ヒサコさんのオーストラリア視察体験
紹介文
過日、一週間ほどオーストラリアにこられたヒサコさんの感想記です。メールでいろいろやりとりしてたのですが、最後に戴いたメールが内容豊かだったのでご紹介します。漠っと将来を考え、漠っと海外を考えている人が、「どんなんかな〜?」でやってきた時の視点やら観察やらが諸兄諸姉のご参考になるかと。もう一点、ヒサコさんご本人をご紹介したいです。面白い人だし、今回のあれこれで事実上一括パック履修といってもいいし、僕の知っている皆とからんでいけば面白くて、気持ちのいい(ココ重要)化学反応が起きるんじゃないかなと思うので。
で、人物紹介ですけど、ヒサコさんとは先般の品川オフでお会いしてます。掲示板段階では苗字でしたけど、やっぱ海外もからむとファーストネームもいいかなってご本人の意向もあって、ハンドル的にヒサコということで。
ヒサコさん、最初にゴンと書いておきますが、誤解されやすいタイプだなとー思いました。彼女、いいガッコ出てるし、いいカイシャ入ってるし、そこでインターナショナルなビジネスなんぞもバリバリやっておられるし、同時に社会人として大学院にいって、アメリカでの現地研究もしっかりやってるし、東京山の手の生まれ育ちだし、単純に構成スペックの世俗偏差値は高いんです。で、ヒサコさん、惜しげもなくつか、てらいもなくガンガンそこらへんを語るわけで、日本人の一定部分は引くかもねーと。なんかエリート意識振りかざしているようにも聞こえてしまうんですよねー。そう受け取ってしまう人はいると思う。でも、それは誰にとっても損で不幸な話です。
僕がよく書く紹介文って、「一見こう見えるけど、実はこういう人(だと僕は思う)」という人物翻訳機みたいな部分があります。「みんな、仲良くしたってや〜」というときに一定のとっかかりをつけるところに意味があると、それは意識的にやってる部分はかなりあります。ウチの関係者って個性や我が強いのが多いし、翻訳したらんと、ただの奇人変人図鑑になっちゃうんで(笑)。それがどんなに主観偏見に満ちたものであっても、上っ面だけよりも遥かに良いですから。切り込み口があると、「いや、俺はむしろこう思うけど」とか入っていきやすいし。
ヒサコさんですが、僕が「ああ、なるほどね」とわかったような気がしたのは、エリート属性ではなく「素朴な村人」属性です。感性が素直で、でも頑固で。「壬生義士伝」という小説(映画)に出てくる吉村貫一郎氏のお国自慢です。「南部盛岡は日の本一の美しい国にでござりやんす。西に岩手山〜」という。ヒサコさんはそれを地でいってるだけなんだなーと。それは、強固なというよりも「頑迷な」くらいの地元(杉並区)愛を語るときに感じました。微笑ましいのよ(笑)。自分が今まで生きてきたなかで、素朴に「いいな」と思うものを、とても大事にして、率直に語ってるだけなんですよね。ただ、なまじ世俗偏差値高いから、なんかといえば自慢気に聞こえる。でもそうじゃないのよね。仮に自慢してるとしても、それは吉村君的な素朴な自慢に過ぎない。もちろん相手が僕だから、彼女も遠慮無く言えているって部分も多分にあるのだろうけど、ここでは素直にそういう地なんだって皆が理解すればもっともっと本人の自由度も高まるし、素直に良い面も出せるし、その果実をみなが共有しうるし。
彼女の感性の素晴らしさは、研究テーマであったアメリカのニューオリンズ体験を語るときにも感じました。ああ、いい感性してるなーって思ったもん。裕福な白人と可哀想な黒人層とか、そんな紋切り型なカテゴライズでは出てこない、素直な人でないと抱けないような。よくぞ見出した!って感じ。研究もそうだけど、それだけで小説一本書けますよ。
で、ヒサコさん、ほんと有能で、英語もできるし、メールでこちらの医薬品事情とか聞かれて僕が調べて送ると、なるほどっとばかりにさらに自分でどんどん突っ込んで調べるし、ためらわず国際電話もして聞いてくるし。理解力もさることながら、知的行動力がすごい。最初はウチに泊まるとかいう話だったんだけど、どうせだったらAirbnbとかもあるよと示唆したら、速攻Enmoreのナイスなテラスハウスに逗留することになって、ホストのオージーと突っ込んだ話もしている(以下の手記にも出てきます)。そのへんは流石ですねー。
