今週の1枚(99.04.12)
Maroubra / Part 2
先週につづいてマルーブラ(Maroubra)の風景をやります。
福島ウニ取り物語
これらの写真を撮ったのは、実は、このあたりの岩場でウニが獲れる!という話を聞き、さっそくウニ獲りに挑戦したときのものです。ご覧のような満ち潮&波で断念せざるを得ませんでした。その後、リターンマッチということで、ウニ好きの私(福島)は、ウニ嫌いの夫ラースを無理矢理引き連れ、新聞で干潮タイムをチェックし、日曜日の昼過ぎに再挑戦。
今度はバッチリ、潮が引いたあたりの岩場に陰にトゲトゲが見えます。小さいけれど、確かにウニ。よくよく見ると、「あ、ここにも! あそこにも!」状態。「よーし!」とサンダルを脱ぎ捨て、ナイフを右手に捕獲し始めると・・・。
塩水プールのあたりで日光浴していたと思われる、海水パンツ姿のおっちゃんが一名、近寄ってきました。「ここでは何も獲ってはいけないのだ。アゲンストローなのだ。真剣に罰金課せられるのだ。なんなら、今から告発してあげるよ」と、かなり憤った表情で忠告されました。
「ああ、そうだったんですか、知らなくて」と言うと、「キミタチ、あそこの看板を見なかったのかね?」とおっしゃる。実は私も不安だったので、事前に付近の看板はすべてチェックしておいたのだが、「犬禁止」マークはあったが、ウニ獲り禁止とは書いていなかったのですね(もっともウニなど好んで収穫するのは日本人くらいなものだから、イチイチ「ウニ獲り禁止」看板は立てないかもしれない。が、せめて「海の動植物獲っちゃダメ」程度の看板はある筈だと思う。以前にオイスターベイ付近で「カキ獲り禁止」看板は見たことがある)。
そこで、「いやあ、看板もチェックしたんですけど、そうとは書いてなくて」と言うと、おっちゃん、ちょっと翻って誤魔化しの笑みを浮かべつつ、「そりゃね、キミ、コモンセンスだよ、コモンセンス」と情報の根拠を「常識」に振りました。「まあ、この国の規則はよく分からないし、そういうもんかもしれないな」で、おっちゃんの忠告どおり、ウニを海に戻し、とっとと引き上げました。
途中、塩水プール付近の岩場で人々が我々の真似をして、なにやら探し出していました。すれ違い様に「カキでも獲れるの?」「え? シーアーチンって何?」「それって食べられるの?」と質問責めに遭いました。おっちゃんが恐れていたのは、こうして人々が皆して自然破壊しだすことだったのでしょう。申し訳なさも手伝って「食べられるけど、たぶんあなたがたは好きじゃないと思うよ」と言っておきました。
ラースによると、公共の場(海でも山でも)で勝手に獲って持ち帰ってはいけないというのはデンマークでも「コモンセンス」だそうです。じゃあ、海で貝殻拾って持ち帰ったら、それもアゲンストローなんだろうか? 魚釣りはどうなんだ? と聞くと、「魚釣りは権利を買うんだ」と。
どうも気になったもので、帰宅してからインターネットでいろいろ調べてみました。確かに「自然保護指定地域」というものはあって、シドニー近郊ではマンリー、ボタニー湾などがそれに入っていました。が、マルーブラは指定されていません(少なくとも私が調べたソース=漁業関係上の規制だと思われる=には掲載されていなかった)。もしかしたら、別の規制はあるかもしれないので、確定的なことは言えませんが、あのおっちゃんの「コモンセンス」への振り方からもなんとなく怪しい気がします。
尚、こういったグリーニー(自然保護主義者)はどこにでも出没する可能性があります。仮に法律的には問題なくても、「自然破壊行為」とみなされてクレームをつけられることはありえますので、皆さんご注意ください。罰金は課せられなくても、十分後味悪いですから。しかし、まあ、少なくとも、日曜の真っ昼間からウニ獲りなんてするもんじゃないですね。
(田村談)
この話で最も注目すべきは、ウニが嫌いなのに、たまの休日カミさんつきあって、挙句のはてに一緒に怒られてしまったラース先生の慈愛と不運でしょう。
海水を溜めてプールにしてある海水プールがあります。これはマルーブラに限らず、あちこちで見られる風景ですが。
確かに遊泳禁止の規制を待つまでもなく、あの波を見てたらとてもじゃないけど岩場で泳げるもんじゃないですもんね。
以下、カモメの写真を。たいていの海辺に行けば、カモメは見られます。もう、日本のお寺の境内の鳩のように、あちこちに居ます。
今回は、ちょっとじっくり見てみました。
下の二枚は、比較的良く撮れたので大判でいきます。今更ながら思いますが、鳥が大勢で自然の中を翔んでいるのは絵になりますね。なにやら日本の昔の屏風絵を思い出してしまった。
文・写真:田村
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