今週の1枚(00.01.24)
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Manly Dam の日曜日(その1)
マンリーといえば、シティからフェリーに揺られてやってくる、半分リゾート気分のサーフィンと太陽の町というイメージがあります。それはそれで間違ってないのですが、そのマンリーにダムがあります。「マンリーにダム?」と、僕も最初はピンときませんでしたが、あるんだから仕方がない。
もっとも、マンリーといっても、Manly Valeという海辺のMnalyからはちょっと離れたエリアです。
そして「ダム」というのはちょっと大袈裟な、こじんまりとした湖ですが、でもしっかりありました。
マンリーダムの周辺は、レクレーションエリアになってます。
入場料6ドル取られます(車1台につき)。こちらではナショナルパーク(国立公園)の年間定期券(アニュアルパス、NSW州だけだったかな)がありまして、これを車に貼っておけば、どこいってもフリーパスなのですが、ここはダメでした。入り口のオジサンの説明によると、これはカウンシル(自治体)がやってるところだからだそうです。ほお、なるほど。
例によって、オーストラリア名物バーベキュー場や、ブッシュウォーキング・トラックがありますが、もう一点特徴的なのは、水上スキーのエリアになっていることです。スキーのジャンプ台が用意されてますし、実際にスキーを楽しんでる人達がいました。
次回以降、順次紹介していきたいと思います。
ここは、単なるダム周辺のレクレーション場というだけではなく、戦争記念公園でもあるようです。
戦争記念〜というと、日本の場合「二度とあの悲惨な戦争の惨禍を〜」という色調になります。勿論オーストラリアでも「戦争のない平和な世界を」という祈りは捧げられますが、それだけではなく、戦時中頑張った兵士や国民の苦労に思いを馳せるという部分もあります。
このあたりは敗戦国と戦勝国の違いでしょうか。戦争は確かに悪い事だけど、じゃあ過去の戦争は100%悪かったのかというとそうは思ってなくて、「あれは正義のための戦争だった」というノリがあります。第一次大戦(ヨーロッパまで参戦した)のガリンポリの戦い(オージーだったら皆知ってます)にせよ、第二次大戦にせよ、「悪い事をした」という意識は少ない。
戦争なんか100%正しい、間違ってると白黒つけられるものではないと思いますが、どうしてこんなに単純なノリになりやすいのかというと、やっぱり勝ったら勝ったで「国民の英雄達」の働きにケチをつけるわけにもいかず、それなりに遇していかねばならないからでしょう。これはアメリカでも同じだと思いますが、第二次大戦くらいまでは「俺達は正しかったんだ」と言いやすいけど(まあ、相手がヒトラーですから尚更言いやすいでしょうが)、それ以後のあんまり「勝った」とも「正しい」とも言いにくい戦争、つまりベトナム戦争になると途端に口ごもってしまったりします。
第二次大戦であれ、ベトナムであれ、イチ兵士としては上の命令に従って現場で苦労してる事に変りはないのに、片や英雄になり、片やあまり語られないという。
村上春樹氏の「やがて哀しき外国語」というエッセイで、湾岸戦争当時、ナショナリズムに沸き立つアメリカに在住していて、「戦争に勝ち続けるというのも大変なもんだな」と思ったというクダリがあります。いつも勝って、いつも正しくなければナラナイというのが、社会のアイデンティティになっちゃうというのは、気分良さそうに見えて、やる方としては大変だと思います。
オーストラリアはアメリカほど強かったり、勝ったりすることにアイデンティティがあるわけではないので、戦争についても「小さな国なのに、皆で力を合せてよくやったよな」というニュアンスで語られたりします。
写真は、この地にメモリアルの石造を立てるためのプロジェクトの説明ですが、写真右のデザイン案の少女の絵は何を意味するかというと、「兵士達のためにソックスを編んでいる少女」で、この図案が戦争記念のシンボルになるあたり、「皆で力を合せて」という部分がキーノートになってるのでしょう。
今週、26日はオーストラリアの建国記念日ですが、どのような論調になるのか、そのあたりに気をつけて見ているのも面白いと思います。
最初に一応ダムらしい写真を。
しかし、ダムといっても、シドニーの水瓶ワラガンバダムのような巨大な設備に比べると、はたしてダムとして使ってるのかどうかすら疑わしいほどの可愛い規模です。実際、ダムらしいのはこの堰だけでして、あとはただのレクレーション場だという。
写真左は、湖畔で遊んでる人々。
右の写真二枚に、湖面に映ってるのは水上スキーのためのジャンプ台と、モータボートの波です。これは次回以降やります。
湖畔の風景。
陽射の強い下、のんびりした空気を感じてください。画像はちょい大き目です。
写真左 : カラス ブッシュウォーキングをしてる最中、なぜかカラスの、人を馬鹿にしたような鳴き声が耳につきました。
写真右の二枚:なかなか存在感のある3人(羽)組でした。動きがユーモラスなのと、1対2の色の配色が、なんかドリカムみたい。
写真・文/田村
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