　日本の新聞やマスコミに対する批判は枚挙に暇がありませんし、皆さんも重々ご承知でしょう。国民の目は日ごと冷たくなっているといっても過言ではない。犯罪被害者のプライバシー侵害報道にせよ、被疑者段階での家族などに対する傍若無人な取材方法にせよ、誤報処理にせよ、あるいは顧客リストなどの流失にせよ、やらせ報道行為にせよ、ワールドカップの事前報道のように大本営的提灯記事にせよ、批判が厳しいのに大して改まらない記者クラブ制度にせよ、諸外国に比べての料金の異様な高さと内容の薄さにせよ、、、、いっくらでもあります。

　それに今回の特殊指定にかかわる「押し紙」行為の禁止＝取次店に過大な負担を押し付けちゃダメ規制だって、実際には日常茶飯事だって言われてたりします。新聞販売店／取次店の現状はどうなっているかですが、例えば、Wikipedia新聞販売店の解説を読むと、
　「ノルマ達成と押し紙／新聞社は再販制度の保護下にありながら慢性的な過当競争状態にあり、しばしば「世界一の発行部数」「目標数○○万部」などと、契約上の優越的地位を利用して過大なノルマを販売店に課すことがある。販売店は新聞社に対して従属的な立場にあるために、ノルマを受け入れざるをえず、販売店には大量の売れ残りが発生する。販売店は売れるあてのない新聞の代金も新聞社に一方的に支払い続けなければならないが、これを拒めば販売店契約の解除を暗にほのめかされるなどするため、販売店は経済的に常時「生かさず殺さず」の状況に追い込まれる。これを「押し紙」（違法行為を意味するこの呼称を避けるため、実際には各社様々な名称を用いる。例として「アジャスタブル目標」（朝日新聞社の場合）など）と言う。これは実売部数と公称部数との乖離を招き、水増し発行部数分の広告料が新聞社によって事実上詐取されていることを意味するだけでなく、独占禁止法第19条に違反する不公正な取引であるが、全国紙を始め多くの新聞社で横行しているのが現実であり、全国の日刊紙で発行部数の2割程度、約1000万部が「押し紙」として日々廃棄されているという。ただし、新聞各社は押し紙の存在を否定している。」とされています。

　押し紙について新聞社が否定しようが、公取が北國新聞に対して押し紙行為で勧告をしているという事実があります。また、押し紙行為を理由に、取次店が新聞社を提訴したという訴訟もあります。多分は一方当事者だけの主張ではありますが、「産経新聞・四条畷店の「押し紙」裁判」にリアルな主張がなされています。

　これら新聞販売店の内情は知らなくても、「新聞はインテリが作ってヤクザが売る」って表現は耳にされた方も多いと思います。そして、新聞勧誘員の戸別訪問で不愉快な思いをされた方はもっと多いだろうと思います。この勧誘員の存在は「新聞拡張団」とちゃんと名称もあって、Wikipediaでもその実態について結構詳細にかかれています。ここに紹介されている具体例では、「客の玄関に居座り居直る」、「怒号をあげ威嚇する」、「ドアを力一杯たたく、蹴り上げる、強引に入ろうとする」、「客の襟首を掴んだり、手で押す」、「ドアに指や足を入れしめさせない」、「何回でも、毎日でも来る…と脅す」「閉めようとしたドアが体に当たったといって言いがかりをつける」「宅配便や郵便を装ってドアを開けさせ、あけた瞬間に足を突っ込んでドアを閉めさせない」「拡張員が引越しなどをした家に「お引越しおめでとうございます、近所の販売店です〜」などと言い、その際に拡材を投げ込むように入れ（洗剤など）強引に契約を取る」「泣き落とし」などなど。さらにエグいのは「ひっかけ」と呼ばれる行為で、「クーリングオフを説明せずに契約をせまる」、「いつでも契約を解除できます」、「空契約なのでお願いします」、「次回はもっとサービスします」などという例などがある。「実際には取らなくてもいいからハンコだけ押してください。そうすれば景品（洗剤など）あげます」と言って印鑑を押させる場合もある。それにより契約が成立していることは言うまでもない」。

