今週の1枚(07.20)
ニュートラルベイ(その1)の日本関係ショップの風景
ノースシドニーの東隣のニュートラル・ベイ特集です。
ことある毎に言っているようですが、シドニーで日本人が比較的多く住むエリアは3つ。ワーホリのメッカであるボンダイエリア、ノースの北の方(チャッツウッドからさらに北のキララとかカッスルコウブなど)の駐在員さんの豪邸エリア、そしてその中間をいくニュートラルベイエリア(ノースシドニー、クロウズネストも含む)。
日本人が住んでいるのは、勿論このエリアに限ったことではありません。それはもう散在していますし、現に僕らもこれらの3エリアどこにも住んだことはありません。ですが、詳しい統計とったことはありませんが、経験的にいうと、やはりこれらの3エリアに多くの日本人が住んでいるようです。
ニュートラルベイには、日本関係のお店(日本食レストラン、日本書籍店)が多く集まっています。日本書籍店でいえば、紀伊国屋書店もあります。他にも、日本書籍売っているのは、シティのウィンヤード、ロックスなどにありますし、古本なども含めれば色々あります。ちなみに、オーストラリア人相手の普通の古本屋に日本の古本が置いてあることがあります。ニュータウンあたりの古本屋では結構みかけます。期待しないで行ってみると、かなり安価に手に入ります(先日も発見して買い込んできました)。
それはともかくニュートラルベイですが、日本人が多いといっても相対的な問題で、実際に街を歩けば白人系オーストラリア人が殆どだったりします。気をつけてないとそれが日本人が多い街であることなど、あまり気付かないでしょう。そういった本来的なニュートラルベイの風景は次回以降にやるとして、今回は、シドニーにおける(海外における)日本関係のお店がどんな感じで出店しているのか、ざっと見てみましょう。
なお、ニュートラルベイ全ての日本関係の店をカメラに収めたわけではありません。本当は今回の写真の倍以上あるでしょう。日本人相手の電器製品店、自動車用品店などなど他にもあります。知ってる人には、「どうしてあの店が載ってないのだ」と言われそうですが、別段他意はありません。適当に写しただけの話です。ショップガイドのページを作るなら別ですが。
ところで、写真は、紀伊国屋書店の書棚。よくみるとこのあたりの棚は全て「帰国子女」関係の品揃えになってます。海外で暮すのはいいのですが、いつか日本に帰る日が来ると、そのとき子供は「帰国子女」になってしまうわけです。最初から「もう日本で暮すこともないわ」「この子が日本語ヘタになってもいいわ」と腹を括ってる人はいいですけど、数年スパンの滞在の場合、そうも言ってられません。また日本の教育制度に戻らないとならない。受験戦争やらないとならないし、言葉や行動が変でイジめられるかもしれない。頭の痛いところでしょう。
どうして海外で暮したくらいで本国に帰ったあと苦労せなならんのか、そもそも何で「帰国子女」なんてケッタイな単語があるのか(英語でそのものズバリの単語はないでしょう)、疑問は尽きません。こんな言葉が死語にならなきゃ国際化といってもまだ先の話だという気がしますが、既に現地にいる親御さんとしてはそんな悠長なことも言ってられません。日本の学校の勉強に追いつけるように家庭教師を雇ったり、オーストラリアにも公文式があったり、大変そうです。海外で暮す人の断片風景の一枚です。
まず、同じ紀伊国屋さんの風景です。
写真左は外観。外の風景がガラスに反射してしまいましたが、ロゴは見えるでしょう。
写真中央は店内の様子。日本書籍だけではなく、フロアの半分は英書です。
写真右は、「オーストラリア関係本」の書棚。その昔、日本の本屋さんでオーストラリア関係の本を探したとき、かなり苦労した覚えがあります。オーストラリア関係の書籍がこれだけまとめて置いてあるのは、日本でも珍しいと思います。
新刊本・雑誌のコーナーです。撮影したのは先週ですが、殆どタイムラグなく入荷していると思います。
ただ問題なのはお値段で、輸送費用がコストに上乗せされます。なまじ原価を知ってるだけに、「げっ、高い」という気になります。少年ジャンプが5〜6ドル(約500円)、AERAが10〜11ドル(約1000円弱)します。ハードカバー本で30ドルくらい。気楽に買える値段ではないですが、それでも4年前に比べると随分と安くなったように思います。その昔はジャンプで8ドル、AERAで13ドルくらいしていた記憶がありますから。
