今週の1枚(00.03.13)
Artsitic Newtown (その2)
先週に引き続きArtistlic Newtownということで、単に落書きというにはアーティスティックなNewtownのグラフィーティを。
上の「作品」は凝ってますね。
まずテーマ設定ですが、これがよう分からんというのがイイですね。『TVのバイオレンス映像が犯罪の原因になってるからダメだよ』という教訓めいたテーマとも取れますが、しかし自由の町ニュータウンでそんな説教臭いテーマにするとも思いにくいし。
しかし、なんだかよく判らないけど、壁をブチ破ってテレビと銃口が突き出てくるという画像は、とかく分かりやすい(換言すれば”陳腐な”)テーマが多いなか、非常にインプレッシブです。
また、画像ではよく判らないかもしれませんが、TVのケーブルなどは、これは絵ではなくて、本物のワイヤーを壁からぶら下げています。立体的な作品でもあるわけです。
左端:これは上の写真の隣に描かれている作品ですが、このメカニカルなタッチが、何というかヘビメタ系のCDのジャケットというか、プレステっぽかったりします。
中央左:これは、なんつーか、習作というか、穏健というか、当たり前すぎてあんまり面白くないテーマですな。シドニー2000年オリンピック、「Share the spirit」というスローガンなど、なんか県庁に展示してある小学生のポスター作品みたいに、妙に品行方正だったりします。コアラが国旗背負ってたりして、益々この種の子供っぽさに拍車をかけてます。
しかし、なんとなく華やかではない色づかいといい、もしかしたらこの作品全体が、そういった国家的品行方正さを皮肉ってるんじゃないかと裏読みもしたくなります。良くみると、share the spiritは消されかけてるし、オペラハウスにはヤリが刺さってるし。しかし、これは、誰か別の人間がさらに落書きを加えたという可能性の方が強そうです。
うーむ、どうなんだろう?なかなか深い作品です(そうか?)。
中央右:うってかわって、所要時間1分というお手軽な「作品」です。いや、単なる落書きなんですけど、妙にこれ愛敬あったりするもんだから。
右端:これは、堂々たる王道をいってますね。よく見るとデッサン的にも結構いい加減だったりするのですが、雰囲気出てます。
左端:インド系ですね。華やかな色づかいがステキです。妙にマンガっぽいのもイイです(特に左端のコブラとか)。
中央左:おお、ジミヘンじゃないですか。良く見ると全然似てないし、えらくズングリしてるんだけど、一目でジミヘンと判ってしまうという。
中央右、右端:これも王道系です。巧いですし、テーマも高尚。 ”I have a dream"は、有名なキング牧師(だっけ?)の演説ですね。下の赤/黒+黄色の太陽は、アボリジニの旗のデザイン。この狭い一角では、ときどき集会が行なわれてたりします。
ちょっと息抜き。手をつないで歩くカップルの図。
ラフでスサんだイメージもあるニュータウンも、ちょっと入れば静かな住宅街だったりします。
第三者が勝手に描いた「落書き」だけでなく、建物のオーナーが店のデコレーションの一環として描いてるケースも沢山あります。以下、いくつか実例を。
左:これ、力作ですね。しかし、確か普通のテイクアウェイの食べ物屋さんだったような気が、、、。
中央:これは、レストランガイドでも紹介してるアフリカ料理のレストランです。一目瞭然、アフリカですね。
右:これは肉屋さんでしょうが、何かのロゴかな。
左端、中央左:いずれも同じ建物です。何の建物だったか忘れましたが、結構センスいいと思います。
中央右:この右と左の、エアロビクスとボディビルを表してる(らしい)マッチ棒みたいな人物像がいいですよね。 「エアロビクス」って文字で解説いれないと何だかわからんという。真ん中の劇画チックな絵もキッチュでいいです。
右端:「殺風景だから描いてみました」という感じの模様がいいですね。
写真・文/田村
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