ほんでも、微妙にドン臭いところもあるんだよね。可愛いんだわ。だいたい優秀な人ってどっかドン臭いとこあるでしょ?御多聞に漏れず、彼女も、例えば僕のクルマに乗った時にドアとか壁にゴンとか2回位ぶつけてるし(路側を噛んだ時とは別)、本人は気づいてないと思うんだけど、そのあたりが面白い。僕がサジェストしたあれこれ、やれ400番バスで一周して〜とか、ブルーマウンテン歩いて〜とか、クロヌラから船乗ってバンディーなまで行って〜というのも、本当に愚直なまでにやって、筋肉増強しているという。
ということで、彼女のベースには、可愛い素直さがあると僕は思う。それはもう頑固なまでの(笑)。以下の手記も、文章的にはとっても優秀怜悧に見えちゃうかしれないんだけど、そのベースにはそういう素直なものがあると思って読んでください。これは、周囲がそう思ってちょっと理解のノッチ(目盛り)を動かせばいいだけで、本人にそこらへん気を遣わせたりしたら(簡単に出来てしまうだろうが)、そうするとエッジが丸くなってよろしくないので。
以上、長い前フリでしたが、以下本編をどうぞ。
オーストラリア感想編
こんにちは。お久しぶりです。ヒサコです。帰国後、ご連絡が大変遅くなってしまい申し訳ございませんでした。
先日のシドニー旅行の際は、事前のご相談から現地でのサポートに至るまで、大変お世話になり誠にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。メールのやり取りからお話をさせて頂き、オフ会でお会いしただけの関係であったにも関わらず、色々とご相談に乗ってくださり、オーストラリアへ初めて訪れる者にとっては十分すぎるほどの情報を頂戴し、一人では知ることの出来ないシドニー、オーストラリアの側面を沢山教えてくださいました。これだけ貴重な経験ができたのも、ひとえに田村さんのお陰です。本当にありがとうございました。
帰国してから一週間後、先週木曜に発生した熊本地震が未だに強い余震に見舞われていること、さらに被害が拡大して、避難所生活で不自由を強いられている人たちのニュースを見て、心を痛めています。二日目にAPLACでお会いしたながた君は熊本出身でしたよね。負傷者も避難者も多くなっているので彼も無事に過ごしているのでしょうか。日本に帰国していたとしたら心配ですね。今は、一刻も早くこの災害が収まり、被災地が復興していくことをただただ願うばかりです。
そんな中ではありますが・・・、遅くなりましたが、今回のオーストラリア訪問へのサポートの御礼と感想などについてご連絡致したくメールしました。
今回のオーストラリア訪問は、これまでの経験=自分が活き活きできた場所、滞在して心地良いと感じた場所、ずっとチャレンジしたかった場所である欧米(といってもアメリカしか経験なかったですが)などを、また自分の目で確めてみるのもいいかな〜と思ったのがきっかけでした。田村さんから様々な重要なアドバイスを頂き、自分の方向性を考える手助けをして頂いたことに深く感謝しています。今はご助言頂いた通り多様な可能性を自由に思い描いていこうと考えていますが、どういう選択をするにしても、田村さんの豊富な経験、知識から頂いたこれまでのアドバイスはとても貴重なものでした。本当にありがとうございました。今回の旅行は、オーストラリアの知識のないままの訪問したので、文化・社会・歴史、ローカルの考え方など少し学んでからまた別の機会に他の都市も訪れたいと思っています。
もちろん、人の良さ、人懐っこさや人との繋がりを大事にしている点はとても良かったです。田村さんご指摘の通り、ブリスさんとの出会いで、コネクションを広げるとは何となくこんな感じかなと理解できました。オージーの親切さは、ホスピタリティの精神から来るものなのでしょうか。台湾のようにおせっかいなくらいに隣人を面倒見てくれるアジア人の親切心とまではいかなくても、西洋の個人主義に基づいた付き合い以上のような何かがあるように感じました。
やはり、こうした精神的な面でいうと、オーストラリアからポジティブな要素を受け取ってきたと思います。欧米社会のポジティブな側面、来るもの拒まず的な、より積極的であることが素直に受け入れられる点は大好きです。ストレートに自分を表現できますしね。そして、オープンマインドでいることが大事なので、性格的にもこういう環境が合っているのかもしれません。
あとは、何もかもアメリカと比較してはいけないなと。彼らは全然違った文脈で生きているんだなと思いました。最初は、アメリカのような多様な文化がぶつかり合って、混ざり合って新たしい文化を生み、それが世界の潮流になっていく、また新しい固有の文化や歴史がせめぎあいの中から生まれていくというダイナミックさや歴史の濃さはないなあ(ごめんなさい、これも私の知識の範囲内です)と感じたのですが、そもそもそういう観点だけから見ることが違うのかなあと。
