今週の1枚(00.11.13)
Green Squareの風景(その1)
先日の地元の新聞の日曜版に、Green Square/グリーンスクエアの特集記事がありました。
「グリーンスクエア?どこ、そこ?」とおっしゃるシドニー在住の方も多いでしょう。それもその筈、今年になって開通した空港〜シティの連絡電車の駅名の一つとして新たにつけられたもので、「グリーンスクエア」という名前のサバーブはありません。サバーブ的には、アレキサンドリアになるでしょう。
車に乗ってて、シドニー南部を知ってる人だったら、「オリオダンとボタニーロードの交差点で、角にマツダのディラーがあるところ」といえば、「ああ、あそこね」とピンとくるかもしれません。しかし、まあ、一般にはあまり通り過ぎることもないでしょう。大体この一帯って、空港に行くか、アレキサンドリアのファクトリーアウトレット巡りでもしない限り、あまりに足を踏み入れませんしね。
シティから空港までの一帯は、ハッキリ言って殺風景です。工場や倉庫が立ちならんでいて、かねがね、シドニーに着いた観光客が最初に目にする風景としては「ちょっとなあ」と思ってました。
なんでこんなところが特集記事になってるかというと、「バブルだから」です。オリンピックが終わったら、シドニーの不動産高騰も一息つくかと思ったら、全然そうならないみたいで、相変わらずです。シティ近郊の、それまでシカトされてたようなエリアでも、どんどん開発が進んできてます。この記事の特集は、「これから開発される先物買い不動産事情」のようなものです。そこで、グリーンスクエアに白羽の矢が立ったというわけですね。
この記事によりますと、サウスシドニー市当局は、グリーンスクエア駅を中心に約14ヘクタールのグリーンスクエア・タウンセンターというものを作る計画らしいです。しかし、グリーンスクエア都市再開発計画全体は、もっと規模が巨大で、全部で275ヘクタール(オリンピックビレッジの2倍で、パディントンよりも100ヘクタール広い)で、サバーブ的には、Alexandria、Zetland、Waterloo、Beaconfield、Roseberyにまたがるとのこと(といっても、これらのサバーブ知ってますか?)。
確かに、シティに至近のこのエリアを工場ばかりにしておくのは勿体無いといえば勿体ないですし、工場自体も地価の上昇もあってか、さらに郊外に移転していく傾向にありますから、開発しやすいといえばしやすいエリアですね。
というわけで、ちょっと興味をかきたてられたので行ってきました。
結論的にいえば、「駅が一つ出来ただけで、別に何にも変わってなかった」 ということに尽きます。
しかし、今週と来週、二回特集をするのは、
@もしかしたら将来大発展するかもしれず、今のうちに撮っておけば、貴重な記録写真になる(かもしれない)
A非常に地味な写真だけど、こういうのが「リアルな素顔」としてイイ(かもしれない)
からです。
グリーンスクエア駅です。
写真下左二枚は、ボタニーロードを空港からシティに向かう途中。前方にマツダのディーラの看板が見えますね。
写真中央右:このマツダを過ぎたあたりに、突如左側に殆ど何にもない空間が開けます。ここがグリーンスクエア駅ですね。
駅といっても、地下駅になってますので、地上には入り口くらいしかないです。
しかし、この駅前の空間は結構だだっ広くて、中央に現代彫刻のオブジェらしきものが置かれています。しかし、花壇ひとつ、並木ひとつなく、駅というより、軍関係の施設みたいなタタズマイだったりします。
でも周囲に比べて、この駅だけが異様にピカピカに新しいです。
興味本位で、エスカレーターを下りていってみました。
この日は、土曜日の午後で、シティもショッピングセンターもすごい人出だったのですが、さすがというか、グリーンスクエア駅には、徹底的に誰もいませんでした。写真を撮って帰る10分ほどの間に、たった一人だけ見かけましたが、あとはもう不気味なくらい、まるで核戦争で人類が死に絶えたあとの世界みたいに誰もいないという。
まあ、もともと産業エリアですから、土日は森閑としてても不思議ではないのですが。
でも、建造物というのは現代的になればなるほど無国籍になりますね。写真下左二枚を見せて、ここは札幌とか博多あたりの地下鉄の新しく出来た駅だよって言えば、まあ、10人中8〜9人は信じるのではないでしょうか。この写真を見て「あ、シドニーだ」と喝破出来る人なんか皆無に近いと思います。全然外国って感じがしないですね。
写真右二枚。さすがに切符の販売機もオーストラリアでは珍しいタッチセンサーになってるし、行先表示も、木製ボードで時計の針を駅員が手で動かすという例のパターンではなくディスプレイになってます。なんか、現時点では無駄に新しいというか、なんというか。しかし、目と鼻の先の空港まで片道10ドルはぼったくりですな。こんなんだったらタクシー乗っても似たようなものではないか。
再び地上に出て、「駅前の風景」です。
しかし、ここ、ほんとに開発されるのだろうか、、、。まあ、そう思うくらいだからこそ、不動産の先物買いの価値があるのだろうし、写真も記録的映像になる可能性もあるわけなんだけど。
この記事でも、こう書いてあります。
It's the suburb formerly known Alexandria, Waterloo or Zetland, which is why they had to change its name to Green Square. It's misnomer, though - there aren't many trees and not a lot of grass. Not yet, anyway. And gleaming new Green Square station, with its tinted glass and graffiti-resistant paint, remain ringed by car dealershops, not cafes. But build it and they will come. You see, Green Square is red hot.
(中略) At the moment, though, you have to stretch your imagination in order to visualise the tree-lined boulervards and cannals.
というわけで、来週はもう少しこの周囲を散策してみます。
写真・文/田村
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