　「社会の木鐸」と自賛する新聞社ですが、その販売システムや実態は、お世辞にも褒められたものではないです。このような実態は、一部ではあるかもしれないし、真面目に頑張ってる勧誘員さん達も沢山おられるでしょう。どんな業界だって叩けば埃のひとつや二つは出るでしょう。だから、新聞業界だけが殊更に悪辣であるとか、劣等であるとは僕も言いません。しかし、少なくとも他の業界を圧して、二重に保護されるほど突出して素晴らしいか？といわれたら、疑問だって言ってるわけです。



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　それに、もう多くの皆さんはおわかりかと思いますが、「全国どこでも一律料金」ってのがそもそも大嘘でしょ。新聞の勧誘で「１ヶ月無料」とか景品をつけたりとか、事実上値引きはガンガン行われています。むしろ拡販競争のために推奨されているといってもいい。

　「特殊指定を外すと過当競争に晒されて〜」とかいうけど、特殊指定で「やっちゃイケナイ｣と言われている値引きも押し紙も、自分で破っているではないですか？押し紙行為は一般国民の知るところではないかもしれないけど、実質値引を知らない国民は殆どいないでしょう？これだけ堂々と規制を自分で破っておきながら、「規制を絶対死守！」と高らかに謳いあげるというのもヘンですよ。かーなりヘンですよ。毎日遅刻してる生徒が、「遅刻禁止」という校則の撤廃に反対するようなものですよ。毎日スピード違反をしているドライバーが、速度規制撤廃反対って言ってるようなものです。話が真逆じゃないのか。

　先ほどの例で、遠距離に頑張って宅配を続けておられる加藤さんを真に困らせているものは、規制撤廃による競争ではなく、他ならぬ新聞社自身ではないか。加藤さんを守り、過疎地の宅配購読者を守りたいんだったら、押し紙止めなさい、拡販競争で販売店の尻を叩くような真似を止めなさい。加藤さんのお気持ちも事情も僕は知りませんが、僕が加藤さんの立場だったら、こうやって取材されて、断りも出来ないことで、「くそー、てめーら、俺をダシに使いやがって」「もっと他にやることがあるだろうが」って思っちゃいますよ。まあ、本当の加藤さんがどう思っておられるかは知るすべもないですけどね。

　しかし、まあ、これだけ言ってることとやってることとが正反対で、しかもその事実を殆ど皆知っているにもかかわらず、いけしゃあしゃあと「国民の知る権利」を言うという神経はスゴイですよね。なるほどねー、これだけ図太い神経をもたないと、涙にくれている被害者の家に土足で上がり込んでアルバム漁って顔写真を盗んでくるようなことは出来ないでしょうよ。ご立派ですわ、はっは、と皮肉の一つも言いたくなります。



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　そんな面倒臭い議論をすっ飛ばしても、今回の公取の特例指定廃止に関するチャレンジと挫折が国民にフェアに報道されていなかったという事実が何よりも雄弁に物語っているでしょう。今回僕の雑文を読んで、「へえ、そうだったのか」と思われた方は、要するに伝えてもらっていなかったわけですよ。「特例廃止＝宅配廃止」と思い込まされてきた人もそうです。大体、新聞の利害に関ることを新聞が報道するんだから、一方当事者だけ主張しか載らないのも無理ないですけど、そこを敢えて公平に報道することで新聞が真に「社会の木鐸」たるところを示す絶好のチャンスだったと思うのですけどね。それに、これだけ新聞社が沢山ありながら、どこの社も「いや、ウチは廃止賛成だ」と表明する社が無かった（あったのかもしれないけど、僕が調べた限り見つからなかった）ことからも、「情報の自由な流通」「公正な言論」という実態には程遠い一枚岩のモノカルチャー＝大本営＝ジャーナリズムであることの証拠といえなくもないです。また、それに乗っかって反対を唱える政治家も政治家だよね。

