オーストラリア豆知識
オーストラリア豆知識
■歴史
もともとはアボリジニと呼ばれる先住民族が自然と共存して生活を営んでいたが、1770年にイギリス女王の命令でオーストラリア大陸を探索していたキャプテン・クックがシドニーに上陸し、イギリス領を宣言した。植民地だったアメリカ大陸をアメリカ合衆国の独立によって失ったイギリスは、オーストラリアを新たな流刑地として囚人を送り込んだ。その後、オーストラリアの発展とともに自由移民も増え、1851年にはじまったゴールドラッシュによって世界各国から人が集まり、急激に人口が増えた。1901年、「連邦国家」の結成が宣言され、もはやイギリスの植民地ではなくなった。第一次、第二次世界大戦に参戦、日本とも戦火を交えている。1958年、実質上の人種差別と世界から非難されていた「白豪主義」(イギリス系移民しか認めない移民政策)を廃止。東欧、南欧、中東諸国からの移民を受け入れるようになり、最近ではアジア系の移民が増加の一途をたどっている。また、最大の貿易相手国でもあり、主な観光客でもある日本との友好関係にも注力しており、日本語教育も盛んである。
■政治
イギリス女王を元首とする立憲君主国であるが、実際には二大政党を基調とした議員内閣制をとっている。労働党のポール・キーティング前首相が「共和制への移行」を提案したが、1996年の連邦政府総選挙ではジョン・ハワードを党首とする自由党が13年ぶりに政権に復活した。
また、7つの州が集合して連邦制度をとっているため、連邦政府よりも州政府の裁量に負うところが大きく、たとえば教育制度も各州ごとに定められている。
■産業
羊毛、鉱山、酪農、農業、水産業など第一次産業を主としており、特に地下資源は日本に多く輸出している。が、近年では工業生産等の第二次産業育成にも力を入れている。
■宗教
約4分の3がキリスト教(カソリック、英国国教会など)の信者ということになっているが、日本人の多くが仏教徒であるように、オーストラリア人がみな信仰心が厚いわけではないらしく、たとえば毎週教会に行く人はわずか25%である。移民の影響でイスラム教、仏教など多種多彩な宗教が存在している一方、無宗教派も1割強いる。
■人口と平均的オーストラリア人
オーストラリアの総人口は約1800万人。オーストラリアは広大な大陸ではあるが、内陸部のほとんどは居住に適さない砂漠か雨林地帯であるため、人口は海岸部に偏在している。豊かな自然環境・温暖な気候にめぐまれているためか、人々は一般的におおらかで友好的。また、移民の歴史のためか、平等意識が強い。
日本と同様に核家族化が進んでいるが、日本でいう普通の家族(両親と血のつながった扶養義務のある子供という組み合わせ)はわずかに30%ほど。夫婦の関係も多彩で、正式に結婚していないde fact(事実婚)やシングルマザーの比率も日本に比べて高く、ゲイ・カップルも社会的に容認されている。
■他民族国家オーストラリア
総人口の約80%がイギリスやアイルランド系移民の子孫が占め、その他イタリアやギリシアなどヨーロッパ各国、南北アメリカ、アジア、太平洋諸国、中近東から移り住んだ人々、そして先住民族アボリジニと、まさに他民族国家ならではの社会が形成されている。全国民の約3割がまだ移民一世か二世という若い国家であり、特に都市部は移民1世の比率が高い(シドニーの住民のうち37%がオーストラリア以外で出生している)。