サウス・オーストラリア生活雑記
１月号
サウス・オーストラリア生活雑記
アデレードの芸術祭は、２年ごとに開催される世界的にも有名な大イベントです。
「The 1998 Telstra Adelaide Festival」は、２月２７日〜３月１５日までと決まりました。１０月末に発表されたプログラムによると、７０の催し物上演が予定され、そのうち２１はアデレードから、そして７つは世界の国々からの初演で、ダンス、劇、音楽、ビジュアルアートがバランスよく組み合わされていると評価されています。１９９８年の芸術祭のテーマは、神聖な音楽と宗教祝賀、そして２０世紀の終わりに近づきつつある人類が魂を求めて世紀を振り返ることにあります。これまで開催された芸術祭の中で最もスピリットに焦点が当てられ、２３のショーが何らかの形で霊や神と関連があります。
芸術祭ディレクターのロビン・アーチャーは、「このフェスティバルのために特に計画して神聖かつ霊的なアーチストを探したり、そのような特徴を持つものを選んでいったわけではない。芸術的に価値のあるものを選んでいったら、たまたまこれらのものが集まっただけで、多くのアーチストが彼らの芸術の中に神聖で内政重視なものを取り入れていた。つまりアーチスト達がその時代と状況を反映し、世界の歴史にとって重要な時と感じて芸術を作っていたのだ。」と述べています。
宗教音楽を特徴づけたプログラムとして、セント・ピーター教会の「エクスタシー（歓喜）の賛美歌」、尼僧ヒルデガードの９００年の音楽等が予定されています。また今回の芸術祭の特徴は10am〜2amまでの無料イベントにあり、オープニングの野外オペラ「Flamma Flamma」、星の下のANZシンフォニーとクラシックヨーデリングなどが予定されています。さてこのプログラム中、特に注目を浴びているのが日本人ダンサーで書道家のテシガワラ・サブロー氏の参加です。過去１０年間ずっと上演を嘆願されていたテシガワラ氏がとうとうアデレードの舞台に登場してくれることになったと主催者側は諸手をあげて喜んでいます。
ところでこの芸術祭のポスターは、聖母マリアがアコーディオンを弾く姿が描かれていたため発表当初から大きな波紋をよんでいました。多くのクリスチャン、特にギリシャ宗教の人々が聖母マリアを音楽のシンボルにしたことに強い怒りを表明し、正式に謝罪しなければ芸術祭をボイコットするという意見まで出されました。一方主催者側は、世界中の芸術家が表現しようとしていることを反映させただけで、無料野外コンサートでは世界で最も多様なアコーディオン演奏の上演もあると反論していました。結局アコーディオンを弾く手だけが描かれたものに変わり、大論争は一件落着したようです。とにかくまた一段と楽しめる芸術祭になることだけは疑う余地がありません。
今月のハイライト
第１２回国際手作り紙作家と紙の芸術家協会学会
The International Associaton of Hand Papermakers and Paper Artists
(IAPMA) Congress 1998 March 3-6
国際手作り紙作家と紙芸術家協会は、１９８６年に確立された国際的組織で４０カ国以上の国から４００人以上のメンバーが参加しています。この協会の主な目的は手作り紙についての国際的アイデアと情報交換の推進、つまり「紙とコミュニケーション」にあり、伝統的なものから現代的なものまで興味深い手作り紙と紙芸術について会議、イベント、出版、視覚的研究、記録センターやスライドの公開などによって参加メンバーの作品を援助することにあります。そしてメンバーが、紙づくりの技術的問題を解決し合い、異なる文化背景に基づく紙づくりに対するアプローチを分かち合い、国際的展示会を通して共に働く機会を提供しています。
各国で開催されていた一般会議は２年ごとの国際学会に発展し、１９９８年は偶然にもアデレードで芸術祭と同じ時に開催されることになりました。今回の学会のテーマは、農業収穫物による林業製品の維持、版画と手作り紙、太平洋沿岸固有のファイバーアート、２１世紀のアーチストの本となっています。日本からは小林よしなり氏や黒崎あきら氏が参加し、黒崎氏は現代日本木版画の展示を行います。またいくつかの展示はフリンジ・フェスティバルの一環として出品されます。学会参加をご希望の方は、大至急下記までお問い合わせください。
IAPMA Convenor
Ruth Creedy
9 King St. Glenelg North
SA 5045
Tel/Fax: 08-8295-2966
イベント カレンダー
Victor Harbor's Annual Art Show
オーストラリア最大の野外アートショーがアデレードの南８０キロに位置する歴史的観光地として人気のあるビクターハーバーで開かれます。入場料は無料で、１５００枚以上の絵画が展示されます。
Warland Reserve, Victor Horbor
Jan 10-17 1998
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