今週の1枚(01.02.12)
Ultimoの風景(その1)
Ultimoは、ウルチモじゃなくて、アルティモと読みます。
いきなり脱線しますが、ウルトラマン/Ultra- manは、和製英語ですが、これも発音しようと思ったら「アルトラマン」になるでしょう。大体英語で「U」を「う」と発音する例はマレで、、、、というか殆ど無いのではなかろうか。Uがアタマにつくときは「あ」と発音する場合が多いです。「under」はアンダーであって、ウンダーではないでしょ? 途中に入るときは「ゆー」になる場合が多いです。Computerはコンプーターではないですもんね。
だから、僕のTamuraは、そのまま英語で読むと「たみゅーらー」になります。先日、SBSというチャンネルで、今村昌平監督の「復讐するは我にあり」という映画をやってましたが、解説の人もしっかり「いまみゅーらー」と発音してました。ケン・オガタ(緒方拳)は、リエゾンがバッチシはいって、「けのーがたー」と呼ばれてました(^^*)。
ローマ字表記と英語発音/スペルの、このもどかしい”すれ違いの関係”について、どっかで読んだことあるなと思われた方、よく覚えてますね。すごいです。ずっと前にシドニー雑記帳/ローマ字と英語に書いたことがあります。
閑話休題、Ultimoです。
Ultimoは、Cityに直に隣接するサバーブでありながら、そんなにメジャーな存在ではありません。そのさらに隣のGlebeの方がポピュラーでしょう。思うに、City(シドニー都心、CBD、正式住所がSydneyで郵便番号が2000番エリア)と直に隣接する地区というのは、シティとメジャーサバーブとの間にはまりこんで、意外とメジャーな存在ではなかったりします。シティというには都心じゃないし、サバーブ(住宅街)というほど落着いてるわけでもないし。いわばシティとサバーブの緩衝地帯というか、シティの額縁というか、「パンの耳」みたいな感じ。
Ultimoの他に、似たようなエリアでいうと、Wooloomooloo、East Sydney、 Darlinghurst、Surry Hills、Chipppendale、Broadway、 Pyrmontなどです。
これらのエリアよりも遠くにいくと、本格的に住宅地として整備されてますし、閑静な雰囲気になっていきます。また、昨今の不動産バブルで、リノベーション(改築)も盛んです。シティはシティで、高層ビルがドンドン建ってきています。そんななか、これらの「パンの耳」は、商業地として開発するには今一つ立地が悪いけど、住宅地として開発するには妙にシティに近すぎちゃったりして、結局手付かずの部分が多くなり、結果的に昔ながらの雰囲気が比較的温存されていたりします。お膝元の下町のまま。
その手の届いていない感じが、どうかすると治安的に難アリのようなイメージも醸し出す場合もありますし、同時にエアポケットのように意外と心地良い下町的静けさを温存していたりもします。
Ultimoは、シティの西から南西に位置し、ダーリングハーバーのすぐ隣にあります。地形的にはシティとグリーブを隔てる小高い丘であり、この狭いエリアで有名な建物は、南端に位置するUST(シドニー工科大学)、ABC(NHKのようなもの)、それとちょっと前に紹介したPowerhouse Museumくらいでしょう。
←Ultimo というと、大体こんな風景しか思い起こさない人が多いかと思います。
Ultimo 唯一の(といっていいと思いますが)大通り、Harris Stの風景。右手前方に見える黄色い建物が Power House Museumです。
僕はその昔、東京の佃/月島というところに住んでました。ずっと前は陸の孤島と言われ、最寄りの駅は東京駅だったりするくらい、非常に近いのだけど、ド下町というエリアでした。ここのところ随分開発が進んできているようですが。世田谷や杉並、あるいはもっと遠いベッドタウンに住んでる人からすれば、「あんなところに人が住めるのか?」みたいな感じかもしれませんが(^^*)、意外と住んでしまうと非常に静かで心地よかったりします。昔ながらの建物が多いし、路地裏とか「巨人の星」に出てくる長屋みたいなのが沢山あって(僕もその一つに住んでました)。交通は便利なんだか不便なんだか、下手に何かに乗るよりは、歩くかチャリンコで行っちゃった方が早いという。銀座なんかも、ジャージにチャリンコで行くところでしたし。バブルで大分荒らされたとは思いますが、今でも昔ながらの雰囲気は残ってると思います。
Ultimoを歩くと、立地が似てるだけに、妙に懐かしい感じがします。ちなみに、その先のPyrmontは、晴海って感じですね。晴海も、モーターショーなどのエキジビジョンをやってる他は、暴走族の集会所か、「太陽に吠えろ」の追いかけっこのロケをやるところでしかなかったのですが、人工的に作った倉庫と埠頭なだけに、大規模再開発がしやすく、新しいマンションが立ち並ぶという。
しかし、これらの法則=大都市になればなるほど直近周囲は妙に取り残されて昔の雰囲気を残した下町のままであるという法則は、世界共通なんじゃないかと思ったりします。あなたの住んでる街も、そういうエリアがありませんか?
Ultimoの北端、Pyrmontの境あたりに、シティとサバーブをつなぐ立体交差のバイパスがあります(Western Ditrubutor) 。車に乗ってるとビューンと走りすぎちゃうのですが、この下に静かなエリアがあったりします。
しかし、写真右端のところなんかスゴイですね。高速道路の高架が異様に低く、手を伸ばしたら届きそう。
Ultimoは小高い丘と書きましたが、写真右をごらんになればわかると思います。左の写真、下を走ってる道路の先が写真右になります。グリーブ方面から、この断崖トンネルの坂を登ってシティに入るという。
西部方面を望む。
写真左端、グリーブやアンザックブリッジが見えます。
写真中央、まだこんな敷地が残ってたりします。いずれまたマンションでも建つのでしょうか?芝生のエリアはWentworth Park、復活したトラムの高架も見えます。このあたりはフィッシュマーケットのすぐ近く。
Pyrmontとの境目あたり。ここにも何か建つみたいですね。
全部壊さないで周囲の壁だけ残ってる状態はちょこちょこ見かけますが、なんで全部壊してしまわないのか、昔からよくわからんかったのですが、おそらく外側だけ古くからの外観を残しておこうということなんでしょうか。
どうでもいいけど、この壁裏最上階の落書き、どうやって書きにいったのでしょうか。ご苦労なことです。
写真右端、右の家はちゃんと手を入れて人が住んでいて、左の家は廃屋でしょう。手を入れる入れないで全然違います。
上の写真だけ見てると非常に寒々しい風景ですが、実は、このあたりコマメに手が入れられてニートな感じになってたりします。下の二枚は、上3枚の写真を撮影した場所。左の写真、前方行き止まりのところで上の建築予定現場を撮影したわけです。
さらに、小奇麗な公園なんかもちょこっとあったりします。
さて、上の風景は、Pyrmont的な「破壊と新築」風でしたが、ここから目を転じてUltimo中心部に歩きます。
するといきなり昔風の通りになっていたりするわけですね。
特に下の二枚ですが、僕にとっては懐かしさをソソる風景です。
なんかちょっと日本みたいじゃないですか?
遠くに見えてるUTSのビルの代わりに、新宿の高層ビルが見えてたとしても違和感がないという。
というわけで、Ultimoエリアの散歩、もう少し続けます。
写真・文/田村
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