今週の1枚(01.01.29)
Petershamの風景(その1)
今週と来週は Petersham(ピーターシャム)特集です。
ピーターシャムは、ハッキリ言って全然有名じゃないです。間違っても日本語で書かれたガイドブックに載ってることはないでしょうし、現地在住の日本人でも、このあたりにホームステイでもしない限り、住んでる人は少ないんでしょう。また、話題に上ることも殆どないでしょう。
このホームページでも、ピーターシャムについて、「ポルトガル人の町で、ポルトガル料理店やポルトガル名物チャコールチキン(炭焼きチキン)が美味しい」くらいしか紹介してません。
今回は、ポルトガル云々に力点を置かず、シドニーの西部の町のイチ典型として紹介したいと思います。
ピーターシャムは、意外とシティから近いです。ウエスト(西部)といっても、いわゆる "Inner West"に入るかな、どうかな?というくらいの距離で、シティ中心(GPO)から直線距離で5キロちょい。この距離は、北でいえば Crows Nest、東でいえばBondi Junction程度の距離でしかありません。50キロ通勤も珍しくないシドニーでは、「ほとんどシティ」といってもいいくらいだと思います。
シドニー現地では、ここ数年来のバブルでガンガン不動産開発が行なわれています。Inner Westでも、もともとがヤッピー好みの町であったグリーブやバルメインは言うに及ばず、粗暴さが魅力だったニュータウンもめっきりニートになってきてますし、イタリア人がのんびりシエスタをしているような町、ライカードもお洒落なスポットとして赤丸急上昇という感じです。
が、なんとなく取り残されているエリアもあるわけで、例えばグリーブとライカードの間にあるアナンデールとか、ニュータウンの次の町であるスタンモア、そして、スタンモアとライカードの隣町であるピーターシャムなどです。これらの町では、昔ながらの伝統的なしっかりした作りの家屋が並ぶと同時に、営業してるんだかどうかわからんような店が並ぶヒナびた商店街、そして西部独特のちょっとラフな感じがあいまって、全体として午睡のまどろみのような雰囲気をまとってます。
この眠ったような町のタタズマイ、「いなたい」感じ。実は、シドニー全体でいえば、こっちの方が数ではずっと多いですし、本来の基調だと思います。でもって、別にこれはシドニーに限らないと思います。
ピーターシャム駅。上の大きな写真もそうです。
「生まれてから一度も電車に乗ったことがない」という人がゴロゴロいる東部、北部のお金持ちエリアに比べて、庶民エリアの西部では、鉄道網が発達しています。路線の数が全然違うし、また、急行電車の運行のために、複々線化が進んでいます。上の大きな写真を見てもおわかりのように、ホーム脇の線路の他、急行、特急(カントリーリンクなど)のための線路が設けられています。
でも駅構造はシンプルでして、改札も何にもなし。ホームが一つ。ホーム内に駅舎があるだけ。
陸橋を駆け上がって、さて、駅前広場はどうなってるかというと、こんな感じです ↓。
要するに、何もないです。日本の感覚でいえば、「え?」という感じでしょうでしょうね。なんせ都心から5キロでコレですから(^^*)。
周囲を見回しても、バス停がひとつあるだけ。
まあ、実際には、5分ほど歩いたら、(他の近所の駅に比べたら)大きな商店街が街道沿いに並んでいるのですが、しかしこれだけ何もないというのも爽快ですな(^^*)。
写真右端は、陸橋の上から反対方向を望む。こっちはこっちで閑静な住宅街が広がってるだけです。
では、何もない駅前を突っ切って商店街まで出てみましょう。
というわけで、商店街です。
ピーターシャムの商店街は、New Canterbury Rdという街道に沿って並んでいます。
写真左端:このあたりが西のハズレ。ここから先は隣町のLewisham(ルーシャムと読む)になります。
写真右端: ”OP-Shop"というのは、どうもオーストラリアのスラングのようで、手元のオーストラリア・スラング辞書によると、"Opportunity shop - selling second hand goods for charity"だそうです。 セント・ヴィンセントのように、教会系の古着・古道具屋さんですね(寄付されたものを売却し、福祉事業に充てる)。ここは、看板によるとバプティスト系みたいです。しかし、”Over 30 years of service and still growing"という、チャリティっぽくない強気な発言がスゴイですね。
名物のポルトガル料理屋さん、チャコールチキンの店です。
写真右二枚。メッカ、ニュータウンほどではありませんが、グラフィーティ(落書)作品もありました。写真左端、ちょっとアメコミっぽかったり、おねえちゃんがナイキ履いてたりするのですが、「ピーターシャム」とちゃんと町の名前を入れてるところが郷土愛の発露ですよねって(^^*)、でも、よくみると、これ、スペルが違うのですね。”Peetersham”だもんね。peeというのは、辞書ひいてください。
写真中央の、中島らも似のおっさんは誰なんでしょう?
写真右端:このあたりが商店街の東端です。このガソリンスタンドは僕の行き付けのスタンド。大体、シドニーでは、カンタベリーロード、ヒュームハイウェイ沿いのスタンドが一番安いのですが、その流れを汲む安い店の中で、ここが一番シティに近いからです。ちなみにこの日、ノースエリアでは大体90セント前後でした。
というわけで、来週はもう少しディープなところを見てみたいと思います。
写真・文/田村
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