周囲が英語、英語、英語で囲まれてますと、あるとき無性に日本語が読みたくなります。特に来て半年くらいはツラかったりします。僕も「うーん高いな〜、でも読みたいな〜、でも高いな〜、どうしようかな〜」と迷いまくった経験があります。ここ1〜2年はインターネットもやってますし、慣れましたのでそういう飢餓感はないですけど。海外にいる人への日本土産としては、キオスクあたりで売っている雑誌なんかが意外と喜ばれるでしょう。
これら5枚はいずれも日本食関係のお店です。
日本ショップが多いといっても、チャイナタウンのように町中日本語が氾濫しているわけではありません。観光地における日本人向け土産店のように、「日本人いらっしゃい」という感じでもありません(実際お客さんの半分はローカルのオーストラリア人でしょうし)。ごく普通の町並みにごく普通に存在しているといった感じです。
したの2枚はテイクアウェイのお店。シティとか見てても、持ち帰りの寿司屋さん、ラーメン屋さんなどが増えてます。それだけ日本食が地元に徐々に浸透してきているのでしょう。でも別に「日本食がブーム」というようなものではなく、マルチカルチャルの一環として、各国の料理が浸透しつつあるということでしょう。浸透度それ自体でいえば、チャイニーズやイタリア料理の比ではないでしょう。それでも増えつつあると思います。
店外に貼り出してあるレストランのメニューから。圧縮かけてますから、いまひとつ画像は鮮明ではありませんが、雰囲気だけでも。値段的には、材料が現地調達できる分、日本書籍ほど高くはありません。「よほど日本食が好きでないと食べにいけない」というような値段でもないです。むしろ日本の物価からすればリーズナブルかもしれません(日本のように1人2万円(200ドル)なんて高額ではない)。ただそれでも購買力平価でいえば、若干高目の部分もあるでしょう。
シドニーに日本レストランが何軒あるのか正確には知りませんがおそらく50〜100軒という単位であると思います。一方シドニー在住の日本人は1万人ちょっと。人口1万人なら地方の町村レベルであり、そこに50軒以上レストランがあったら大変です。というわけで、観光客対応の店ならともかく、地元オーストラリア人を相手にしてないと経営的にもやっていけないと思われます。価格的にも競争力がないとしんどい。
なお、これらのお店がワーホリの人達の就職市場になってたりもします。地元で日本食が浸透していくかどうかは、ワーホリの人達の就職問題にも繋がっていくと思います。
カラオケボックスの入り口です。
シドニーのカラオケボックスは、えっと、3つ4つあったと思います。ホームページにはしてませんが、いつぞや「研究」といって値段や設備などを比較チェックしたことがあります。店内は大体日本と同じで、値段的には日本よりも安いかもしれない(といっても、日本の現在の値段を知らないのですが)。
といっても、日本にいた頃に比べて行く頻度は数十分の1に減ってます(早い話が興味がなくなったりもする)。それでも「ああ、ひさしぶりに歌うのもいいかな」という気にもなりますが、いかんせん新曲を仕込んでないのでいつも同じ曲ばかり、昔流行っていてもいつしかリストから削除されてたりという悲しいこともあります。カラオケボックスや本屋さん、レンタルビデオ屋さんまである割には、日本のCD屋さんがない。多少中古で出回ってますが、ない。
CD屋さん、誰かやらないかな〜と思ってますが、そもそもオーストラリアのCD価格が高い。一枚30ドルしますから、日本と同じ。購買力平価でいえば2倍といった感じ。これは要するに輸入関税によるらしく、国内でも問題になっていて、国内産業の保護がどーした等とときどき議論されたりします。人口1800万人の市場「小国」の悲しさだとは思いますが(大量に売ってもとを取るほど市場が大きくない)、国内産業育成→関税かける→高価格ということになるのでしょう。日本のCD持ってきても、関税込みにしたら、メチャクチャ高くなるかもしれず、そのあたりが理由で日本のCD屋さんがないのでしょうか。一枚6000円とか言われたら買わずに日本から送ってもらいますもんね(本と違って軽いから送ってもそれほど費用が掛からない)。
以下、次週。
1998年07月20日
撮影/文:田村
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