今週の1枚(01.03.19)
Kings Cross 日曜の朝の風景(その3)
キングスクロス特集、最終回です。
繁華街、セックス、ドラッグ、、、以外にもKings Crossの特徴はあります。一つはバックパッカー、もうひとつはPotts Pointに抜ける高級住宅地としての一面です。
シティにほど近く、シドニーハーバーを見下ろす小高い丘にあるKings Crossは、もともとは富裕層の住宅地であり、紳士淑女が馬車で乗り付ける、ハイソな社交場であったらしいです。往年のハイソさをしのばせるガッシリした造りの建物や緑豊かな並木道は今も尚ありますし、高級ホテルや有名レストランも軒を並べています。
緑深い街並+高級系ホテル・レストラン+下世話な観光地+普通の繁華街+バックパッカー+セックス+ドラッグ、、という、、、、ワケわからんですな。いろんな特徴をギュッと詰め込んで、ほとんど精神分裂病のような街がKings Crossと言えなくもないです。
「なんでこんなっちゃったの?」という歴史的発展段階を調べるは興味深いところですが、僕もあんまり詳しいことはわかりません。「ハイソな社交場」のうち、ハイソさはそのままに、この「社交場」部分が段々肥大して、庶民的になり、さらにボヘミアンになり、カオティックになっていったのでしょう。で、ボヘミアン的な部分で、多くのバックパッカーをまた惹きつけるという。
ただ、一つのエリアが何層にも重ねられた特徴を持つことは別に珍しいことではないのでしょう。ものすごい庶民的な部分とハイソな部分が同居してる街としては、例えば東京の銀座なんかがそうでしょう。銀座ももともとはド下町ですし、一歩中に入れば長屋みたいなのが並んでたわけですし。30年以上昔の東京をウロ覚えで知ってる身でいえば、渋谷なんて野暮ったい静かな町で、町というより単なるバスターミナルでした。日傘をさした奥さんがボーッとバスを待ってたり、住宅地に続く坂を上っていくだけの所でしかなかった。それが、西武資本がドカドカお金を投下してパルコ作ったりして雰囲気変わってきて、チーマーが群居したりするわけですな。下北沢なんか、その昔は井の頭線との乗換駅だというだけが取柄の、なんてことないゴミゴミしたエリアでしかなかった。
東京に限らず、日本全国津々浦々で、この種の街の変遷と変貌はみられると思います。だから、ひとりKings Crossだけが精神分裂してるわけではなく、人々のその場その場の都合やり盛り上がりが長年にわたって積み重なって、街というのは分裂気味になっていくのかもしれません。
Kings Crossにバックパッカー宿、あるいはバックパッカー系のお店が何軒あるのか僕も正確にはわかりませんが、もう何十という単位であるのは確かです。
バックパッカー系安宿と、バッパー系旅行会社。
写真右端、バッパー(&ワーホリ)御用達の便利屋さんの典型的なサービスメニュー。シティには日本人系ワーホリさん御用達情報センターが沢山ありますが、別に日本系だけではなく、より本家本流のヨーロピアン・バックパッカー/ワーホリさん向けの店もまた沢山あるわけですね。でも、提供してるサービスは大体似たようなもので、@激安旅行関係、Aインターネット関係、B携帯電話、Cファックス、コピー事務関係、Dラウンドするときに荷物預かりサービスなどなど。
Potts Pointに抜ける、緑深い並木道。
これだけ見てれば落ち着いた静かな環境ですが、先週掲載したドラッグ注射針が落ちてた所とここらへんとは目と鼻の先です。左下の写真あたりからだったら、100〜200メートルとかそんなもんです。
繁華街を通り抜け、Potts Pointエリアに入ってきます。
雰囲気も随分変わって、静かな日曜の朝って感じになってきます。
ここからはシティや、ハーバーブリッジ、オペラハウスなどが一望できるわけですが、手前にある細長いグレーの工場のような建物は何かというと、実は海軍の軍港だったりします。
停泊していた軍艦。
やっぱり、カンタスみたいに、カンガルーマークはついているのですな。
写真・文/田村
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