今週の1枚(08.31)
Warragambaダムの風景
一ヶ月ほど前にシドニーの水道に微生物が混入しているという騒ぎがありました(詳しくは雑記帳に書きましたのでご覧ください)。またぞろ先週から警報が出ております。要するに「生水飲むとお腹こわすかもしれないから、湯冷ましにしなさい」ということです。
前回は前代未聞ということでマスコミの扱いは派手だったのですが、今回は「またか」ということで、比較的に地味の扱いです(ロシア発世界恐慌や国内選挙などビッグニュースとかち合ってるということもあるのでしょうが)。扱いは地味でも、市民の怒りは今回の方が深いような気がします。僕にしても「ええ加減にせんかい」という気分になりますもん。
矛先はもっぱらSydney Water、つまり水道局に向けられているのですが、未だに微生物混入の真の原因が突き止められないことに加えて、民営化されつつあるプロスペクトという所にある浄水場が設備投資をケチっていたのではないか、警報を意図的に遅らそうとしたのではないかなど経営陣のぬるま湯的ことなかれ主義など、非難は段々と人的組織の問題になりつつあります。最初はハードな話だったのが、段々ソフトの問題にシフトしてきてるような気がします。早い話が、日本の原発もんじゅのような展開ですね。組織の上層部が腐ってるのではないか、と。そんな折、このおエラ方が年に頻繁に視察名目で海外旅行に出掛けていたことがスッパ抜かれ、また問題になっています。
シドニーの水道は、「安全神話」は崩れましたが、味の方は美味しくはあります。処理過程で化学物質を使わないで濾過してるだけのナチュラルウォーターとのことで、まあ100%使ってないかどうかは僕も確証がありませんが、少なくとも大阪や京都の琵琶湖水系のクスリ漬けの水よりは美味しいです。今後フィルターの目を細かくするなどの工夫でクリアできるのか、それともやっぱりケミカルの力に頼らないといけないのか、そのあたりも問題ですね。
というわけで、今週は、シドニーの水ガメ、Warragamba(ワラガンバ)・ダムです。
ワラガンバダムは、Lake Burragorang(ブラゴラング湖)の北東部にあります。「ワラガンバ」といい、聞きなれない発音の地名が多いのは、先住民アボリジニからの遺産。北海道の地名のようなものです。
で、その湖はどこにあるかというと、ブルーマウンテンの南側です。ブルーマウンテンに行かれた方は、スリーシスターズを見物されたと思いますが、展望台の向こう正面に連なっていた山々のさらに反対側に広がる湖です。
写真は、この湖の展望台からの風景。撮影したのは去年の夏で、いつぞや今週の一枚で「山火事/ブッシュファイヤー」をお届けしたことがありますが、そのときのものです。
ワラガンバダム施設の風景。建物の中ならともかく、この写真に写ってるエリア(撮影地点)なら、勝手に出掛けて勝手に見てこれます。というより、バーベキューエリアもあったりして、ピクニック場にもなってます。また、インフォメーションセンターやらキオスクやら、ガイドツアーも用意されてます。
ハードなデーターを。竣工したのは1960年。この湖の広さは7500ヘクタール、最深部で105メートル。湖の形は丸ではなく星のようにあちこちに出っ張ってますので、湖を一周しようとすると、なんと354キロにもなります。東京−名古屋くらいありますね。
ダムの壁は、高さ142メートル、長さ351メートル。壁の厚さは最も厚いところで104メートル。セメント300万トン分だそうです。そんな数字挙げられてもピンとこないのですが。
写真中央の岸辺にある看板は、ここまで水面がくれが満水という表示でしょう。
この8月は記録破りに大雨が降りましたので(平年80ミリ足らずなのに、今月は豪雨続きで月半ばで400ミリを越えたという)、大分溜まってでしょう。
豪雨といえば、日本も大変。中国なんか被災者2億4000万人というから桁外れに大変。それにこの水道騒ぎで、なんか今年は水難の年のようです。
ユーカリの原生林が並ぶ周囲の風景。
写真・文/田村
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