サウス・オーストラリア生活雑記





    9月号


    SA州名産 オリーブの話 その1

     オリーブの実を絞ってとれたオリーブオイルは、自然から生まれた植物性油で健康にいいと人気がどんどん高まっています。オリーブオイルといえばパスタや地中海料理に使われるため、イタリアやギリシャが本場だと思われる方がほとんどだと思いますが、実はSA州でもオリーブオイルの中で最も質の高いエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルを生産しています。

     オーストラリアに入ってきたオリーブの木が最初に上陸したのが、実はアデレードだったのです。そして開拓時代にはイタリアやギリシャからたくさんの木が持ち込まれ、家の庭や谷間に植えられました。朝・夕は涼しく日中は気温が高くなるアデレードの地中海性気候がオリーブの生育に最適なため、放っておいてもどんどん育ちこれらの木が現在まで残っています。オーストラリアのオリーブの木はWA州とVIC州にわずかにあるだけで、ほとんどはSA州に生育しています。一般の人はほとんど気がつかないのですが、1800年代に植林された木が、ノース・アデレードや市内の公園に野生化した状態でたくさん残っています。むしろたくさんありすぎて気がつかないようです。

     オリーブオイルづくりは昔から行われていましたが、第1世界大戦と不況、都市化が進み木が抜かれていったことが原因で、一時期完全に消滅しました。しかしここ数年、健康ブームに伴ってSA州の産業拡大の一つとして真剣な研究と取り組みが始まり、主要産業として発展しています。オリーブの木は土地のやせたブドウ園に育ちやすい事からワインで有名なSA州に適しているのです。

     オリーブオイルの特徴といえば、この油の中に含まれる不飽和脂肪酸の「オレイン酸」が悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化の予防につながることにあります。しかしオリーブオイルの生産はそんなに簡単ではありません。それは木を植えてから油がとれるようになるまで最低七年はかかるからです。そして1リットルのオイルをとるために5〜10キロの実が必要で、摘んだ実は24時間以内に処理しなければ高質のオイルはとれないからです。というのはオリーブの実は摘んだとたんに劣化し始め、時間をおくと酸化が進み、オレイン酸が遊離オレイン酸に変わってしまうからです。ちなみに最高級のエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルは遊離オレイン酸の濃度が1%以下のものをいいます。

     さて来月は、なぜSA州では最高級オイルしか作らないのかについてお話ししましょう。


★→MATTIE'S HOMEPAGE のトップに戻る
★→APLaCのトップに戻る