オーストラリア医療・看護 豆知識

カルチャー ショックNo2


西暦2000年を迎えるNew Year's Eve (大晦日)


99/9/22

西暦2000年、1000年に一度の記念すべき年がやってくる。このためオーストラリアの各州の政府は頭を抱えている。今年のクリスマス、そして新年の1月1日はすべて週末にあたる。そのため労働組合が、繰越祭日を作るべきだと訴えているからだ。

加えて、2000年を迎える大晦日と新年を働くものには普段の3倍の給料を払うべきだと主張している。(大晦日の午後6時から新年の朝6時まで) 祭日に休めない職種というのは、もちろん看護婦、警察官、消防隊員、バスや電車の運転手などだ。

これはアデレードが位置するサウス・オーストラリア州の要求で、ケアンズがあるクィーンズランド州の看護婦組合は、大晦日の夜から新年の朝まで働くものに500%増しの給料を要求している。


オーストラリアは州によって祭日が異なる。オーストラリア全土で祝う祭日には、元旦の1月1日、オーストラリアデイ、イースターのグッド・フライデイとマンデイ、アンザックデイ(これらはX月の第Y月曜日などとされているため、その年によって日付が異なる)、クリスマスの12月25日などがあるが、その他の休日は各州がそれぞれ独自に持っている。

シドニーのあるニューサウスウェルズ州では、クリスマスイヴ (12月24日)を半ドンにし、クリスマスの12月25日から28日までの4日間を祭日にし、また1月3日も祭日にするということで話がついたそうだ。


さて、祭日が増えるということはどういうことかというと、雇用主にとって莫大な出費なのだ。たとえば、Mattie は普段でも土曜日に働くと通常の1.5倍、日曜日は1.75倍、そして祭日はなんと2.5倍の給料がもらえる。また祭日は働かなくても、1日分の給料が出る。だから政府は少しでも祭日を減らそうという努力をしてきていた。

しかし、この2000年の大晦日と新年は政府に勝ち目はいだろう。お祭り好きのオ‐ストラリアにとって、1000年に一度の大晦日のパーティは絶対に譲ることができない特別な日だ。そして組合はトコトン戦うのだ。日本のように話し合いで…ということはない。

各公立病院は医療費不足で入院が必要な患者がたくさんいるのに病棟閉鎖したり、待ち時間が延長されたり…と批判が絶えないのだが、労働者側は絶対におれない。日本のように税金で食べてる公務員が、この不況に自粛はないのか?などと批判が出ることはないのだ。だからパブリック(公立)病院で働くナースにはかなりのボーナスになりそうだ。

しかし残念ながら、これは公立病院の強さ、税金で成り立つ病院の強さである。プライベート(私立)病院で働くMattieには、こんなボーナスはつきそうにない。Mattieは別にクリスチャンではないし、クリスマスは休みを取りたがる人がたくさんいるので、毎年働いて余分のお給料をもらっている。それにしても日本では2000年の大晦日はどのように受け止められているのだろうか?



西暦2000年を迎えるNew Year's Eve 続編

99/11追加

1999年12月31日の大晦日に深夜勤をする看護婦に$500ドルのボーナスが出ると発表された。深夜は午後10時15分から翌朝の7時15分までとなっているが、この日は金曜日でまず午前12時までは普段の時給の115%、午前12時から翌朝までは150%の給与がでてプラス$500ドルが出る。

これが発表されてから、Mattieも含めて何人かのナースが「こんなにもらえるなら私も夜勤をしたい。」と口にした。しかし夜勤専門看護婦がいて、第Y週の何曜日は誰が担当と決まっているから、誰が勤務につくかはもうわかっていた。

この条件はMattieの働くM病院に限った場合で、私立病院では条件に多少の差があり、公立病院で働く看護婦や公務員の条件は今だにもめているようだ。

M病院に去年新しく来たまだ30代の看護部長は、一切特別な条件は付けず、普段の週末扱いにすると意気込んでいたらしいが、組合や社会の流れには逆らえなかったようだ。

10月から1月は天候が暖かくなるため、病気になる人が減り、病院は一般に患者数が減る。ところがクリスマスや新年で祭日があるため、病院は祭日勤務者に普段の250%分の給与を払わなければならず、ただでさえ赤字傾向にある。

加えてあまりに患者数が少ないと、勤務表にある看護婦数が多すぎる時がある。そうすると病院は一人一人の看護婦に前日に電話をして休みを取らないかと聞く。

しかし、すでに勤務表ができていてその日に何も約束を作らなかったナースはむしろ働いて余分な給料をもらったほうがいいと思うことが多く、病棟は何もすることがない看護婦がごろごろすることになる。患者が少なくて病院に入ってくるお金は減るのに看護婦は自分の権利として勤務に出るため、病院は給与を支払わなくてはならないのだ。

Mattieも最初は病院から電話がかかってきて休みを取らないかといわれると「NO」といいにくく困ったことがあったが、先輩に「休日」を拒否する権利があると教えてもらったので、今は「No Thank you.」はっきりといって断っている。

M病院は医師の希望と社会の需要に対応するため、日帰り手術棟を新築した借金がまだ二億円近く残っているはずで、またこれから新しい日帰り手術棟を作るため何億円というお金が必要なはずであるが、そいうことは問題ではないのだ。

いくつかのプライベート病院は緊急外来新設のため10億円以上借金があるらしいが、M病院と多かれ少なかれ同じような条件を看護婦に出さなくてならないはずだ。そんなことは一看護婦であるMattieが心配しても仕方ない。オーストラリアはこうして社会が成り立ってきているのだ。

しかし不況だからと賃上げやボーナスが差し押さえられたり、有給も取れぬまま働きつづける日本の状況を見てきたMattieは「オーストラリアはいつかつぶれる。」と思わずにいられない。



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