今回、シドニーを初めて訪れて、何かもう一つ心揺さぶられるものが欲しかったです。もちろん、シドニーが生活環境的に素晴らしいのは大前提ですが、それを超えて、生理的にその場に立っているだけで快感というか、その町の風景を見ただけで、その町の匂いを嗅いだだけで心も身体もニュートラルになるというか、穏やかになる、幸せを感じる、ずっとここにいたいと感じるものを得たかったです。昔ボストンに行った時に静かなガーデンタウンとチャールズ川からの夕日などに惹かれ、「生まれてからずっとここにいたみたいだ、このままボストン大学に編入してもう日本には戻らない」と親に言ったことがあるのですが、何か離れがたいと心から感じるもの、ここに住むという動機になるもの、ニューオーリンズでも感じたのですが、心身が合う環境というものを感じたかったです。
また、仕事はオーストラリア社会も決して甘くはないということは分かりました。ホストのマークさんは以前は政府の調達の仕事の傍ら、会社に支援してもらいMBAを取得、同時に小さい子供二人を夫婦共働きで育てていて、毎日が戦争だったそうです。子供により良い教育を与えて、財産を持つには、共働きでないと成り立たないそうで、そういう点は東京と変わらないことも分かりました。一方で、ブリスさん宅のような郊外のお宅も拝見させて頂いたので、必ずしもそうではないのでしょうが、自分が思っていたほど簡単ではないなということは分かりました。
あとは、田村さんがエッセイで書かれたオージーのフィジカルタフネスは、身をもって理解しました。一週間で70〜80kmあの坂道を踏破し、私の身体も強くなりました。田村さんとお会いした直後に行ったヨガも、日本ではありえないくらいにインテンシブでした!パワー系が欧米は強いですね。たまに思うんですが、西洋人男性とアジア人女性の馬力って、車で言えば軽自動車と1tトラック並みに違うのではないかと思います。よくこの環境で日本のワーホリさんたちはサバイブしてるなと感心しました。私も帰国後、筋力がついて自然に帰りたくなったので、なぜか高尾山登ってきましたし、毎週やってるジャズダンスも軸がほとんどぶれなくなりました。オーストラリアでのトレーニング?の成果かもしれません。
最後にですが、まだオーストラリアへの関心が継続している為、田村さんやAPLACの皆様とは、できればこのまま接点を持ち続けたいと考えていますので、これからもKeep in touchでお願いします。
本当にありがとうございました。また、今後もよろしくお願いいたします。
クロヌラ〜バンディーナの冒険篇
こんばんは!昨日はお忙しい中、お時間頂きどうもありがとうございました。後日、帰国後に改めてご挨拶したいのですが、本日は教えて頂いたクロヌラとバンディーナに行ってきましたので、お礼とご報告を。
クロヌラは教えて頂いた通りこじんまりとした綺麗な町で、バンディーナもローカルの人達が集まるビーチでとても静かで素敵な景色でした。私、やはりこういう風景好きです。観光ガイドには載ってないですが、どれも美しい自然でした。
バンディーナに着いて、犬の散歩をしていたブリスさんという元NSWの警察官をされていた方に、偶然道を尋ねたのですが、私が一人でここまで来たことに驚かれて、ジボンビーチとバンディーナのビーチ一体を一緒に廻って案内してくれ、その後自宅に行って日本語勉強中の娘さん、奥さんと話をし、その後奥さんと一緒にナショナルパークのビーチや滝やマングローブ、保護している鳥などを車と徒歩で案内して下さいました。
3時間くらい色んな話をしたでしょうか。シティからこんな近くにある自然の雄大さ、ありのままに残してある自然とそれを生活の一部にして楽しんでる地元の人達、そして何よりこうした地元の方の素朴なハートというか、親切心が一番印象に残りました。オーストラリアの良さってこれかなと、思いました。自然に対しても人に対しても、ピースフルという印象を持ちました。
今回の町を教えて頂いてありがとうございました。
メールでどこまで添付できるか分かりませんが、奥さんがせっかくだからとすごい写真を撮ってくれたので。
ちなみに、マークさんは今日からキャンプに行ってしまいました。ブリスさんが冗談でこのキャンプ場辺りにいるんじゃないのって言ってましたが、秋に入ってもキャンパーは多いですね。