　しかし、何なんかね、この国は？って思っちゃいますね。このエッセイで時々調べて書いていた論点、例えばNHKの受信料にしても、保険会社の不祥事にしても、なんでこんなことがまかり通るわけ？って思っちゃいます。これが日本の実態だよ、とは僕は思いたくないですね。この風通しの悪さは、別に日本という社会や日本人が持っている悪い癖かもしれないけど、正すべき癖だと思うし、これが素晴らしいことだ、未来永劫続くべきだなんて思ってる人は少ないと思います。


　それでも、、、と、ふと思うのですけど、新聞社も大変なんでしょうねー。ずっと前に日本の出版業界にいる友人から聞いたのですが、新聞が売れなくなっていると。もう夕刊フジとかそのへんの駅売り新聞で間に合わせようとする人が多い。逆に言えば日本人はカッコつけなくなってきたと。それに応じて夕刊紙に政治ネタが増えてきたと。今でもそうなのでしょうか？新聞社は未だに「発行部数世界一」みたいな、戦艦大和的な大砲巨艦主義的ラッパを吹いているのでありましょうか？クォリティペーパーというのは、名の通り、クォンティティ（量）ではなくクオリティ（質）でしょ。でも、皆さんそんなに新聞読んでるのかな？インターネットで済ませたりしてませんか？チラシとTV欄とマンガだけって人も多いんじゃなかろうか。

そんなにしてまで売らないとマズイのかな？そりゃマズイのだろうけど、新聞社の収入って半分以上が広告料だっていう話を聞いたこともありますよ。そこまで拡販にイノチかけないとあかんのか。広告収入落ちてきてるのかな。そして新聞社が自社の経理をなかなか公開しない秘密主義だって話も聞いたこともあります。どうなってるんでしょうねー、日本の新聞社は。ちょっと興味があります。

　結局、こういうことなんじゃないですか？日本の新聞社は、発行部数競争などで最初っから過当競争状態にある。それは特殊指定があろうが無かろうが激烈な競争は既に存在している。だからこそ、毎日1000万部の新聞を押し紙として販売店に押し付け、貴重な森林資源を廃棄しているわけだし、犯罪まがいの新聞の勧誘が横行したりしているわけです。これは特殊指定を廃棄しなくても既にそうなっている。というよりも特殊指定の「○○はやってはいけません」という規定を踏みにじってもやっている。誰がやっているかといえば、当の新聞社がやってるわけです（彼らは公式には押し紙は否定してるし、違法勧誘は販売店のやることだから知りませんと逃げてるけど）。自分らで勝手に過当競争を作り出しているわけでしょ。確かに、特殊指定が外れたら更に競争は激化するでしょうし、値引き合戦も激しくなるでしょう。当然ながら利潤が減ってさらに苦しくなる。だけど、それもこれも自分らで過当競争状態を作り出してきたからであって、いわば自業自得ではないか。

　もっと推測を逞しくすれば、規制緩和で料金体系がフレキシブルになると、戦後60年営々と共同歩調で料金をビッタシ揃えてきたガチガチのカルテル状態も崩壊するかもしれないし、傘下の販売店を隷属させてきた新聞流通の王国が崩壊するかもしれない。つまりは、新しい流通システムに対応しきれない古い経営体質がその背景事情にあるんじゃなかろか。規制が緩和して「チャンスだ！」と思うよりも、「面倒くさいなあ」「やりたくないな」「ぬるま湯に浸っていたいな」って思う心理の方が強いという。なんかそこまで推測してしまいますけど、どうなんでしょうね？




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　さて、トップページの冒頭に書いたように、ちょっとだけ日本に帰省してきます。２年８ヶ月ぶりの日本です。ちょびっとビジネストリップ的な色彩もありますが、まあ、帰省です。久しぶりに日本の新聞を紙で読むのが楽しみでもありますが、内容の薄さに腹がたつかもしれまぬ(^^*)。というわけで、次回は一週お休みをいただきます。その次は、もうオーストラリアに戻ってきてますのでエッセイを書く予定ではありますが、疲れてダウンしてるかもしれません。日本の湿気の高い夏時期に帰るのは本当に久しぶりです。特に「８月に日本に存在した」という経験は1993年の8月まで遡ります。14年ぶりの日本の真夏です。暑いんだろうなあ。





文責：田村

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