サウス・オーストラリア生活雑記





    6月号

    Dreaming Trails(アボリジニの精神世界)

     クリーランド・ナショナル・パーク(Cleland National Park)で、アボリジナル・カルチャー・ウォーク・トレイルが始まりました。Greg, Raeleen, Carolの3人のアボリジナルガイドが、ディンゴ、コアラ、エミュー、ワラビー、カンガルーなどが祖先とつながっていたという話を紹介してくれます。この1時間のツワーでは、狩猟に使われた道具や、集会のあった小屋なども見せてくれます。ツアーは毎週、水曜日と日曜日、11amと130pmからです。(予約要、Tel:08-8339-2769)

    さてそれではSA州のアボリジニの歴史はどんなものだったのか振り返ってみましょう。1936年、SA州がイギリスの植民地になる前、この地域はパッチワークのように50近くのアボリジニが数百人から数千人以上の集落を作り、異なる習慣、信仰、言語をもって生活していました。アボリジニはイギリス人とは違って、土地を個人の所有物とし耕作や牧畜をすることはなく、自然資源は皆で共有するという生活でした。この頃のSA州のアボリジニ数は、ヨーロッパから東オーストラリアへ入った病気の伝染で多数の死者がでたことを考慮しても1万5千人はいたと推測されています。

     多くのアボリジニ部族は、信仰、家族関係、社会構造が似ていますが、特に様々なアボリジニ文化に共通してみられるテーマは、土地を通して祖先を振り返りその土地への親近感を深めることにあります。世界の創造を説明する一連の話が過去と現在を結びつけるのです。ですから物理的環境が、それぞれ部族の習慣や生活に大きな影響を与えました。

    マリー川流域やSA州の南東部、アデレード平原は、水と食物に恵まれていたため、開拓白人にも魅力的で、この地域に住んでいたアボリジニは強制的に追い出されました。そして部族の神聖な土地は奪われ、白人に殺されたり疾病のため多数の死者が出ました。この地域に比べ、フリンダーズ・レンジ周辺は、不毛の西部砂漠で、ヨーロッパ人の侵入は少なかったのですが、牧畜が始まり凶暴な動物や外来植物の到来しとことにより、アボリジニ文化と生活の糧であった原住動物や植物に大きく変化が生じ、重要な水源も破壊されました。そのため砂漠で生活していたアボリジニは、宗教伝道人や牧畜地域で、食物、小屋、衣類をもらわざるを得なくなったのです。しかし西部砂漠地域のアボリジニは、彼らの言語と伝統を保ち、現在その芸術絵画・木彫は世界中で大きな評価を得ています。

     そして1981年アボリジニのPitjantjatjara部族の人々は、SA北西部の伝統的な土地、Anangu-Pitjantjatjaraの10万平方キロメートルの所有権を「二度と奪われることのない権利」として取り戻しました。また1986年には、西部の7万6千平方キロメートルの土地も同じ権利として返されました。現在、SA州のアボリジニの多くは、南部やポート・オーガスタの郊外で生活しています。オーストラリアに欠かすことの出来ないアボリジニの文化に是非、触れて見てください。

    今月のハイライト

    Penola Festival
    15-18 June 1998
    SA州の南東部に位置するPenolaは1850年に確立されたこの地域で最古の町です。今年も恒例の「文と芸術の現代祝賀フェスティバル」が開かれます。Penolaはオーストラリアでは有名な作家や詩人がでていることで知られています。
    Penola Festivalは1992年、この町生まれの詩人, John Shaw Neilsonの埋没50周年を祝って始まりました。彼は、オーストラリアでは大変名前の知られた叙情詩人で、このPenolaでの生活が詩作に大きな影響を与えたといわれています。特にブッシュ生活をこよなく愛しそれにちなんだ多くの作品を残しています。その他にも、Adam Lindsay Gordon, Will Ogilvie等の詩人がいます。
    今回の3日間のフェスティバルでは芸術賞受賞者発表、作家によるトークショー、芸術展示などが予定されています。またPenola周辺はSA州でも有名なレッドワインの産地、Coonawarraがありワイナリー巡りも楽しめます。詳しい情報はPenola Tourist Information Center まで。アデレードからお出かけの場合宿泊が必要です。
    Tel:08-8373-2855

    McLaren Vale Sea & Vines Festival
    7-8 June 1998
    マクラレン・ベールの香り豊かなワインとSAの海から取れた新鮮な魚介類を組み合わせたオーストラリアでは唯一の海とワインのフェスティバルです。マクラレン・ベールの20カ所以上のワイナリーとSAで人気の高いレストランがおいしいワインとそれにあった魚介類をお届けします。今年は特にWaverley Park WinesがStump HIll Cafe and Wine Barで8:30amから朝食を出しています。このワインはワイン作りを学ぶ地元の高校生によって作られ、接客、観光業を学ぶ学生がサービスをします。このほかにも朝食を出しているワイナリーがいくつかあります。トランス・アデレードの8台のバスが、各ワイナリー巡りの足となってくれます。詳しい情報は、インフォメーションセンター、RAAオフィスで入手できます。
    Tel:08-8323-8999

    イベントカレンダー

    Rare Exhibition, Regal Breakfast
    14 June 9:30am
    The Art Gallery Cafe
    「王朝」、イギリスのアートとデザイン1880-1830、というサブタイトルで、贅沢なイングリッシュ・ブレックファストを楽しむとことができます。食後は、19世紀末の家具、ゴールド・シルバーカラーの衣装、食器、彫刻などを見て歩きます。この時代はナポレオン戦争があった頃で、非常に浪費されていたためアートにも何億というお金がかけられていました。このような展示をアート・ギャラリーで行うのは初めてで、オーストラリア中から個人コレクションが集められます。
    チケットは$25ドル
    The Friend of the Art Gallaery
    Tel:08-8207-7050

    Temporary Window Exhibitions by South Australian Artist
    今年9月に正式オープン予定のサウス・オーストラリア大学・芸術博物館が、臨時にSA州のアーチストの展示を行います。
    University of South Australia Art Museum
    City West Campus
    54 North Tce
    28 May - 15 June
    18 June - 6 July

    Port Pirie Art Prize
    1-30 June
    Port Pirie Regional Tourism & Art Centre
    Mary Elie Street, Port Pirie
    オーストラリア中から集まった展示と優良作品賞の発表

    Village Alive
    7 June
    Loxton Historical Village
    Riverfront Road, Loxto
    昔の村の様子を呼び起こした歴史を振り返る行事です。食べ物やクラフトの屋外店があり家族で楽しめます。

    Marion Art & Craft Market
    21 June
    Marion Recreation & Fitness Centre
    Oaklands Road, Morphettville
    50件以上のアートとクラフトの質の高いマーケット。


★→MATTIE'S HOMEPAGE のトップに戻る
★→APLaCのトップに戻る